快諾の意味とは?
快諾の本来の意味は、「依頼や頼まれ事などを気持ちよく引き受ける」ということです。快諾とはつまり、「快く承諾する」ということで、承諾にはない、「二つ返事で引き受ける」という意味が含まれています。
主にビジネスシーンで用いられるボキャブラリーであり、「プロジェクトの御依頼を快諾させていただきます」などの使い方がメインになります。
また、取引先への依頼が承諾された場合には、「この度は弊社の依頼を御快諾いただきましてありがとうございます」などの使い方がよく見られ、御快諾いただく、という敬語表現として使われることがほとんどです。
また、諾はひと文字で「相手の要望や申し入れを受け入れる」という意味があり、唯々諾々という四字熟語があるように、吟味せずに受け流すという意味も込められています。
快諾の由来
快諾は、前の漢字が後ろの漢字を修飾するかたちで成り立っている言葉です。諾はもともと「取っ手のついた刃物と受け口」を組み合わせた漢字であり、古代の神事にその起源があります。
諾は本来、「神のお告げを伝達しようと髪を振り乱し、儀式を行う巫女」の姿をかたどった象形文字であり、上からの指示や言いつけを受けとめる、という意味があります。
一方、快には「すっきりとしている」という意味があり、明快、快晴、快活などのように、すっきりしていて気持ちの良い様子を表す漢字として定着しています。
このことから、快諾は「相手からの要望や依頼を快く受け入れる」という意味の言葉だと解釈することができます。
快諾の類語と意味
聞きなれない言葉の意味について理解するためには、類語についておさえておくのがいちばんです。ビジネスシーンで使われることが多い快諾の類語にはどのようなものがあるのでしょうか。また、それぞれの類語にはどのような使い方があるのでしょうか。
類語①承諾
快諾と意味がよく似ている言葉に、承諾があります。承諾もまた「相手の申し出を受け入れる」という意味のある言葉ですが、正確な意味は若干異なっています。
快諾が「快く引き受ける」という意味を持っているのに対し、承諾のほうはただ単に依頼や要望に同意する、という意味が強まっています。
ビジネスシーンでは快諾よりも承諾のほうが用いられる傾向が強く、意味も快諾よりカジュアルなため日常でも比較的使いやすい、という違いがあります。
類語②了承
了承は本来、「相手の申し出や要望を承る」という意味で、どちらかというと相手から申し出を受け入れてもらえた際に使う機会が多いようです。
快諾との違いはやはり同意の度合いであり、「しぶしぶ了承する」という表現が意味としても成立するように、必ずしも二つ返事で、諸手を挙げて、という状況である必要はありません。
契約事項を了承する、条約の変更を了承する、などのように、了承も快諾と同じくビジネスシーンにおいて使われることが多い言葉です。
類語③同意
快諾ほど強い意味はありませんが、同意も承諾と同じく、相手の申し出を受け入れる、という意味のある言葉です。また、同意は契約のほか、意見やコメントに賛同する、という意味もあり、使い方は快諾より幅広いと言えます。
同意は意味的にも堅苦しさがないため、ビジネスシーンだけでなく日常の場面でも気軽に使うことができる、という点でも快諾との違いがあると言えます。
ちなみに、最近の若者言葉では、たとえば、「あなたの気持ちはよくわかりますよ」という意味で単にひと言「同意」と使うことがあるようで、意味はまだまだ広がりそうです。
類語④了解
快諾よりも意味的に軽く、了承や同意よりもさらにカジュアルな意味として使える表現に、了解があります。了解は英語で言えば「Yes,Sir」ということで、一方的に与えられた依頼や指示、申し出などを無条件に受け入れる、という意味になります。
了解はビジネスシーンでも使われるかしこまった表現でもありますし、また、LINEなどで「りょ」と略して使われているように、よりフランクで使いやすい表現として広がりつつあるようです。最近では「りょ」さえも古くなり、今では「り」だけで意味が通じる時代になっています。
了解は意味が広く、便利な言葉ですが、目上の人に対してむやみに使うとかえって失礼にあたる可能性もありますので、ビジネスシーンでは了解ではなく了承、あるいは快諾を使ったほうが無難でしょう。
英語でも同じ意味の単語はある?
英語でも、快諾と同じ意味の単語をいくつか挙げることができます。快諾と意味が近い英語表現としては、agreementがあります。agreementはagreeの名詞形で、英語圏ではビジネスシーンで使われることの多い表現です。
また、意味的にカジュアルで、日常的に使われる表現としては「sure」があり、こちらは日本語で言うと「いいよ」、「わかったわ」というニュアンスになります。sureはビジネスシーンでも頻繁に使われる表現で意味も幅広いため、社会人として覚えておくとビジネスの場で一目置かれます。
このほか、スラングも含めて快諾と同じ意味の英語表現はたくさんありますので、普段から辞書を引いたり、海外の映画を意識的に観賞したりして英語でのボキャブラリーをさらに広げましょう。
快諾の対義語と意味
ここまでは快諾の類語とその意味、使い方について見てきましたが、ここからは快諾の対義語を詳しく掘り下げることで、意味や使い方、例文について幅を広げましょう。日常からビジネスまで使うことができる言葉ですので、社会人としての教養を深めるためにもぜひとも参考になさってください。
対義語①固辞
「相手の依頼や申し出をすんなりと引き受ける」のが快諾の意味なら、対義語は固辞ということになります。固辞には「固く辞退する」という意味があり、依頼や申し出を絶対に引き受けませんよ、というニュアンスをもたせることができます。
固辞のよくある使い方としては、「異動の打診を固辞する」、「昇進の話を固持する」、「条件が折り合わなかったため、今回の提携は固辞をした」などがあり、ビジネス用語としてはやや事務的で形式ばった意味合いが込められています。
固辞はどちらかというと「役職が上の人が依頼や申し出を断る」という意味があり、しかるべき立場にない若手社員がうかつに「申し出を固持します」などと使うと非礼な印象を与えかねませんので、TPOに合わせた使い方を心がけましょう。
対義語②辞退
固辞よりやわらかいニュアンスのある対義語表現としては、辞退があります。意味は共通していますが、辞退のほうは立場が下の人でも使える表現であり、「不満があるために依頼や申し出を引き受けない」というニュアンスはありません。
また、辞退のほうは役職や転勤などの事柄に対しても使える言葉であり、その意味でもカジュアルな表現であると言えるかもしれません。イベントへの参加を辞退するとは言えますが、参加を固辞するとは言えないことから、使い方がやや広い言葉として解釈することができます。
さらに、固辞との意味的な違いとしては、対象の違いがあります。「昇進を辞退してください」は表現として成立していますが、「昇進を固辞してください」のほうは対義語表現として成立しておらず、このことからも辞退のほうが意味が幅広い表現であるととらえることができます。
快諾の使い方
類語や対義語表現を挙げ、意味や使い方についておさえたところで、ここからは例文を通して快諾の使い方について具体的に見ていきましょう。日常の何気ない場面でも気軽に使える例文をいくつか御紹介しますので、皆さんもこの機会にすぐに使える例文をストックしておきましょう。
例文①
「B社に業務提携を快諾してもらえたおかげで、当面の危機から脱することができた」。快諾はビジネスシーンにおいて使われることの多い表現です。承諾される可能性の低い契約などが受け入れられた際に用いられ、ビジネスにおいては大きなターニングポイントになりかねません。
例文②
「多忙な私が君のところの原稿依頼を快諾したのは、編集者としての熱意に胸をうたれたからだ」。ドラマや映画の中でしか見ることができない例文かもしれません。この例文のように、快諾は本来、上の立場にある人が目下の人に対して使うのが意味的にも理にかなっています。
例文③
「学園祭への出演オファーを人気芸人Bに快諾してもらえるかどうかは、僕のプレゼンテーションの腕にかかっているらしい」。快諾の使い方のひとつとして、依頼の行く末について委ねる、というパターンがあります。重要度が高いほど、快諾された場合の意味も大きくなります。
例文④
「本日中に融資を御快諾いただかなければ、何百人という従業員が路頭に迷うことになるんです」。切羽詰まった例文です。快諾はもともとこの例文のように、「御快諾いただく」という敬語表現の形で用いられるパターンが通例になっています。
なお、御快諾いただく、という表現については二重敬語ではないかという指摘もありますが、今では「御快諾いただく」そのものでワンセットの敬語表現としてとらえられているため、快諾の誤用とは見なされないケースが多くなっています。
快諾は「依頼や申し出を快く引き受ける」という意味
快諾は「相手から頼まれたことをすんなりと引き受ける」という意味があり、ビジネスから日常の場面まで自然に使える意味の広い言葉でもあり、立場が上の人が目下の相手に対して使うこともできます。快諾の類語や対義語をストックし、使いこなせるようにしておきましょう。