傷病手当金計算方法
公的医療保険の保障のひとつである「傷病手当金」は、仕事上の業務や通勤以外でのケガや病気によって働くことができなくなると支給される手当金です。
病気やケガで出勤ができない場合には給与が支給されることはありませんが、その間にも生活費はかかりますし、別途医療費も必要になります。このようなときの生活保障としていつもよりも少ない金額にはなりますが、補償として受け取ることができるのが傷病手当金です。
傷病手当金を活用する際に気になるのが、その計算方法や実際に受け取ることができる金額です。また、長期療養が必要な病気やケガだった場合は、いつまで受給することができるのかといった受給期間の上限も事前に知っておくと安心です。
標準報酬月額から計算
計算方法は「支給開始日より過去12ヶ月分の各月の標準報酬月額の平均額を30日で割った額」の3分の2です。手取り月給の3分の2程度と言えますが、ここで気になるのが「標準報酬月額」です。これは、手取り月給ではなく社会保険料の計算に使われる基準金額です。
標準報酬月額は毎年1回計算されます。その計算には4月~6月の給与が使われ、この3か月間の平均給与額で決まる等級によって、その年の9月~翌年8月までの標準報酬月額が決定します。例えば、2019年9月~2020年8月までの標準報酬月額は2019年4月~6月までの平均給与額で計算します。
例えば、2019年2月から傷病手当金が支給された場合、2018年3月~2019年2月の標準報酬月額が活用されます。2018年3月~8月は「2017年4月~6月の標準報酬月額」を、2018年9月~2019年2月は「2018年4月~6月の標準報酬月額」を参考に計算されます。
日額で貰える金額は給与の6割から7割
傷病手当金の日額支給額の計算方法には「支給開始日より過去12ヶ月分の各月の標準報酬月額の平均額」が活用されます。これを30日分で割り3分の2をかけることで、傷病手当金の1日当たりの支給額を計算します。つまり、手取り月給の3分の2(6割~7割程度)が傷病手当金の日額支給金額と言えます。
そこで今回は「そもそも傷病手当金とはどのような制度なのか」を見ながら、傷病手当金の実際の計算方法はもちろん、手取り額や税金、「いつまで受給できるのか」といった受給可能な上限期間、実際の受給にあたってのメリット・デメリットを解説していきます!
傷病手当金とは?受給要件を確認!
そもそも傷病手当金とは、どのような制度でしょうか?労働者災害補償保険(労災)の休業給付や雇用保険の傷病手当など名前の似ている制度とつい混同してしまいがちですが、「いつ受給できるのか」という条件などが異なります。
傷病手当金は、会社員が加入している健康保険や個人事業主や年金受給者が加入している国民保険によって支払われています。公的医療保険の被保険者が、業務によらないケガや病気で仕事に従事できない場合に、療養中の生活保障として支給されます。
傷病手当金は、業務以外の原因によるケガや病気によって療養中であり、仕事に従事できず、休業期間が3日間を超える場合に支給されます。休業期間には公休日や祝日、有給などが含まれていても対象となりますが、連続した3日間である必要があります。健康保険は要件を満たすと必ず支給されますが、国民健康保険では任意給付である点に注意が必要です。
休業給付や傷病手当とは?傷病手当金との違いは?
非常に似た名前の制度に、労災の「休業給付」や雇用保険の「傷病手当」があります。傷病手当金は「業務以外の原因によるケガや病気」が対象でしたが、労災の休業給付は「業務もしくは通勤中のケガや病気」が対象となります。
傷病手当は雇用保険の補償です。そのため、雇用保険の対象となる「労働者」が退職した後に、求職中かつケガや病気によって働くことができない状態が15日以上続くことで支給されます。ここでの求職中とは、公共職業安定所(ハローワーク)に求職の申込みをすることを指します。傷病手当は、傷病手当金や休業給付を受け取っている場合には受給できません。
このように、制度によって対象者やいつ受給できるのかといった条件が異なります。また、個人事業主は国民健康保険の傷病手当金のみで、これも条例等による任意給付である点に注意が必要です。
傷病手当金の申請方法
このように、会社員であれば誰でも受給できる傷病手当金ですが、これは自ら申請しなければ受け取ることができません。そこで「いつ、どのように申請すればよいのか」という傷病手当金の申請方法について見ていきます。
傷病手当金の申請方法は、申請書と必要書類の提出です。申請書に必要事項を記入し、必要書類と一緒に提出することで「支給・不支給」の審査がなされます。無事に支給が決定すると、指定している銀行口座に傷病手当金が振り込まれることになります。
なお申請書に記入する内容として「医師などの療養担当者の意見書」と「事業主の証明」が必要になります。これは、実際に療養中に働くことができない状態だったことと、実際の休業期間とその期間の給与支払いがなかったことを証明するためのものです。作成に時間がかかることもあるので、事前に相談をしていつまでに作成してもらえるかを確認しましょう。
計算方法【12ヶ月の標準報酬月額がある場合】
傷病手当金は、「支給開始日より前の過去12ヶ月分の各月の標準報酬月額の平均額」を30日で割り、さらにそれに3分の2をかけることで計算することができました。ここでは、より具体的な計算方法を解説していきます。
まずは、勤続年数が1年以上で12ヶ月分の標準報酬月額がある場合について見ていきましょう。いつから傷病手当が支給されるかによって、必要となる標準報酬月額が異なる点に注意が必要です。
①過去12ヶ月の各月の標準報酬月額を調べる
傷病手当金を計算するにはまず、過去12ヶ月分の標準報酬月額を調べる必要があります。この際注意しなければならいのが、傷病手当金の支給開始日です。傷病手当金の支給開始が8月以外の場合は、その年の標準報酬月額と、前年度の標準報酬月額が必要になります。
例えば、2018年8月から傷病手当金が支給開始となったAさんは、2017年9月~2018年8月の標準報酬月額が必要となります。9月~翌年8月までは同じ標準報酬月額となるため、ここでは、2017年4月~6月までの標準報酬月額を参考に計算することになります。
Aさんの標準報酬月額を調べていきます。2017年4月~6月の給与がそれぞれ、25万円、26万円、30万円だったとすると、3か月間の平均給与額は25万円+26万円+30万円=81万円÷3=27万円となります。3か月間の平均給与が27万円の場合の標準報酬月額は28万円となります。
前年度の標準報酬月額が必要な場合に注意!
しかし、例えば2018年10月から傷病手当金が支給開始になったBさんの場合は、2017年11月~2018年10月の標準報酬月額が必要になります。この場合、2017年11月~2018年8月は2017年4月~6月の標準報酬月額を、2018年9月~10月は2018年4月~6月の標準報酬月額を参考に計算しなければなりません。
まず、2017年4月~6月の給与がそれぞれ、25万円、26万円、30万円の場合の標準報酬月額は、28万円でした。2017年11月~8月はこの標準報酬月額を参考に計算します。
さらに、2018年9月~10月の標準報酬月額を求めます。2018年4月~6月の給与がそれぞれ29万円、30万円、32万円だった場合、3か月の平均給与額は29万円+30万円+32万円=91万円÷3=30.3万円です。この時の標準報酬月額は30万円となります。つまりBさんは、28万円と30万円の両方の標準報酬月額によって傷病手当金を計算することになります。
②標準報酬月額から傷病手当金の金額計算
このようにいつから支給が開始されるかによって、必要になる標準報酬月額が変わります。それぞれ必要な標準報酬月額がわかったら、先ほどの計算式に当てはめて、傷病手当金の支給金額を計算することができます。
Aさんの場合、2017年9月~2018年8月の標準報酬月額によって手当金額が決定します。Aさんのこの期間の標準報酬月額は28万円でした。つまり、1日当たりの支給金額は(28万円×12ヶ月)÷12ヶ月÷30日×3分の2=約6100円となります。
一方のBさんは、2つの標準報酬月額によって手当金額を計算します。Bさんの標準報酬月額は、2017年11月~2018年8月が28万円、2018年9月~10月が30万円でした。つまり、1日当たりの支給額は(28万円×10ヶ月分+30万円×2ヶ月分)÷12ヶ月÷30日×3分の2=約6200円となります。
計算方法【12ヶ月の標準報酬月額がない場合】
では、まだ入社して1年が経過しておらず、標準報酬月額が12ヶ月分ない場合はどのように計算するのでしょうか。
もちろん入社してまだ日が経ってないうちにケガや病気で長期間休むことは避けたいものですが、インフルエンザなどといった季節柄大流行する病気など、予防していても病気にかかってしまうこともあります。インフルエンザといった身近な病気で長期間(3日以上)の欠勤を余儀なくされる場合にも、傷病手当金は受給することができます。
いずれか少ない方の金額を計算に使用
傷病手当金は、支給開始月より過去1年間の標準報酬月額によって金額が計算されます。しかし、入社して1年が経過していなければ、過去1年間の標準報酬月額を算出することはできません。
そこで、入社して1年に満たず12ヶ月分の標準報酬月額がない場合は、「勤続開始から受給開始前月までの標準報酬月額の平均額」か「28万円」のいずれか少ない方の金額を適用して1日当たりの傷病手当金を計算することになります。
①各月の標準報酬月額の平均額
例えば、2018年2月から新しい勤め先での就業が始まったCさんが、2018年9月から傷病手当金の支給開始となった場合で考えていきましょう。この場合のCさんは、勤続開始からまだ8ヶ月しか経過していません。そのため、傷病手当金の支給金額を計算するにはまず、2018年2月~8月までの標準報酬月額の平均額を求める必要があります。
ただし、Cさんの加入している健康保険組合について、2017年4月~2018年1月まで加入していたものと2018年2月から加入しているものが同一の場合は、標準報酬月額は12ヶ月分存在するとみなされる場合があることに注意が必要です。
②28万円
上記のCさんの標準報酬月額の平均額を求めていきます。2018年2月~8月までのCさんの給与について、2月~5月までが25万円、6月~8月までを27万円と仮定します。すると、(25万円×4ヶ月分)+(27万円×3か月分)÷7ヶ月分=約25.8万円が標準報酬月額の平均金額となります。
この場合のCさんの標準報酬月額は28万円よりも低い金額となっています。そのため、こちらの金額を参考に傷病手当金の計算をすることになります。
なお、28万円という金額は、傷病手当金の最初の支給日の前年度9月20日における全被保険者の標準報酬月額の平均値を意味します。
傷病手当金の金額計算例
では、上記のCさんを例にとって、実際の傷病手当金の金額を計算していきます。まず、Cさんの標準報酬月額の平均金額が25.8万円の場合、25.8万円÷30日×3分の2=約5600円が1日当たりに支給される傷病手当金の金額となります。
もし標準報酬月額の平均金額が28万円よりも高かった場合は、標準報酬月額を28万円として計算します。この場合、28万円÷30日×3分の2=約6100円が1日当たりの傷病手当金額となります。
傷病手当金の計算には賞与や残業代等も含める
傷病手当金の金額を求めるには、実際に支払われた給与を基に計算されることがわかりました。ここで気になるのが、傷病手当金の金額計算で使われる「給与」は、基本給だけなのか、と言うことではないでしょうか。
もちろん、金額計算に反映される給与額が高くなればなるほど、支給される傷病手当金も高くなります。働くことができない期間の生活保障である傷病手当金は、できるだけ多く受け取りたいものです。
そこでここでは、傷病手当金の計算に含まれる給与範囲とその上限について解説していきます。
収入が多ければ受給金額が大きくなる
傷病手当金の金額計算で使われる給与には、基本給以外にも「年4回以上支給される賞与(ボーナス)」や「残業代」「通勤手当としての交通費」といった様々な手当てが含まれます。これらの総和と「給与」として傷病手当金の支給額が算出されます。
年4回のボーナス(賞与)が支給されるケースはあまり多くないかもしれません。一般的には「夏のボーナス」「冬のボーナス」という年2回の賞与支給を規定している会社が多いでしょう。しかし、インセンティブ等の賞与に関しても標準報酬月額の計算対象となります。
傷病手当金には貰える金額の上限は無い
このように、基本給だけでなく残業代や各種手当てについても標準報酬月額の計算対象となりますが、稼いでいる人ほど気になるのが「傷病手当金の支給金額の上限はいくらなのか」ということでしょう。
実は、傷病手当金の支給金額には上限がありません。つまり、自分の稼いだ給与に見合った金額が支給されることになります。ただし、有給休暇を使っている日に関しては、傷病手当金の支給対象外となることに注意が必要です。
傷病手当金・手取りや税金の計算方法
ここまで傷病手当金の支給金額の計算方法について見てきました。簡単に言えば、それまで受け取っていた給与の3分の2程度が支給されることになり、いつも受け取っている手取り給与額よりも低くなります。そこで気になるのが「税金」です。
一般的な手取り月給は、額面給与から所得税や住民税、年金や健康保険のための社会保険料が天引きされた状態で支給されます。では、傷病手当金が支給される場合はどうなるのでしょうか。
傷病手当金受給期間にかかる税金とは?
傷病手当金は「非課税所得」となります。そのため、手取り給与額から天引きされる所得税は納める必要がなくなります。また、傷病手当金を1年近く受給すると総支給額も200万円以上となりますが、通常であれば必要になる「確定申告」の必要もありません。
一方、地方自治体に納める住民税や年金保険料や健康保険料といった社会保険料は納付する必要があります。特に住民税は、前年度の収入をもとに納付をしていくため、現状の収入状況とは異なることがある点に注意が必要です。
傷病手当金・受給期間はいつまで?
このように、手取り月給の3分の2程度を受給できる傷病手当金ですが、1週間程度で職場復帰できる短期的なものであれば有給休暇等で補うこともできますが、1か月など長期にわたる療養が必要な場合は生活などお金の面での心配がつきものです。
そこで知っておきたいのが、傷病手当金の受給期間がいつまでか、という上限です。受給金額には上限がありませんでしたが、それが短期的にしか受け取れないのであれば生活が立ち行かなくなる可能性もあります。
支給開始から受給上限は1年6ヶ月
傷病手当金はいつまで受給できるのかという上限に関しては、「支給開始から1年6ヶ月」と定められています。
このとき、「一度復帰はしたものの、再度同じケガや病気が原因で働けなくなってしまった」ということもあるでしょう。このような場合は、最初に傷病手当金が支給された日から1年6ヶ月以内であれば再度受給することも可能です。
復職後再度働けなくなった場合
では、1年6ヶ月の傷病手当金の受給を終えて復職したあと、今度は別の病気やケガで療養しなければならなくなった場合はどうなるのでしょうか。
先に受けた傷病手当金とは別の原因による病気・ケガでの療養の場合は、再度1年6ヶ月間の傷病手当金を受け取ることができます。長期的な療養を伴う病気やケガはできるだけ避けたいものですが、こういった制度があることは安心できる要因のひとつと言えます。
傷病手当金・メリット
ここまで傷病手当金の計算方法や受給金額や受給期間の上限など、受給に際して気になる注意点などを解説しました。
ここからは、傷病手当金を受け取るメリットについて解説していきます。メリットは大きく「手取り月給が発生しない療養中の収入を確保することができる」という点と、「仕事とは直接関係のないケガや病気でも申請することができる」という点が挙げられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
①療養中に収入が確保できる
傷病手当金の最も大きなメリットは「収入面」ではないでしょうか。傷病手当金を受け取ることができるのは、病気やケガによって出勤できない人が対象となります。そのため、療養期間は通常であれば会社から支給される「手取り月給」は支給されません。
しかし、療養中とはいえど、家賃や水道光熱費、食費といった生活費はもちろん、住民税や社会保険料といった公的支払いもありますし、場合によっては診察や薬と言った医療費がかかる場合もあります。
そこで傷病手当金が活用できます。手取り月給から3分の2程度の金額にはなりますが、収入が確保できるのは安心と言えます。
②直接関係の無いケガや病気も申請可能
一般的に、仕事や通勤中の出来事・事故などが原因となって病気やケガが生じた場合、傷病手当金は発生せず、労災(労働者災害補償保険)の補償対象となります。
しかし、病気やケガの原因となるのは仕事だけではありません。プライベート上での事故によるケガや、時期柄流行するインフルエンザといった予防しても感染してしまう病気で長期療養が必要になる場合も考えられます。このような場合に支給されるのが傷病手当金です。
これは、身体的な病気やケガだけでなく、うつ病といった精神的な病気に関しても補償対象となります。健康保険適用診療はもちろん、自費診療や自宅療養であっても、仕事ができない状態であれば支給され、支給に際しては診断書などが必要ないのが特徴と言えます。(医師による申請書記入が必要です。)
傷病手当金・デメリット
このように、予期せぬ病気やケガによって手取り収入がなくなるのを防ぐ生活補償として存在している傷病手当金には大きなメリットがあります。
それでは、傷病手当金によるデメリットとは何でしょうか?ここでは、傷病手当金の申請時に起こるデメリットと、傷病手当金の受給に関して起こるデメリットを解説していきます。
①会社と書類のやり取りが必要
傷病手当金の申請書には、医師などによる「病名等休業せざるを得ない事情」の記入と勤務先による「実際の休業期間と給与の支払いがなかったことの証明」の記入が必要になります。この際、医師に記入してもらった後に勤務先に記入をお願いすると、病名等が知られてしまう可能性があります。
もし勤務先に病名やケガの状況などを知られたくない場合は、勤務先に必要事項を記入をしてもらってから医師等に記入依頼をするようにしましょう。
出勤簿や賃金台帳のコピーなど、提出に必要な書類を勤務先に出してもらわなければならないので「傷病手当金を申請する」ことは伝えなければなりませんが、郵送でのやりとりも可能なので、しっかり申請するようにしましょう。
②同じ病気で受給不可の場合も
傷病手当金は1年6ヶ月を上限として受給することができ、その期間内であれば同じ病気やケガで再度受給することができます。では、上限である1年6ヶ月の傷病手当金を受給したあと復職したにも関わらず、再度同じ病気やケガによって休職せざるを得なくなった場合、傷病手当金を受け取ることはできるのでしょうか。
基本的には上限期間を超過してしまった場合は、傷病手当金を受給することはできません。ただし例外として、「復職時は治っており治療は必要なかった」という医師の判断があれば、再度傷病手当金を受け取ることができます。
この医師の判断は、健康保険組合が医師に問い合わせをして確認しています。この結果によって支給・不支給を決定することになります。
③生命保険に加入出来ない場合がある
傷病手当金を受けとることになった病気やケガにもよりますが、多くの生命保険は「過去5年以内に継続的に病院を受診していた期間がある」といった病歴・通院歴によって加入できなくなることがあります。
傷病手当金の受給から5年以上経過していれば加入できる生命保険がほとんどです。また、保険によっては現状を含めて5年以内に継続的な通院があっても加入できることがあります。
④失業保険は受給出来ない
休職中に傷病手当金を受給しており、さらに一定の条件を満たしていると、退職後も傷病手当金を受給することができます。
しかし、傷病手当金を受給している間は失業保険を受け取ることはできません。失業保険(雇用保険の基本手当)とは、仕事を退職した人が再就職に向けて転職活動をすることができるための生活補償です。退職理由は、自己都合でも会社都合でも問いません。
失業保険を受給するには、雇用保険の被保険者として離職日から2年以内に12ヶ月以上働いた期間があること、ハローワーク(公共職業安定所)に求職の申し込みを行ったが就職できない状態にある場合に、支給対象となります。
傷病手当金として貰える金額の計算を予めしておこう
ここまで、会社員が受け取ることができる「傷病手当金」について、どのような場合に受給できるのかといった対象条件や、いつまで受給できるのかといった上限期間、実際の計算方法、申請方法について解説してきました。
4日以上の連続の休職を伴う病気やケガに対して、傷病手当金を受給することができます。支給金額はいつもの手取りよりは少なくなりますが、働けない期間に手取り月給の3分の2程度の収入が確保できるのは、非常に安心できます。
病気やケガは予測できないものも多いため、こういった制度について「いくら受給できるのか」「いつまで支給されるのか」といった制度内容を正しく理解して、いざというタイミングで活用できるようにしておきましょう!