楽天的の意味とは?
「楽天的」と「楽観的」という似て非なる言葉がありますが、ここでは「楽天的」という言葉が持つ特徴について考えていきましょう。なお「楽天的」と「楽観的」の違いについては後ほど触れていきます。
「楽天的」という言葉の意味を調べてみると、このように記してあります。『物事にくよくよしないで、何事も良いようにとらえるさま。楽天であるさま。のんきなさま。』『物事にくよくよしないでいつも明るいほうにかんがえていくさま』
楽天的とはちょっとした事で考え込んで落ち込んだりせず、前向きに考え行動出来る、といった感じでしょう。誰でも生きていればミスや失敗を繰り返すもの。それに対して必要以上に落ち込んだりせずに明るく前向きでいられる楽天的な人はとても素敵です。
楽天的の対義語・類義語
「楽天的」の対義語は「厭世的」です。「厭世的」の意味を調べてみると『人生に悲観し生きているのがいやになっている様子』『人生や世の中をはかなむ傾向にある様子』とあります。確かに人生を明るく前向きに謳歌している「楽天的」とは正反対の特徴を持つ言葉です。
また「楽天的」の類義語は「楽観的」をはじめとして「お気楽・安直・脳天気・のんき・いい気なもの」など良くない感じの言葉もありますが、「プラス思考・ポジティブシンキング・前向き」など使い方によっては良い感じを与える言葉も多くあります。
次のコーナーでは実際に「楽天的」と「楽観的」を使った例文をいくつかあげていきます。実際に文章にしてみる事で楽天的と楽観的の違いがはっきりしてくるでしょう。あなたもぜひ例文を作ってみてはいかがでしょうか。
楽天的・楽観的の使い方・例文
「楽天的」は良い意味でも使われる事が多いですが、聞く人や使い方によっては少し良くない感じにもとられてしまう難しい特徴を持つ言葉です。そして「楽観的」という言葉は批判的なので出来ればなるべく使いたくない言葉です。
では上手に使うにはどうしたらよいのでしょうか?習うより慣れよという言葉もありますので、ここでは実際に「楽天的」と「楽観的」を使った例文と文章の中での「楽天的」と「楽観的」が与えるイメージや隠れた意味をいくつかご紹介いたします。
例文①
「私の悩みは我が子がいつも楽天的なことです。もっと物事を深く考えてほしいです。」小さなことに動じないというのは大事なことですが、あまりにも色々な物事に対して「何とかなるよ」という楽天的過ぎる考え方をされたら親として心配になってしまいます。
何事にも前向きで楽天的なのは良い事ですが、きちんとしなければいけない事、多少は深く考えなければいけない事もたくさんあります。一歩間違えれば「楽観的」になってしまいますので、大事なことに関してはもっとしっかりと考えてほしいところです。
例文②
「私の会社の上司は基本的に楽天的なので、売り上げは上がるものだと信じて疑っている様子がない」きっとこの上司は部下に絶対的な信頼を寄せているのでしょう。楽観的な上司ではない限り「私の部下なら大丈夫」との思いから楽天的な考えになっているのです。
確かに「大丈夫か?」「本当に任せても大丈夫なのか?」と疑われてばかりいたらモチベーションが上がりません。上司の特徴が楽天的である、ということは自分たちが信用されているという自信にもつながりそうです。
例文③
「こんな状態で『何とかなるさ』なんて言えるとは、あまりにも楽観的ではないですか?」とても大変な状態に陥っていて、しっかりと善後策を考えなければいけない時に「何とかなる」なんてあまりにも楽観的です。
そんな適当な事を言って現実から逃げ、ちゃんと考えようとしない無責任さを責めているような感じが伝わってきます。考えすぎてパニックになったり混乱するのはいただけませんが、楽観的過ぎるのもおなじくらいにいただけません。
大変な事に陥っている時において楽観的な人は毒にも薬にもなります。確かに世の中の事は結局何とかなると楽観的に考えすぎない事も大事ですが、でも出来るだけ良い結果になるように楽観的にも悲観的にもなり過ぎずしっかり考え行動したいものです。
例文④
「もっと楽観的に考えることが出来るのなら、私の人生はもっと楽しくなるのかもしれない」あまりにも悲観的で心配性では毎日疲れる事ばかりで大変でしょう。少しは楽観的になりたいという気持ちになるというものです。
悲観的過ぎても楽観的過ぎても上手くいかないものです。大切なのはそのバランスなのでしょう。時にはしっかりと深くまじめに物事を考え、時には気楽に楽観的にどんと構えてみましょう。どちらも同じくらいに持っていれば理想的といえるでしょう。
逆にいつも楽観的過ぎるといわれてしまうなら、少しだけ物事を時間をかけてじっくりを考えてみるくせをつけてみましょう。今までよりももっとよいアイディアを生み出せたり、良い結果が出たりするかもしれません。
楽天的と楽観的の違い
「楽天的」の類義語に「楽観的」があります。似たような意味を持つ言葉ですが、言葉の特徴やその使い方に明確な違いがあります。その違いについては前述の4つの例文を読んでいただいて何となく感じていただけたのではないでしょうか?
「楽天的」と「楽観的」の例文を読んでみてどのような感じがしましたか?楽天的という言葉に比べると楽観的という言葉は何だか人を馬鹿にしているような、相手を軽んじて見下しているような感じがしませんでしたか?
それはどうしてなのでしょうか。楽天的と楽観的にどんな違いがあるのでしょうか。楽天的については既にお話ししたので、ここでは「楽観的」についてご説明します。少しややこしい話になりますが「楽観的」にいきましょう。
楽観的は物事を気楽に考えるという意味
「楽観的」とは「事態を明るい向きに見る傾向」という意味合いがあります。例えば初めて行うことに対して「上手くいくだろう」とだけ考えて失敗するかもしれないという心配をしたり不安になったりという事が楽観的な人には一切ないのです。
「楽観的」を良い言葉で言えばポジティブ、前向き、悪い言葉では脳天気、危機感がない、といった感じです。このへんも「楽天的」の特徴と似ています。では、「楽天的」と「楽観的」の違いは一体なんなのでしょうか?
簡単に言えば「楽天的」は人の性格を表し『彼は楽天的な人です』などという使い方をします。対して「楽観的」は物事の見方や考え方を表し『その考えは楽観的過ぎではありませんか?』などと使います。
楽天的・楽観的を使う際の注意点
「楽天的」や「楽観的」という言葉を使うのは、その言葉が持つ性質上なかなか難しいものです。使う相手や使い方によっては悪口に聞こえたり、相手や周りの人の気分を害する可能性もあります。特に「楽観的」は要注意です。どんな事に注意して使えば良いのでしょうか?
目上の人や立場的に上の人には使えない
前述のとおり、楽天的という言葉には良い意味と良くない意味がありますし、楽観的に関しては良くない感じしかしない事が多いです。とても親しい関係の人や昔からの友達、自分より都市や立場が下の人が相手なら使いやすいかもしれません。
しかし年上の人や自分より立場が上の人が相手の時は気を付けましょう。『うちの後輩は楽天的です』というのは可愛い後輩を想像させて苦笑いで済みますが『部長は楽天的ですね』と部長本人に言ってしまったら恐らくいい顔はされないでしょう。
あなたは部長のポジティブなところを尊敬して言ったつもりでも「脳天気」や「のんき」という意味もある言葉なのですから。あなたの一言で周りを凍り付かせないように、使う相手やシチュエーションを良く考えて上手に使いましょう。
楽天的の由来・歴史
楽天的の言葉の由来と歴史について考えてみましょう。楽天的という考え方や言葉はいつ、どんなふうに出来上がったのでしょうか?少し難しい話になりますが豆知識として覚えていても良いかもしれません。
由来
「楽天的」の「楽」は「楽しい」「こころよい」「苦しみがなく気分が良い」「簡単なこと」を表しており、「天」はそのまま「天」「神」「運命」などを表しています。すなわち、どんな人生でも天から与えられた人生を楽しく生きていこうという考えが由来となっています。
ちなみに「楽観的」の「楽」は「らくに」「たやすく」「簡単に」を表しており、「観」は「観ること」を表しています。要するに何事に対してもたやすく簡単に何とかなると観ているという意味になります。
歴史
世界的に見ると元々は19世紀に起きたアメリカの「ポジティブシンキング(積極思考)」が始まりといわれています。これはキリスト教の新しい流れである「ニューソート」で聖書の教えと宇宙的な捉え方を結び付けたもの。
この考えが従来のキリスト教に不満を持っていた人に支持され広がっていきました。簡単にまとめると自分の置かれた境遇がどんな境遇であれ天(または神)が与えたものとして受け入れ、楽観して生きること、なのです。
楽天的・楽観的の英語表記
「楽天的」を表す英語について考えていきましょう。まず「楽天的」は英語で「sanguine」「positive」「optimistic」などと表現します。一般的には「positive」という英語を使う傾向にあるようです。
このうち「optimistic」という英語は「楽観的」の意味でも使われます。しかし英語ならではの特徴として「楽観的」は常に前向きで悩みがないこと表すことが褒め言葉となります。英語の時は使い方を気にせず安心して使いましょう。
英語の例文をあげてみましょう。「He is positive guy!」(彼は前向きな人です)「You are very optimistic.」(あなたはとても楽観的な人です)「I wonder if my view is too optimistic thinking.」(私の考え方が楽観的過ぎるのかと思う)機会があれば、ぜひ使ってみましょう。
楽天的は前向きという意味
今回は「楽天的」をメインに「楽観的」についてもお話しいたしました。いかがでしたか?「楽天的」は性格や人柄に対して使い、「楽観的」は考え方や捉え方に対して使うという使い方の違い、それぞれが持つ特徴、使う時の注意点をしっかりと抑えて上手に使い分けしていきましょう。