処遇とは【意味】
一般的な日常生活の中ではあまり使われませんが、ビジネスシーンなどでは時々使われる言葉に「処遇」という言葉がありますが、処遇とはいったいどういう意味なのか、正確な意味を知らない人も多いでしょう。
処遇とはどういう意味なのか、何となくニュアンス的には分かっているつもりの人は多いですが、実際の所処遇とはどういう意味なのかは分かっていない場合が多いと言えます。
「処遇」という言葉をよく使うのは会社の中ですが、それでもほとんど耳にしたり目にしたりすることはない言葉だからです。
処遇とはいったいどういう意味を持つ言葉なのか、「処遇」という言葉の意味についてご紹介しましょう。
意味①各人に合わせた対応の仕方
「処遇」の意味の一つ目は、「各人に合わせた対応の仕方」という意味です。「各人に合わせた対応の仕方」と言うとちょっと難しい感じがしますが、実はそうでもありません。
簡単に言えば「各人に合わせた対応の仕方」というのは「人それぞれに合わせて対応するやり方」という意味になりますので、こう言えばかなり分かりやすいでしょう。
人は皆それぞれ性格も能力も違いますので、そういった違いを持つ人それぞれに合わせて何らかの対応をすることを「処遇」と言うということです。
意味②特定の立場から評価をもって対応すること
「処遇」の意味の二つ目は、「特定の立場から評価をもって対応すること」という意味です。これもちょっと難しい意味ですが、こちらは例を挙げれば分かりやすいでしょう。
会社で上司が部下に対して何らかの評価をすることでボーナスの額が上がったり下がったりするといった場合、これも「処遇」と言えます。
他に、仕事で失敗をしたり悪いことをした部下に対して減給などの処罰を与えるといった場合にも、「処遇」ということになります。
「処遇」を「特定の立場から評価をもって対応すること」という意味で使う場合には、「良い処遇」も「悪い処遇」もあるということです。
処遇とは【分野ごとの意味】
「処遇」の意味についてご紹介してきましたので、次は「処遇」の分野ごとの意味についてご紹介します。
「処遇」の基本的な意味は先にご紹介した通り「各人に合わせた対応の仕方」「特定の立場から評価をもって対応すること」という意味ですが、仕事の分野などが違うと「処遇」の意味は多少異なって気ます。
「処遇」の分野ごとの意味の違いとはいったいどういうものなのか、「処遇」の分野ごとの意味についてご紹介しましょう。
福祉サービス業界
「処遇」の分野ごとの意味の一つ目は、福祉サービス業界における「処遇」の意味です。福祉サービス業界における「処遇」の意味は、福祉サービスの利用者へのサービスの提供にかかわる意味になります。
福祉サービス業界における「処遇」とは、「福祉サービスの利用者がより円滑にサービスを受けることができるように、ケアのプランや環境などを充実させること」という意味になります。
簡単に言えば「処遇」の意味「各人に合わせた対応の仕方」ということになりますが、福祉サービス業界では「サービスの利用者」が「各人」になっているということです。
医学分野
「処遇」の分野ごとの意味の意味の二つ目は、医学分野における「処遇」の意味です。医学分野における「処遇」はとくに精神医学などにおいて使われることが多く、事件を起こした被疑者に対して使われます。
日々様々な事件が起きていますが、そういった事件を起こす被疑者には色々な精神状態があります。被疑者一人一人に対して深層心理などを丁寧に調べていくことを、医学分野では「処遇」と言います。
また医学分野では「処遇」を「トリートメント」と言うことが多く、この「トリートメント」は「取扱い」を意味しています。
心理医学
「処遇」の分野ごとの意味の三つ目は、心理医学における「処遇」の意味です。心理医学では主に人間の心理状態についての研究がなされますが、そういった研究において「処遇」という言葉が使われます。
この場合の「処遇」とは、一人一人の人間の心理状態への一定の評価を置いて、その人に何らかの言動を取らせるきっかけとは何なのかについて研究するということです。
心理医学における「処遇」の意味は、「処遇」の「特定の立場から評価をもって対応すること」に近い意味だと言えます。
処遇とは【類語】
「処遇」の分野ごとの意味についてご紹介してきましたので、次は「処遇」の類語についてご紹介します。
「処遇」の意味は「各人に合わせた対応の仕方」「特定の立場から評価をもって対応すること」という意味ですので、これらの意味に近い意味を持つ言葉が「処遇」の類語ということになります。
「処遇」の意味はちょっと複雑ですので、完全に「処遇」と同じ意味を持つ言葉を探すのは難しいと言えます。
「処遇」の類語にはいったいどういう言葉があるのか、「処遇」の類語についてご紹介していきましょう。
対応
「処遇」の類語の一つ目は、「対応」です。「対応」の意味は「相手の出方に応じた態度を取り、ことを処すること」という意味ですので、かなり「処遇」の意味に近いと言えます。
「処遇」と「対応」の違いのポイントは、「対応」は「相手の出方」と限定されているという点にあります。
「処遇」の場合はシンプルに「各人」に合わせるという意味ですが、「対応」は相手がどう出るかを見て応じ方を決めるという意味になりますので、そういった点では「対応」は少し違うと言えます。
ですがおおまかな意味はかなり「処遇」に似ていると言えるので、「対応」は「処遇」の類語になります。
扱い
「処遇」の類語の二つ目は、「扱い」です。「扱い」の意味は「物を使用したり操作したりすること」という意味ですので、基本的には「処遇」とは全く意味が違うと言えます。
ですが「扱い」という言葉は物に対してだけではなく、人に対しても使うことがありますので、そういった場合には「応対の仕方」という二つ目の意味になります。
「扱い」の二つ目の意味は「処遇」の「各人に合わせた対応の仕方」という意味に近いですが、「処遇」よりかなり意味的にシンプルだと言えます。
接待
「処遇」の類語の三つ目は、「接待」です。「接待」の意味は「客をもてなすこと」「茶や食事を出してふるまうこと」といった意味ですので、「処遇」の「各人に合わせた対応の仕方」の意味に近いと言えます。
「接待」の意味は単純に「客をもてなすこと」ですが、どのような飲み物や食べ物を出すかはその客に応じて色々と変わることが多いです。
「接待」には「処遇」の意味に近いニュアンスが含まれていると言えますので、「接待」は「処遇」にかなり近い意味を持つ類語であると言えます。
お構い
「処遇」の類語の四つ目は、「お構い」です。「お構い」の意味は「心にかけてもてなすこと」「おもてなし」という意味で、「処遇」の意味「各人に合わせた対応の仕方」に似た意味を持つと言えます。
「お構い」という言葉には心を込めたもてなしをするというニュアンスがありますので、その人それぞれに合わせたもてなしをするという意味にもなります。
そういった点からも「お構い」という言葉は「処遇」に近い意味を持つ類語であると言うことができます。
接遇
「処遇」の類語の五つ目は、「接遇」です。「接遇」の意味は「公務員や会社員などが業務上の客などに対して行うサービス」という意味で、一見すると「処遇」とは全く違う意味のように見えると言えます。
「接遇」には客に対する態度や言葉遣いやもてなしなどといった丁寧な対応といった意味も含まれていますので、各人に合ったサービスだと言うことができます。
「処遇」の一つ目の意味は「各人に合わせた対応の仕方」という意味ですので、「接遇」はこちらの意味に近いという点で「処遇」の類語であると言えます。
もてなし
「処遇」の類語の六つ目は、「もてなし」です。「もてなし」の意味は「客への対応」「心のこもった接待」という意味ですので、対象が「客」に限定されるという点では「処遇」とは少し違います。
ですが「もてなし」の意味「心のこもった接待」は、それぞれの客に対する丁寧な接待というニュアンスを含みますので、その点ではニュアンス的に「処遇」に近いと言えます。
「処遇」には他にも色々な類語がありますが、「処遇」と完全に同じ意味を持つ言葉はありません。日本語には「処遇」のように、意味が完全に一致する類語がない難解な言葉がたくさんあります。
処遇とは【使い方と例文】
「処遇」の類語についてご紹介しましたので、次は「処遇」の使い方と例文についてご紹介します。「処遇」という言葉は一般的な日常生活の中で使われることはほぼなく、ビジネスシーンなどで主に使われます。
そのため「処遇」という言葉の使い方がわからないという人も結構多く、いざ「処遇」という言葉を使うことになった時に間違った使い方をしてしまう場合もあります。
「処遇」という言葉はどのような使い方をすれば良いのか、「処遇」の使い方と例文についてご紹介しましょう。
述語の前に置く
「処遇」の使い方と例文の一つ目は、述語の前に置くという使い方の例文です。述語の前に置くという「処遇」の使い方の例文として「功績に伴って、その社員を係長に処遇する」という例文が挙げられます。
この場合の「処遇」の使い方は「特定の立場から評価をもって対応すること」という意味での使い方で、上司が社員の昇格を決定することを表しています。
「処遇」は「する」という述語の前に置くと「処遇する」という言い方になりますが、この使い方は結構良く使われている「処遇」の使い方になります。
名詞として扱う
「処遇」の使い方と例文の二つ目は、「処遇」を名詞として扱うという使い方です。「処遇」を名詞として扱うという使い方の例文として「その功績に適した処遇を与える」という例文が挙げられます。
こちらの「処遇」も「特定の立場から評価をもって対応すること」という意味で使われていて、この例文での「処遇」は昇格や昇給などを表しています。
「処遇」は先にご紹介したように「する」という述語をつけて「処遇する」という使い方をすることが多いですが、名詞として扱われることもあるということです。
名詞の前に置く
「処遇」の使い方と例文の三つ目は、「処遇」を名詞の前に置くという使い方です。「処遇」を名詞の前に置く使い方の例文として、「累進処遇令」「行刑累進処遇令」という例文が挙げられます。
これらはどちらも法律で、「累進処遇令」は受刑者が刑務所内で更生に向けて努力していく中、その成果に対応して処遇内容を緩和していくという法令で、「行刑累進処遇令」は「累進処遇令」の採用を定めた法令です。
「累進処遇令」の説明の中に「処遇内容」という言葉がありますが、こちらも「処遇」を名詞の前につける使い方です。
処遇とは【待遇との違い】
「処遇」の使い方と例文についてご紹介しましたので、次は「処遇」と「待遇」との違いについてご紹介します。「処遇」と「待遇」はどちらもビジネスシーンにおいて良く使われる言葉ですが、意味的には少し違います。
「処遇」の意味は「各人に合わせた対応の仕方」「特定の立場から評価をもって対応すること」という意味で、会社の中で上司などが部下に対して何かを決定する場合などに良く使われます。
「待遇」も似たような使い方がされますが、「処遇」と「待遇」には意味的に違いがあるため、使い方が微妙に違います。
「処遇」と「待遇」にはいったいどのような違いがあるのか、「処遇」と「待遇」の違いについてご紹介しましょう。
待遇の意味とは
「待遇」の意味は「客をもてなすこと」「職場での給与や地位など、勤めている人間に対する取扱い」という意味ですので、「処遇」にかなり近い意味を持っていると言えますが、使う場面が少し違います。
「処遇」という言葉はすでに会社の中でそれなりに勤めてきた人間に対して使われますが、「待遇」という言葉は新入社員に対して使われます。
新入社員はまだ何の働きもしていないため、何の成果も出していません。「待遇」はそういう人間に対して使われる言葉です。
求人情報の中に「待遇」という言葉を見ることはあっても「処遇」という言葉は見られないというのは、そういう違いからです。
処遇とは各人に合わせた対応の仕方を意味する
「処遇」という言葉の意味や分野ごとの「処遇」の意味、「処遇」の類語や使い方や「待遇」との違いなど、「処遇」について色々とご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。
「処遇」とは各人に合わせた対応の仕方を意味しますが、似た言葉である「待遇」とは少し違いますので、「処遇」の意味や使い方を正しく理解して、「処遇」を正しく使いましょう。