ストレリチア(極楽鳥花)の育て方を覚えよう!
ストレリチアは別名極楽鳥花といいます。飛ぶ鳥のような美しい姿についた名前の植物です。ストレリチアは日本国内でもよく見かけることができます。
庭先の花壇、リビングの一角、名前は知らなかったけれど花を見たことはある、という人も多いことでしょう。この美しい花を育ててみたいと思いませんか。ストレリチアは小さな庭先でも、室内でも育てることができます。真夏の湿気と真冬の寒さを避けるだけです。
日本でよく見かける種は別名極楽鳥花のレギネー、ノンリーフ、ニコライの3種類、それぞれ色や形の特徴が違います。暑さや乾燥、それぞれの特徴に合わせた水やりや植え替えのタイミングがあります。そこで、美しい花をつけるための上手な育て方をご紹介しましょう。
ストレリチアとはどんな植物?
美しいオレンジの花をつけるストレリチアは、ゴクラクチョウ科の植物です。漢字で極楽鳥花と書くストレリチアはその名の通り、美しい鳥の頭のような花が特徴的です。
ストレリチアは4種類あり、品種によって特徴を変える植物です。特徴的な花を楽しむもの、観葉植物として葉を楽しむものとがあります。南アフリカ原産で太陽を好みますが、日光に当たる場所なら、どんなところでも育てることができます。
植物そのものは暑さに強く、乾燥にも強い育てやすい植物です。4月から10月にかけて、飛ぶ鳥のような美しい花を咲かせます。別名バードオブパラダイス、まさに極楽鳥花という呼び方もあります。花そのものは真夏の暑さに弱いため、春、秋に花を付ける植物です。
ストレリチアの特徴
ストレリチアは南アフリカ産のため、乾燥に強く逆に真夏の暑さ、湿気には注意が必要な植物です。ストレリチアの特徴は、鳥の姿を思わせる美しい姿です。
ストレリチアにはレギネー、ノンリーフ、ニコライという種類があり、それぞれ葉の形や茎の長さ、背の高さ、花の色が違います。共通する特徴は、鳥の頭や羽を広げたような花の美しい姿です。まっすぐに上に伸びた凛とした茎も特徴的です。
茎からではなく、根元から独立して伸びる葉の形も独特で、潔い姿からつけられた花言葉も特徴を表しています。他の植物や花と違う美しい姿は、庭先だけでなく、室内の観葉植物、生け花の素材としても利用されています。
ストレリチアの基本情報
ストレリチアは、園芸分類がアフリカ原産の熱帯植物、形態は常緑多年草です。花の色は種類によって異なり、白や黄色、橙、青、紫、オレンジ色になります。
日本でよく見かける種はレギネ、ノンリーフ、ニコライの3種類、それぞれ葉の大きさや背の高さなどの特徴があります。開花は4月から10月、暑さには比較的強い植物ですが、花は真夏の暑さや湿度に注意が必要で、日陰を苦手とします。8月を除く開花を楽しみましょう。
ストレリチアは、日陰と湿気が苦手なので、日光に当たりやすく水はけの良い土で育てることが大切です。観葉植物の中では比較的高い背も特徴的です。低いものでも1m、高いものだと10mになります。観葉植物としても、生け花の素材としても楽しむことができます。
ストレリチアの花言葉
ストレリチアの花言葉は、「気取った恋」「恋の伊達者」「輝かしい未来」「寛容」です。ストレリチアの花言葉は種類のよっても違います。
和名が極楽鳥花のレギネーの花言葉は「寛容」「輝かしい未来」、ノンリーフは「寛容」、ニコライには「あたたかい心」という別の花言葉もあります。気取った恋、恋の伊達者という花言葉は、ストレリチアのツンと澄ましたような見た目からつけられたのではないでしょうか。
輝かしい未来も、空に向かって真っすぐと伸びる茎、そしてその上に輝く美しい花の姿から想像された花言葉と言われています。他にも「強運」「万能」「女王の輝き」といった花言葉もあり、いかにも力強さや完璧さ、潔さ、神々しさなどをイメージする言葉が似合う花です。
ストレリチアの育て方①環境
ストレリチアは南アフリカ原産の植物で、アフリカの草原を思わせる気候、乾燥と日の光を好みます。そのため、日本の環境で最も注意すべき点は、湿気の高い水はけの悪さです。
そこで、湿度に注意し水はけのよい土で育てることが一番大切です。また、お日様が大好きで日陰が苦手のため、日照時間が短い冬場は育てる場所に注意が必要です。寒さにも決して強くないため、冬は室内の日当たりの良い環境を選びましょう。
季節ごとに庭先と鉢植えに変える場合は、植え替えの方法や時期などにも注意が必要です。常緑多年草のため、上手に育てると何年も、何か月も開花させることができます。ストレリチアの好きな環境、注意する環境を知って、長い期間楽しみましょう。
置き場所
ストレリチアは、地面の土に直接植えても、鉢植えにしても育てることができます。直接植える場合は、日当たりの良い南側の障害のない場所を選びます。
湿気を嫌うため、土は水はけのよいものを選びます。庭の土の性質がストレリチアに合っていない場合は、必要な土に入れ替えをしてあげましょう。鉢植えの場合は、日当たりの良い場所を探して置き場所を決めてあげましょう。
冬の寒さは苦手としますので、日当たりの良いベランダに面した室内に置いてあげると喜びます。置き場所の基本は、日当たりがよく、できるだけ乾燥した場所を選び決めるようにしましょう。また、まっすぐに茎が伸びる背の高い植物のため、強風にも注意しましょう。
屋外の場合
屋外で育てる場合は、土に直接植える方法と、鉢植えで育てる方法があります。直接植える場合は、耐陰性が低いため、日陰は避けるように植えましょう。
また、湿気も嫌うため水はけのよい土がある場所を選ぶことも大切です。樹木や家など、日光を遮るものがない場所を選んであげてください。家の場所の地目が元沼地や田んぼの場合は、直接地面に植えずに鉢植えにする方法がおすすめです。
お日様が好きですが、葉が日焼け「葉焼け」をしてしまうことがあります。強い直射日光が当たる真夏は、風遠しの良い遮光性のある場所に移動させます。地面に植えている場合は、遮光性のある寒冷紗などで、少し日の光を弱くしてあげましょう。
室内の場合
ストレリチアは日陰に弱いため、一年を通して室内で育てるのは難しいとされています。室内で育てる時は、日当たり、クーラーの風に注意をしてあげましょう。
マンションなどの集合住宅でも可能であれば、真冬以外はベランダなどの屋外で育てることをおすすめします。もしくは、週に2~3日間屋外に鉢植えを屋外に出して日光浴をさせてあげましょう。光が不足すると葉柄が、無駄に長く伸びてしまいます。
花に栄養が行きわたらなくなるので、注意しましょう。乾燥に強いストレリチアですが、エアコンの風に当たると枯れてしまうことがあります。エアコンの風ではなく、自然な風が当たる風通しと、日当たりの良い場所を探してあげましょう。
適した温度
ストレリチアは、25度が適温になります。25度というと春、秋の気温になるため、育て方に注意が必要と思われます。しかし、冬でも日当たりの良い3度以上の場所なら、管理することができます。
真夏の暑い日は風通しの良い場所に、真冬は日当たりの良い室内に、と場所を移動させてあげると元気に育ちます。逆に適温にするためにエアコンの下などに置くと、葉が枯れてしまうこともあります。40度未満なら無理にエアコンの近くに置くよりも、自然の温度に合わせましょう。
真夏は、遮光性のあるカーテンなどを利用し、強い日光を遮り涼しい環境を作ってあげます。真冬は日当たりの良いベランダは、20度を下回っても大丈夫です。育て方の目安となる適温は25度に合わせるようにし、温度以上に風通しや日当たりを注意してあげましょう。
適した用土
和名極楽鳥花のストレリチアは、水はけの悪い場所が苦手です。そこで、水はけのよい土を用意してあげます。ホームセンターでは、育てる植物によって様々な土があります。
市販の観葉植物用の土は、水はけがよいもの場多くあります。観葉植物を育てる専用の土を用意してあげましょう。観葉植物用の土は粒子が粗く、水はけよく作られています。ブレンドする場合は、観葉植物用の土:赤玉土:鹿沼土を4:1:1の割合にします。
土の表面には赤玉土や鹿沼土、化粧砂などを無機質の土で覆いましょう。無機質の用土はコバエなどの侵入を防ぐ効果があります。水はけがよく、虫の害などにも注意しながら、ストレリチアにふさわしい土を用意してあげましょう。
ストレリチアの育て方②お手入れ
ストレリチアの一番の楽しみは、美しい花を長く開花させることです。極楽鳥花のストレリチアを、より美しく育てるために必要なお手入れについて紹介しましょう。
植物は土や光、温度や湿度で大きく成長が違ってきます。しかし、そのほかにも水やりの回数や時間、肥料の与え方、害虫などにも注意が必要です。長く育てるためには、鉢と株の大きさが合わなくなり、植え替えをしたり剪定が必要になることもあります。
ストレリチアも同様で、極楽鳥花の名にふさわしい花をつけるためには、夏や冬と気温や気候による水やりの違いにも注意します。屋外でも元気に育つストレリチアですが、より美しい花のために、剪定の時期、植え替えの時期と細かい注意点をご紹介しましょう。
水やりの仕方
ストレリチアに水やりをしたら、葉が丸まってしまった、という話があります。植物への水やりは、花や葉の上からやる方法と、根元に水やりする方法があります。
ストレリチアは乾燥に強い植物のため、根元が乾いてきたら水をあげる程度でも十分です。しかし、花をつける夏と、休眠状態に入る冬では水を吸収する力も異なります。そのため、同じ株でも季節に合わせて水やりの量を変えることが大切です。
育て方が難しくないストレリチアですが、水はけが悪いと根腐れしてしまいます。鉢の受け皿の水は溜めないよう注意してください。水があまり必要のない時期もありますので、水やりのタイミングを知って、育て方に適した水やりをしましょう。
夏の水やり
ストレリチアは多肉植物と同じように、根に水を貯えることができます。そのため、夏でも必要以上の水やりは避けてあげましょう。土の表面が乾燥した時が水やりのタイミングです。
土の表面が乾いたら、生育期の4月から10月はたっぷりと水やりをします。目安は鉢の底から水が流れてくるまでです。土に植えている場合は、根付いた後は根が地中から水を吸い上げます。雨の降らない日が続き、土の表面が乾燥しない限りは、水やりは不要です。
根付くタイミングや季節、開花に合わせて水やりの量を調整してあげましょう。また、根だけでなく葉に水をあげることで、ハダニの発生を防ぐことができます。夏の水やりは特に、葉の表裏両面にも、しっかりと水をかけてあげてください。
冬の水やり
冬はストレリチアにとって休眠期になります。生育が止まるため、根から水を吸い上げる力が弱まります。必要以上の水やりは、根腐れの原因になります。
そこで、ストレリチアの冬の水やりは、最低限で十分と言われています。乾燥が気になるときは、葉の両面に霧吹きで水をかけてあげる、葉水だけでも葉につやが出てきます。鉢植えの場合は、根腐れを防ぐために、受け皿に水を溜めて置かないということも重要です。
根から水を吸い上げる力が弱っている季節になったら、水やりは極力避けます。寒さを感じて、花が終わりを迎えたら、ストレリチアを休ませあげるようにしましょう。そして、また開花の時期を迎えたら、水やり開始を忘れないでください。
肥料の与え方
ストレリチアの肥料には、有機質肥料、石灰系、リン酸系があります。有機質肥料は魚粕や菜種粕、燻製骨粉、発酵鶏糞などがあり、それぞれを適量で配合したものです。
ストレリチアの鉢の大きさに合わせて、根元よりも少し離して土の上に一握り、二握りを蒔いていきます。その後、肥料が散らないように離れた部分に水やりをします。肥料を与える時期は、生育と開花が見られる4月から10月になります。
冬は生育がゆるやかになるため、肥料を与える必要はありません。置き肥の場合は、緩効性のあるものを、2か月に1回くらい追肥します。液体の場合は、水やりと一緒に2週間に1回のペースで与えてあげましょう。春になったら追肥を忘れないでください。
剪定のタイミング
ストレリチアの剪定は、樹形を作ることが目的ではなく、古くなった葉を定期的に取り除くことが目的の剪定になります。古い葉を取り除くことで、新芽に栄養が回るようにします。
ストレリチアは、4月から10月にかけて生育が進むため、中心から新しい葉が生えてきます。その時、外側の古くなった葉を剪定します。そして栄養が新しい葉に行きわたるようにします。剪定の時期は、この4月から9月までが理想的と言われています。
葉が傷んだり黄ばんできたり、新しい葉が中心から見えてきたら、古い葉を根元から剪定しましょう。剪定した後に、新しい葉に栄養が行くように、剪定の後、追肥をすると良いでしょう。10月は生育が落ち着く時期になりますので、遅くても9月までがおすすめの時期です。
植え替え時期・やり方
ストレリチアは毎年葉が増えるたびに、株が大きくなっていきます。狭くなった鉢から大きな鉢に植え替えたり、植え替える時に株を増やすこともできます。
ストレリチアの植え替えは、1から2年に1回のペースで、生育が始まった5月から9月の間に行います。根が鉢いっぱいになると、鉢を壊すこともありますので、2年以内に1回は植え替えをしましょう。植え替えをするときは水やりを控え、土を乾燥させほぐしやすいようにします。
新しい鉢は底からネット、鉢底石、土を1/3ほど入れて、ストレリチアを植えます。古く黒ずんだ根は切り落として、新しい鉢に入れ残りの土をかぶせます。株分けもこのタイミングで行い、最後に水を鉢底から出るくらい、たっぷりとあげましょう。
ストレリチアの注意したい害虫
植物を育てる時につきものが害虫です。ストレリチアにも、屋内外問わず様々な害虫が寄ってきます。そのため、害虫や病気に注意することが必要です。
ストレリチアの生育で注意する害虫は、カイガラムシ、ナメクジ、ヤトウムシです。比較的病気に強いストレリチアですが、水のやりすぎによる根腐れには注意しましょう。中でも、ほとんどの植物の栄養を吸い取って増殖するカイガラムシは、ストレリチアにとっても危険です。
屋外に置くと発生しやすい害虫ですが、屋内で育ててもカイガラムシは発生します。むしろ、雨風をしのげて一定の温度を保つ屋内はカイガラムシにとっても居心地の良い場所になります。ナメクジも畳から侵入するなど屋内でも発生する害虫になります。
カイガラムシ
カイガラムシは、硬い貝の殻のようなものをまとった虫で、国内でも5種類以上のカイガラムシが発生しています。カイガラムシは、ストレリチアの栄養を吸収して増殖していきます。
屋外で育てる場合は、テントウムシが天敵となる種類もありますが、全てのカイガラムシに有効というわけではありません。まずは、葉についてしまったカイガラムシは、歯ブラシでこすって落とします。カイガラムシを原因とするすす病が見られたら、ぬれタオルでこすって落とします。
5月から7月にかけて、カイガラムシは産卵、羽化します。この時期にオルトラン顆粒を水に溶かした殺虫剤を蒔きましょう。オルトラン顆粒の殺虫剤をスプレーすることで、カイガラムシが増えることを防ぎ、ハダニも予防する効果があります。
ナメクジ・ヤトウムシ
昼間は土や葉の根元に隠れ、夜になるとカサカサと活動をするのがヤトウムシです。ヨトウムシ(夜盗虫)とも言い、葉野菜の被害が良く見られます。
野菜の場合は、土を掘り返したり上からネットをかぶせて、卵を産み付けられないようにします。ナメクジは新芽を食害するため、誘殺剤を用いて除去しましょう。どちらも、すぐに枯れるといった被害はありませんが、葉が傷む原因になります。
ストレリチアを定期的に見守って、ナメクジやヤトウムシを駆除するようにしましょう。ヤトウムシは成虫になると駆除が難しくなります。一度卵を産みつけられると厄介な虫のため、幼虫のうちに殺虫、防虫をして駆除しておくようにしましょう。
正しい育て方でストレリチアを楽しもう!
ストレリチアは常緑多年草で、正しい育て方をすると長い期間楽しむことができる植物です。株が大きくなると植え替えをして、たくさん増やすこともできます。
害虫や病気に注意し、正しく植え替えをしたり、温度や日光に注意することで、長期の開花を楽しむことも可能です。植え替えによって複数の株になったら、屋内と屋外で楽しんだり、プレゼントしたり、生け花の素材にしたりと楽しみ方も増えます。
適切な追肥や害虫駆除、株の植え替えは年に数回の手入れです。水やりの回数も少なく、地面に植えたストレリチアは、ほとんど水やりをすることもありません。美しい花を長く楽しめるストレリチアを、正しく育てて、色々な形で楽しんでみましょう。