マイカー共済とは
「こくみん共済」で世間に広く知らている全労災(全国労働者共済生活協同組合連合会)が展開しているマイカー共済とはどんな内容なのか。民間会社の自動車保険とは何が違うのか。自動車事故の補償や割引サービスを選ぶに当たり保険と共済の違いを理解し、自分に合う補償を選ぶことで掛け金の削減が出来て、生活費の節約に繋げることもできます。
マイカー共済の補償内容
保険の名称が「保険」から「共済」になるところが独特ですが、他の自動車保険会社と比べて補償内容に遜色は見当たりません。事故の相手への「対人賠償」「対物賠償」そして自身への補償となる「人身傷害補償」が基本となる補償です。そして車両保険は「車両損害補償」となりますが、他の保険会社の補償内容との違いはありません。
そして、搭乗者への補償や自損事故補償などは特約扱いになります。事故対応以外で重要なのが故障時のロードサービスの対応です。マイカー共済のロードサービスも充実した内容とされ、多少の制約はありますがほとんどの場面で対応してくれます。
損害保険料率算出機構に加盟していない
日本の保険会社や外資系の保険会社のほとんどが「損害保険料率算出機構」に加盟していますが、全労災は未加盟です。損害保険料率算出機構では損害保険金を支払う際に金額の計算方法の基準を定めていて、加盟する保険会社が金額査定する際に利用しています。全労災は未加盟のため保険金の算定基準が、民間自動車保険会社とは異なるという特徴を持ちます。
マイカー共済の評判
マイカー共済の評判は保険料が割安なところが高い評価を得ています。そして、年間走行距離などの細かい区分設定も無く、条件次第では通販型自動車保険より保険料が抑えられる場合もあります。一方、「事故の対応が悪い」や「担当者が付かない」、「ロードサービスが劣る」など不満の声を、実際に対応を受けた方からの悪い評判も耳にします。
評判①安い
「共済=安い」そんなイメージが先行するのか、自動車保険料もマイカー共済の方が割安と思われがちです。しかし、一概に全労済のマイカー共済は安いとは言い切れません。特に35歳前後でネット系の商品と試算してみると、保険料は同等か割高になる場合もありデメリットになる場合もあります。代理店型の「自動車保険の商品よりは安い」が正しい理解です。
評判②契約時の対応が丁寧
マイカー共済の保険契約は他の自動車保険会社と変わらず担当者と対面で行われます。補償内容の説明から「約款・重要事項」説明など丁寧で親切な対応との評判が多いです。多くの口コミをみても契約時の対応は好感を持てると好評です。それは、親や会社の勧めで若い頃から全労済に加入している方も多いので、顔馴染みや安心感もあるのでしょう。
評判③事故対応の交渉がイマイチ
マイカー共済の事故を起こした場合の対応に不満を感じるとの悪い評判がデメリットとしてありますが、一概に、民間保険会社が優れていて共済が劣るとは言えません。なぜなら、事故後の処理や対応については担当者次第となるからです。交渉に長けていればスームズですし反対なら不満を感じます。実際にはそれほど双方とも変わらないでしょう。
その理由は、自動車事故の対応は各保険会社や共済ともに事故判例集を基に過失割合を判断したり調整したりするのがルールとなってます。そのため、大きな違いが起きたりどの保険会社が「良い・悪い」というの現実的にはありません。
評判④電話応対の担当者が不愉快
事故を起こした時の「電話対応が不愉快」そんな悪い評判を言う方も見受けられます。しかし、その時は事故を起こし気が動転しているのも、興奮状態も確かです。マイカー共済も一般の自動車保険と同じ「事故受け付けセンター」が存在し24時間365日の事故受け付けや、現場駆け付けサービスも行っているため、対応としては悪くないと言ってもいいでしょう。
マイカー共済のメリット
マイカー共済のメリットで一番なのは月々の保険料が他の自動車保険と比べて安く抑えられることです。掛け金は等級や年齢などで変動するため、場合によってはネット系の保険とあまり変わらないことがありますが、そもそもの協同組合が「相互扶助・利益は追求しない」理念ですから、基本的には自動車保険より保険料が割安なことは確かなメリットです。
安く補償をつけられる
上記の通りマイカー共済の運営母体は協同組合なので、一般的な補償とロードサービスや各特約を受けるための保険料はとてもリーズナブルな金額に設定されています。代表的なものとして「新車割引」「盗難防止装置装備者割引」など車体に係る割引や「人身傷害補償の被共済自動車搭乗中のみ補償特約」「補償内容限定の特約」なども充実しています。
そのため、何らかの割引をされるメリットが多く、等級も通常であれば自動車保険会社のように20等級までですが、22等級までの制度があり保険料が最大64%割引となります。高い等級の人であればより大きな割引がメリットとして期待できます。
割引サービスは12点
マイカー共済には次の豊富な割引サービスが12点もあるのが特徴です。①ハイブリット車割引②新車割引③複数契約割引④福祉車両割引⑤人身傷害補償の被共済自動車搭乗中のみ補償特約⑥盗難防止装置(イモライザー)装備車割引⑦セカンドカー割引⑧子供特約、この特約は運転者年齢条件を変更せずに、同居の子供を補償対象に追加できるメリットがあります。
そして、⑨運転者本人・配偶者限定特約⑩運転者年齢条件⑪運転者家族限定特約⑫搭乗者傷害特約家族限定補償型となります。このような豊富な割引制度や特約の選び方によっては、自動車保険よりとても保険料が安く済むケースが出るので大きなメリットとなります。
勧誘が控えめ
マイカー共済は組合員同士の「相互扶助」のもとに作られています。対して、自動車保険は利益を出すことが目的で、そもそもの目的が違います。そんなところから、保険会社の自動車保険に加入していると保険料がより高い補償や、その他の保険の勧誘を受けることがままあります。一方、マイカー共済の場合は無理な勧誘はほとんどありません。
マイカー共済のデメリット
マイカー共済のデメリットは、「事故対応・交渉にあまり期待できない」「ロードサービスが不十分」なところでしょう。さらに、デメリットを挙げれば「支払い方法が郵貯からの引き落とし・振替のみ」な点で、いまどき、クレジットカード払いやコンビ二払いが無いのは如何なものかとの意見やデメリット評価が多くあります。
営業担当者がいない
マイカー共済では営業担当者がつかないのもデメリットです。代理店型の様に営業担当者が専属して保険の組み立てから更新の説明と手配をして、そして、最も大切な事故対応などを手厚くカバーしてもらうわけにはいきません。また、ほとんどの自動車保険会社が提供しているゴールド免許割引がないのもデメリットと言えるでしょう。
全労災が破綻すれば補償が受けられない
自働車保険会社が、万が一破綻してしまった場合でも「損害保険契約者保護機構」によって破綻した損害保険会社の保険契約が補償されます。一方、保険会社のように会社が倒産した時に契約者の損害を補償するセーフティーネットはマイカー共済にはありません。そのため、全労済が破綻した際に保証が受けられない可能性があり大きなデメリットになります。
他の保険会社からの乗り換えると損する可能性がある
マイカー共済へ、他の自動車保険会社からの乗り換えると損する可能性があります。そのため、加入の前には必ず問い合わせが必要です。マイカー共済でも自動車保険会社と同じ等級制度が採用されていて「民間の保険会社からマイカー共済へ」という場合でも等級を引き継ぐことは問題ないとされています。
ただし、前述した通り自動車保険会社のほとんどが損害保険料率算出機構に加盟しており、保険料や算出の仕組みの基本的な部分は同一となっていますが、未加盟な全労済は独自の基準で等級を引き継げなく、保険料が割高になる場合もあります。
マイカー共済と自動車保険の違い
マイカー共済は組合員同士でお互いを助け合う目的の運営形態をとっています。自動車保険会社は利益を出し会社経営が目的でマイカー共済とは大きな違いあります。そのために組織設立のための法律も違います。自動車保険会社が提供する保険商品は保険業法の基に運営され、マイカー共済は消費組合生活協同組合法のもとに運営されています。
また、契約者が受け取る補償の呼称も自働車保険は「保険金」マイカー共済の場合は「共済金」と呼ばれています。補償内容や仕組みはほとんど変わらずも、設立目的や適用法の違いにより自動車保険とマイカー共済は方針や営業手法に細かな違いがあります。
事故対応について
マイカー共済の事故対応については「不満足」との声が多く悪い評判といえます。これは、全労済を始めJAやCOOP系の各種共済の担当者は「その道のプロではない」というケースがほとんどだからです。なぜなら、共済担当者はいろんな共済課やサービス箇所を異動し従事しますがノウハウを掴む前に、また別の部署へ異動してしまう事が原因といわれています。
とはいえ、JAやCOOP系の担当者とは違いマイカー共済の担当者は、全労済の中で何かしらの共済を担当してきたことはまだマシでしょう。ですので、デメリットとしてマイカー共済の担当者の事故対応は「期待できる対応力がない可能性が高い」と覚えておきましょう。
ロードサービスについて
マイカー共済は車両損害補償か人身傷害補償が付帯していれば、次のようなロードサービスも利用が可能です。提携先のロードサービス拠点は全国にサービス1,600拠点を確保、レッカー牽引のロードサービスは100kmまでが無料となります。現場での応急修理は30分以内なら無料、そして燃料切れでの緊急補給は10リットルまで年に一回まで無料となります。
これらロードサービスでの対応内容は、最低限を確保している程度で自動車保険会社のフルロードサービスと比べると多くは期待できません。マイカー共済を選ぶならJAFのロードサービスも検討すると良いでしょう。
全労済は非営利
もう一度、全労済がどのような組織なのか把握しましょう。全労済とは正式名称を「全国労働者共済生活協同組合連合会」といい、要約すれば全国の労働者のための非営利団体となります。それは全国に展開されている超巨大団体ですので安心感は抜群と表現してもいいでしょう。全労済の共済は全部で9つ、そのうちの一つがマイカー共済となります。
マイカー共済も自動ブレーキ割引を開始
近年の自動ブレーキ搭載車の普及を受け、損害保険料率算出機構では自動ブレーキ搭載車の参考純率の引き下げを決定しました。それにより、大手自動保険会社から自動ブレーキ割引を随時導入し始めました。しかし「適用基準」や「割引率」に違いがあり、その足並みは揃っていない状況です。その中で、マイカー共済も自動ブレーキ割引制度を導入しました。
マイカー共済の割引制度は「衝突被害軽減ブレーキ(AEB)割引」と表記され、2019年1月1日より導入を開始、対象車は保険料が9%割引となります。対象条件は「普通・小型車」は発売年月から3年以内、「軽自動車」は発売年月を問わず適用されます。
自動ブレーキ割引はわかりずらいとの評判
額面上は自動ブレーキを搭載した最新の車は、保険料が9%も安くなる割引の恩恵を受けることが出来る筈ですが、これが曲者。保険会社の定める適用基準によっては新車で自動ブレーキ装備でも「適用外」となる車もあり、そのため乗り換えには事前確認が必要です。また、保険会社によっては自動ブレーキ割引を「ASV割引」と違う表記も多くあります。
「ASV」とは先進安全自動車の略で先進技術を利用して、運転者の安全運転を支援するシステムを搭載した自動車で「AEB」搭載車よりは安全性能は一歩リード。しかし、マイカー共済を含め保険会社の定める適用基準によりASV車でも保険料が下がらない場合があります。
例えば、日産セレナが搭載する最新安全装備「プロパイロット」であっても保険料は安くなりません。割引の適用基準については、今後データ化され将来の型式別料率に落ち着くまでは適用基準のバラツキは当分の間続くでしょう。
マイカー共済は安く自動車事故に対応できる
自動車保険の選択では保険料の安さが重要視されますが「安かろう悪かろう」では困ります。安さでは断然ネット系、手厚いマンパワーサービスなら代理店型、マイカー共済はその中間の位置付けとなります。車の使用頻度や運転者、そして必要な補償などを総合的に判断して自分によりお得になる方を選びましょう。