「バモス」の意味とは?
スペイン本国や南アメリカに多いスペイン・ポルトガル語圏の人々は、スポーツ観戦など何かを応援する際に「バモス」(Vamos)という言葉をよく使います。「バモス」という言葉の意味、は英語で言う「Come on」や「Let's go」などと、ほぼ同じ意味を持ちます。
近年、スポーツの分野に於いてのスペイン・ポルトガル語圏の選手たちの活躍が目立ちます。特にサッカー選手のクリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)やリオネル・メッシ(アルゼンチン)は、SNSの普及などもあり、今やサッカーファンでなくても知っている人が多い選手だと言えるでしょう。
バモスのスペイン語のスペルは「Vamos」です。発音も基本的には「バモス」と言えばまず通じますが、スペイン南部のアンダルシア地方では、意味は同じですが「バモッ」とだけ発音して、最後の「ス」を省略することが一般的です。
日本語で「バモス」の意味は?
「バモス」の意味を敢えて日本語で表現するとしたら「ガンバレ!」や「やった!」または「もっといけ!」のような意味になります。このようにバモスは特にスポーツの分野でファンが選手を応援する際に使ったり、またスポーツ選手が自分自身を鼓舞する意味を持つスペイン語の表現です。
因みに「バモス」はポルトガル語でも同じ意味で使われます。今回は、日本ではまだあまり馴染みのない「バモス」というスペイン語の意味や由来、また正しい使い方などの解説をします。
「バモス」の由来
「バモス」(Vamos)の由来は、スペイン語とポルトガル語から由来しています。スペイン語は第一公用語として、スペイン、及びブラジルを除いた殆どの南アメリカの国で採用されています。またポルトガル語も同様に、ポルトガル以外にブラジルや一部のアフリカ大陸の国の公用語になっています。
その為、スペイン語とポルトガル語を母国語として使っている人口は全世界で約6億5500万人千にも上ぼります。これは、ヒンドゥー語を母国語としている6億5000万人よりも多く、世界で3番目に多く使われている言語です。
その為、スペイン語で頻繁に使われる言葉は、ヒスパニック系の移民によって全世界に拡散され、「バモス」や「アミーゴ」(友達)また「アディオス」(さよなら)などのスペイン語の意味は、世界中どこの国でも比較的意味が通じる言葉になってきていると言えるでしょう。
「バモス」の特徴
「バモス」というスペイン語の表現は、スポーツ観戦以外にも日常のあらゆる場面で使われます。先述の通り「バモス」の意味は英語で言う「come on」の意味がある為、特に感情的なシーンで良く使われます。これは、情熱的で、喜怒哀楽が激しいラテン系民族の特徴だと言えるでしょう。
「バモス」の文法上での特徴
「バモス」は基本的に何かを喚起させたりする意味や、何かに熱狂している時に使われることが多い言葉である為、仮に意味が違ったとしても、殆どのケースに於いて「バモス」の後には感嘆符が付き「vamos!」のような表記になります。これは英語の「come on!」でも同様です。
スペイン語で感嘆符を表記する場合「¡Vamos!」のように前にも感嘆符が逆さまになっているような記号を付けます。これは疑問符も同様で、スペイン語で「元気ですか?」を表す「ケタ―ル?」という文章も、正式なスペイン語表記では「¿Qué tal?」となります。
「バモス」は英語圏でスラング的意味をもつ
先述の通り「バモス」は、英語で「come on」や「Let's go」とほぼ意味が同じです。その為、英語圏では「come on」や「Let's go」などをスラング的に、敢えて「バモス」と表現するこがあります。また「バモス」以外のスペイン語を敢えてスラング的な意味合いで使うケースも良く見られます。
親しい間柄で使われる「バモス」の意味
その他にもスペイン語の「adios」(さようなら)や「amigo」(友達)などが、特に若者の間で良く使う光景が見られます。例えば「He is my friend」(彼は私の友達です。)という会話を「He is my "amigo"」または、友人との別れ際に「adios!」(またな!)というような使い方をします。
このように「バモス」というスペイン語はスペイン人だけではなく、イギリスやアメリカなどの英語圏でもスラング的な意味合いで使われます。これも、やはりイギリスやアメリカにヒスパニック系の移民が多く住んでいるという背景があります。
時には政治的意味を持つスペイン語
一時期アメリカのトランプ大統領がヒスパニック系の移民が多いアメリカの地域での演説で、英語の「perfect」(完璧な)をスペイン語の「perfecto」と言い換えたり、「silence」(沈黙)をスペイン語の「silencio」などに言い換えて発言するなどの時期があり、非常に話題になりました。
勿論、これらの英語をスペイン語に言い換えても意味は変わらないので、どのような意味で使ったのかは明らかになりませんでしたが、ヒスパニック系からの票集めを目的として、意図的な意味でやっていたと考えている人は少なくないと言えるでしょう。
「バモス」の使い方
次に「バモス」の使い方について説明します。意味は英語の「come on」や「Let's go」と同じ意味を持つ為、親しい友人間で「さあ、行こうぜ!」のことを「Vamos!」と表現したり、応援しているサッカーのチームを「がんばれ!」という意味で「Vamos!」と表現することがあります。
但し、日本で「バモス」という言葉の意味は、スポーツの分野に於いて、特に一部の熱心なサッカーファンなどが知っている程度で、日本での「バモス」の認知度は、それほど高くない言葉だと言えるでしょう。
従って、日常生活で「バモス」と言っても意味が伝わらない可能性が高い為、日本で「バモス」を頻繁に使うのは避けた方が無難だと言えるでしょう。
日本では、お店の名前に「バモス」が使われていたり、サッカーの応援歌の中や曲名に「バモス」が取り入れられていることは、しばしばあります。また、サッカーの練習中に怠けているような選手がいた場合、監督が「バモス!バモス!」とその選手を叱咤する意味で使うケースが稀にあります。
例文①
「バモス」は色々な意味を持つスペイン語の為、「バモス」が示す意味や使い方は状況などによって異なります。一般的にスポーツ観戦などの際の応援の掛け声として「バモス」が良く使われると思われがちですが、実際は日常の様々なシーンで頻繁に使われる表現です。
ここでは「バモス」というスペイン語を日常生活の際に使う場合と、何かを応援する際に使う場合のシーン別に「バモス」の使い方や意味の違いなどを説明します。
スペイン語圏の日常会話の中で「バモス」という表現は頻繁に使われます。例えば家族で何処かに出かける際に、父親がのんびりとなかなか外出の準備をしなかったりする場合「Vamos papa!」(お父さん早くして!)のような意味のニュアンスで使うケースは良く目にします。
また他の例として、子供がなかなか宿題を終わらせないケースなどで、叱る意味を込めて「Vamos!Finish your homework.」(さっさと宿題を終わらせなさい)などの例文も考えられます。
例文②
例えば、自分の子供が普段は明るく元気なのに、突然落ち込んだりした場合「Vamos Rosana!」(ロザンナ、もっと元気を出して!)などの励ましの意味で「バモス」を使うケースもあります。このようなケースでの「バモス」の意味は、英語での「come on」とほぼ同じ意味になります。
あるいは、友達同士で食事に行く際に「Let's go」の意味合いで「Vamos, to the restaurant!」(レストランに行こうよ!)のような例文も考えられます。
例文③
スペイン人は何かミスを犯した場合、意味もなく自分の名前を言う癖があります。例えばアントニオという名前のスペイン人が、仕事で何かしらのミスをした場合「Vamos Antonio!」(何やってんだ?アントニオ!)のように、自らに怒り、奮い立たせるような意味で「バモス」を使う例もあります。
例文④
日本人にとって最も馴染みのある「バモス」の使い方は、やはりスポーツ観戦の際に、応援の意味合いで使う「バモス」だと言えるでしょう。近年、特にサッカーに関してはスペイン語・ポルトガル語圏の多くの選手が非常に優秀な成績を残しており、日本にも熱狂的なファンが多くいます。
サッカーで贔屓のチームを応援する際に「バモス!バルサ!」のように叫んだり、選手も得点を獲得したり、良いパフォーマンスが出来た時に「バモス!」と叫び自らを鼓舞するような姿も頻繁に見られます。これらのケースでは「バモス」の意味は英語での「come on!」とほぼ同じ意味になります。
「バモス」は英語の「come on」「Let's go」という意味
「バモス」という言葉で何かを表現するという習慣はまだ日本にはありませんが、現在のヨーロッパでのサッカーやJリーグの異常なまでの盛り上がり方を見ていると、近い将来更に認知度の高い言葉になる可能性もある為「バモス」という言葉の意味を知っておいて損はないと言えるでしょう。