「お電話差し上げる」は正しい敬語?目上の方への正しい使い方をチェック!

「お電話差し上げる」は正しい敬語?目上の方への正しい使い方をチェック!

「お電話差し上げる」は目上の人に使う正しい敬語ではないと考える人がいます。「お電話差し上げる」の意味と使い方を知っていきましょう。目上の人に使っても失礼ではないのか、「お電話差し上げます」の例文を挙げながら、見ていきましょう。

記事の目次

  1. 1.「お電話差し上げる」の意味とは?
  2. 2.「お電話差し上げる」の特徴
  3. 3.「お電話差し上げる」と「お電話させていただく」の違い
  4. 4.「お電話差し上げる」の使い方
  5. 5.「お電話差し上げる」の注意点
  6. 6.「お電話差し上げる」は「連絡します」の意味

「お電話差し上げる」の意味とは?

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いくらメールができて便利になったとはいえ、全ての用事をメールで済ませるわけにはいきません。取引先に直接電話をかけ、ビジネスの大事な話をする機会は多いでしょう。ビジネスシーンで電話をする場合、「お電話差し上げる」という言葉はよく使うのではないでしょうか?

「お電話差し上げる」は外国人が聞いたら、意味を取り違えるかもしれません。「電話機をもらえる」という意味になってしまうからです。日本語は書いているそのままの意味にはならないので、難しいものです。当たり前のように使っている言葉ですが意味を知っているでしょうか?

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「お電話差し上げる」の意味を正確に知っておきましょう。「お電話差し上げる」の意味を知るため、「お電話差し上げる」に使われている敬語に注目してみましょう。

「お電話差し上げる」の「お電話」は美化語になります。美化語とはどういうものなのでしょうか?美化語とは上品に言い表そうとする時に使う言い方です。

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言葉の頭に「お」や「ご」をつけたものと、言葉そのものを言い換えたものとがあります。「差し上げる」は「与える」や「やる」の謙譲語です。謙譲語とはへりくだって間接的に相手に敬意を表す敬語です。

「差し上げる」には、奉仕の気持ちで捧げるという意味があります。「お電話差し上げる」の意味は、「電話で連絡する」という内容を、謙譲語と美化語を使って丁寧に言い表したものです。目上の人に対して使われることが多いです。

「お電話差し上げる」の特徴

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ビジネスシーンでよく「お電話差し上げます」という言葉はよく使われます。目上の人や取引先の相手などに敬意を表す敬語として認知されています。しかしこの「お電話差し上げる」という敬語は果たして正しいのでしょうか?

「お電話差し上げる」の敬語表現については賛否両論があるようです。なぜ、「お電話差し上げる」が正しい敬語だと認知されていないのでしょうか?「お電話差し上げる」のどこに問題があると考えられているのでしょうか?

「お電話差し上げる」は正しい敬語?

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そもそも「お電話差し上げる」の「お電話」という表現は正しいのでしょうか?「お」は先述した通り、美化語です。また、敬語の接頭語と言い換えることができます。「お電話」は正しい敬語です。尊敬語にも、謙譲語にも、丁寧語にも、美化語にもなることができます。

「お電話」に続く言葉が尊敬語なのか謙譲語なのかによって、「お電話」が尊敬語になったり謙譲語になったりします。なぜ「お電話差し上げる」が間違った敬語に思えるのでしょうか?それは自分の動作に対して「お」をつけているからです。

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しかし「お電話」は相手の動作に対しても、自分の動作に対しても使うことができる言葉です。例文を挙げて説明しましょう。「お電話ありがとうございます」と言った場合、どうなるのでしょうか?

この場合、相手を持ち上げる尊敬語になります。逆に「お電話いたします」と言った場合は、相手に対して敬意を払ってへりくだっている謙譲語になります。また、お電話は先述した通り、美化語でもあります。美化語とは、上品に言い表すための言葉です。

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会話の中で、ただ単に「電話」というより、「お電話差し上げる」としたほうが響きが良く、印象的に相手の頭に残ります。接頭語の「お」は汎用性が高いもので、様々な場面で使われます。「お酒」「お魚」「お菓子」「お食事」といったものが、美化語の例となります。

「電話する」の尊敬語は?

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「お電話差し上げる」は「電話する」の謙譲語であることは理解できたことでしょう。それでは「電話する」の尊敬語はあるのでしょうか?「電話する」の尊敬語は「お電話なさる」や「お電話される」という言葉になります。相手に関わる物事について言う時に使います。

この場合、主語は相手になります。自分の行動に対して使うことはできません。どういう時に使うかというと、目上の人に電話をしたかどうか確認したい時です。例文として「部長、電話なされましたか?」や「電話されましたか?」といった聞き方ができます。

「お電話差し上げる」と「お電話させていただく」の違い

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ここまで、「お電話差し上げる」の使い方と例文を見てきました。「お電話差し上げる」の意味がより深く理解できたことでしょう。次に、「お電話差し上げる」と似た表現である「お電話させていただく」について見ていきましょう。

「お電話差し上げる」と「お電話させていただく」は同じ意味なのでしょうか?それとも違う意味なのでしょうか?意味が違うとするなら、「お電話差し上げる」と「お電話させていただく」はどういった使い方をしていけばいいのでしょうか?

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「お電話させていただく」の「させていただく」は、使役の助動詞である「させて」に、「もらう」の謙譲語「いただく」から成り立っています。「させていただく」は相手や第三者の許可を受けて行う場合、行うことで恩恵を受けることがある場合の2つを満たす時に使われます。

「電話をさせていただく」は相手から許可を受け、自分が電話をすることで、自分がありがたく思っていることを伝えるといった言い回しになります。たとえば、勧誘の電話がかかってきて、「またこちらからお電話差し上げます」と言ったとします。

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たとえそれが一方的な電話ではなかったとしても、「お電話差し上げる」はこちらの恩恵があるような言い方をされてしまい、なんとなく厚かましいと感じてしまいます。いっぽうで「お電話させていただく」という言葉を使うとどうなるでしょうか?

「あなたからの許可を受けて電話をすることを大変ありがたく思います」といった気持ちが伝わることになります。「お電話差し上げる」も「お電話をさせていただく」も正しい表現です。しかし相手に与える印象は変わってくるので、うまく使い分けるようにしましょう。

「お電話させていただく」と「お電話いただく」

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「お電話させていただく」は、「お電話差し上げます」の類似表現であると先述しました。この「お電話させていただく」の類似表現に「お電話いただく」というものがあります。一見すると似たような表現ですが、どういった違いがあるのでしょうか?

まず「お電話させていただく」について見ていきましょう。これは相手の許可を受けて行います。またこのことにより恩恵を受けたり、恩恵を受ける気持ちがあるときに使います。例文として「詳しいことが分かり次第、こちらからお電話させていただきます」というものです。​​

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次に「お電話いただく」について見ていきましょう。「いただく」は「あなたにしてもらった」という意味です。「お電話」に続けて使う場合、「あなたにしてもらった電話」という意味になります。

「昨日お電話いただいた件ですが~」や「たびたびお電話をいただきありがとうございます」といった例文を挙げるとわかりやすいでしょう。このように「お電話いただく」というのは「お電話をさせていただく」と意味が変わってきます。

「お電話申し上げる」の意味と使い方

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「お電話差し上げる」と似た言い回しで「お電話申し上げる」という言い方もあります。「お電話申し上げます」は「お電話します」の丁寧な表現になります。「申し上げる」は「言う」の謙譲語です。しかし「お電話申し上げます」は1つの定型句として別の意味になります。

「お~申し上げます」という形式で「~して差し上げます」「~させていただきます」という意味になります。ただ「お電話申し上げます」は「お電話差し上げる」より一般的ではありません。ただ「お電話差し上げる」同様、覚えておいて損はない言い方です。

「お電話差し上げる」の使い方

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「お電話差し上げる」という言い方は、ビジネスシーンや日常生活で、頻繁に使うことがある言葉遣いです。「お電話差し上げます」という言葉はどういう場面の使い方をすればいいのでしょうか?

「お電話差し上げる」の使い方の1つ目は、目上の人やビジネスの相手との電話で会話が終わろうとしている時の使い方です。会話の締めの言葉です。また、自分ではない他人当ての電話を受けた時の使い方です。例文を挙げて、「お電話差し上げる」の使い方を詳しく見ていきましょう。

例文①取り次ぐ場合

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「お電話差し上げる」の使い方の1つ目は、取り次ぎをする時の使い方です。例文として「申し訳ありません。担当者が席を外しておりますので、明日改めてお電話差し上げます」というものがあります。これはあなたが電話を受けて、相手があなたではなく、別の人間に用事がある場合です。

しかし担当者は見当たらないとします。その時にこの例文のような答え方が適切でしょう。担当者が欠勤している場合は、「申し訳ありません。担当者は今日、休みをいただいております。明日は出社予定なので、明日改めてお電話差し上げます」という例文の使い方ができます。

担当者が電話中だった場合は「申し訳ありません。担当者はただいま、他の電話に出ております。電話が終わりましたら、お電話差し上げます」といった例文の使い方もできます。

例文②自分から電話する場合

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「お電話差し上げる」の使い方の2つ目は、自分が電話をした時の場合です。「お電話差し上げる」の例文として次のようなものがあります。「お電話差し上げる場合は、いつ頃がご都合がよろしいでしょうか?」というものです。

もう1つの「お電話差し上げる」の例文を挙げてみましょう。「昨日、〇〇様にお電話差し上げたのですが、ご不在でしたので、本日再度ご連絡させていただきました」というものです。

例文③折り返しを頼まれた場合

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「お電話差し上げる」の使い方の3つ目は、折り返しを頼まれた場合です。あなたが自分あてでない電話を受けた時、次のようなやり取りがあると考えられます。「お電話差し上げる」の例文を挙げてみましょう。「申し訳ありませんが、〇〇はただいま席を外しております」と言ったとします。

相手が「折り返しお電話をお願いできますでしょうか?」と折り返しを求められた場合に「お電話差し上げる」を使います。「かしこまりました。戻りましたら〇〇からお電話差し上げます」といったものです。

「お電話差し上げる」の注意点

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「お電話差し上げる」や「お電話差し上げます」といった言い方は、誤解のある言葉でした。正しい敬語ではないのではないかという疑念を人に与えてしまうからです。正しい敬語だと分かった上でも、「お電話差し上げる」「お電話差し上げます」を使うには、いくつか注意点があります。

上から目線でみられる

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「お電話差し上げる」の注意点の1つ目は、何かと上から目線にみられるというものです。これはどういったことなのでしょうか?まず、「お電話差し上げる」「お電話差し上げます」は相手を立てていることに間違いはありません。

しかしその「してあげる」というニュアンスが、人によっては、上から目線に聞こえてしまうのです。その結果、相手が不快な思いを抱くこともあります。もし相手にとって何の利益もメリットもない内容の電話の場合は、偉そうで厚かましいと感じさせてしまうことがあるので注意が必要です。

例えば、「教えてやる」と上から目線で言われたら、気分が悪いことでしょう。「教えて差し上げる」ではなく、「ご説明しましょう」や「良ければご案内します」などと言い換えるほうがいいでしょう。

目上の人に使うには

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「お電話差し上げる」の注意点の2つ目は、目上の人には使う時は注意をするというものです。「お電話差し上げます」や「メールを差し上げます」という言葉は、相手がこちらの電話やメールに対して望んでいる場合にだけ、使うことができます。例を挙げてみましょう。

取引先から電話があって、担当者が不在だった時、戻り次第こちらから電話をかける旨を伝える場合、「担当者が戻り次第、折り返しこちらからお電話差し上げます」という使い方ができます。しかし、目上の人に対しては、相手が望んでいるとはいえ、「電話をしてあげる」ことになります。

これは目上の人には失礼にあたります。ここは「お電話差し上げます」や「メールを差し上げます」という表現は控えましょう。代わりに、「折り返しお電話いたします」や「折り返しご連絡します」と言い換えるほうが、その後のビジネスがスムーズに行きます。

折り返しで「お電話差し上げる」と伝言する時

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ビジネスで取引先から電話がかかってきて、相手が用がある人間が席を外していた場合、戻ってきたら折り返し電話をするという趣旨の言い方があります。「お電話差し上げます」とだけ言うより、相手に対して丁寧になる言い回しがあります。例文を見ていきましょう。

「〇〇はただいま席を外しております。よろしければ、〇〇が席に戻り次第、折り返しお電話差し上げるように申し伝えますが、いかがいたしますでしょうか?」というものです。ここで大事なのは、「お電話差し上げるように申し伝えます」の部分です。

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この表現により、不在の人から折り返し電話をさせるという応対ができます。しかし、相手にも都合があります。相手が不在になる可能性もあるので、「いかがいたしますか?」と尋ねます。

そうなると、「お願いします」と言われるか、「すぐ席を外すので1時間ほどしてから連絡をお願いします」といった条件が相手から出されます。そうすることで、スマートな電話の取次ぎになるでしょう。

「お電話差し上げる」は「連絡します」の意味

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「お電話差し上げる」は正しい敬語ではないという誤解が多い言葉です。「お電話差し上げる」が正しい敬語だからといって、どんな時にも目上の人に使うことができるわけではありません。「お電話差し上げる」を正しく使って、ビジネスを円滑に進めていきましょう。

橘亜月
ライター

橘亜月

家族にも呆れられる人形オタクです。見る側の気持ちによって表情を変える人形の写真を撮って人形劇ブログを作成するのが何よりの楽しみです。日々の忙しさにブログは休止中ですが、人形への愛は変わりません。

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