源泉徴収票は再発行可能!
源泉徴収票の再発行は可能です。所得や税金の公的な証明書類なので税務署や市役所などの役場と思われる方がいると思いますが、税務署や役所では発行出来ません。ではどこに再発行を依頼すれば良いのでしょう。
実は源泉徴収票は、自分の勤めている会社、または勤めていた会社が再発行します。源泉徴収票が必要となるケースは意外に多くあります。再発行までに期間がかかる場合もありますので、紛失した場合にはなるべく早く再発行を申請するようにしましょう。
会社の場合
源泉徴収票の作成と保管は、会社の義務と法律で定められています。ですから勤務先の会社に申請すれば再発行してもらえます。
2ヶ所以上の会社から給与をもらっていて、源泉徴収票を全て紛失してしまった場合は、それぞれの会社に別々で申請する必要があります。再発行には面倒な手続きや時間がかかるので、紛失しないよう保管に心がけて下さい。
アルバイトの場合
パートやアルバイトでも源泉徴収票の再発行は出来ます。手続きは社員の場合と同じで勤務先の会社で行えます。金額が少ないからと思って保管しないでいると、配偶者(夫や妻)が配偶者特別控除を受けられなくなり税金を多く支払うことになってしまいます。
2ヶ所以上の会社に勤務している場合は、確定申告をする義務があるので源泉徴収票が必ず必要になります。また2ヶ所以上の会社から給与収入がある場合、片方の会社の給与は乙欄という高い税率が適用され、通常の甲欄より数倍も多い税金が引かれています。
面倒だからといって確定申告を怠ると、結果的に納めるべき金額より多くの税金を支払い損をする場合があります。この他にも源泉徴収票が必要になるケースは沢山あります。
パート・アルバイトだからといって捨ててしまったりすると、急に想定外のことで源泉徴収票が必要になりあわてることになります。再発行をしないで済むように源泉徴収票は紛失しないよう大切に保管しましょう。
公務員の場合
公務員の場合の源泉徴収票の再発行は、一般の会社員とは少々手続きが違います。国家公務員の場合は「国家公務員共済組合連合会」が源泉徴収票の再発行事務を担当します。
地方公務員の場合は「地方職員共済組合」が再発行業務を担当します。再発行の手続きは本人が直接共済組合に申請することも出来ますが、まずは職場の給与担当者に相談してみるのが良いでしょう。
源泉徴収票の再発行手続き【在職中】
源泉徴収票の再発行は、法的な手続きではないので基本的にどのような方法でもかまいません。源泉徴収票を発行した会社に在籍中であれば、現在勤務している会社に再発行の手続きを依頼することになります。
しかし一度発行したものを再度発行するのですから、経理担当者などに事務的に余計な手間をかけることになります。紛失したのは自分の落ち度なので、それなりの配慮や気遣いが必要になります。
電話・メール・郵送などで勤務先に依頼
源泉徴収票の再発行は勤務先の経理担当者に、電話、メール、郵送などの方法で手続きの依頼をお願いすることになります。ただ相手に余計な手間と迷惑をかけることなので、メールの文面にはお詫びや労いの言葉を入れることを忘れないようにしましょう。
また郵送の場合は、切手を貼った返信用の封筒を入れるなど、相手の手間を少しでも軽くするような気遣いが必要です。人は面倒なことを頼まれても、そこに配慮や気遣いがあれば気持ちよく受けてくれます。人間関係を良くするためにも思いやりの気持ちを忘れないようにしましょう。
再発行期間は長い場合がある
源泉徴収票の作成と保管は会社の義務になっているので、データがあれば基本的には1〜2週間程度で再発行してもらえるでしょう。
しかし経理担当者は、給料日間際だったり年末調整の時期と重なったりすると業務は非常に忙しくなります。事前に経理担当者に仕上がりの時期や期間を確認しておくことが大切です。
また会社によって源泉徴収票の作成を税理士などに外部委託している場合があります。再発行は経理担当者から担当の税理士に依頼することになるので、ひと手間多くなります。
従ってこのような場合には、税理士のスケジュールも絡むので再発行期間が長くなる場合があるので注意が必要です。事前に源泉徴収票が必要となる時期や、再発行に要する期間を考えて、余裕を持って再発行の依頼をするようにしましょう。
源泉徴収票の再発行手続き【離職後】
源泉徴収票の再発行の手続きは、発行元の会社に依頼するのが原則です。市役所や税務署では源泉徴収票の発行業務はしていません。
会社を離職して転職や再就職した場合には、新しい会社で年末調整を受けることになります。年末調整を受けるには、以前の勤務先と転職先の給与等を合算して税額の計算をするため、元の勤務先の源泉徴収票が必要になります。
紛失等で源泉徴収票がないと年末調整が受けられず、わざわざ自分で税務署に確定申告をしなければならないので非常に面倒になります。
また確定申告の際にも両方の会社の源泉徴収票が必要になります。紛失した時は年末調整または確定申告期間に間に合うように、早めに再発行の手続きを依頼し源泉徴収票を取得して置くようにしましょう。
退職後も元勤務先に依頼すればOK
源泉徴収票の再発行は、発行元の会社が作成するのが原則なので、退職後でも元の勤務先に依頼すれば再発行してもらえます。状況によっては、再発行までの期間が長引くことがあるので時間的に余裕を持って依頼して下さい。
もう止めた会社なので源泉徴収票などいらないと思わずに、再就職する際には必ず必要になる書類です。元の勤務先にお願いするのは嫌なものです。嫌な思いをしないためにも源泉徴収票は捨てたり紛失したりしないようにしましょう。
連絡しづらい場合は税理士に依頼してもOK
源泉徴収票の再発行の依頼は、基本的には本人が行うべきものです。しかし円満退職をした場合を除いて、人間関係や会社の方針への不満、給与や待遇面の不満などの様々な理由で退職したので、連絡しづらい場合があります。
また元の勤務先には関わりたくないというケースも考えられます。ましてや自分の手落ちで紛失したのですからなおさらです。
そんな場合には新しい会社の経理担当者に相談して顧問税理士を紹介してもらい、源泉徴収票の再発行の手続きを税理士を通して依頼する対処法もあります。また困った場合に無料で税理士などの専門家を紹介してくれる窓口があるので利用するのも良いでしょう。
源泉徴収票の再発行手続き【会社が倒産】
源泉徴収票の再発行手続きで困るケースが、稀ではあるけれど退職した会社が倒産して連絡が取れない場合です。給与や待遇が悪かったのは元の勤務先の経営状態が悪かったのに起因していたのかも知れません。
源泉徴収票の再発行は勤務していた会社が行うのが原則ですが、倒産して連絡が取れない場合その会社に依頼するのは事実上不可能になってしまいます。再発行してもらえない場合はどうすれば良いのでしょうか。
勤め先の人に連絡をとる
会社が倒産した場合には、会社の精算責任者、または裁判所が選任した破産管財人などが必ずいるはずです。まずは以前の会社の同僚などに精算責任者の連絡先を聞いて再発行をお願いするのも対処法の1つです。
源泉徴収票は勤務している会社が発行するのが原則なので、その同僚も精算責任者を通じて源泉徴収票を発行してもらっている可能性があります。とりあえずは元の同僚と連絡を取り合い状況を把握して再発行の見込みを検討するのが良策です。
連絡ができない場合は税務署に頼む
元の会社の精算が終了してしまったり、精算責任者と連絡が取れず再発行が不可能な場合、税務署に相談に行くと良いでしょう。税務署の判断により事実上の倒産と見なされる場合には、給与明細書だけで確定申告がスムーズに出来ることがあります。
元の会社の倒産で源泉徴収票の再発行が不可能な場合、新しい会社での年末調整は受けられなくても確定申告は可能になります。そのためには収入を証明する給与明細書などの書類は紛失しないよう心がけましょう。
源泉徴収票が再発行されない場合の対処法
源泉徴収票の再発行は、基本的には源泉徴収票の発行元の会社に義務があり、通常はスンナリと応じてくれるはずです。しかしたまに再発行を拒否される場合があります。
その場合の対処法としては、拒否された理由を明確に聞いておくことです。たとえ自分の手落ちで源泉徴収票を紛失してしまったとしても、再発行は全く後ろめたい行為ではありません。当然の権利として認められています。
拒否する理由が不当であるなら管轄の税務署に相談すれば、税務署からその会社に指導が入り源泉徴収票の再発行を促してくれます。ですから再発行を拒否された場合は、拒否の理由をきちんと聞いておくことが対処法として大切になります。
源泉徴収票不交付の届出書を提出する
再三の依頼にも源泉徴収票の再発行に応じてくれない時や、倒産などの理由で連絡がつかない場合には、「源泉徴収票不交付の届出書」という書類を税務署に提出する対処法があります。
しかしこの書類の提出には、源泉徴収票を再発行してもらえなかった経緯や事業主との過去のやり取り、実際の雇用契約まで記載しなければなりません。もちろん最低過去1年分の給与明細の添付も必要です。
かなり労力のいる対処法のようにも見えます。元勤務先企業が倒産している場合は別として、連絡が取れる場合は何度も再発行の依頼をするのが対処法としてはベストなのかも知れません。
源泉徴収票の発行と保管は法律で決められた雇用主の義務です。源泉徴収票の再発行を拒否する理由は余程のことがない限りないでしょう。
つまり再発行を拒否するという行為は違法の対処法と見て間違いないはずです。それでも再発行を拒否するならば税務署からその企業に再発行を促す指導をしてもらうと良いでしょう。
つまり「源泉徴収票不交付の届出書」提出は、元の勤務先企業が倒産などで連絡がつかない、精算が終っている場合を除いて、最終的な対処法と考えた方が良いのではないでしょうか。
源泉徴収票を再発行する理由
源泉徴収票とは給与所得者に勤務する会社が発行するもので、1月1日から12月31日までの1年間に得た給与収入額と所得税の納税額、および給与から天引きされた社会保険料額などが記載された重要な書類です。
これから源泉徴収票が必要になる場合を紹介します。源泉徴収票の再発行とは、源泉徴収票が必要な時に紛失等で手元にない場合の対処法です。つまり「源泉徴収票が必要な場合」は「源泉徴収票を再発行する理由」と同じことになります。
紛失後に再発行が必要な時
源泉徴収票が必要な時は、具体的にどのような場合でしょう。源泉徴収票を紛失して再発行が必要な時も全く同じ場合です。源泉徴収票が必要な時は実に沢山あります。
今現在は必要でなくても、将来には考えられるケースがその中にはいくつかあるはずです。これから具体例をあげて紹介します。今は当てはまらない場合でも将来の事前準備として参考にして下さい。
確定申告
会社員の場合、通常は年末調整で済ませる場合がほとんどなので、確定申告にあまり馴染みがない方が多いのではないでしょうか。
確定申告とは所得のある全ての人が管轄の税務署に行う手続きですが、会社員だけは特例で会社が行う年末調整で済ますことが認められています。しかし給与所得者でも確定申告が必要になる場合があります。
年収が2000万円を超える場合、2ヶ所以上の会社から給与をもらっている場合、アパート経営や株の売買など副業の所得が20万円を超えている場合、何らかの理由で年末調整を受けなかった場合は確定申告が必要です。
また住宅ローン控除を受ける場合、初年度だけは年末調整では行えず確定申告が必要になります。確定申告には年収を証明する源泉徴収票の添付が必ず必要になります。
また確定申告には期間があり、毎年2月15日前後〜3月15日前後に期間が設定されています。15日が土日に当たる場合は前後にずれるので、事前に申告期間を確認するようにしましょう。
住宅ローン
住宅を購入するために銀行に住宅ローンを申込むと、その事前審査では最新の源泉徴収票の提示が求められます。最新のものがない場合は再発行依頼して入手する必要があります。
お金を貸す側の銀行は、借り手が住宅ローンをきちんと返済してくれるかどうかを源泉徴収票によって判断します。
住宅ローンに限らず、ある一定以上の額のお金を借りる際には、源泉徴収票は必ず必要になると思っておいて下さい。もし紛失して源泉徴収票がない場合には、ローンを申込む前に期間に余裕を見て再発行の手続きをして下さい。
保育園・保育所入園
子供が保育園や保育所に入園する場合には、源泉徴収票の提出が必要になります。保育園や保育所に入園するには両親がともに働いていることが条件になります。
その就労証明確認のために源泉徴収票が使われます。また保育料の算出は、両親の前年分の所得を基準に計算されるため源泉徴収票は必須の書類になります。また源泉徴収票の提出は毎年求められるので紛失しないよう保管しましょう。
確定申告等で源泉徴収票を使ってしまう場合があります。その時の対処法は紛失したときと同じように再発行を依頼することです。再発行の理由も添えて早めに会社に依頼しておいて下さい。
また2019年10月から就学前教育(幼児教育。保育)の前面無償化が決まって入園の対処法が変わる可能性があるので、今後の動向に注意が必要です。
扶養家族に入る時
結婚などの理由で配偶者(夫または妻)の扶養家族になるとき、扶養する人(配偶者)が勤務する会社から扶養控除等(異動)申告書と扶養される人の源泉徴収票の提出が求められます。
分かりやすくするために、扶養する人が夫で扶養される人を妻と仮定します。夫が妻を扶養家族とするには、妻の総所得が38万円以内であれば配偶者控除が受けれます。
38万円以上でも総所得が123万円以内なら、控除額は少し減りますが配偶者特別控除が受けれます。この所得金額を確認するために妻の源泉徴収票が必要になります。
ただし、この例は夫の年収が妻の年収を上回っている場合です。年収の多い配偶者の扶養家族に年収の少ない人がなるのが一般的です。逆のケースもたまにあるので、その場合には夫と妻を入れ替えて読んで下さい。
また子供が産まれた場合には扶養家族が1人増えるので、年の途中でも扶養控除等(異動)申告書を会社に提出すれば扶養控除が受けられ源泉徴収税額が軽減されます。
転職・再就職
会社を退職してから1年以内に、転職や再就職した場合には、新しい勤務先に前の会社が発行した源泉徴収票を提出する必要があります。それは前の会社で受けていた年末調整を、今度は新しい勤務先で受けるためです。
年末調整では前の勤務先で得た給与収入や支払った税金と、新しい会社の給与とを合算して年税額を計算するため源泉徴収票が必要になります。
もう止めた会社のだからといって源泉徴収票を紛失してしまうと、年末調整が受けられず自分で確定申告を行わなければなりません。確定申告には余計な手間や受付期間の制限などがありかなり面倒です。前の会社に再発行の申請をして新しい会社で年末調整を受けるようにしましょう。
助成金の申請
助成金や補助金を申請する場合に源泉徴収票の提示を求められる場合があります。各地方自治体によりまちまちですが、全国共通なのに「児童手当」があります。
児童手当の助成額は3歳未満の子には月額15,000円、3歳以上小学生以下には月額10,000円(3人目以降は月額15,000円)、中学生は月額10,000円が支給されます。かなり嬉しい助成金です。
申請方法は保護者が居住する自治体に申請します。ただし所得制限があるので、その確認のために源泉徴収票が必要になります。
所得制限以上の収入があっても児童1人あたり一律5,000円になるだけなので、お子さんのいる家庭では多いに利用価値のある助成金です。「児童手当」以外にも自治体により独自の助成金制度があるので、ぜひ調べてみて下さい。
奨学金の申請
奨学金とは、大学の授業料など学費を支援するために無利子または低利子で貸与されるお金です。種類も色々ありますが、なかでもっとも利用者が多いのが「日本学生支援機構」の奨学金制度で、貸与金額により無利子から最高で0.27%まであります。
奨学金の返済義務は入学する学生ですが、連帯保証人(通常は親)を要求される場合がほとんどです。そのときに保証人(親)の源泉徴収票が必要になります。
申請は通っている学校を通じて申込みますが、申込み期間に制限があります。予約採用の場合は高校3年の5月中旬〜7月中旬、10月下旬〜11月下旬と期間が2回あります。
在学採用の場合は入学後の4月頃となっています。返済期間は卒業後最長で20年まであります。「日本学生支援機構」以外でも地方自治体や大学が運営している奨学金があるので参考にして下さい。
アパートの保証人になる時
子供が大学などに通うためアパートを借りる時、保証人が必要で保証人の源泉徴収票の提示を求められることがあります。これは子供がまだ未成年や学生の場合収入がありません。
実質的には保証人である親が家賃を支払うことになるため、源泉徴収票で親の支払能力を確認するためです。アパートを貸す大家さんにしてみれば安心材料になるので、提出を求められたら応じるようにしましょう。
還付申告
還付申告とは、給与等から源泉徴収された税金が納め過ぎになっている場合に、その税金を戻してもらうための申告です。
会社員の場合は勤務先で年末調整をしているので、あまり税金のことを気にかけない方が多いのですが、実は納め過ぎのケースは多々あって、還付申告をすれば税金が戻ってきます。
ただ還付申告は年末調整ではできないので見過ごす方が多いのでしょう。また還付申告は、保険料控除など本来は年末調整で出来たのに、書類を提出し忘れたときの対処法にもなります。
還付申告で主なものに医療費控除、災害や盗難などで損害を受けた場合の雑損控除、ふるさと納税などの寄付金控除、また一定の条件を満たせばバリヤフリーや省エネ改修工事も還付申告の対象となります。
確定申告と還付申告の違い
確定申告と還付申告は、どちらも申告する場所は管轄の税務署で同じですが、申告の期間が違います。確定申告は前年の1年分を翌年の2月中旬〜3月中旬までの期間に申告しなければなりません。
一方還付申告は翌年の1月1日より税務署の休業日以外なら何時でも申告を受付てくれます。さらに5年間の猶予期間があります。つまり5年前のものまで申告出来るということです。
税務署が1年で一番混合う確定申告の期間を避けて自分の都合の良い時期に出来るので非常にスムーズで便利です。ぜひこの制度を最大限に利用して節税して下さい。
源泉徴収は勤め先に頼めば再発行できる!
これまで源泉徴収票の再発行について、手続きの方法、再発行が必要な場合、在職中や退職してからの再発行の依頼方法など紹介してきました。基本的に源泉徴収票の発行と保管は会社の義務です。
どのような場合でも勤務先や元の勤め先に頼めば再発行してもらえることが理解できたのではないでしょうか。会社の倒産などで源泉徴収票の再発行が出来ない場合の対処法も紹介しました。この記事の内容や還付申告の制度参考にして、ぜひ節税に役立てて下さい。