「ヘリテージ」の意味・使い方まとめ!英語表現やレガシーとの違いとは?

「ヘリテージ」の意味・使い方まとめ!英語表現やレガシーとの違いとは?

近年見聞きする様になってきた「ヘリテージ」とは、一体どの様な意味を持っているのでしょうか?「ヘリテージ」と言う語句が良く使われる場面や表現方法、良く似た意味を持つ語句との用法の違いなど、それぞれの意味をあわせて余すところなくご紹介して行きます。

記事の目次

  1. 1.「ヘリテージ」とは
  2. 2.「ヘリテージ」の使い方
  3. 3.「ヘリテージ」と似た意味の「レガシー」とは
  4. 4.「ヘリテージ」と「レガシー」の意味の違い
  5. 5.「ヘリテージ」と似た意味の「レジェンド」とは
  6. 6.「ヘリテージ」の意味は遺産や伝統

「ヘリテージ」とは

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専門的な業界内では、英語で良く使用されている単語をそのまま日本語として使用するシーンが多く見受けられます。「コミット」や「エビデンス」、「インセンティブ」など、これらの英語は現在では様々なシーンで見聞きする機会が多くなりました。

しかし意味においては、これらの英語を日本に輸入される過程でネイティブでの意味とは若干違った意味合いを持つものが多く、誤った使い方をしてしまうケースが多く見受けられます。むしろ誤った使い方自体が正しい使い方となっている語句も今や珍しくありません。

その様な単語のなかで「ヘリテージ」という言葉があります。よりネイティブに発音すると、「ヘリティッジ」とも言われるこの言葉には、一体どの様な意味があるのでしょうか。今回は、この「ヘリテージ」についての言葉の意味や使い方や、本場英語での意味なども合わせて、例に出して余すところなくご紹介して行きます。

和製英語としての「ヘリテージ」

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「ヘリテージ」は、直訳では「遺産」の意味が含まれ、他には「代々受け継がれていくもの」とも表現できます。

歴史学における学術書などではありふれた単語として使われていましたが、現在では他の業界でも一般的に使われるようになり、英語での意味とは少し違ったかたちでこの国でも使われています。

例えば、「ヘリテージング」や「ヘリテージツーリング」と言葉を変化させて、近代の遺産や遺跡を観光するアクティビティの事を差して、観光やマスコミ業界などで良く使われています。

ヘリテージングとは?

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上記の「ヘリテージング」は、英語では使われない、いわゆる「和製英語」になります。日本において使用されている「ヘリテージング」とは、明治維新以降の近代日本において作られた建造物などの遺跡を訪れて観光資源として楽しみ、理解を深める事を指す造語と言えるのです。

日本での近代とは、一般的には貨幣経済が始まった明治初期のころから、太平洋戦争終結までの期間の事を指します。

「ヘリテージング」が意識される以前は、古代や中世の建造物などの遺跡が、メインとなる観光資源でしたが、近年は、明治期でのガス灯などのモダン建築や、昭和初期のどこか哀愁を感じる様な情景に対しなつかしみ、再評価されていることが背景にあるのです。

英語での書き方・意味

「ヘリテージ」をアルファベットで表記すると、「heritage」となります。これは名詞として、「先祖伝来のもの、遺産」と言った意味があります。

一般的には、上記の単語に形容詞などの装飾語を付けて表現されます。例えば、「historical heritage」と表記すると、「歴史的遺産」と表現する事が出来るのです。

他によく似た言葉として、「A cultural heritage」で「文化遺産」と表すなど、非常に一般的に使用されているため、覚えておきましょう。

「ヘリテージ」の使い方

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前述した背景から、日本においても概ね同じような意味合いで使用されています。つまり、英語で使用される意味と同じようにして、装飾する単語をくっつけて使用されることが多いのです。

例えば、ファッションブランドなどで、歴史的、伝統的な雰囲気をテーマとして取り入れた商品は、「ヘリテージコレクション」と呼ばれ、同じような使い方で「ヘリテージウォッチ」、「ヘリテージジュエリー」などと、よく使われている単語となっているのです。

上記以外にも、この様な、文化や歴史、環境の保全を行う人に対しては「ヘリテージマネージャー」と呼ばれています。「ヘリテージ」に該当する遺産は、世界各地に点在し、保存すべき対象は日々更新され、増加しています。そのため、この様な保全活動が近年注目され親しまれているといった背景があります。

「ヘリテージ」は財産・遺産に関する文に使用することが多い

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ここまでのご紹介からわかる通り、「ヘリテージ」は財産や遺産、遺跡に関しての文章に対してよく使われています。

ニュアンスとしては、古くから伝わる伝統やかつて存在し、現在では存在しないロストテクノロジーとも言われる技術を用いたものを含む、先人が残した歴史的、文化的な有形無形を含めた物事を意味すると言えます。

日本でも、富士山や富岡製糸場が世界遺産の認定を受けるなど、「ヘリテージ」と呼ばれる歴史的、文化的な遺産が、近年ますます認知されるようになりました。これらの遺産は認知されることで観光資源ともなり得ますが、適切な保全、管理が行われていないと登録を抹消される恐れがあります。

遺産とは?

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ここで「ヘリテージ」の直訳の意味となる「遺産」についてご紹介して行きます。「遺産」とは、大きく分けて意味が2通り存在します。

1つ目には、血縁者や近親者が死後に残した財産や資産を意味します。これには資産価値を有する財産の他に、借金などの負債も含まれます。これは相続を前提とした遺産で、生前に残したものを受け継ぐものとしての表現されます。

2つ目は、先人が遺した有形、無形の歴史的や文化的な価値を持つもので、比喩表現としての意味を持っています。これには、中世期に築城された軍事拠点や、過去に作られた文化的建造物や、産業勃興期にもたらした汚染地域なども「負の遺産」と表現されています。

様々な遺産のあり方

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遺産の中で、上記で2つめにご紹介した遺産については、有形無形を問わず様々なものがあります。世界遺産委員会が選定する、文化遺産、自然遺産を含める世界遺産は、最も「遺産」を代表するものとして知られています。文化、歴史、自然を保存して受け継いでいく目的として、これらの遺産が決められています。

「ヘリテージ」と似た意味の「レガシー」とは

「ヘリテージ」とよく似た言葉に、「レガシー」があります。この「レガシー」にも、「遺産や遺物、古い時代のもの」と言った直訳で表すと「ヘリテージ」とほぼ同じような使い方をします。

しかし、これでは「ヘリテージ」と「レガシー」が全く同じ意味だと捉えがちですが、厳密にはニュアンスが違い、微妙に変わってくるのです。ここからは、このよく似た意味を持つ「レガシー」についても、「ヘリテージ」との違いをご紹介しながら、使い方も合わせてご紹介して行きます。

「レガシー」の英語での書き方・意味

「レガシー」は英語の表記では、「Legacy」と表記します。上記でもご紹介した通り、直訳では「遺産や、古い時代のもの」と訳します。専ら名詞として使用され、主語や目的語に使われます。

「遺産」の中でも、歴史的文化的に価値のあるものに対しての「遺産」と言うよりは、「先祖代々受け継がれて来たもの」と言ったニュアンスの方が意味合いとしては強いと言えます。

「レガシー」の使い方

ではここで、「レガシー」の使い方、用例をご紹介して行きます。まず例文としては、「legacy duty」で遺産相続税という意味になります。つまり、「亡くなった方が生前所有していた資産」を指す意味として、よく使用されているのです。

上記が一般的な「レガシー」の意味となりますが、レガシーの持つ意味は、「資産価値のある有形の遺産」のみに留まりません。

政府や行政で使われる「レガシー」

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「レガシー」の意味には、上記の他にも政府や自治体によって使われる固有表現があります。この様な場合で使用される「レガシー」には、「次世代に残すことのできる公共物」という意味もあります。

日本でも2020年のオリンピック開催に向けて、「オリンピックレガシー」という表現が良く使われました。この場合のレガシーは、オリンピックを開催する為の道路などのインフラ設備などといった、今後の市民の生活品質を向上させることが出来る公共物も、遺産として捉えるという考え方で使用されているのです。

コンピューター業界での「レガシー」

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例えば、コンピューター用語としても、レガシーはたびたび使用されています。例えば、「レガシープログラム」は、コンピューターが一般家庭に普及し始める前の80~90年代に使用されていた、8bitや16bitコンピューターで使われていたプログラムを意味します。

他には「レガシーコスト」と言うと、過去の慣例や習慣などのしがらみによって引き起こされる負担(負債)の事を指します。

前者はモノとして存在していた有形なものですが、後者では負債であるため会社の経理上の数字としては残りますが、遺産としてそのものが存在しない無形のものと言えるのです。

「ヘリテージ」と「レガシー」の意味の違い

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一方、「ヘリテージ」では、前述のように、「(歴史的、文化的価値のある)遺産、遺跡」と言う意味合いが強く、いわゆる遺産相続などで使い方をするレガシーでの使い方をする「遺産」とはまた違う意味になります。

もちろんコンピューター業界の用語としての「ヘリテージ」は存在しないですし、企業の負債の種類を表す言葉でもありません。これらは「ヘリテージ」と「レガシー」との決定的な違いである、と言えます。

意味合いが強いのは「ヘリテージ」

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「ヘリテージ」をもう少し深く掘り下げると、ヘリテージとは、「生まれながらにして受け継いでいる遺産」と言う意味になります。つまり、ご先祖様の遺言に従って受け継がれるものに比べ、よりスケールが大きく、生まれた場所によって運命的な意味合いをも含んでいると言えるのです。

上記に対して「レガシー」では、先ほど比較した「ご先祖様からの遺言により受け継がれるもの」の意味合いを強く持ちます。さらに、資産価値のあるものに対して、この使い方をする。というのも、決定的な違いと言えるのです。

「ヘリテージ」と似た意味の「レジェンド」とは

これまで、「ヘリテージ」とよく似た意味の使い方をする「レガシー」との違いをご紹介して行きましたが、このよく似た意味を持つ単語は他にもあります。ここからは次に代表的なものである、「レジェンド」をご紹介して行きます。

「レジェンド」は日本でもそのまま使われる通り「伝説」という意味が強くあります。「伝説」というと前述の2単語とは、ニュアンスが変わりますが、「伝承されてきたもの」と表現すると、「ヘリテージ」とほぼ同じ意味とも言えます。さらに両社とも名詞的な用法をする為、その点でも同じと言えます。

「レジェンド」の英語での書き方・意味

この「レジェンド」は、「Legend」と表記され、こちらにも名詞的な使い方をするのが普通です。これには、「伝説、神話、言い伝え」などの意味があります。

もっとも、現在この国においては「レジェンド」と聞くと、偉大な実績を残した業界の先駆者に対して代名詞的な使い方をする事が多い為、上記のとしての使い方は比較的珍しいと言えます。

その他の類義語

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「ヘリテージ」には、この様にいくつかの良く似た意味を持つ言葉がありますが、「レガシー」や、「レジェンド」以外にも実に様々な語句が良く似た意味として存在しています。

ここからはあまり一般的ではない、いわゆる「マイナーな類義語」も、合わせてご紹介して行きます。良く似た類義語を合わせて覚えることで、学習効率は飛躍的に向上すると言われているため、この機会に是非チェックしておきましょう。

inheritance

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主に「遺産」を表す語句としては、「inheritance」があります。この英語表現も直訳では「遺産」や「受け継がれるもの」と言う意味を持っています。この語句には、もう一つの意味として「相続」とも意味し、家族などの血縁者から「受け継いだもの」といった意味合いを強く持っています。

単語の綴りを見ると、「ヘリテージ」と良く似ているため混同しがちですが、「heritage」は上記の様な意味合いを持たず、むしろ「レガシー」の用法に近い言えます。

estate

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「estate」には、ある人が所有している「財産としての遺産」と言う意味も含まれています。上記の「legacy」では、「受け継がれた」といった意味合いが強いですが、「estate」では、土地や建物などの「財産」といった意味合いを強く表されます。これは、不動産業界や法学での文言に良く使われています。

ヘリテージとの違い

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これらの良く似た意味を持つ語句と、ヘリテージの持つ意味とは、決定的な違いがあります。それは、「文化的な伝統」、「文化的な遺産」の意味を含んでいるかどうか、と言えます。「ヘリテージ」以外の語句で表される遺産には、動産、不動産といった財産としての意味合いが強く、これらには文化的な伝統や伝承は含まれてないものなのです。

「遺産」という語句で表現できる語句は、この様に様々なワードがありますが、「ヘリテージ」に関しては少々意味合いが違い、固有の表現があると言えます。

「ヘリテージ」の意味は遺産や伝統

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ここまで、「ヘリテージ」の持つ意味や英語での表現方法からよく似た意味を持つ他の単語との違いなどを、合わせてご紹介してきました。地球上では、現在進行形で様々な場所で新たな遺跡や遺産が発掘され新たな観光地としての変貌を遂げています。そのため「ヘリテージ」の言葉そのものの持つ意味は、日々重くなっているとも言う事が出来るのです。

建人
ライター

建人

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