出世払いの意味【一般的な解釈】
「出世払い」という言葉は日常的によく耳にします。後輩にご飯をおごる時、親が子供に何らかのお金を払う時などに利用されているのではないでしょうか。
しかし、「出世払い」の解釈は意外と複雑です。一般的な解釈としては「返済の必要のない借金」という風にとらえられ、形上は「お金を貸す」ことであっても返済してほしいという意思は含まれていません。では、意味や使われ方についてひも解いていきましょう。
出世払いの意味
それでは、「出世払い」の意味についてご紹介します。「出世払い」とは、成功や出世してから借りたお金を返済する行為や約束のことをさします。
つまり、建前上は「借金」という意味ではあるものの、そこに対して具体的な期限が設けられているものではなく「出世」「成功」という未来の可能性に対してお金を支払ってあげる、というものです。必ず返さなくてはならないといった意味は含まれないと考えてよいでしょう。
出世払いの使い方・例文
次に「出世払い」の使い方や例文についてご紹介します。使い方は、立場が上の人が下の人に対して何らかのお金を出す場合や、親が子供に対してお金を援助する場合、またはお金を出してもらう側が支払いをお願いする場合に「出世払い」という言葉が用いられます。
「出世払い」が利用される例文としては、先輩が後輩に対して「今回の食事代は出世払いで構わないよ」という風に使われたり、家族や兄弟に対して「出世払いで返すからお金を貸して下さい」という風に使われたりします。本格的な借金の場合にはこの言葉は使われない、という解釈が一般的です。
では、「出世払い」には他にどのような類義語を持っているのでしょうか。関連するワードを見ていきましょう。
出生払いの類語
「出世払い」の類語としては、「前約」や「信約」、「先約」があげられ、意味として事前に約束をするといった類があげられます。また、先輩におごってもらった際には「出世したら自分が今度は払います」という風に言うこともできるでしょう。
「出世払い」という言葉は解釈によって捉え方が異なるため、類語が実はたくさんあります。
出世払いの意味【法律的な解釈】
「出世払い」には、法的解釈があり、その中でも税法上や民法上など種類によって少しずつ解釈が異なります。では、法律によってどのような違いがあるのでしょうか。この違いについて心得ている人は意外と少ないはずです。以下に詳しく説明していきます。ぜひ、参考にしてみてください。
①税法上は贈与
「出世払い」の意味として税法上では、利子や取り立てなどが発生しないことから「贈与」という意味であると解釈がされます。「贈与」ということは贈り物という意味で返済を要求してはいないことになります。
しかし、法律上では「贈与税」がかかることになるので注意が必要です。では、民法上では異なる解釈がされています。以下にご紹介します。
②民法上は2種類の解釈
しかし、民法上において「出世払い」は2種類の解釈がされています。法律上、「消費賃貸の借用証書による出世または成功したのちに支払うという契約」という解釈があり、その中で「条件の解釈」と「期限の解釈」によって2つの見解があります。「出世払い」という同じ言葉であってもどのような違いがあるのかご紹介します。
2つの見解では、どのような違いがあるのか、「条件」と「期限」の解釈の2つについてご紹介します。
1.条件の解釈
まず、「条件の解釈」についてご紹介します。条件とは、「○○したら、」という不確定の未来について用いられるもので、達成されなければお金の返済をする必要がありません。例えば、「宝くじが当たったらこのお金を返済するよ」といった場合、宝くじに当たらなければ返済しなくてよいことになります。
このような解釈を「条件の解釈」と呼び、どちらかというと一般的な解釈に近いと言えるでしょう。上記に挙げた「宝くじ」の例のように達成される見込みが殆どないものも「条件の解釈」に含みます。
2.期限の解釈
次に、「期限の条件」についてです。期限とは到達することが確実なものに対して用いられます。そのため、法律上その時期が到来したら必ずお金を返済しなくてはなりません。例えば、「30歳になったら返済するよ」といった場合、時間がたてばその年齢になることは確実であるため、返済義務があります。
この解釈は、一般的に用いられるものとは異なる解釈と言えるでしょう。上記に挙げた年齢に限らず死亡した場合なども「期限の条件」として多く用いられます。
このように法律上では返済を義務とする見方も存在するため注意が必要です。双方の認知の違いが起きると裁判へ発展する可能性もゼロではないため、しっかり認識しておきましょう。
出世払いの英語表現
では、「出世払い」を英語表現で伝える場合、どのような単語を用いて何と言うのでしょうか。日常会話として「出世払い」という意味をなす英文をご紹介します。意外と知っているフレーズが用いられています。覚えやすい例文なのでぜひ覚えて使ってみましょう。英会話の幅が広がります。
pay me back when you've made it big
「出世払い」を英語で伝える場合、”pay me back when you've made it big”という表現を用います。”make it (big)”=出世する、という意味があり、最もシンプルな言い方です。”make it”という言葉には多様な意味があり、出世するという意味でも使われます。外国人の友達に用いてみましょう。英語能力が高いと認知されることは間違いありません。
次に、出世払いが実際に制度として導入されている例をご紹介します。法律上で返済の義務があったように以下にご紹介する制度は返済の期日があるものです。
出世払い制度の例
「出世払い」とは、日常会話の中で用いられることが多くあります。そして、一般的な解釈とは少し異なる、本当に「出世したら支払う」制度やサービスがいくつか存在します。今回は、「大学の奨学金」と「卒業旅行の賃金」を例にとり、その内容について説明します。特に学生の方に多く利用されているものです。是非参考にしてみてください。
大学の奨学金
1つ目は、大学の奨学金制度です。奨学金とは、経済的な理由で進学をあきらめることが無いよう、大学に通う学費を給付する制度のことです。大学卒業後、すなわち社会人として「出世した」のちに返済をする制度のことを指します。
しかし、奨学金返済額は大学を出た社会人1年目や2年目の給与に対してかなりの負担となり、自己破産するケースも少なくはありません。そこで近年では、そうした返済の負担を減らすために大学の学業成績によっては利子を無発生にしたり返済をせずに済む制度の導入も進められています。
卒業旅行の資金
2つ目は、卒業旅行の資金です。大学卒業前、最後の学生生活でたくさん思い出を作りたい、自由な時間でたくさん旅行に行きたい、そう思っている大学生も多いはずです。
しかし、たくさん旅行に行けるだけのお金を稼ぐことはアルバイトでは限界があるはずです。そのような大学生を救うために各種旅行代理店では、支払いを半年後など後払いの制度を導入し、社会人になってから支払うことを可能にしています。
このように、「出世払い」によって学生、特に大学生を支援する制度があります。では、旅行代理店が行う「出世払い」とはどのような制度が盛り込まれているのか、以下にご紹介します。
旅行代金出世払いとは
旅行の代金を先延ばしにする制度として「旅行代金出世払い」について少しご紹介します。「出世払い」が実際にどのようなサービスとして取り入れられているか見ていきましょう。
稼ぎの少ない大学生が卒業旅行を思う存分楽しめるように支払いを半年ほど先延ばしする制度を導入する旅行代理店があります。例えばH.I.Sではクレジット払いで最大7か月後まで支払いを伸ばすことができる制度を導入する他、学生を支援するためにWi-fiのレンタルを3000円引きにしたり旅先で使えるクーポンを発券したりするサービスがあります。
「学割」に並び、代理店はこのようにして大学生が旅行に積極的にいけるようにサポートする体制が整っており、その中の一つとして「出世払い」が存在します。
もちろん、このお金は返済義務があるためむやみにこの制度を用いて豪遊すると後で大変なことになりかねません。計画的に旅行に行くようにしましょう。
出世払いの意味を知って正しく使おう!
普段何気なく耳にする「出世払い」という言葉には、法律による解釈の違いが多様に存在します。意味を知らずに使っていると思わぬ落とし穴があるかもしれません。正確な意味を知り、正しい使い方を心がけましょう。また、「出世払い」に関わらず日常的に使っている言葉には思わぬ意味を含んでいるかもしれません。言葉の背景は積極的に調べましょう。