うつ病で傷病手当金を貰う方法まとめ!審査条件や申請書の書き方などを解説!

うつ病で傷病手当金を貰う方法まとめ!審査条件や申請書の書き方などを解説!

近年会社や家庭でのストレス等でうつ病を発症する人が増加しています。うつ病を発症し休職や退職をする際不安なのが収入面ですが、傷病手当金の申請を行うことで少なからずお金が入ってきます。今回はそんな傷病手当金を貰える方法を解説していきます。

記事の目次

  1. 1.傷病手当金・うつ病で退職する前に審査条件を確認
  2. 2.有休休暇消化はどのタイミングで使うべきか?
  3. 3.退職後でも傷病手当金を受け取れる
  4. 4.傷病手当金・うつ病による申請書の手順や書き方
  5. 5.傷病手当金の受給は毎月申請が必要
  6. 6.傷病手当金・うつ病になった時の受給メリット
  7. 7.傷病手当金・うつ病になった時の受給デメリット
  8. 8.傷病手当金はうつ病で休業したらすぐに申請しよう!

傷病手当金・うつ病で退職する前に審査条件を確認

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傷病手当金はケガや病気で働けなくなった場合に、加入している健康保険組合から貰える制度です。傷病手当金を取得するには4つの審査条件をクリアしなければいけません。しっかりと審査条件を確認し傷病手当金を申し込みましょう。ここでは傷病手当金の4つの審査ポイントを解説していきます。

①業務外のケガや病気で療養中

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傷病手当金を受給する際のポイントとして「業務外でのケガや病気」であることが前提にあります。業務上のケガや病気、通勤中の災害等によるケガや病気に関しての休職時は、別途「労働者災害補償保険法」の給付対象となり、傷病手当金の受給対象からは外れます。

そのため精神科や心療内科に受診する際は「仕事でのストレスが原因」となると業務上の理由となりますが「睡眠障害によるうつ病発症のため」となると受給対象になります。

他にも「美容整形」や「レーシック手術」といった病気とみなされないものは傷病手当金の受給対象外となり、審査から外れるので注意してください。傷病手当金の基本は医師や歯科医師が「このケガ・病気では仕事ができません」と証明した場合のみ審査条件の対象となります。

②療養の為に労務不能

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1つ目の「業務外である」と言う条件を満たした方は、次に「仕事ができない状態(労務不能)である」と言う診断を主治医に証明してもらう必要があります。うつ病でも業務内容によって労務不能の診断は受けれますので安心してください。

稀に主治医の見解だけでは労務不能と判断しにくい場合があります。常時50人以上の労働者を雇用している事業所は「産業医」と言う労働者の健康管理を行う方がいますので、その方に相談をし意見書を出してもらうことで傷病手当金の審査条件の材料になります。

③4日以上仕事を休職

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傷病手当金の受給条件の中には「最低限の休職期間」が必要になります。ケガや病気の療養のために仕事を休職した日から「連続して3日間休職している」必要があります。その間に実際に労務不能な状態かを審査され、4日目から傷病手当金の支給対象となります。

ただし勤務時間内に「業務外でケガや病気を発症」し、仕事に就くことが出来なくなった場合半日出勤していたとしても、その日を待機期間の初日と換算します。

業務外での事情でうつ病と診断され、傷病手当金の申請を行い労務不能と主治医から判断を受け、連続して4日以上仕事を休職していれば、傷病手当金の審査条件の対象となります。

④給与の支払いがない

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傷病手当金はケガや病気が原因で仕事ができない方を支援する制度のため、給料を受け取っていないことが審査条件になります。経営者の配慮で休職期間中も給料の一部や全額が支給されている間は傷病手当金の支給が出来ない・もしくは減額支給の対象となります。

会社を退職後でも申請できる条件はありますが、以前の会社の健康保険を継続して受けられる「任意継続被保険者制度」を利用中の場合は傷病手当金の審査条件の対象外となりますので、注意してください。

有休休暇消化はどのタイミングで使うべきか?

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ここで悩むのが有給休暇の消化の仕方についてです。連続3日間の待機期間は有給を使用しても問題ありません。また療養期間が短期間で終わるのであれば有給休暇を残しておいて復職後の通院時などに使用すると言う選択もあります。

ですが、うつ病は特に療養期間が不確定なので長期化した場合や退職となった場合は、傷病手当金の受給期間中に有給休暇を失効する可能性があります。傷病手当金は給与の支払いがない期間受給することが可能なので、有給休暇が余っている場合は、傷病手当金受給を行う前に有給休暇を消化してから申請することをオススメします。

退職後でも傷病手当金を受け取れる

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一定の条件を満たして入れば退職後でも傷病手当金の申請を行うことが可能です。「退職日以前に継続して1年以上被保険者である事」そして「退職時にすでに傷病手当金の受給を開始しているまたは受給の条件を満たしている場合」は退職後であっても傷病手当金の申請期間内であれば受給が可能です。

傷病手当金・うつ病による申請書の手順や書き方

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続いては傷病手当金の申請書の書き方の解説になります。4枚構成となっている傷病手当金の申請書ですが、それぞれ被保険者本人・医師・会社が記入する欄があります。加入している健康組合によって書類が変わる場合がありますが、基本的な書き方に変わりはありません。

①傷病手当金請求書の取得

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傷病手当金の申請には傷病手当金請求書という書類を書く必要があります。この書類は「会社から貰う」場合と「加入している健康保険組合のwebサイトからダウンロードする」方法の2つがあります。なんらかの事情で会社から申請書を貰えない場合は、自分でも傷病手当金請求書を手に入れることが出来るので安心してください。

②傷病手当金請求書の記入

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傷病手当金請求書を手に入れたら、次は記入項目についての解説です。基本的な記入項目の書き方は変わらないので、焦らずしっかりと記入していきましょう。普段書き慣れない書類なだけあって、書き損じしないように直接記入する前にノートに書き方の練習をしておくと安心です。

被保険者記入欄(本人記入)

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傷病手当金を申請する被保険者本人が記入する欄になります。健康保険証の番号・住所・氏名・傷病名(診断書を元に記入)・初診日・療養期間(申請期間)・業務内容などの記入が必要になります。書き方は別途説明されていたりwebサイトで確認することも出来ます。普段書き慣れない書類ですが、今後毎月申請していくので慣れていきます。

保険給付金受取先

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傷病手当金を受け取るための銀行口座の記入欄になります。休職中の期間は会社経由での振込になるため委任状の欄に記入するようになります。退職をしている場合は自分指定する銀行口座を記入し受け取る事が出来ます。詳しい書き方は別途説明書きがあったりweb上でも確認が出来ます。

療養担当医師記入欄(医師記入)

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主治医が記入する欄になります。記入欄には「労務不能となった期間」と「労務不能期間中の受診日」を記入する欄があり、この時の書き方に注意点があります。まず労務不能になった期間と被保険者の療養期間(請求期間)が一致していないといけません。事前に医師に書き方をしっかりと確認をした上で被保険者の欄を記入する必要があります。

また労務不能期間中の受診日欄は、療養期間(請求期間)外の期日は無効となります。仮に8/1から8/31までを療養期間(請求期間)とした場合、7/31や9/1の受診日は無効となります。

1回の請求期間が約1ヶ月なので受診日が療養期間(請求期間)内に入るように記入する必要があります。しっかりと医師と話をして書き方にミスがないようにしておきましょう。

事業主記入欄(会社記入)

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ここは会社が給与の支払いを行っているか確認するための欄になります。被保険者の記入欄・医師の記入欄が終わり次第会社に提出または郵送でやり取りを行い、会社側が完成したら会社から加入している健康保険組合に提出されます。

ここで稀に起きる事案の中に「会社側が書類作成を拒否する場合」があります。理由1つ目は「傷病手当金について知らない場合」こちらはしっかりと説明をすれば問題なく書類作成が出来ます。しかし「職務怠慢やパワハラの場合」は会社と自分だけでは事が進まなくなってしまいます。

後者の場合は「全国健康保険協会の都道府県支部」や「厚生労働省の地方支分部局の厚生局」に相談を行い、会社に対し行政指導を行ってもらいましょう。本来会社には傷病手当金請求書を作成する拒否権はないので、自信を持って対応しましょう。

傷病手当金の受給は毎月申請が必要

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傷病手当金の請求期間はおよそ1ヶ月間をまとめて申請する事ができます。およそ1ヶ月とされているのは、場合によっては1回の40日間ほどの請求期間でも通る場合があるからです。申請時に請求期間の日数の書き方に不安がある場合は、事前に加入している健康保険組合か会社に確認を取ってみましょう。

うつ病以外の事情でも毎月申請

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今回はうつ病の際の傷病手当金の申請方法について解説していますが、うつ病以外でも受給は可能です。条件を満たしていれば業務外のケガ・病気で申請する事ができます。申請後は支給可否判断の手紙が届き特に問題がなければ支給が開始されます。

傷病手当金の支給は毎月申請が必要になります。医師の診断により「労務不能の期間」を定めてもらう際に治療状況などに応じて月ごとに労務不能期間が異なる場合があるため、しっかりと月ごとに請求期間を確認して提出しましょう。

傷病手当金・うつ病になった時の受給メリット

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うつ病になった時に傷病手当金を受給するメリットを見ていきましょう。傷病手当金のメリットは5点あります。うつ病で心もお金もすっからかんにならないためにしっかりとメリットを活用することでうつ病の療養期間も安心して過ごすことができます。

うつ病だからもうどうしようもないと悲観にならず、使える制度はしっかりと活用して治療に専念しましょう。

①申請から1ヶ月程で支給開始

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うつ病で労務不能の状態になると、傷病手当金の他にも労災の受給を申請することも可能です。ですが労災と認定される実際に支給されるまでのは、1年近くの日数がかかる場合があります。1年も給料がなく治療も続けていかなければならないのはとても大変です。

ですが、傷病手当金は手続きを早く行い申請すれば最短でおよそ1ヶ月後から傷病手当金の支給が開始されます。なるべく早く生活費を工面したい場合は、労災よりも手早くお金が手に入ります。

②月額の2/3を受給

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傷病手当金の受給額は給料総額の2/3となっています。仮に休職前の給料が月30万円だった場合1日あたり6,667円支給されることになります。ひと月約20万受給する事ができるので、少し生活費を切り詰めれば問題なく生活できる金額となります。

受給額早見表が協会けんぽのwebサイトに掲載されているので、気になる方は確認して見ましょう。実際に自分が貰える額がわかると安心できます。

③最大1年6ヶ月の給付期間

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傷病手当金の受給を申請できる期間は最大で1年6ヶ月です。この際の注意点は支給開始日から支給停止までの期間となり、途中で復職して再度休職した場合でも1年6ヶ月の期間が延長されることはありません。初回支給開始日から1年6か月以内であれば再度傷病手当金受給を申請することは可能です。

うつ病の治療には数年から数10年と長期化する場合があります。1年6か月を長いととるか短いととるかは人それぞれですが、まずは最低でも1年6か月は治療に専念できます。

④2年間の時効以内は請求可能

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傷病手当金の申請ができる時効期間は2年となります。そのためうつ病のため退職した後でも2年を経過していなければ傷病手当金の申請を行えます。ですが、期間が空きすぎるため実際に休職または退職していた期間労務不能であったことを証明する事が難しいため申請書類を作成してもらえない場合があります。

うつ病が発覚し休職や退職をする場合は、なるべく早めに傷病手当金の受給申請を行いましょう。生活費の工面にもなりますので申請して損をすることはありません。

⑤出産手当金と併給可能

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実は出産のために会社を休む場合でも傷病手当金を受給する事ができるようになりました。出産予定日前42日と産後56日まで「出産手当金」が健康保険組合から給付されますが、別途傷病手当金も受け取る事が可能です。

1つ注意点があり、傷病手当金の支給額が出産手当金より多かった場合は差額のみ支給されるので、自分の出産手当金と傷病手当金の支給額がいくらになるのか調べておくと、総支給額がわかりやすくなります。

出産手当金とは何?条件や申請方法・支給される期間など正しく理解! | 副業・暮らし・キャリアに関するライフスタイルメディア
働く女性必見!出産手当金とは?申請できる条件・期間・健康保険への申請方法など詳しく紹介しています。また、健康保険から出産手当金以外に受け取ることができる手当金とは?その種類・条件なども紹介しています。安心して出産・育児ができるよう、正しく理解しましょう。

傷病手当金・うつ病になった時の受給デメリット

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続いては、うつ病になった際に傷病手当金の申請を行うデメリットを紹介します。デメリットは4点ありますが、どれもしっかりと理解していれば問題のない項目になりますので、ここでしっかりとデメリットを把握し対策をとりましょう。デメリットがあると思うと不安になりますが、対策方法は様々です。事前に確認し対策すれば問題ありません。

①受給期間を過ぎたら支給停止

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傷病手当金の受給対象期間は1年6か月です。そのため初回受給から1年6か月を過ぎると支給が停止されお金が入ってこなくなります。うつ病でなかなか復職が難しかったり次の仕事が見つからない場合は当面の生活費がなくなってしまうので対策が必要になります。

傷病手当金以外にもうつ病発症時に国が支援してくれる制度があります。一般的に知られている「生活保護」は国民が最低限の文化的な生活を送るために作られた制度です。各都道府県の社会福祉事務局で受給の条件などがわかるので治療が長期化する場合は事前に確認しておきましょう。

②会社とやり取りがある

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傷病手当金の申請にはどうしても会社の記入欄があるため最低限のやり取りが必要になります。傷病手当金の申請時には「会社が原因でうつ病になった」とは記載されていなくても、会社での出来事がきっかけでうつ病になっている場合もあります。

ですが当面の生活費のためでもあるので、ここは割り切って手続きを行いましょう。会社に顔を出したくない場合は郵送や代理人を通してやりとりを行うなどして対応しましょう。

③失業保険との併給は不可

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見落としがちなのが「失業保険と併用ができない」ということです。そもそも傷病手当金は労務不能の人を支援する制度であり、失業保険は仕事をしたいけどまだ見つからない再就職者を支援する制度のため、全く別物の支援制度になります。

傷病手当金か失業保険どちらがいいのかは自分次第になりますが、うつ病の場合再就職できるまでの見通しが不明のため傷病手当金がおすすめです。

④生命保険の審査が難しい

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家庭を持っている方に多いのが生命保険の加入ですが、生命保険の加入審査には過去の病歴や給付金の受給状況などが審査の条件に加わります。各保険会社や保険内容によって条件は異なりますが傷病手当金等の受給を行う際は審査が厳しくなるため、傷病手当金を受給する前に加入を検討しておきましょう。

傷病手当金はうつ病で休業したらすぐに申請しよう!

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最後にうつ病は1度発症し治療をしっかりと行わないと再発するリスクが高い病気です。近年うつ病の理解者も増えてきていますので、うつ病と診断された場合はしっかりと療養を行い再度復職や再就職できるように前向きに傷病手当金を活用して治療に専念しましょう。一人で抱え込まず周囲の助けを受け入れることも治療の一環に繋がります。

かのは
ライター

かのは

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