「つらつらと」の意味
「つらつらと」という言葉がありますが、この言葉を頻繁に聞いたことがあるという人は少ないでしょう。この「つらつらと」という言葉はごく普通に日常生活を送っている中ではほとんど使われない言葉なので、聞いたことがないという人がいても当然です。「つらつらと」という言葉は古く堅いイメージなので、一般的にはあまり使われていません。
なので「つらつらと」という言葉の意味を知らない人の方が多いでしょう。国語の授業などでもこの言葉について詳しく習うことはまずありませんので、意味を知らなくても恥ずかしくはありません。
ですが、仕事などでまれに目にすることもありますので、意味を知っておいた方が良い場合もあります。「つらつらと」の意味や漢字で書くとどうなるのかをご紹介しましょう。
よく考える・深く考える様子を意味する
「つらつらと」の意味は、「よく考える」「深く考える様子」です。「つらつらと」という言葉を「すらすらと」と勘違いして、「すらすらと」と同じような意味だと勘違いしている人もいますが、「つらつらと」と「すらすらと」は全く違います。「すらすらと」の意味は「途中で引っかかったりせず、なめらかに進むさま」という意味です。
なので「すらすらと」は「つらつらと」とは真逆に近い意味の言葉だと言えます。「つらつらと」は「じっくりとよく考える」というような意味なので、なめらかに進むのとは全く違います。
「つらつらと」の意味は、「良く考える」「深く考える様子」といった意味ですので、「すらすらと」と混同しないように覚えておきましょう。
漢字表現は「熟々と」
「つらつらと」の意味をご紹介しましたので、次は「つらつらと」を漢字で書くとどのような漢字があたるのかについてご紹介します。「つらつらと」は漢字で書くと「熟々と」となります。ですが通常パソコンなどで「つらつらと」を漢字変換しようとしても「熟々と」という漢字は漢字変換候補として出てきません。
「つらつら」で漢字変換しようとしてもやっぱり漢字変換候補として「熟々と」という漢字は出てきません。「つらつらと」という言葉は、漢字で使われることが少ないため漢字変換候補に上がって来ないと言えます。
ですので「つらつらと」という言葉を無理に「熟々と」と漢字にしようとする必要はありません。漢字ではなくひらがなで「つらつらと」と書けば大丈夫です。
「つらつらと」の使い方
「つらつらと」の意味やその漢字についてごしょうかいしましたので、次は「つらつらと」の使い方についてご紹介します。「つらつらと」の意味は「よく考える」「深く考える様子」という意味なので、どのような文章でどのような使い方をすれば良いのか迷う人の方が多いでしょう。
「つらつらと」という言葉は普段の一般的な日常生活の中で使われることはほぼありませんので、使い方がわからなくても当然です。ですが、もしも使う機会があった場合にはやはり正しい使い方をしなければなりませんので、正しい使い方を覚えておく方が良いでしょう。
それでは「つらつらと」という言葉をどのように使えば良いのか、「つらつらと」の使い方についてご紹介しましょう。
後に来る動詞を修飾する
「つらつらと」の使い方の一つ目は、後に来る動詞を修飾するという使い方です。「つらつらと」を何かの動詞の前につけるという使い方をすると、「つらつらと」の意味「よく考える」「深く考える様子」から、「よく考えて何かをする」「深く考えて何かをする」といった意味になります。
「つらつら」だけでも「つくづく」などの意味を持つ副詞ですが、通常「つらつら」に「と」をつけた使い方をします。元々「つらつら」は古語で使われていた古い言葉で、長い年月の間に「と」をつけた使い方がされるようになってきました。
「つらつらと」は、「ゆっくりと」などのように後に来る動詞を修飾する使い方をするのだということを覚えておきましょう。
小説・ビジネスシーンで使う
「つらつらと」の使い方の二つ目は、小説やビジネスシーンで使うという使い方です。先にご紹介したように「つらつらと」という言葉は、一般的な日常会話の中で使われることはほとんどありません。自分は意味が分かっていても、相手が意味を知らない場合間違った意味でとらえられることもあるからです。
「つらつらと」は正しい意味を知っている人が少ないため、文章を読むのが好きで日本語に詳しい人が好むような小説や、堅い言葉を使うビジネスシーンなどで使われることが多いです。またそういった所での使い方なら、そうおかしくはありません。
日常会話の中で「つらつらと」を使うとちょっと違和感がありますが、小説やビジネス文書などの中で使うという使い方ならあまり違和感がないということです。
「つらつらと」の例文
「つらつらと」の使い方についてご紹介しましたので、次は実際に「つらつらと」を使った例文をご紹介します。「つらつらと」という言葉は日常生活の中ではほとんど使われませんが、学校での作文や論文の中でなら使ってもあまり違和感がありませんので、そういった場面で使ってみたいという人もいるでしょう。
「つらつらと」の意味は「よく考える」「深く考える様子」ですので、そういった意味がふさわしい動詞の前につければ大丈夫ですが、どのような動詞を後に続ければ良いのか迷ってしまうという人もいるはずです。
具体的にどのような動詞の前に「つらつらと」という言葉をつければ良いか、「つらつらと」を使った例文をいくつかご紹介していきましょう。
つらつらと述べる
「つらつらと」を使った例文の一つ目は、「つらつらと述べる」という例文です。「つらつらと」の意味は「よく考える」「深く考える様子」ですので、「つらつらと述べる」という例文は「よく考えて述べる」「深く考えて述べる」と言った意味になります。ですが「つらつらと」と動詞だけでは文章としてあまり成り立ちません。
「つらつらと述べる」を使った例文として、「彼は彼の経歴についてつらつらと述べた」という例文が挙げられます。この例文は、「彼は彼の経歴についてよく考えて述べた」という意味になります。
文章は主語と述語と目的格などたくさんのパーツでできていますので、「つらつらと述べる」という例文に主語など必要なパーツを足して文章を作ってみましょう。
つらつらと書く
「つらつらと」を使った例文の二つ目は、「つらつらと書く」という例文です。「つらつらと書く」は「よく考えて書く」「深く考えて書く」という意味になりますが、やはりこちらも主語や目的格などがなければ文章としては成り立ちませんので、不足しているパーツを足した例文を挙げましょう。
「つらつらと書く」という例文を使った例文として「彼女は夏休みの宿題の読書感想文をつらつらと書いた」という例文が挙げられます。この文章は、「彼女は夏休みの宿題の読書感想文を深く考えて書いた」という意味になります。
このように「つらつらと」という言葉は、意外に色々な場面を語る上で使うことができますので、実際に使ってみると良いでしょう。
つらつらと綴る
「つらつらと」を使った例文の三つ目は、「つらつらと綴る(つづる)」という例文です。「綴る」という言葉を使う人はあまり多くありませんが、この「綴る」という言葉は古文などの中では結構良く使われている言葉で、日記などを書くことを表現する場合に使われています。「つらつらと綴る」は「よく考えて綴る」という意味になります。
「つらつらと綴る」を使った例文として「清少納言はつらつらと日記を綴った」という例文が挙げられます。実際に古文の中で使われることの多い「綴る」は、現代でも日記などを書くことを表す場合に「日記を書き綴る」といったような使われ方をします。
なので「つらつらと綴る」という使い方は、日記などを書くことを言いたい場合に使うと良いでしょう。
つらつらと並べ立てる
「つらつらと」を使った例文の四つ目は、「つらつらと並べ立てる」という例文です。「並べ立てる」という言い方は「ぺらぺらと並べ立てる」という言い方で使われるように、言葉をまくし立てる場合などに使われますので、「よく考える」という意味の「つらつらと」とは合わないイメージがありますがそうでもありません。
「つらつらと並べ立てる」という例文を使った例文として、「その男性は小難しい屁理屈をつらつらと並べ立てた」という例文が挙げられます。「その男性は小難しい屁理屈をよく考えて並べ立てた」という意味になります。
このように「つらつらと」を使うと、その男性が色々とよく考えた上で思いついた屁理屈を並べ立てているさまがわかりますので、こういった使い方も間違いではありません。
つらつらと描く
「つらつらと」を使った例文の五つ目は、「つらつらと描く」という例文です。「つらつらと描く」の意味は「よく考えて描く」という意味になりますが、こういう言い方をするとニュアンスがわかりにくいという人もいるでしょう。絵というものを描く場合に、感覚でさらさらと描いてしまう人と、そうではない人がいます。
何をどのように描こうかと迷いながら描くという場合には「つらつらと描く」という言い方が使えます。「つらつらと描く」を使った例文として「その小さな子供は不思議な絵をつらつらと描いていた」という例文が挙げられます。
この例文は「その小さな子供は不思議な絵をよく考えて描いていた」という意味になります。「つらつらと」の意味があてはまれば、どのような動詞にも使えるということです。
つらつらと重ねる
「つらつらと」を使った例文の六つ目は、「つらつらと重ねる」という例文です。「つらつらと重ねる」の意味は「よく考えて重ねる」ですが、この場合「何を重ねるか」を入れなければ文章として成り立ちません。「つらつらと重ねる」の「重ねる」対象としてあてはまるのは、主張や弁明などです。
「つらつらと重ねる」を使った例文として「その代議士は、一連の疑惑に対する弁明をつらつらと重ねた」という例文が挙げられます。この例文は、「その代議士は、一連の疑惑に対する弁明を深く考えつつ重ねた」という意味になります。
「つらつらと」という言葉は色々な動詞の前に使うことができますので、その対象は日記や絵などの形あるものばかりではないということもあるということです。
つらつらと考える
「つらつらと」を使った例文の七つ目は、「つらつらと考える」という例文です。「つらつらと」の意味は「よく考える」「深く考える様子」ですので、「つらつらと考える」の意味は「深く考えて考える」とおかしな日本語になってしまいます。ですがこの「つらつらと考える」は「考えに考える」という意味になります。
「深く考えて考える」というと日本語としてちょっとおかしくなりますが、「考えに考える」なら一向におかしくありません。「つらつらと考える」を使った例文として「彼は将来のことについてつらつらと考えている」という例文が挙げられます。
この例文の意味は「彼は将来のことについて考えに考えている」ですので、どれほど深く考えているのかが理解できる例文となっています。
つらつらと話す
「つらつらと」を使った例文の八つ目は、「つらつらと話す」という例文です。「つらつらと話す」の意味は「深く考えつつ話す」という意味で、「つらつらと」は「話す」に良く合う動詞だと言えます。英語などを「すらすらと話す」という言い方があるため、「つらつらと」と「すらすらと」を混同する人もいますが全く違います。
「つらつらと話す」を使った例文として「その執事はいかにも考え深い様子でつらつらと話した」という例文を挙げます。「考え深い様子」に「深く考えつつ話した」がプラスされて、とてもよく考えて話していることが表されています。
つらつらと読む
「つらつらと」を使った例文の九つ目は、「つらつらと読む」という例文です。「つらつらと読む」は「よく考えて読む」「深く考えながら読む」といった意味になります。本などを読むという行為の間、人間は色々なことを考えていることが多いので、「つらつらと」は「読む」に良く合うと言えます。
「つらつらと読む」を使った例文として「その少女は毎週土曜日に図書館に行き、純文学を手に取ってつらつらと読む」という例文が挙げられます。少女が深く考えながら本を読んでいる様子が伝わる例文です。
このように、「つらつらと」という言葉は実に様々な動詞や目的格と一緒に使うことができますので、色々な動詞や目的格と一緒に使ってみましょう。
「つらつらと」の類義語
「つらつらと」という言葉の使い方の例文をご紹介しましたが、次は「つらつらと」の類義語についてご紹介します。「つらつらと」の意味は「よく考える」「深く考える様子」ですので、類義語にあたる言葉はどのような言葉なのか想像できないという人も少なくないでしょう。ですがそんなに難しく考える必要はありません。
「よく考える」や「深く考える」にあたる言葉は意外にたくさんあります。それでは、「つらつらと」の類義語についてご紹介しましょう。
ねんごろに
「つらつらと」の類義語の一つ目は、「ねんごろに」です。「ねんごろに」の意味は「心を込めて」「心がこもっている様」といった意味なので、一見すると「つらつらと」の類義語ではないイメージがありますが、実は「ねんごろに」は「つらつらと」の類義語です。「心を込める」ことは「よく考える」「深く考える」に似た意味だからです。
そのため、表面的には「ねんごろに」は「つらつらと」の類義語であるようには見えませんが、実は深い意味的には「つらつらと」の類義語だと言うことができるということです。
つくづく
「つらつらと」の類義語の二つ目は、「つくづく」です。「つくづく」の意味は「何かのものごとを静かに深く考えたり観察したりする様」という意味で、「何かのものごとを静かに深く考える」という部分が「つらつらと」と似ているため、「つくづく」は「つらつらと」の類義語であると言えます。
「つくづく」という言葉は「つくづく考える」などという使われ方をしますが、「つくづく考える」は「つらつらと考える」と同じように「考えに考える」というニュアンスの意味で、そういった点でも「つらつらと」の類義語だと言うことができます。
よくよく
「つらつらと」の類義語の三つ目は「よくよく」です。「よくよく」の意味は「非常に」「しっかりと」といった意味で、「よくよく思い返せば」といった使い方がされます。「つらつらと」の意味は「よく考える」「深く考える様子」ですので、似た意味を持つ「よくよく」は「つらつらと」の類義語であると言えます。
じっくり
「つらつらと」の類義語の四つ目は、「じっくり」です。「じっくり」の意味は「時間をかけて念入りに行うさま」という意味で、「じっくりと考える」などという使い方をします。「時間をかけて念入りに行う」という意味は「つらつらと」の「深く考える様子」に似たニュアンスになりますので、「じっくり」は「つらつらと」の類義語と言えます。
「つらつらと」の対義語
「つらつらと」の類義語をご紹介しましたので、次は「つらつらと」の対義語についてご紹介します。「つらつらと」の意味は「よく考える」「深く考える様子」ですので、それらとは逆の意味を持つ言葉が「つらつらと」の対義語になります。それでは、「つらつらと」の対義語についてご紹介していきましょう。
いい加減に
「つらつらと」の対義語の一つ目は、「いい加減に」です。「つらつらと」は良く考えたり深く考えたりすることを表しますので、たいして考えもしないイメージを持つ「いい加減に」という言葉は「つらつらと」とは逆の意味を持つ対義語だと言えます。ただ「いい加減」には「適度」という意味もありますので、その意味の場合対義語にはなりません。
がさつに
「つらつらと」の対義語の二つ目は、「がさつに」です。「がさつ」の意味は「動作や態度などに落ち着きがなく、荒っぽくぞんざいなさま」ですので、「がさつに」という言葉は落ち着いてよく考えるイメージのある「つらつらと」とは正反対の言葉です。こういったことから「がさつに」は「つらつらと」の対義語であると言えます。
適当に
「つらつらと」の対義語の三つ目は、「適当に」です。「適当に」には「いい加減に」という悪い意味と「適度に」「ちょうどいい頃合いに」という良い意味があります。「いい加減に」という意味での「適当に」は「つらつらと」とは対照的な意味になりますので、「つらつらと」の対義語であると言うことができます。
雑に
「つらつらと」の対義語の四つ目は、「雑に」です。「雑に」の意味は「やり方が念入りではなく大雑把なさま」で、「つらつらと」とは反対の意味を持つため対義語と言えます。また、「つらつらと」の類義語のひとつ「じっくり」の正反対の意味になりますので、こういった点でも「雑に」は「つらつらと」の対義語であると言えます。
「つらつらと」の英語表現
次に「つらつらと」の英語表現についてご紹介します。「つらつらと」という言葉は古く堅い言い方ですが、「よく考える」「深く考える」という意味の方に対応する英語がありますので、それらの意味を持つ英語が「つらつらと」の英語表現と言えます。それでは、「つらつらと」の英語表現についてご紹介しましょう。
カジュアルな表現
まず、「つらつらと」のカジュアルな英語表現についてご紹介します。「つらつらと」に対応するカジュアルな英語表現には「deeply(深く)」や「carefully(注意深く)」という英語が挙げられます。これらの英語表現は中学や高校などで習いますので、知っているという人も多いでしょう。
形式ばった表現
次に「つらつらと」の形式ばった英語表現についてもご紹介します。「つらつらと」の形式ばった英語表現には「attentively(よく注意して)」「profoundly(深く、心から)」という英語があります。「つらつらと」は日本の古い言葉なので、「つらつらと」の英語表現としてはカジュアルな言葉よりこちらの方が向いているとも言えます。
「つらつらと」はよく考える・じっくり考えるなどを表す言葉
「つらつらと」という言葉の意味や漢字での書き方、使い方の例文などをご紹介してきましたが如何だったでしょうか。「つらつらと」という言葉は「よく考える」「じっくり考える」などを表す言葉ですので、「すらすらと」などという言葉と間違えたりしないよう、正しく使いましょう。