「お世話になりました」の意味とは?
「お世話になりました」の英語表現の前に、日本語の正しい意味をしっかりと押さえておきましょう。「お世話になりました」は日常会話やビジネスで、相手に感謝やお礼の気持ちを伝える時によく使う言葉です。
「世話」には「面倒を見る」または「やっかいや手間をかける」という意味があります。「お世話になりました」は、面倒や厄介な手間をおかけしたという意味になります。つまり面倒をかけたことへの感謝の意を表す言葉です。
「お世話になりました」の英語表現の特徴
「お世話になりました」の英語表現を知るためには、まず最初に英語の表現方法の特徴を理解しておく必要があります。英語では日本語の「お世話になりました」のような抽象的な表現を嫌います。
言い換えれば「お世話になりました」を直訳する英語は一言で言ってありません。つまり様々な英語の単語やフレーズ、言い回しや前後のニュアンスで「お世話になりました」に近い意味を表すのが英語の表現の仕方の特徴です。
英語の特徴は具体的
日本語の「お世話になりました」は使える場面が広く便利なのですが、その反面英語で表現しようとすると非常に曖昧で直訳することができません。
そのため英語では「Thank you for 〜(〜してくれてありがとう)」のように「〜」の部分に具体的に感謝を表す対象となるフレーズを入れて表現します。
具体的な言葉を入れないとただ「ありがとう」というだけで感謝の意を表現することができません。このように具体的な対象となる単語を使うのが、英語の表現の仕方の特徴です。このことをよく念頭に置いて英語を解釈しましょう。
「お世話になりました」の英語表現
英語で「お世話になりました」を表現するには、その場面で具体的に何に対して感謝するのかによって使う単語が変わってきます。
例えば、助けてもらった時には「help(ヘルプ)」を、支えてもらった時には「support(サポート)」、親切や優しさに対しては「kindness(カインドネス)」、親切なおもてなしには「hospitality(ホスピタリティー)」など様々な単語で感謝を表現します。
つまり英語では、その場面ごとに感謝の対象となる具体的な単語で「お世話になりました」を表します。日本語のように「色々とお世話になりました」のように抽象的な一言では表現しないのが日本語ともっとも違う点です。それでは次に例文で検証してみましょう。
英語例文①
「I have arrived to the airport. Thank you for everything you have done for me.」の英語例文を直訳すると「空港に着きました。あなたが私にしてくれたこと全てに感謝します」となり「私にしてくれたこと全て」という具体的な言葉で「お世話になりました」を表現しています。
また「Thank you for your support and kindness this past year.(この1年間のあなたのサポートや親切に本当に感謝しています)」と「support and kindness」を使って「お世話になりました」の意味を伝えています。これらの例文は「Thank you for」を使った英語表現です。
英語例文②
このほか「Thank you」の使い方には「Thank you very much.」で一旦文章を終わらせて、そのあとに具体的な気持ちをつなげる英語表現があります。
例えば「Thank you very much.We enjoyed every day with you.(楽しい毎日を送ることができたことを、本当に感謝しています)」の例文のような使い方をすることで「お世話になりました」という気持ちを英語で伝えています。
また「Thank you very much.We have so many good memories with you.(たくさんの楽しい思い出を残してくれて、本当にありがとうございます)」のような使い方もあります。
「Thank you very much.You are the best teacher ever!(先生はいつまでも心に残る最高の方です!)」これらの例文のように英語表現では具体的な気持ちを綴ることで、お世話になった感謝を強調します。
英語例文③
少し形式ばったフォーマルな英語表現になりますが「appreciate(感謝する)」という動詞を使って「お世話になりました」を表現することができます。
「I appreciate your support and encouragement in the past year.(この1年間色々なサポートや激励をいただき感謝しております)」のように「support 」や「encouragement(激励)」という具体的な単語を使い何に対して感謝しているのかを明確にしています。
また「It has been the greatest year of my life.(これまでの人生の中で最高の1年を過ごすことができました)」「I will never forget all the things I have learned from you.(先生から学んだことは生涯忘れないでしょう)」のような英語表現でお世話になった感謝を伝えることができます。
このように英語では日本語の「お世話になりました」を直訳する言葉はありませんが、様々な具体的な単語やフレーズの使い方でニュアンスを伝えるのが英語という言語の表現方法です。
「お世話になりました」のビジネス表現
「お世話になりました」は感謝やお礼の気持ちを表す時に、ビジネスでもよく使われるフレーズです。口頭でも使いますが文書やメールで使う場合が多くなります。
またビジネスでは上司や目上の方、顧客との商談などで使う場合が多くなります。「お世話になりました」でも失礼ではないのですが、より丁寧な表現が求められることがあります。
「大変お世話になりました」はよく使われますが、さらに丁寧にする場合には「日頃からご愛顧いただき、誠にありがとうございます」や「お力添えいただき誠にありがとうございました」のような言い換え表現を使います。
ビジネスメール
ビジネスメールでは会話と違って相手の表情が直接見えません。またメールでは言葉のキャチボールができない一方通行なので、表現には注意が必要です。メールを送る相手が顧客で親しい間柄の担当者でも、相手はあくまで顧客なので礼を尽くした表現にしましょう。
つまりメールの場合は誰が読んでも失礼に当たらない丁寧な表現をするのがベストです。メールでは「お世話になっている〇〇です」という表現をよく使いますが「いつも大変お世話になっている〇〇社の〇〇です」のように誰が見ても失礼にならないような文面にします。
またお礼や感謝を伝えるメールでは「先日の〇〇の件では、大変お世話になり誠にありがとうございました」のようにお礼の言葉を冒頭に入れるようにしましょう。
メールは事務的な文書なので簡潔明瞭にするのが基本ですが、メールでは相手の表情が直接見えないので、丁寧な言葉遣いや、お礼や感謝の気持ちを表す配慮が大切です。
ビジネス英語
日本語にはメールなど文章に使う文語と会話の口語という分類がありますが、英語には文語と口語という明確な分け方がありません。また日本語には敬語がありますが、英語には敬語という概念がありません。
しかし英語にはカジュアルとフォーマルという表現の分け方があります。つまりカジュアルな表現は日常会話ではOKですが商談やビジネスメールではNGになるので、その使い方や違いをしっかりと把握しておきましょう。
「お世話になりました」の英語表現に「Thanks a lot for your help.(助けてくれてありがとう)」がありますが、これは友達同士のフランクな会話で主に使われるカジュアルな表現なのでビジネスメールや上司など目上の人には使えません。
フォーマルなビジネス英語としては「Thank you for your help.」と少し単語を変えるだけでメールや目上の人にも使える表現になります。
また「I really appreciate for everything that you have done(あなたにして頂いた全てに、大変感謝しています)」のように「appreciate」を使った英語表現もフォーマルなビジネス英語です。
「お世話になりました」の使い方
「お世話になりました」の使い方には、友達や同僚など対等な相手に対する使い方、上司や顧客などビジネスでの使い方、恩師などに出す手紙での使い方など様々あります。
また「大変お世話になりました」だけでも気持ちは通じますが、何に対してお世話になったかを付け加えることで、さらに丁寧な感謝の気持ちを伝えることができます。
それでは「お世話になりました」の日本語の使い方と英語の使い方、表現方法の違いなどを例文をあげて比較しながら検証していきます。
例文①
「大変お世話になりました」という表現を、もっとも一般的に使う場合は、引っ越しや会社で転勤や移動などで、今いるところを去る時に多く使います。
例えば「この1年間短い間ではございましたが、皆様とご一緒に仕事をして有意義な時間を過ごすことができました。また大変お世話になりましたことを感謝しております」のように話の冒頭ではなく話を終える時に世話になったお礼を述べるのが通例です。
この例文を英語で表現すると「Thank you very much. I have so many good memories this past year with you.」のように「Thank you」という感謝の言葉を話の最初に伝え、そのあとに「many good memories this past year(1年間の有意義な思い出)」のようにその理由を英語では表現します。
このように英語では「お世話になりました」という感謝の気持ちを先に伝え、次にその理由を述べるように日本語とは文章構成が逆になります。
英語ではもっとも伝えたい気持ちを最初に表現し、次に感謝に至った経緯や理由を述べるのが通例です。日本は奥ゆかしいことを美徳として育った文化なので、感情や思いを表すのは話の最後に持ってきます。この表現の仕方が日本語と英語の違いです。
例文②
「お世話になりました」は、厚意やもてなしを受けたお礼や、手伝いや助けていただいたことへの感謝を伝える場合に「先日の私どもの結婚披露宴では、会場や花の手配と何から何まで事細かに大変お世話になりました。とり急ぎ文面にてお礼申しあげます」のように使います。
また「先日の会合では色々とお世話をいただいた上に、車で自宅までお送りいただき恐縮しております」のように感謝する事柄が複数ある時には英語と同じように、まず「お世話になりました」と感謝の言葉を述べてから、さらに受けた厚意の感謝の意を重ねます。
英語では「Thank you very much for your help to get ready for the party.(パーティーの準備を手伝っていただいて、本当にありがとうございました)」のように手伝いのお礼を表現します。
また「Thank you for your help to give me a ride last night.(昨晩は車に乗せていただいて、ありがとうございました)」のように英語では車に乗せていただいた厚意に対してありがとうと言うことで「お世話になりました」の意味を伝えます。
またフォーマルなビジネス英語では「I really appreciate for everything that you have done(あなたがしてくださったすべてに、大変感謝しております)」のように「appreciate(感謝する)」の前に「really(本当に)」をつけることで非常に丁寧な英語表現になります。
例文③
恩師や大変世話になった人に感謝の気持ちを表す時にも「お世話になりました」は使われます。例えば「私が大学受験をする時、先生には大変お世話になりました。そのご恩は一生忘れません」のように忘れられない恩などに対して感謝を伝える場合に使います。
また「先輩が転職されて初めて、自分が先輩にいかに頼りお世話になっていたかを知りました。今でも先輩の教えを思い出しては仕事に取り組んでいます」のように思い出とともに感謝を伝える時に使います。
英語ではこのような恩や思い出に対しては「I cannot forget your~ (〜を忘れられない)」をよく使います。例文では「I cannot forget your kindness when I was in your class.(クラスにいた時のあなたの親切は忘れられません)のように 親切に対する感謝を英語で表現します。
また「I will never forget what you have taught me.(先生が教えてくれたことは、決して忘れることはありません)」のように英語では「never forget 」を使って忘れないことを強調します。
この他にも「I have learned a lot from your class.(先生の授業からたくさんのことを学びました)」「You are the best teacher I have ever had in my life.(あなたは私の人生の中で最高の先生です)」のように英語では恩に対する感謝を表現します。
例文④
「お世話になりました」は、ビジネスで得意先に出す挨拶状や案内文でも使います。これらの文書は不特定多数に宛てる場合が多いので商談などで使う場合と少し表現の仕方が変わります。
「平素より大変お世話になっている〇〇社営業担当の〇〇でございます。この度は弊社の新商品発表にあたり、お得意様感謝セールを以下の要領で開催しますのでご案内申し上げます」のような使い方をします。
ここでもう一度「お世話になりました」の日本語と英語の表現の仕方の違いをおさらいしてみましょう。日本語では「大変お世話になりました」だけで文章は成り立ち様々な場面で使えます。しかし英語には「お世話になりました」のような抽象的で曖昧な単語がありません。
一番近い英語は「Thank you(ありがとう)」ですが、「Thank you」を単独で使うのは友達同士などでは良いのですがフォーマルなビジネス英語では単独では使いません。「Thank you for〜」の「〜」の所に何について感謝するのか具体的な目的の単語を入れて初めて文章が成り立ちます。
他の「appreciate(感謝する)〜」や「never forget(決して忘れない)〜」を使う場合も同様に「〜」には必ず対象となる具体的な英語が入ります。つまり英語は曖昧で抽象的なままで文章を終わらせることができない言語です。
これは「お世話になりました」だけでなく全ての英語表現に通じることなので、これから英語を学ぼうとする人はこの表現方法の違いをしっかり頭に入れておかないと間違えた英語の直訳をしてしまうので注意しましょう。
「お世話になりました」は「手間をおかけした」という意味
「お世話になりました」は「手間や面倒をおかけした」という意味で、そのことにお礼や感謝の気持ちを伝える時に使う言葉です。
ここまで「お世話になりました」の意味や使い方、ビジネスでの使い方や英語表現など例文を上げて解説してきました。また日本語と英語の表現の仕方の違いも紹介しました。この記事を参考にしてビジネスや人生に役に立ててください。