ワナビー(wannabe)の意味とは?スラング・ヒップホップでの使い方も紹介

ワナビー(wannabe)の意味とは?スラング・ヒップホップでの使い方も紹介

ワナビー(wannabe)という言葉を不意に耳にすることがありますが、日本語になった英語の影響か「なんとなく意味はわかるけど」という曖昧なイメージの人は多いでしょう。そこで、ワナビー(wannabe)の意味について紹介します。

記事の目次

  1. 1.ワナビー(wannabe)の意味とは?
  2. 2.ワナビー(wannabe)の語源
  3. 3.ワナビー(wannabe)の特徴
  4. 4.ワナビー(wannabe)の楽曲と意味
  5. 5.ワナビー(wannabe)の使い方
  6. 6.ワナビー(wannabe)の注意点
  7. 7.ワナビー(wannabe)はこうなりたいという意味

ワナビー(wannabe)の意味とは?

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ワナビー(wannabe)には時代によってさまざまな解釈がされている言葉で、基本的な意味は「~になりたい」という意味をもっています。しかし、時代の移り変わりやヒップホップの影響によってその意味が大きく変質している言葉でもあります。

今回紹介するワナビー(wannabe)という言葉について、その語源やスランとしての意味。そしてヒップホップなどの音楽の歌詞やテーマとしてはどのような使い方をしているのかなどなど、いろいろな観点から分析したものをご紹介します。

ワナビー(wannabe)という言葉に込められた時代と共に移り変わっていく意味の変化や、語源からの歴史などなどワナビー(wannabe)の全てをごらんください。

ワナビー(wannabe)の語源

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ワナビー(wannabe)の語源はもともと、英語の「I want to be a ~」という言葉を語源としています。語源となった「want to be」を短縮したものがそもそものはじまりと言われています。実際に使われ始めたのもごく近年と言われていますが、定かではありません。

また、ワナビー(wannabe)の語源説として、want to beの「t」の音を発音しないアメリカ的な発声を揶揄したことが語源とも言われています。いずれにしても近年になって登場したスラングや造語と言われる言葉がワナビー(wannabe)なのです。

ワナビー(wannabe)の特徴

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ワナビー(wannabe)の最大の特徴はなんといっても意味が変化していることです。たとえば、楽曲の歌詞に使われている場合は、その時代の背景を知った上でワナビー(wannabe)という言葉が意図する意味を読み解かなければならない事です。

語源は「~したい」や「~になりたい」を語源として意味を形成していますが、ワナビー(wannabe)は次第にその意味を変容させていき「~になりたいと勝手に妄想している」というような意味合いをもった言葉として通用していきます。

ワナビー(wannabe)はスラング

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そのような時代によって本来の語源から意味を変容させていく言葉はスラングと言われており、日本でいう「若者言葉」に誓い意味を持っています。日本の造語と同じように、多数の新しい造語が生み出されある程度一般化した通用していく様に似ています。

Want to beを語源にもつワナビー(wannabe)というスラングは、そもそもが「なりたい」という意味から「成り上がろうとしている人」そして「分不相応な夢を見る人」へと変化していきました。

ヒップホップにおけるワナビー(wannabe)とは

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そして、ヒップホップの世界においてワナビー(wannabe)という言葉は、もっと辛辣な意味を与えられた使い方が一般化しています。それが侮蔑的な表現としてのワナビー(wannabe)へと繋がっています。

現代のヒップホップの世界で使われているワナビー(wannabe)の意味は、「無謀にも高望みしているダサイ奴」もしくは「自分を知らない愚か者」、または「口だけ野郎」といった意味のスラングとして使われています。

ワナビー(wannabe)の楽曲と意味

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ここからは実際に楽曲のテーマとして登場するスラングとしてのワナビー(wannabe)の意味や使い方についてご紹介します。キーとなる歌詞やその解説のなかで、スラングのワナビー(wannabe)という言葉の時代背景からの意味、使い方などを知りましょう。

ヒップホップの定番として馴染んでいくワナビー(wannabe)の移り変わりには曲の歌詞の内容から知っていくことがもっとも分かりやすく、また逆にヒップホップの世界観やヒップホップを作り上げているカルチャーを知る機会にもなります。

代表的な楽曲と、日本におけるワナビー(wannabe)の意味やあり方、使い方にも注目しつつ、現代のワナビー(wannabe)の意味について知見を高めましょう。

spicegirlsの「ワナビー(wannabe)」と意味

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ワナビー(wannabe)という言葉が世界的に一般的な言葉となったもっとも最初のメディア露出とも考えられている楽曲です。この段階では言葉が生まれた当初の意味である「I wanna」(私が~したい)という意味をはっきりと意味させる歌詞で登場しています。

“I'll tell you what I want really want, So tell me what you want, what you really want, I'll tell you what I want, what I really want, So tell me what you want, what you really want, I wanna,really wanna zigazig.”

自分が欲しい物についてから語りがはじまり、つづいてあなたが欲しいものについて聞くところから歌がはじまります。そうして「私は求める」と連呼したあとに「ジガジグ(造語)」をしたい、と続くラブソングとして作られました。

嵐の「wanna be...」と意味

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続いて日本の国民的なグループである「嵐」から販売されているワナビー「wanna be...」についてご紹介します。知ってらっしゃる人の方が多いとはおもいますが、この曲でのワナビーの使い方はどのような意味で扱われているのでしょうか。

2011年に販売されていますので、意味合いとしてはまだ「~したい」という言葉に寄った意味の歌詞になっており、ワナビーという言葉を出す形ではなく、恋愛対象にたいして心を寄せる気持ちをワナビーとして表現している歌詞になっています。

「いつか本当の君を、暴きたい抱き寄せたい、この壊れそうな心」というように、自らに押し寄せる情欲を恋愛対象の「罪」として歌い、相手に贖ってもらうことをワナビーというタイトルで表現しています。

FEMMの「Wannabe」と意味

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続いては2014年にリリースされたテクノポップサウンドのFEMMの「Wannabe」ですが、こちらも日本から発信されているユニットの楽曲です。正式名称は「Far East Mention Mannequins」となっています。

歌詞の内容は、情熱的な横恋慕を歌い上げた歌詞になっています。基本的にスラングとしてのワナビーはこうした楽曲には大きく影響を及ぼしていないことが分かります。さらに時系列を近年へと写した場合はどのようになるのでしょうか。

The Floorの「ワナビー(wannabe)」と意味

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日本のバンドサウンドとして2019年の11月12日よりリリース&配信されている楽曲です。日本の一般的な音楽的な解釈でのワナビー(wannabe)について知ることができます。歌詞の内容はいたってシンプルで、夢への歌としての使い方でワナビー(wannabe)が用いられています。

「ワナビー ワナビー 誰もかれもその手高く高く、苦しい悲しいは当たり前さ、強く望むなら」という歌詞からも分かるように、現代日本における一般的なワナビー(wannabe)の解釈はスラングとしての影響をほぼ受けていないことがわかります。

Dr.deの「Russ」と意味

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2014年にリリースされた伝説的プロデューサーのドクタードレの楽曲で、ワナビーが歌詞に登場しています。ヒップホップ界のカリスマが描くワナビーにはどのような意味が込められているのでしょうか?Russという曲の歌詞をすこし覗いて見ましょう。

”Mutha' fukkas' wanna' be me”前後の歌詞のなかでは、「貧困の世界から一躍リッチになった主人公をうらやむマザファッカたち」というニュアンスのなかでワナビーという言葉を使っています。

この時点ですでに、「くそったれな」存在がとる行動として「ワナビー(wannabe)」という表現を用いている時点で不相応な行動や失敗者たちがとる愚かな行動としてのイメージが確立していることが伺えます。

KOWICHIの「Wannabe」と意味

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つづいてこちらは日本のヒップホップアーティストKOWICHIの描く「ワナビー(wannabe)」です。この楽曲は2019年の10月に公開された楽曲で、最近の日本おけるワナビー(wannabe)の解釈を理解できる使い方になっています。

「同じ服 同じ髪 真似しても違う 同じ曲 同じ歌詞 何しても違う 同じでも違う」と、繰り返しサビで伝えている。また「喋り方とか見た目、出来るもの真似。無理をしてもバレバレ、それじゃなれない幸せ」と表現しているように、背伸びした姿を揶揄した意味の表現になっています。

現代日本でのワナビー(wannabe)の意味として、この歌詞を見る限りでは欧米の表現よりはかなり柔らかい意味で捉えられていることが伺えます。思春期の少年少女が背伸びして目指す高みに近づこうと無理をしているような様子を「ワナビー(wannabe)だ」として歌っています。

ワナビー(wannabe)の使い方

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何かになりたいと願う人々という意味が語源となっているワナビー(wannabe)ですが、ヒップホップでの使い方では「なりたがっている人」という意味や「背伸びして願う人」などの意味、そして今の自分以外の何物かになりたいと願う人も意味した言葉です。

昨今の英語のスラングとしての表現として一般化している意味は、英和辞典などに書かれている「志望者」というような意味とはまるで違っている事が分かります。となれば、英文を起こす場合でも使い方には十分に注意したいところです。

実際に、ネガティブな意味の使い方としてワナビー(wannabe)を用いている近年の解釈で綴る例文で、ワナビー(wannabe)の使い方についてご紹介します。

例文①

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”You are just a rock star wannabe.”(ユー アー ジャスト ア ロック スター ワナビー)意味は、「君はロックスターに夢想してなりきったつもりになっているだけさ。ロックスターなんかになれっこないよ」といった使い方がスラング的な例となります。

例文②

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”I am just a wannabe pianist I suppose.(アイ アム ジャスト ア ワナビー ピアニスト アイ サポーズ)”意味は「私はただたんにピアニストになれたらいいなとおもってるだけのだせえヤツだよ」という意味です。使い方としては事故を卑下した様子を表しています。

本当は本気でピアニストを目指したいけれど、自分のピアニストとしての才能、環境などのさまざまな理由から「俺なんてなれっこないよ」という卑屈な自分を表したニュアンスをあらわした例文です。

例文③

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“Its not a theme bar, an old dirty boozer nor an expensive ' wannabe ' wine bar.”(イッツノット ア テーマ バー、アン オールド ダーティ ブーザー ノア アン イクスペンシブ ワナビー ワイン バー)。

意味は「テーマバーでもないし、古くて汚い酒場でもない、ただの高価なワインバーのなりそこないさ」といった意味になります。こちらも自己卑下を多分に含んだ言い回しの例文です。

例文④

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”Ingrid, his assistant by day, ignored him and was soon hanging on his arm, accompanied by a few more fawning wannabe vampires.

(イングリッド、ヒズ アシスタント バイ デイ、イグノアド ヒム アンド ワズ スーン ハンギング オン ヒズ アーム、アコンペインド バイ ア フュー モア ファウニング ワナビー バンパイア)”

「彼のアシスタントであるイングリッドは彼を無視し、すぐに彼の腕にしがみつき、吸血鬼の如き何人かのペテン師を連れていた。」という意味です。生者に群がるミイラのようだ、と揶揄したスラング的な表現の例文です。

ワナビー(wannabe)の注意点

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ウォントトゥービーを語源としているにもかかわらず、こんなにも意味が変容してしまっているワナビー(wannabe)という言葉ですが、日本においてはまだそこまでの悪感情が込められた言葉ではない点が問題で、注意すべき事と言えます。

ワナビー(wannabe)は侮蔑表現

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英語圏でも、とくにネイティブなアメリカ系の英語圏ではワナビー(wannabe)という言葉は完全に相手を蔑視した侮蔑表現として捉えられます。自分に対して使う場合は自己卑下として捉えられ、これまたアメリカでは良い印象を持たれません。

ワナビーをわざわざ使うくらいなら、最初からウォントトゥービーで伝えたい事を表現しておいた方が無難と言えます。

ワナビー(wannabe)はこうなりたいという意味

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ワナビー(wannabe)という言葉は、もともとは「〜したい」という意味でしたが、時代とともに「なれもしない何かに本気でなろうとしている愚か者」もしくは「大者ぶっている小者」などの非常に悪意をはらんだ意味を持った言葉へと変化しています。

あまり多用する言葉ではありません。知らず識らずに使って相手を怒らせてしまうような事が無いように、十分に注意したうえで使うようにしましょう。

五所川原銭男
ライター

五所川原銭男

ガジェット系を好む。雑食。暴食。時折暴走する。知る人ぞ知る某国産プロジェクトの中の人。

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