ミクロとマクロの意味とは?
大学で経済学を専攻していた人や、投資を行う人ならミクロとマクロという言葉を聞いたことがあることでしょう。ミクロとマクロは経済やビジネスでよく使われる言葉ですが、その正確な意味を知っている人はあまりおらず、誰もがざっくりとしたイメージしか掴んでいません。
ここではミクロとマクロにはどんな違いがあるのか、ビジネスシーンでの使い方やミクロとマクロという言葉を使う上で注意しておくべき項目等をご紹介します。
特に株式やFX、投資信託や不動産、債券等の投資をしている方にとってミクロとマクロの考え方を知っておくことは投資の成否に大きく関わるのでよく理解しておくことが大切です。
ミクロとマクロの由来
ミクロとマクロの言葉は英語の「micro」と「macro」という表現からきていますが、そのルーツはギリシャ語です。ミクロは「小さい」マクロは「大きい」という意味を持っています。
他にも「短い」「長い」という意味合いも持っており、このことからもミクロちマクロは単純な大きさを指す言葉ではなく物事のスケールを表す言葉であることが分かります。
ミクロとマクロは似た響きの言葉通しですが、その意味は全く真反対の意味を持っています。経済学においてのミクロとマクロは意味こそ真反対ですが、それは同じ事象を見ている視点が違うというだけなのです。
ミクロとマクロの特徴
ミクロとマクロの言葉には経済で使われる意味もあれば、化学の分野やビジネスシーンでの意味合いも持っている言葉です。ここでは使い方別のミクロとマクロの意味が持つ特徴をご紹介します。
ミクロとマクロは様々な分野で使われる言葉です。経済学の分野ではミクロとマクロの視点の両方で物事を見る事によってより理解が深まると言われており、対応や良いアイデアの元になるとも言われています。
科学の分野においては、物の大きさを計る単位や事象の成り立ちを研究するのに使われます。果てしない宇宙のことから、小さな細胞、原子レベルのことまでを考えます。マーケティング分野では物事を考える仕事術のポイントとして使われます。
ミクロは小さいという意味
ミクロは英語で表現すると「micro」と表します。どこか見覚えがある言葉ではありませんか。そう、「microSDカード」「Microsoft」等で見られる「micro」です。実際の正しい読みは「マイクロ」と言います。
「micro」は大きさの単位を表す言葉です。1m(メートル)、1mm(ミリメートル)よりも更に小さい1μm(マイクロメートル)のことで、1mmの1000分の1の大きさを意味します。
肉眼ではまず見ることが出来ない大きさで、顕微鏡等の機器を使わなければ見ることが出来ません。「ミクロの世界」というフレーズは人間の目には見えない微生物や細菌、細胞レベルの世界のことを言います。
これらは化学の世界での話で、他分野においての「ミクロ」は一家庭や一個人、小さく限定的な範囲での視点のことを指す言葉で、雇用や消費等の経済状況の分析に使われます。
物事を捉える視点的な意味も持っています。ミクロの視点とはある事象の中で起きていることの一部分を見る視点のことを言います。これはビジネスシーン等で使われ、上手い仕事術の1つとしてミクロ視点が大切だと言われています。
マクロは大きいという意味
「マクロ」とは「大きい」「巨視的」という意味があります。ミクロには単位がありましたがマクロには大きさを示す単位というものがありません。マクロは抽象的な「大きいい」と表し、その大きさを具体的に表現出来る単位がない、またはそれ以上に巨大なものに使われます。
例えば宇宙を地球や火星等の天体そのものにフォーカスするとそれはミクロと呼べますが、それが宇宙全体、もしくはもっと大きな天体である太陽にフォーカスを当てるとそれはマクロと呼べます。
このように宇宙に例えても物の見方によってミクロともマクロとも呼べます。簡単に言うなら一個一個を見ることをミクロ、全体を捉えることをマクロと呼びます。
ミクロとマクロの違い
ミクロとマクロは物事の事象の視点によって判断基準が違うことが分かりました。では、ミクロとマクロを明確に分けるなら一体どんな違いがあるのでしょうか。
ミクロもマクロもその事象や物事によって判断基準が変わります。そんな中で明確にこれは「ミクロ」でこれは「マクロ」だ呼ばれるものはあるのでしょうか。ミクロとマクロは経済学等様々な分野で使われる言葉ですが、とても抽象的な言葉でもあります。
ここではミクロとマクロを大まかに分ける場合、どんな違いがあるのか、ミクロとマクロという言葉が持つ、明確に違うという点についてご紹介します。
物事を見る時のスケールが違う
ミクロとマクロで明確に違う点を挙げるならば、「物事を見る時のスケールが違う」という点が挙げられます。ミクロとマクロは抽象的な言葉なので物事の事象の規模によってミクロとマクロの境界線が分かれますが、その範囲の中では確かにミクロとマクロが存在します。
ある事象の範囲内で、限定的、もしくは個々に注目すること、またはその視点のことはミクロと言います。マクロはその事象全体、もしくは全体の大部分を占める範囲に注目することを言います。
このようにミクロとマクロでは物事を見る、分析する時のスケールが違います。とても複雑で難しいように思えますが実はそんなことはありません。
例えば、あなたがもし、日本の株を買おうと思った時買いたい株の会社について調べたいとします。その時、その会社そのものだけについて調べることをミクロと言い、その会社を取り巻く日本の経済状況は世界状況を調べることをマクロと言います。
このようにミクロとマクロは、物事を捉える時のスケールが違います。しかしこれは経済やビジネス分野での話で、化学や天文学の分野ではまたニュアンスが違ってきます。
単純な意味で大きさが違う
化学や天文学等の分野ではミクロとマクロは、単純な大きさという意味での違いもあります。マクロは違いますが、ミクロという言葉は先ほど説明した通り、1マイクロメートルという意味も持っています。
しかしミクロは明確な単位がありますが、マクロの場合は単位ではないのでその意味としては「全体的、抽象的」という意味になります。
例えば、宇宙全体の広さなんて誰にも知り得ません。今現在でも常に広がり続けているとも言われ、その広さを何かの単位で測ることは不可能です。
このような具体的に数値に出来ない程の大きさ、曖昧さを持った巨大な物に対してはマクロという言葉が使われます。この場合、ミクロは「具体的」マクロは「抽象的」という意味として捉えられます。
ミクロとマクロの使い方
ミクロとマクロという言葉は様々な分野で使われます。ここでは実際にミクロとマクロという言葉を使ったフレーズや使い方をご紹介します。ミクロとマクロは経済学や投資、ビジネスの分野においては重要な要素を占めています。
ミクロとマクロの違いや使い方を知ることはもちろん、その分野においてのミクロとマクロの全体像をしっかりと理解しておくことはとても大切です。抽象的な言葉である以上あやふやになりやすい言葉でもありますが、正しく理解出来るよう努めましょう。
例文①ミクロ経済とマクロ経済
ミクロ経済とマクロ経済は、経済学分野においてのミクロとマクロです。人や企業、国が行う経済活動について分析を行う時に用いられる学問で、お金や企業の行動に関する学問と覚えておけば分かりやすいでしょう。
経済学は資源の活用や効率化についての学問で、その中でのミクロ経済学とマクロ経済学は、個人個人の消費活動や産業の効率性、また国全体の経済活動の分析するものです。
経済学は分析する対象によってミクロ経済学とマクロ経済学に分かれます。ミクロ経済学は1つの産業を対象として効率性や生産性の分析を行うものです。自動車やスーパーマーケット、飲食業等の1つの分野の産業についてフォーカスを当てたものです。
マクロ経済学は、そういった産業全体での需要や供給、それらの経済活動が行われる国そのものの経済状況についての効率性を分析するものです。
なのでミクロ経済学とマクロ経済学はどちらか一方を学ぶのではなく、どちらも学ぶ必要がある2つで1つのセットになっている学問です。
例文②ミクロの世界とマクロの世界
ミクロの世界とマクロの世界は、科学の分野での使い方です。ミクロの世界は、微生物や細胞、細菌等の私達の目には見えない顕微鏡を覗かないと見えないような極小の世界での視点のことを言います。
マクロの世界とは、太陽系や銀河群、または宇宙全体等の、とてつもなく巨大なものの世界のことを言います。マクロの場合は単位というものがない抽象的な表現なので、全体像を捉える表現と考えられてます。
科学の分野においては、ミクロの世界とマクロの世界は別々で考えられるもので、場合によっては宇宙構造と原子や分子の関係から両方について調査、研究されることもあります。科学分野においてもミクロとマクロはとても重要な要素を占めています。
例文③ミクロ視点とマクロ視点
ミクロ視点とマクロ視点は、ビジネスの分野での使い方です。ビジネスにおいて、仕事や計画を効率良く高水準でこなすには、このミクロ視点とマクロ視点が極めて重要だと言われています。
ミクロ視点は自信の周辺状況や物事の1つ1つを注意深く観察して、個々の質を高めることを言います。ミクロ視点は別名「虫の視点」とも呼ばれます。広い世界を見る事は出来ませんが、目の前の細かい物事を着実にこなす力をつけることが出来ます。
マクロ視点は、物事の全体像を捉えて、目標と現状を把握し、その過程に何が必要かを考える視点のことを言います。
このミクロ視点とマクロ視点は、どちらにもデメリットがありますが、両方の視点を兼ね備えることでお互いのデメリットを打ち消しあい、よりクオリティの高い仕事が出来るようになると言われています。
例文④ミクロ環境とマクロ環境
ミクロ環境とマクロ環境は、マーケティングの分野での使い方です。主に企業研究や投資判断の材料としての使い方をします。
ミクロ環境は企業やその業界での需要と供給、顧客や同業種の競合率の推移や分析のことを指します。マクロ環境は、そんなミクロ環境の外にある、国の経済状況や世界情勢、自然環境や資源、文化、人口等の世界全体に影響するような大きな事柄を分析することを指します。
これから株式や投資信託、FX、債券等の金融商品に投資をしようと考えている方は、このミクロ環境とマクロ環境の分析をする力がとても重要になります。それらの分析を行わずに投資を行うのはギャンブルと同じで、とても危険な行為に当たります。
ミクロとマクロの注意点
ミクロとマクロという言葉は、分野によって使い方や意味合いに違いがあります。なので、間違った使い方や理解の仕方をすると、勉強が行き詰まったり、思った方向とは別の所にベクトルが向かってしまうことにもなってしまいます。
ここではミクロとマクロという言葉が持つ注意点についてご紹介します。ミクロとマクロは分野は違っても共通のニュアンスを持っており、その定義には曖昧な部分もあります。正しい意味を理解して使うのが大切です。
特にマーケティングやビジネスシーンでは正しい意味を理解しておかなければ恥をかいたり、思った以上の成果が出ない、ということにもなりかねません。
正しい意味で使おう
ミクロとマクロの意味は、おおまかにいうと「スケールの違い」という意味を持っています。それはどの分野であっても共通の認識ですが、更に詳しく掘り下げていくと微妙にニュアンスが異なってきます。
例えば科学の分野でのミクロとマクロは「単純な大きさの違い」というニュアンスを持っていますが、経済やビジネスの分野では「物事を捉える視点の違い、事象のスケールの違い」というニュアンスを持っています。
また、ミクロとマクロは言葉の響きが似ていることからそれぞれを逆の意味で理解してしまうこともあります。ミクロは「小さい、具体的」という意味で、マクロは「大きい、抽象的」という意味であることを覚えておきましょう。
ミクロとマクロはスケールの違いという意味
ミクロとマクロにはそれぞれの意味に違いがありますが、「大は小を兼ねる」とも言うように、二つ共をバランスよく取り入れることで初めて理解が深まるものでもあります。ミクロとマクロは二つで一つとも言える相関関係を持つ言葉です。
なのでミクロとマクロについて学ぶ時は、どちらか一方だけの使い方を学ぶのではなく、両方のを学ぶことが大切です。どんな分野であれ、ミクロとマクロは私達の生活に密接い関わっているものなのです。