タイムの花や葉の特徴や育て方を紹介!
タイムは肉料理・スープ・シチューなどの香り付け、フランス料理で使うブーケガルニやエルブ・ド・プロヴァンスの材料・ハーブティー・消毒薬・歯磨き粉・うがい薬などに使うことができ、小さな花を咲かせるので目でも楽しむことができるハーブです。花や葉の特徴・育て方などを紹介します。
タイムとはどんなハーブ?
タイムとはシソ科イブキジャコウソウ属のハーブで、古代ギリシャ・ローマ時代から使われているハーブです。小さな葉から気品のある清々しい香りがすることから、能力を高める働きがあると信じられていて勇気・大胆さのシンボルになっていました。
ローマ時代では、兵士たちがタイムを浸した水を浴びて勇気を鼓舞していたといわれています。中世ヨーロッパの貴婦人は戦いに出る騎士に、タイムの小枝を縫い付けた絹のスカーフをプレゼントして励ましていたそうです。
肉や魚・トマトなどとの相性が良く、煮込み料理やスープ・香草焼き・ムニエルなどに使われています。タイムには殺菌に効果のあるチモールという成分が含まれていて、濃いめに煮出したハーブティーでうがいすることで風邪予防にもなるそうです。
タイムの花や葉の特徴
タイムは4月から6月・9月頃になると枝先に白やピンクの小さな花が咲きます。目で楽しむだけでなく、花を乾燥させて小さな袋に入れて香り袋・サシェとして使うことがあるそうです。また食材として使える花もあります。
タイムは小さな可愛らしい花を咲かせることができますが、花が咲いてしまうと葉の香りが弱くなってしまいます。香りの良いポプリやドライハーブを作りたい場合は、花が咲く前に収穫しておくといいでしょう。
タイムは基部から枝分かれして約20~30cmの高さになる小定木で葉は対生につき、色は濃緑色・形は長円形・長さは約7mmになります。肉や魚の臭み消し・風味付け、煮込み料理・フランス料理で使われるブーケガルニやエルブ・ド・プロヴァンスの材料として使われています。
タイムの基本情報
タイムはシソ科イブキジャコウソウ属のハーブで、学術名はThymus・英語名ではThymeです。主な原産国はヨーロッパ・北アフリカ・アジアなどで、約400種類が自生しているといわれています。地面に這って育つほふく性と茎が立ち上がって育つ木立性の2種類に分けられるそうです。
ほふく性のタイムにはイブキジャコウソウ・ウーリータイム・オレンジスパイスタイム・キャラウェイタイム・クリーピングタイムなどが、木立性のタイムにはオレンジパルサムタイム・カンファータイム・キャットタイム・コモンタイム・シルバータイムなどがあります。
タイムの花言葉
タイムの花言葉には、勇気・活気・清潔感・あなたの姿に感動するなどがあり、英語の花言葉はactivity(活動・活躍)やcourage(勇気)・strength(強さ)、フランス語の花言葉はactivités(活動)やamour durable(永続的な愛)、オランダ語の花言葉はbedrijvigheid(活動)になります。
古代ギリシャではタイムの香りによって、勇気や活力が出ると信じられていていました。また中世ヨーロッパではタイムは持ち主に勇気をもたらすものとして、貴婦人がタイムの小枝を縫い付けた絹のスカーフを騎士にプレゼントしていたことが花言葉の由来であるといわれています。
タイムの葉の効能・効果
タイムは料理の風味付けや肉・魚の臭み消し・ハーブティーの他にも、主要成分であるサポニン・タンニン・フラボノイド・トリテルペノイド・チモール・カルバクロールなどによって様々な効能・効果があります。どんな効能・効果があるのでしょうか。
強い殺菌効果と抗ウイルス作用
タイムにはチモールという成分が含まれいるため、ハーブの中で1番強い殺菌効果と抗ウイルス作用があります。古代エジプトでは、ミイラの防腐剤・保存剤として使われていました。また冷蔵庫がない時代では、料理にタイムを加えることで保存効果を高めていたそうです。
中世ヨーロッパでペストが流行した時は、タイムの枝を焚いて空気を浄化する・風呂に入れて入浴することで感染予防をしていたと伝えられています。またペスト患者の死体から金品を盗んでいた泥棒が、感染予防にタイムやミントなどのハーブを酢に漬けたハーブビネガーを全身に塗っていたそうです。
タイムのハーブティーはうがい薬としても効果あり
のどが痛い時や風邪・インフルエンザを予防したい時は、タイムで入れたハーブティーをうがい薬として使うと効果があるといわれています。ハーブティーの作り方はマグカップにドライタイム(小さじ2)をいれてから熱湯を注ぎ、フタをして約5分間蒸らし、茶漉しでこしてからうがいをします。
毎日うがいをするのは良いのですが、飲み過ぎてしまうと効能が強く出てしまうので、1日3~4杯を目安にしましょう。また、妊娠中の方・授乳中の方・高血圧の症状がある人は大量に飲む・長期間での飲料は控えるようにしてください。
去痰作用・鎮痙作用
タイムに含まれているアピゲニンやチモニンなどのフラボノイド類やサポニンという成分には、痰を取り除く・咳を鎮めてくれる効能があるため、気管支炎や喘息・百日咳などの症状改善に役立つといわれています。
タイムのアロマオイル成分であるチモールやカルバクロールなどのフェノール系には強力な抗菌力がありますが、肝毒性が指摘されているので、使う時は注意する必要があります。しかしハーブとして使うには安全なので、ドイツでは小児科の呼吸器系疾患にハーブティーが処方されています。
タイムには多くの種類がありますが、中でも爽やかなレモンの香りがするコモンタイムがハーブティーとしてよく飲まれています。入れ方はカップに乾燥タイム・熱湯を注ぎフタをして約5分蒸らし、茶漉しでこします。ほろ苦い味がするので、ハチミツを加えると飲みやすくなります。
その他の効能・効果
タイムは防腐剤・保存剤として古代エジプト時代から死体を保存するために使われていました。現在でも、解剖標本や植物標本の保存・紙の虫食い防止として使われています。また食料理では、白身魚や鶏ササミ・むね肉などの淡泊な食材のソテー・蒸し焼き・煮込み料理などで使われています。
タイムの育て方
料理の風味付けや去痰・鎮座作用、うがい薬など様々な使い方ができるタイムは初心者でも手軽に育てることができます。タイムを育てる時に気をつけたい温度や置き場所・用土・水や肥料の与え方・植え替えの仕方など、育て方のポイントを紹介します。
適した温度
タイムは耐寒性に優れた植物なので、氷点下以下にならなければ根が枯死することはほぼありません。しかし夏場の高温多湿は注意が必要で、葉が茂ったままにしておくと風通しが悪くなり、蒸れて枯れてしまうことがあります。水やりは控え、風通しが良くなるように枝数を減らしましょう。
適した置き場所
タイムは日当たり・風通しの良い場所を好むので、季節ごとに場所を移動させてあげる必要があります。春は日当たり良い場所または半日陰の戸外、夏は半日陰または日陰の風通しの良い戸外、秋は日当たりの良い場所または半日陰の戸外、冬は日当たりのいい屋内に置くようにしましょう。
適した用土
タイムは乾燥に強く過湿を嫌うため用土は水はけが良いものを選ぶ、または合う土を作るといいでしょう。鉢植えの場合は、赤玉土が7・腐葉土が3の割合で混ぜた土を使います。地植えの場合は、酸性の土を嫌うので、植え付け前1~2週間前に石灰をよく混ぜ込んでおきましょう。
水のやり方
タイムだけでなくハーブの育て方には水やりが重要となります。ハーブによって水を好むもの・嫌うものに分かれます。タイムは乾燥を好むので、頻繁に水やりをする必要はありません。水をやりすぎてしまうと根腐れを起こしやすくなり、高温が加わると枯れてしまうことがあるので注意しましょう。
土の表面が完全に乾いていたら、水をたっぷりと与えましょう。次に水をやるタイミングは、土の表面が完全に乾いてからとなります。冬は寒さで成長が緩やかになるため、土の表面が完全に乾いてから数日後に水をあげても大丈夫です。
肥料の与え方
植え付ける時は、土に緩効性肥料を混ぜておきます。地植えの場合は追肥する必要はあまりありませんが、鉢植えの場合は春・秋に2回程度の置き肥、または月5回程度の液体肥料を与えます。肥料を与えすぎてしまうと根腐れの原因になるので注意が必要です。
植え替えの仕方
タイムは丈夫でよく成長するので、大きさに応じて植え替えが必要となります。鉢底から根が出た・水を与えてもあまり吸わなくなった時が植え替えのタイミングとなります。植え替えの時期は植え付けた時と同じ頃、一回り大きな鉢へ植え替えましょう。
タイムの種類
タイムは約400種類あるといわれています。主に2つのタイプに分類することができ、コモンタイムのように茎が立ち上がって育つ立木タイプ、イブキジャコウソウのように地面を這って育つほふくタイプになります。タイムの主な種類を紹介します。
レモンタイム
地中海沿岸原産のタイムで、葉をもむとレモンのような香りがします。シトラスタイムとも呼ばれていて、5~6月頃には淡いライラック色の花を咲かせます。レモンタイムの爽やかな香りは、気分をすっきりさせてくれるだけでなく、心を落ちつかせてくれるリラックス効果があるといわれています。
コモンタイム
南ヨーロッパ原産の木立性のタイムで、肉など食材の臭み消し・ブーケガルニとしてシチューやポトフなどの煮込み料理の風味付けなどに使われています。4~6月頃になると淡いピンクの花を咲かせます。花は乾燥させて小さな袋に入れて匂い袋として使うことができます。
ウーリータイム
クリーピングタイムの一種のほふく性のタイムで、葉が毛に覆われていて手触りが良いことが特徴となっています。一株でも植えておくと、あっという間に絨毯のように広がっていき、5~6月頃には淡いピンクの花を咲かせます。
クリーピングタイム
北ヨーロッパ原産のほふく性のタイムで、ヨウシュイブキジャコウソ\ウとも呼ばれています。5~9月頃にピンクのような薄紫の花を咲かせますが、白い花を咲かせる種類もあります。花が満開となると地面にカーペットを敷いたように見え、小さな花が集まって手鞠のような形を作った花姿になります。
花が咲く時期になると、分枝した茎の頂部から花序を出して花径5㎜程度の小さな花をたくさん咲かせます。花は花蜜を多く分泌するため、ミツバチが通って来ることもあります。花付きの良いロンギカウリスもあります。
シルバータイム
葉の色はコモンタイムよりも白く、白い縁取りがあるのが特徴となっている立木性のタイムです。4~7月頃には淡いピンク色の花を咲かせます。日陰で栽培すると香りが弱くなってしまうので、料理に使いたい場合は日当たりの良い場所で育てるようにしましょう。
タイムの花や葉を楽しもう!
タイムは種類が豊富にあり、葉や茎は料理・ハーブティーに花は乾燥させて匂い袋・観賞用と様々な使い方があります。ハーブティーにするときは味が濃いので、他のハーブと混ぜるまたは薄めにする・ハチミツを加えると飲みやすくなります。タイムの使い方や育て方の参考になれば幸いです。