ストロークの意味とは?
ストロークという用語の意味は、スポーツの水泳では「腕で水をかく」ことで、テニスやバトミントン、卓球では「ラケットを振る」または「球を打つ」こと、ボートではオールで「水を漕ぐ」という意味です。
ゴルフでは「球を打つ」意味だけでなく「打った打数」のこともストロークと言います。車のエンジンや機械のピストン運動のことや、その動く距離や工程のことをストロークと呼びます。
ストロークとは「球を打つ」と言う意味
特にスポーツでは、テニス、ゴルフ、卓球、野球、バレーボール、バスケットボールなどボールを使う球技がたくさんあります。これらのスポーツのほとんどで「球を打つ」行動をストロークと呼びます。
テニスやゴルフ、卓球ではラケットやクラブで球を打ちます。野球ではバットで球を打ちますが、野球の場合はストロークよりスウィングの方が多く使われます。
またバレーボールやバスケットボールでは手で球を打ちます。バスケットの場合はストロークも使われますがショットの方が多いようです。このようにスポーツでストロークは「球を打つ」という意味で多く使われる用語です。
音楽用語では、ギターでカッティング演奏をする場合の弦をかき鳴らす手の動きをストロークと言います。キーボードのキーを打つ打数や、キーボードを押す時の上下幅もストロークと呼びます。
このほか心理学では「言葉や身振りで相手に働きかけること」でコミュニケーションやコーティングにも取り入れられています。このように「ストローク」の使い方は、スポーツ用語に限らず、機械や音楽、心理学など多くの分野で用いられる用語です。
つまり「ストローク」の意味とは、上下左右などに繰り返し「一定の運動や動作をすること」または「一定の運動や動作の数や工程」という意味を持った用語です。
ストロークの意味の由来
ストロークは英語の「stroke」をカタカナ表記した言葉で、英語のもともとの意味は「手や武器などで打つ/一撃」「手で優しくなでる」「鈴や鐘を鳴らす/鈴や鐘の響(ひびき)」「衝撃的な出来事」「工程(動く範囲)」などがあります。
「手や武器などで打つ/一撃」という意味が転じてスポーツ用語のストロークや、キーボードを打つストロークになっています。
また「手で優しくなでる」「鈴や鐘を鳴らす」という表現が、音楽用語のギターのストロークや、心理学の「手振り身振りで相手に働きかける」「コミュニケーションをとる」という意味に転じています。
昔は火災や洪水など危険が迫っていることを、鐘をハンマーなどで打ち鳴らし知らせました。ストロークの意味に「鈴や鐘を鳴らす」があるのは昔の慣習に由来しています。
現在でも消防車がサイレンと一緒に鐘を鳴らしてながら走るのは、その昔の慣習の名残です。「警鐘(けいしょう)」という言葉も「鐘を鳴らして危険を知らせる」という意味に由来しています。
ストロークの「衝撃的な出来事」という意味に由来して、医療用語では「突然の心臓発作や麻痺(まひ)」「脳卒中(のうそっちゅう)」という意味に使われます。
また「工程(動く範囲)」という意味から機械やエンジンのピストン運動にもストロークが使われます。このようにストロークは英語の「stroke」の意味に由来して日本語でも様々な分野で色々な意味で使われています。
ストロークの特徴
ストロークという言葉の特徴は、元となる英語に意味がたくさんあるように、日本語でも意味や使い方が多く様々な分野で使用される用語という点です。
スポーツ界、音楽界、絵画や線を描く時、機械やエンジンの分野、医療や心理学の分野、ビジネスシーンなど多くの分野で広く使用されています。辞書を引いてもたくさんの意味や使い方がずらりと出てきます。
これほど多くの分野で色々な意味を持ち、使い方も様々な用語は珍しいのではないでしょうか。このようにストロークという用語はどのような分野でも意味が柔軟に対応するところが最も大きな特徴です。
ストロークの言い換え表現
スポーツでストロークと似た意味や言い換え表現には「ショット」があります。例えばゴルフで「バンカーからボールを出すのに2ショットも打ってしまいダブルボギーになってしまった」
「今日のゴルフはショットは調子が良くフェアウェイやグリーンに乗せることができたけれど、そのあとのパターがよくなかったのでスコアが伸びなかった」のようにショットを使います。
テニスでは「クレーコートでの彼のショットの速さに、相手選手は太刀打ちできず何もしないうちににゲームを落としてしまった」
「今日の試合の彼女は、フォアハンドもバックハンドもショットの切れが素晴らしく、サーブ&ボレーなどのネットプレイのショットも面白いように決まって、ラブゲームで試合を制した」の例文のように、ストロークの代わりにショットを使うことができます。
バスケットボールでは「ゴール前のチャージングの反則で、2ショットのフリースローが相手チームに与えられた」「ゴールから離れた位置から、思い切ったショットを打って3ポイントをあげたのでゲームを逆転することができた」
「ゴールにシュートするショットには、レイアップシュートとダンクシュートがあるけれど、断然ダンクシュートの方が豪快で好きなショットです」のように使います。
またスポーツでは「スウィング」もストロークの代わりによく使われる言い換え表現です。ゴルフでは「彼女のティーショットのスウィングスピードとフォームは完璧に近い」
「スウィングフォームが悪いとコーチに指摘されて、フォームを改造しようと努力はしてみていますが、フォームを意識するあまり思うようにスウィングが振れずに苦労しています」のように使います。
野球では「バッティングで大切なのは、球を打つ時のスウィングのバランスとテンポだ」「バッティングで球を遠くに飛ばすには、スウィングスピードが必要」の例文のように使います。
スポーツ以外で一般的な場面で使用できる言い換え表現には「一撃」や「一打」がありますが、これ以外にストロークの言い換え表現が見当たりません。それはストロークそのものの意味が豊富で使い方にも幅があるので言い換える必要がないからです。
ストロークの分野別の使い方
ストロークは意味や使い方が非常に広い用語です。一番多く使われるのはスポーツの分野ですが、それ以外の分野でも様々な使い方をします。一般的にはあまり知られていない意外な使い方もあります。
それぞれの分野で具体的にはどのような使い方や意味を持っているのでしょうか。それを検証するには例文を参照するのが一番効果があります。例文は具体的な使い方の良い見本になります。それでは分野別の意味や使い方を例文を交えて紹介します。
例文①スポーツ
水泳ではクロールや背泳で腕で水をかく動作のことをストロークと言います。例文では「競泳プールには選手同士のストロークがぶつからないようにロープが張られています」「ストロークを早くして泳ぐことをピッチ泳法と言います」のような使い方をします。
ゴルフではボールを打つためクラブを振る動作のことや、ショットを打った数のことをストロークと呼びます。「今日のコンペはストロークプレーで行い、全ホールの合計スコアで勝敗を決します」のように表現します。
テニスでストロークとはラケットでボールを打つことで「グランドストロークでラリーを我慢して、これぞという時にスマッシュやボレーを決めるのがテニスの醍醐味(だいごみ)です」のような使い方をします。
卓球では「ラケットで打つ」という意味のほか「打法や打ち方」もストロークと言います。例文では「彼の打ち方は、フォアハンドストロークの場合は強い球が返せるけれど、バックハンドストロークになると少し弱くなってしまう」のように使います。
ボート競技では、オールで水面を漕ぐ1回1回の動作のことをストロークと言います。ボートでは2本のオールで漕ぎますが、カヌーでは1本のパドルで左右を漕ぎ分けます。
「カヌーで急流を下るには、パドルの扱い方や左右のストロークのバランスが大切です」「カヌー競技では、前に進むだけでなくポイントを通過するために艇を回転させることも必要になります。そのためにはパドルストロークの操作が重要です」
またカヌー競技では、パドルを使って前に進むための漕ぎ方を「フォワードストローク」と呼び「フォワードストローク」と聞けばカヌー競技だと言えるほどカヌーではポピュラーな使い方です。
このようにスポーツでストロークは、いろいろな競技や様々な場面で使用されるスポーツ用語です。またスポーツではボールを扱う球技や、水泳やボート競技のように水面を腕やオールで漕いで走る競技が多くあります。
水泳も腕で水をかいて推進力を得る競技ですが、腕で水をかく運動もある意味では水面を叩いています。ボートも同じようにオールで水面を打って推進力を得るスポーツです。
つまりストロークの元の意味が「打つ」「球を打つ」ということから、これらのスポーツで広く使われることが多いのが納得できるのではないでしょうか。
例文②音楽
音楽用語でストロークといえば、ギターやドラムスの奏法のことです。ギターではバッキングの時に、コードをおさえリズムを出すカッティングをする場合、上から下に向けて弾く場合をダウンストローク、逆に上に向けて弾く奏法をアップストロークと言います。
「彼のギター演奏はソロはもちろん素晴らしいけれど、バックに回った時のカッティングのストロークが、グループ全体のリズムを作り出しているところが特に聴きどころだ」のように表現します。
ギターのコードを弾く奏法にはアルペジオがあります。アルペジオはピッグを使わずに指で弦を弾く奏法で、ストローク奏法とは対照的でフォークシンガーなどがよく使います。
「プレーの途中でそれまでピックでストロークしていたのに、いきなりピックを口にくわえアルペジオで演奏したのには驚いた」「でもそのサウンドの柔らかさがカッティングストロークとは対照的で心地良かった」のような使い方をします。
ドラムスの場合は、スネアやタムをスティックで上から打ちおろして音を出す動作をストロークと言います。「彼のドラム演奏は、ストロークは正確で良いのだけど、強弱のアクセントが少ないので音楽表現としての魅力が物足りない」
「彼のドラミングはリズムサポートしている時にも、時折見せるインパクトのあるストロークがズシンと心に響きたまらない魅力です」
また「彼女のドラミングは、繊細なフレーズだけでなく、女性とは思えない強力なストロークから出てくる音に驚きます」のような使い方になります。
例文③心理学
心理学ではストロークは「お互いに、相手の価値や存在を認める態度や、やりとりをすること」という意味で使われます。不思議に思う方も多いと思いますが、もともと英語のストロークには「優しくなでる、さする」という意味があります。
その意味から派生して心理学では、お互いのコミュニケーションをとる意味でストロークが使われています。つまり心理学では相手の存在を認める言動のすべてをストロークと呼んでいます。
例文では「相手とのコミュニケーションを良好にするためには、こんにちはなどの挨拶や微笑みかけるような肯定的なストロークが必要です」「逆に怒ったり叱ったりする否定的なストロークは不幸せを生みます」のように心理学ではストロークを使います。
心理学には、一般的な心理学のほか「スポーツ心理学」という分野があります。「スポーツ心理学」とは、スポーツを行う時のストロークやピッチ、心肺能力や筋肉の使い方などの科学的なデータをメンタル面(精神面)から分析する学問です。
主なものに「メンタルトレーニング」「競技の実践心理」「スポーツ臨床」などがあり、選手の心理に影響するプレッシャーや、肉体的ストレスからくる精神的ストレスなどを科学的に分析する心理学です。
このように一口に心理学と言っても、コミュニケーションなどによってストロークする心理学、スポーツを科学的にストロークする「スポーツ心理学」、集団における個人の関わり方を検討する「社会心理学」など多彩にわたっています。
例文④医療
医療の現場で使われるストロークは、意外な意味で知らない人が多い専門用語です。特に心臓や血流にまつわる場合に使用されることが多いです。何故ならば心臓はピストンのように絶え間なくストローク運動をしている臓器だからです。
また英語のストロークには「突然の出来事」という意味があります。それらのことから医療では心臓発作や脳卒中のことをストロークと言います。また心拍数のこともストロークと呼びます。
例文では「患者の心臓のストロークが不安定になっているので、いち早く処置が必要です」「手術後の患者のストロークも熱も安定してきているので、あと数日で退院できると思います」のように使います。
また日本の医療ではストロークの「一撃」という意味から「熱による一撃」による熱中症のことをストロークと呼びます。
例えば「炎天下の中でジョギングをしたため、そのストロークで熱中症を引き起こしています。水分と塩分の補給と、しばらくの安静が必要です」のようにストロークを使います。
また医療で脳卒中には二つのパターンがあります。血管が破れて出血している場合は「hemorrhage stroke(出血によるストローク)」、血管が詰まっている場合は「infarction stroke(梗塞によるストローク)」があります。
「hemorrhage stroke(出血によるストローク)」の場合には命の危険があるので一早い処置が要求されます。たとえ命が助かっても後遺症のリスクは高くなります。
「infarction stroke(梗塞によるストローク)」はいわゆる脳梗塞のことです。コレステロールなどにより血管が硬化したり細くなり、脳に血流がうまく届かない症状です。それが悪化すれば血管が破裂して脳溢血につながります。
早期発見ならば回復の可能性はありますが、手遅れになると命の保証ができない病状です。つまりストロークとは医療において命の存続に関わる心臓と脳に関わる重大な意味を持っています。
例文⑤機械・エンジン
工業機械でストロークとは「工程(動く範囲)」という意味に由来して、加工機械が動く範囲を指します。例えば「製品加工がうまくいかないのは、機械がストロークオーバーしている可能性がある」などと言います。
ストロークオーバーとは機械の可動範囲が基準点をオーバーしてしまうことです。またプレス機械では、プレス機がスライドする一番上の位置から、下におりきった位置までの動く長さのことをストロークと呼びます。
車やバイクのエンジンでストロークとは、ピストンの往復という意味です。医療分野で心臓がピストンのように動くのと同じ意味合いです。言い換えるとエンジンは車やバイクの心臓部と言えます。
エンジンで2ストロークや4ストロークという言葉をよく聞きますが、ガソリンが1回爆発してピストンが2サイクルの工程で回るのが2ストロークエンジン、4サイクルで回るのが4ストロークエンジンで、どちらにも長所短所があります。
2ストロークエンジンは主にバイクに使用され、軽量で構造が簡単なので小型化ができるというメリットがありますが、爆発の回数が多くなるので音が大きく燃焼効率が悪いのが短所です。
4ストロークエンジンは自動車に使われることが多いエンジンで、4回の工程で1回の爆発をするので2ストロークよりは音が静かで、燃焼効率が良いというメリットがあります。
しかし2ストロークほどパワーが出なく構造が複雑というデメリットがあります。そのためエンジンの排気量を大きくして、馬力とトルクを大きくする必要があるので車より軽量なバイクにはあまり使われません。
また変わった使い方では「この車はストローク感があり、乗り心地が快適で素晴らしい」の例文のストロークは「サスペンションが良い」という意味でエンジンのストロークとは違う意味で使われます。
例文⑥ビジネス
ビジネスでパソコンのキボードを打つことをストロークと言います。例えば「英文60ストローク、32行でお願いします」の場合は、1行の文字数が英字半角で60文字で行数は32行でという意味です。
日本語は全角表示が基本なので、ローマ字入力する場合は、母音を除いて1文字2ストロークに相当するので、日本語50字はローマ字入力100ストロークになります。
「今回のワード入力検定では、5分間で日本字1000文字が合格ラインです」の場合はローマ字入力2000ストロークが合格ラインという意味になります。
またストロークは文字数だけでなく、キーボードを押すときの深さの度合いもストロークと呼びます。キーボードは機種によりキーのストローク(深さ)はまちまちです。浅いものもあれば深いものもあります。
ストロークが浅い機種は、打ちやすいのですがミスタッチも多くなる可能性があります。自分にあったストロークのキーボードを選ぶことをオススメします。
ストロークとショットの意味の違い
ストロークの言い換え表現に「ショット」があることは以前に紹介しました。スポーツではストロークとショットの間に意味の違いはほとんどありません。では他の分野ではどのような違いがあるのでしょう。
ストロークはスポーツ、音楽、絵画、心理学、医療、機械・エンジン、キーボードなどで使われる用語です。一方ショットはスポーツ以外では、どんな分野で使われる言葉なのでしょうか。
ショットは「撃つ・カット」という意味
テニスやゴルフなどのスポーツでは使い方に違いは全くありませんが、射撃競技でライフルなどの銃を撃つ場合には「ショット」を使います。「銃をストロークする」とは言いません。ストロークは「打つ」ショットは「撃つ」で、同じ「うつ」でも漢字が違います。
写真ではシャッターを切ってカメラに収めることをショットと言います。「2人の記念のツーショット写真」などとよく言います。また映画などのワンシーンのことをショットまたはワンカットと言います。つまり切り取る、カットするという意味です。
またウイスキーなど強い酒をストレートで一杯、という意味にもショットは使われます。そのような酒を飲ませる店をショットバーと言います。
つまりショットは「撃つ、カットする」という意味があり、射撃を除いたスポーツではストロークと同じですが、その他の使われる分野が写真や映画などストロークとは違い、使い方も意味も違う言葉です。
ストロークは「打つ」という意味
ストロークは「打つ」という意味の言葉ですが、使う分野により「打つ」という意味が多様に変化する言葉です。スポーツでは「球を打つ」「水を打つ」
音楽では「ギターやドラムを打つ」、心理学では「心を打つ・コミュニケーションをとる」のように「打つ」対象や意味が変化します。
また医療や機械エンジンでは、ストロークそのものの意味が、心臓やエンジンのピストン運動のように変化します。
このようにストロークとは、分野により意味が多彩に使い方が様々に変化する特殊な言葉です。これらの記事を参考にしてボキャフラリーの図書館を豊かにしてください。