「まにまに」の意味まとめ!使い方・例文や語源・類語・対義語も紹介!

「まにまに」の意味まとめ!使い方・例文や語源・類語・対義語も紹介!

「まにまに」という言葉の意味をご存知でしょうか。古い言葉ですが、現代でも曲名や本・映画の題名に使われているので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。今回の記事ではこの「まにまに」の意味を解説すると共に、例文・語源・類語・対義語も紹介していきます。

記事の目次

  1. 1.「まにまに」の意味とは?
  2. 2.「まにまに」の対義語・類語
  3. 3.「まにまに」の使い方・例文
  4. 4.「まにまに」と「行雲流水」の違い
  5. 5.「まにまに」を使う際の注意点
  6. 6.「まにまに」の語源・歴史
  7. 7.「まにまに」の英語表記
  8. 8.「まにまに」の漢字
  9. 9.「まにまに」は「成り行きに身を任せる様」という意味

「まにまに」の意味とは?

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皆さんは「まにまに」という言葉の意味をご存知でしょうか。「まにまに」の一つ目の意味は「~のままに」「~に任せて」「~の思うとおりに」というものです。この場合は、「他人の意思や物事の成り行きに従って行動する様」「成り行きに任せる様」という意味合いになります。

二つ目の意味として「~につれて」「~とともに」「その動きに任せるさま」というものもあります。これは、「物事が、他の物事の進行とともに行われる様子」という意味での使い方となります。

どちらも「相手の状況や環境に合わせて身を任せて進む様子」という意味になります。つまり、「まにまに」の使い方とは、自分の意思ではなく周囲の環境があり、それとともに受動的に変わっていく時に使うものなのです。

「まにまに」古い意味と現代の意味

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「まにまに」の語源や歴史については、のちほど詳しくお伝えしていきますが、「まにまに」とは百人一首などに登場する古語となります。現代では普通に口にする言葉ではありませんが、現代では曲名・店名や、まんが・書籍・映画の題名などに用いられることが多いようです。

人気のボーカロイドプロデューサーであるれるりりが作詞作曲を手掛け、初音ミクが歌う「神のまにまに」は、ダンスがYouTubeに上がるほど話題になっています。

ちなみに、ボーカロイド初音ミクの歌う「神のまにまに」は、後程お話する百人一首の一節ですが、この歌詞の内容は古事記の天照大神岩戸隠の話がモチーフとなっています。「まにまに」という言葉が出てくるだけあって、日本の歴史も勉強できつつ気分が上がる曲となっています。

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「まにまに」とは、どこか雅な日本らしさが表せる言葉です。また、古い言葉でありながら現代でも用いられている魅力にあふれる言葉です。

日本古来からある「まにまに」は、柔らかく暖かみの感じられる言葉です。現代では、なかなか口にはしない言葉ですが、その響きの良さからも改めて注目されています。美しく味わい深い「まにまに」の使い方が分かれば、日本語の表現の幅も広がるはずです。

今回の記事では、「まにまに」の正しい使い方を学ぶために、対義語・類語・語源を解説していきます。また、百人一首に登場する例文なども挙げながら「まにまに」の意味を探っていきます。

「まにまに」の対義語・類語

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対義語とは意味が反対・対称になる言葉なのですが、残念ながら「まにまに」の明確な対義語というものは存在しません。

「まにまに」の対義語に当たる言葉を探すとなると、まず「成り行き任せ」の対義語を考えてみるのが良いかもしれません。「成り行き任せの」対義語は「強制する」という言葉です。次に「任せる」の対義語を考えてみると、「反論する・意義を唱える」などが該当します。

また、「まにまに」を「従う」という意味で捉えた場合には、対義語として「反抗する」「抗う」という言葉も挙げられます。

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「あなたにお任せします」や「風に吹かれるままに」という意味も持つ、「まにまに」の類語といえば、「従って」「~につれ」「受け身」「思いの儘に」「無抵抗」「気乗り薄」「成り行きまかせ」「行雲流水」「他律的」「控えめ」「消極的」など、様々な類語があります。

「まにまに」の使い方・例文

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「まにまに」の意味・対義語・類語が分かったところで、正しい「まにまに」の使い方をマスターしていきましょう。百人一首や万葉集などに登場する、古の言葉である「まにまに」は、あまり現代では使う場面がありません。

そこで、こちらではなるべく分かりやすい例文を見ていきます。また、百人一首や古今和歌集の中の和歌も例文として取り上げ、現代の言葉に置き換えてお伝えしていきます。

例文①

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まず一つ目の例文は、「時のまにまに身を任せる」という例文です。これは「時の流れるままに身を任せる」という意味です。こちらは、汎用性が高い使い方なので、現代でもあまり違和感なく使うことができる例文です。

例文②

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次の例文は「道のまにまにたどり着いた場所」です。この例文は、「道行くにつれて自然とたどり着いた場所」という意味です。「道なりに」という使い方ができ、道は言葉通り移動を示す場合もありますし、人生に例えて深みのある表現としての使い方をすることも可能です。

例文③

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三つ目の例文は「心のまにまに漂うことになった」というもの。この例文の意味は「気持ちのままに今は漂うことになった」です。気持ち次第という曖昧な意味も持ちますが、どんな心持ち・状況も受け入れていくという前向きな使い方も可能なので、様々な場面で使用できます。

例文④

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次の例文は、「静かに波のまにまに漂っていた」です。「波に誘われるままに漂っていた」という意味のほか、「波につれて」「波とともに」という意味もあります。この「波のまにまに」という言葉は、歌詞にもなっているので身近に感じられる使い方かもしれません。

例文⑤番外編【和歌に見る例文と意味】

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「まにまに」は百人一首にも登場してきます。「百人一首」とは、一人一首ずつ、100人の優れた和歌を集めたもの。特に藤原定家が選んだ秀歌撰である「小倉百人一首」は、「歌かるた」としても広まり、通常「百人一首」と言えば「小倉百人一首」を指すまでになりました。

そして、平安時代前期の勅撰和歌集である「古今和歌集」からも、和歌を例文として取り上げ、その意味を現代語で説明していきます。

百人一首からの例文と意味

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こちらでは、小倉百人一首の中の和歌を例文に挙げて説明していきます。「このたびは幣も取りあへず手向山紅葉の錦神のまにまに」この和歌の作者は、学問の神様と呼ばれた菅原道真です。

この歌の意味を現代語で説明すると、「今度の旅は、急なことだったので道祖神への捧げ物である幣(きぬ)も用意する暇もありませんでした。代わりに京都から奈良へ向かう山々の鮮やかな紅葉を捧げますので、神様どうぞ御心のままにお受け取りください」という意味になります。

この歌の中の「まにまに」は、一見成り行き任せではないように見えますが、神が受け取るかどうかは分からないので、「神の心まかせ」であるという状態を表しているのです。

古今和歌集からの例文と意味

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もう一つ古い和歌を例文として挙げてみましょう。こちらは古今和歌集の小野小町からの恋の歌に、小野貞樹が返答した歌です。「人を思ふ心この葉にあらばこそ風のまにまに散りもみだれめ」

これは、「あなたを思う心は木の葉ではないのですから、風にまかせて他の女性に心を移すことなど、どうしてあるでしょうか」という意味の和歌になります。

他にも「花散れる水のまにまに」「ゆきのまにまに跡はたづねん」「漕ぎゆくまにまに」など、百人一首・古今和歌集・土佐日記などで、「まにまに」は頻繁に使われている雅な言葉なのです。

「まにまに」と「行雲流水」の違い

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「まにまに」の類語として「行雲流水」という言葉があります。「行雲」とは空を移動していく雲を、「流水」とは川を流れる水を指します。つまり「まにまに」の類語である「行雲流水」とは、「深く物事にこだわることなく、自然と成り行きに身を任せること」という意味になります。

例文①にある「時のまにまに身を任せる」と、一見同じように思えますが、「まにまに」は自分の意思ではなく、受動的に変わっていく様を表すので、その点に違いがあります。「行雲流水」は受動的な態度ではなく、成り行きに任せて好きなように行動するという積極性があるからです。

「まにまに」を使う際の注意点

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「まにまに」は、日本古来の美しい大和言葉の一つです。そして、映画美術の巨匠・木村威夫が90歳で初めて監督を務めた、映画「夢のまにまに」。内田春菊の著書である「波のまにまに」、上記でご紹介した楽曲「神のまにまに」と、現代でも「まにまに」は多く使われています。

しかし、美しく味わいのある大和言葉は、あまり使い過ぎると妙に目立ってしまう点が要注意です。「まにまに」という言葉を心に留めておくだけでも、表現の幅が広がりますし、話し言葉の中にほんの少し取り込むだけでも、周りの人の耳に優しく響くはずです。

ビジネスシーンでは使えない

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最近は大和言葉が見直され、堅苦しい印象のメールも大和言葉を使うと、柔らかい印象になると推奨されています。たとえば、「ひとかたならぬお引き立てをいただき、ありがたく存じます」なども大和言葉を使ったビジネスメールです。

しかし、「まにまに」を会社で使うと、どうなるでしょうか。「心のまにまに、どうぞ意見を言ってください」と会議で発言したら、やはり違和感があり周りからは間違った言葉を発言したと思われてしまうでしょう。そのため、「まにまに」をビジネスシーンで使うことは、お勧めできません。

「まにまに」の語源・歴史

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ここまで「まにまに」の意味・対義語・類語や使い方をお話してきましたが、こちらでは「まにまに」の語源・歴史について詳しく解説していきます。日本に古くからある、「まにまに」という言葉の語源や歴史を知ることで、言葉の意味や正しい使い方への理解を深めてみて下さい。

語源

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「まにまに」の語源とは、名詞の「まにま」に格助詞「に」が付いたことから始まります。格助詞とは日本語の伝統的な品詞であり、日本固有の言葉である大和言葉では「あとことば」とも呼ばれていました。主に名詞について、その名詞と他の語との意味関係を表します。

「まにま」の語源は「成り行きや他の人に意思に従うこと」というものなので、これに格助詞「に」を付ける事で、「成り行きや他の人に意思に従う様」と、変わっていく様子を表しているのです。

九世紀中ごろから「まにまに」から「ままに」へ、移行されたと推察されます。十二世紀初頭には歌の中でも徐々に使われなくなり「ままに」がとって変わりました。これが現代で使われている、「ままに」の語源となります。

歴史

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さきほど「まにまに」は、古今和歌集や小倉百人一首にも登場する、古い言葉であるとお話しましたが、さらに歴史は古く日本最古の歴史書とされる、「古事記」にも頻繁に登場しています。古事記は、和銅年5に太安万侶が編纂し、元明天皇に献上した書物ですから深い歴史が感じられます。

大国主命の国譲りの中には「天神の御子の命のまにまに」とあります。これは「天神の御子の御任命のままに聞き従います」という意味です。

いなばの白兎の中には「その族のありのまにまに」という文章も見られ、数多くの「まにまに」という言葉が古事記の中で使われています。

「まにまに」の英語表記

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「まにまに」を英語で表記すると、どうのようになるでしょうか。「まにまに」自体の英語は、「give oneself to ~」が挙げられます。「surrender oneself to」は、何か大きな存在に身を任せる場合に使用される英語です。

「波のまにまに漂う」という言葉は、「be the sport of the waves」「drift with the wave」という英語表現となります。

類語でもある「思いの儘に」は、「As one please」という英語表記になります。また、「まにまに」の類語に近い「好きなように」は、「at one's pleasure」。そして、「御意のまにまに」の英語表記は、「Do as you please」となります。

「まにまに」の漢字

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辞書を引いてみると「まにまに」の漢字は、「随に」と表記されています。これは「まにまに」の語源が「~につれて」という言葉である事から、「したがう・ついてく」という意味を持つ「随」という漢字が当てられたようです。ちなみに「随意」とは、「思いのまま・言いなりになる」です。

現在でもよく使われる「ままならない」という言葉の「まま」も、「まにまに」から転じた言葉です。「まま」も「まにま」も和語なので、漢字自体は当て字となっており、「まにま」は「随」、「まま」は「儘」という漢字が使われています。

「随」と「儘」は類語ですが、もう一つの類語である漢字に「任」という文字があります。このように同じ語源の言葉でも、規則性なく違う漢字が当てられていることは良く見られる事です。

「まにまに」は「成り行きに身を任せる様」という意味

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「まにまに」とは、「成り行きに身を任せる様」という意味です。今回の記事では、「まにまに」の意味のほか、語源・類語・対義語を、例文を見ながら解説していますので、「まにまに」という言葉の、奥ゆかしさや雅さを感じていただけたのではないでしょうか。

成り行きに身を任せながら、周りの環境と共に変化していく様子を表す「まにまに」は、協調性を大切にする日本人にぴったりな言葉です。また、普遍的な魅力を持った言葉でもあります。

「成り行きに身を任せる」という行為は、一見楽なように見えて実は勇気のいる行動です。他者や環境に合わせ、足並みをそろえるということは、現代においても重要な概念です。日本の歴史や文化を表す「まにまに」という言葉の魅力を、これからも後世に大切に伝えていきましょう。

猫山まめた
ライター

猫山まめた

企業に20年以上勤めた経験を生かし、ライティングのお仕事も正確さ・丁寧さを大切に取り組んでいます。趣味は、映画・旅行に時々ピラティス。そして、今は暮らしのことに興味を持ち、すっきりした生活を目指しています。趣味も暮らしも「シンプル」がモットーです。

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