発泡酒とビールの違いをわかりやすく解説!味・価格・原料などの特徴や定義とは?

発泡酒とビールの違いをわかりやすく解説!味・価格・原料などの特徴や定義とは?

発泡酒とビールの違いは何でしょう?価格?味?実はそれだけではありません。いちばんの違いは、使っている原料にあるのです。発泡酒とビール、それぞれの特徴と定義を紹介しましょう。定義がわかれば、味の違い、そしてなぜ価格が違うのかも、納得できるはずです。

記事の目次

  1. 1.発泡酒とビールの違いは原料と麦芽の割合
  2. 2.発泡酒とビールの味の違い
  3. 3.発泡酒とビールの価格の違い
  4. 4.ビールの定義が変わる可能性がある
  5. 5.発泡酒とビールは原材料に違いがある

発泡酒とビールの違いは原料と麦芽の割合

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発泡酒とビールの違いを、すぐに説明できる方は、そう多くはないでしょう。「発泡酒のほうが価格が安い」くらいはすぐに出てきますが、それ以外となると、首をかしげてしまうのではないでしょうか。

簡単にいうと、「麦芽をどのくらい使っているか」、「原料に何を使っているか」の違いが、発泡酒とビールの違いで、特に重要なのが麦芽の使用量です。

発泡酒の定義と特徴

国税庁のサイトによると、発泡酒の定義はこのようになっています。「麦芽比率50%未満のもの」、「ビールの製造に認められない原料を使用したもの」、「麦芽を使用せず麦を原料の一部としたもの」

ひとつずつ解説しましょう。現在、ビールの原料は、麦や米などの穀類をはじめ、でんぷん、糖類、香辛料などさまざまなものが使われていますが、もともとは麦芽だけで作るお酒でした。


そのため、ビール飲料を分類する際、本来の原料である麦芽を多く使用しているもの、つまり、より本流に近いものを「ビール」、それ以外を「発泡酒」と定めたわけです。

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「ビールの製造に認められない原料を使用したもの」というのは、何となく物騒ですが、イリーガルな食材、ということではありません。

前述のように、現在のビールは、原料、製法ともに、多様化しており、麦芽や麦を全く使わずに作ることもできるようになりました。ビールの範囲が広がりすぎたため、使用できる原料を規定し、ビールと発泡酒の線引きを行ったのです。

「麦芽を使用せず麦を原料の一部としたもの」というのもその一環です。こちらは発泡酒と第三のビールを線引きするための規定で、麦芽か麦を使用していれば発泡酒、どちらも使用していないものは第三のビールにジャンル分けされます。

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ちなみに、輸入ビールの中には、原産国では「ビール」として販売されているのに、日本では「発泡酒」になっているものがあります。それは、上記の条件のため。たとえばフルーツでフレーバーをつけたものなどは、発泡酒に分類されてしまうわけです。

発泡酒の特徴は、よく知られているように、ビールよりも価格が安く設定されていることです。そしてもうひとつの特徴としては、原料の割合を調整して、糖質やプリン体、カロリーなどを、ビールよりも低くおさえたお酒を作ることができることです。

ビールの定義と特徴

ビールの定義についても、同じく国税庁のサイトに載っています。ちなみに、なぜ国税庁でビールの定義を提示しているかというと、あとで解説しますが、かかる酒税に関係しているからです。

ビールの定義についてはこのようになっています。「麦芽の使用割合が100%のもの」、「特定の副原料を使用して発酵させたもので、麦芽の使用割合が50%以上のもの」

副原料というのは、本来の原料である、麦芽、ホップ、水以外の原料のことで、「米、とうもろこし、コーリャン、ばれいしょ、でんぷん、糖類、カラメル」を使うことが認められています。

「麦芽を100~50%使用している」、「国が認めた原料で作っている」というのが、ビールの定義ということになります。ビールの特徴としては、発泡酒や第三のビールよりも価格が高いこと。そして味や風味が濃く感じられることがあげられます。味の違いについては、次のトピックで解説します。

第三のビールの定義と特徴

第三のビールは、原料に麦も麦芽も使われていないのが特徴です。また、価格については、ビール、発泡酒よりもさらに安く、このジャンルの中では一番安く買えるお酒です。

第三のビールは製造方法が2種類あり、大豆や糖質を発酵させてお酒を作る方法と、発泡酒に麦で作った蒸留酒(麦焼酎など)をまぜて作る方法です。

発泡酒の中には、分類上「発泡酒」であるだけで、実際はビールと言っても差し支えないものもありますが、こちらの「第三のビール」は、名称とは裏腹に、ビールの性質はほとんど残していません。分類も、前者は「その他醸造酒」、後者は「リキュール」という位置づけです。

発泡酒とビールの味の違い

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では、発泡酒とビールの味を比較してみましょう。「あまり変わらないんじゃない?」という方が多い一方、「ビールが絶対好き」、「発泡酒の方がおいしい」という、こだわり派も。味の違いはあるのでしょうか?

麦芽の風味に違いがある

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発泡酒とビールのいちばんの違いは、原料に使っている麦芽の量ですが、それはそのまま味の違いになります。麦芽らしい風味を感じやすく、コクがあるのがビール。

ビールは、麦芽を多く使っているため、麦芽の持つ味や風味、個性などが強く感じられる、という特徴があります。「味が濃い」、「コクがある」という点がビールの良さだ、と評するビール好きの方は多いです。

また、使用している麦の種類によって、甘みが強く出たり、苦みが前面に出たりと、味にバリエーションがあるのも、発泡酒にはない特徴といえます。

一方、発泡酒は、全体に味や風味、コクが薄い、と感じる方も多いようです。ただし、それが発泡酒の良さだ、という声も少なくありません。飲み口が軽やかで苦みも少ないために飲みやすい、との評価も根強いです。女性には発泡酒のほうが好まれる傾向があるようです。

発泡酒とビールの価格の違い

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価格の違いは、発泡酒とビールを比較する際に、多くの方がいちばん最初に挙げるポイントです。価格が大きく異なる仕組みを解説します。

お酒の価格には酒税が影響する

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食品の価格は、原材料費やその他コスト、利益などを加味して決定されますが、お酒の場合は、ここに税金、つまり「酒税」が加わります。そのため、高い酒税がかかるお酒は、自然と価格も高くなってしまうのです。

酒税は基本的に、アルコール度数の高さに比例して高くなります。たとえば、アルコール度数22度未満の清酒は、1リットルあたり12,000円。それに対し、アルコール度数38度前後のウイスキーは、1リットルあたり37,000円と、ずいぶん差があります。

発泡酒・ビールの酒税の比較

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ただし、ビールや発泡酒の税率は、ほかのお酒とは条件がいろいろと違います。まず、アルコール度数が低いのに、税率は高く設定されています。ビールの税率は、1リットルあたりに直すと、22,000円。これは清酒よりも高い税率です。

そしてもうひとつは、アルコール度数ではなく、麦芽の使用比率によって税率が変わることです。「ビール」と「発泡酒」と「第三のビール」で税率に違いが生じるのは、こうした理由なのです。では、税率の違いを比較してみましょう。

わかりやすく、350ml缶ひとつにかかる税金で比べると、ビールと発泡酒(麦芽使用率50%以上)が77円、発泡酒(麦芽使用率25%~50%)が62円、発泡酒(麦芽使用率25%未満)が47円、第三のビールは28円となります。第三のビールがいかに安いかがわかるのではないでしょうか。

ビールの定義が変わる可能性がある

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ここまで見てきたように、発泡酒とビールは、製造する際に使う原料、特に麦芽をどのくらいの割合で使うかによって、分類が分かれます。

ということは、麦芽使用率の基準が変わると、それまで発泡酒だった商品が、ビールに分類される、ということも起こってきます。つまり、基準の改正によってビールの定義が変わる可能性があるのです。

新ビールでは麦芽使用の基準が下がる可能性がある

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麦芽の使用基準が引き下げられる可能性については、以前から消費者の間で懸念されてきたのですが、2018年、それまで麦芽使用率67%以上をビールとしていた基準を引き下げ、50%以上をビール、それ以下を発泡酒、と変更されました。

この記事では、ビールの定義は「麦芽を50%以上使用したもの」と解説してきましたが、それは2018年からのこと。それ以前は、麦芽使用率67%で、「ビール」と「発泡酒」に分かれていたのです。

日本の発泡酒は、麦芽使用率は25%以下のものがほとんどだったため、大きな価格変更はありませんでした。今のところは、これ以上の基準変更の予定はないようですが、でも実は、酒税そのものの変更は、計画されています。

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2023年には「第三のビール」が発泡酒に統合され、麦芽使用率50%未満はすべて税率が同じになります。最終的には、2026年をめどに、麦芽使用率に関係なく、ビール、発泡酒、第三のビールまで、一律55円に統合される予定です。

これによって、ビールの税金は約22円の値下げになりますが、第三のビールは約27円の値上げとなります。結果的に全体で6円の値上げで、気軽に飲めない感じになっていきそうです。

定義が変わる場合クラフトビールが売れる可能性がある

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しかし一方で、ビールの定義や酒税の変更で、クラフトビールへの関心が高まるのではないか、ということが期待されています。クラフトビールは、独立系の醸造所が製造、販売しているビールで、醸造所ごとに製法や味に個性があるのが特徴です。

クラフトビールの中には、認定されていない副原料を使っているために「発泡酒」になっているもの多いのですが、今後、これらが発泡酒からビールへジャンル変更されると、ビールファンの注目が集まる可能性があります。

さらに、ビールの価格が下がると、自然と消費も伸びやすくなります。クラフトビールは小規模営業のため、これまでは流通量が少なかったのですが、いずれは大きな選択肢にひとつになるかもしれません。

発泡酒とビールは原材料に違いがある

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発泡酒とビールの違いが、おわかりいただけたと思います。発泡酒はビールの模造品でもなく、安酒でもないのです。発泡酒に抵抗を感じていた方も、この機会に飲んでみてはいかがでしょう。意外と、好みの味が見つかるかもしれません。

李孟鑑
ライター

李孟鑑

WEBライター歴は6年ほどです。 色々なお仕事を通じて、執筆できるジャンルを広げていけたらと思っています。

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