アメリカ国旗の星の数はいくつ?歴史や由来もご紹介!
世界最大の経済力と軍事力を誇る大国「アメリカ合衆国」。私たち日本が第二次世界大戦で敗戦して以来、緊密な関係にあるもっともつながりの深い友好国です。
アメリカの国旗と言えば、ネイビーに白抜きの星と赤と白のストライプが鮮やかな星条旗ですが、この星の数やストライプの数にも意味があるとご存知ですか?アメリカの国旗の由来には、アメリカの歴史が深く関わっています。
今回は、知っているようで知らないアメリカ国旗の謎に完全密着。星の数はいくつなのか?あるいは、アメリカ国旗が今のようなデザインになった歴史。そして、アメリカ国旗の色に秘められた意味や由来も含めて、一緒に学んでいきましょう!
アメリカ国旗の歴史
アメリカ国旗の由来や意味を知るためには、まず、アメリカという国の歴史を知ることが第一歩です。アメリカ国旗が誕生するきっかけとなったのは、1775年に勃発したアメリカ独立戦争がその始まりと言われています。
アメリカの領土は、それまでイギリスに支配されていました。イギリスの支配と度重なる課税により、アメリカ本土で暮らす人々は困窮。次第にイギリスに対する反発が強まり、13州が集まってアメリカ独立戦争が勃発します。
アメリカの独立戦争が国旗の契機
歴史の教科書でも同じみのアメリカ独立戦争は、1775年から1783年まで約8年間も続くことになりますが、独立戦争が勃発した翌年、当初イギリスからの独立を宣言したアメリカ東部13州が中心となって、独立を宣言します。
それまでのアメリカ国旗は、東部13州を表すストライプと、現在星のデザインがおかれている部分に、イギリス国旗である「ユニオンジャック」が描かれていたそうですが、この独立をきっかけに、アメリカ軍は、新しい国旗をデザインすることを思いつきます。
星の数はベッツィー・ロスが制作した
新しいアメリカ国旗を作ろうと、初代大統領となったジョージワシントンは、いくつかのデザインを作成してくれるように周囲の人に依頼しました。しかし、どのデザインも新しいアメリカの歴史を印象付けるデザインではなかったため採用されませんでした。
結局、アメリカ国旗のデザインは、当時フィラデルフィアに住んでいた家具屋のベッツィー・ロスという女性に委ねられます。最初は、ワシントンを初めとする三人がベッツィーに六芒星のデザインを提案したようです。
しかし、ベッツィー・ロスは、「五芒星のデザインの方が美しい」と逆に提案し、当時の独立州の数であった13個をアメリカ国旗の新しいデザインとして縫い付けたと言われています。
ちなみに、ベッツィーロスは、この大変な仕事に対して「できる分からないけどやってみます」といたく楽観的だったそう。裁縫が得意だった彼女は、きっと素敵なデザインの国旗ができるという根拠のない自信があったのかもしれません。
アメリカ国旗が意味するもの
アメリカ国旗の星の由来は、この独立州の数にちなんで、アメリカの歴史の変遷と共に、徐々に増えていくこととなります。
新しいアメリカ国旗のデザインが意味するものは、新しいアメリカの歴史を切り開く13州の強い意志と誇り、そしてイギリスには屈しない自由を勝ち取る象徴となりました。
歴史を振り返ると分かりますが、アメリカ国民にとって、アメリカ国旗はアメリカ人の「勇気、純潔、正義、そして勇敢さ」を意味する象徴的な存在と言えます。
アメリカ国旗の色・縞模様・星の数の意味・由来
アメリカ独立戦争の歴史から誕生した「星条旗」は、正式名称「合衆国旗」とも呼ばれています。アメリカがいくつもの独立した州から成り立つ国であることを意味しており、色使いや星の数にも、それぞれ由来があります。
そこでアメリカ国旗誕生の歴史を踏まえつつ、ここからは、アメリカ国旗の色の意味や由来、そしてなぜ、アメリカ国旗が今のような13本のストライプを持っているのかと言ったところについても、詳しく見ていきましょう。
アメリカ国旗の色の意味・由来
まずは、アメリカ国旗の色の意味と由来から見ていきましょう。アメリカ国旗の色は、赤と白、そしてネイビーと白の4色が使用されています。国旗に使用されている色には、建国の父となったジョージワシントンを始めとする先人たちの思いが込められています。
赤い色は、勇気、そしてたくましさを意味している色で、独立戦争で命を捧げた人々の血の色にも由来しています。アメリカ独立を絶対に成し遂げて自由を勝ち取るという強い意志を意味する色と言われています。
アメリカ国旗の白色は、警戒心と純潔を意味していると言われています。この由来は、アメリカの国土を何者にも汚させないという強い警戒心から生まれました。
また、白には、生まれたばかりのまっさらなイメージもあるため、アメリカ国旗の白色には新しい国を表現したというのがその由来と解釈される場合もあるようです。
アメリカ国旗に使用されているネイビー(青色)は、正義と忍耐を意味する色と言われています。正義こそ、アメリカ国家を作りあげた国の根本であり、また、生まれたばかりのアメリカという国を守っていくためには、忍耐も必要だという考えがその由来のようです。
アメリカ国旗の縞模様の意味・由来
続いては、アメリカ国旗の縞模様の意味と由来について見ていきましょう。アメリカ国旗の星の数と、縞模様(ストライプ)の数は、独立当初は同じだったと言われています。
このストライプの模様には、誕生したばかりのアメリカに降り注ぐ「太陽の光」を意味していると言われています。赤色の線が7本、白色の線が6本あり、合計13本の線が、最初に独立宣言した時の13の州に由来しているそうです。
赤色の線の方が多い理由については、その由来が定かではありませんが、全体のバランスや見栄えの良さなども配慮してのことだと考えられます。
アメリカ国旗の星の数の意味・由来
最後に、アメリカ国旗の星の数の意味と由来についてはどうでしょうか?アメリカ国旗の星の数は、独立当初は、最初に独立を宣言した東部13州の数に由来しており、13個のみだったそうです。
その後、アメリカ合衆国で独立する州が増えるに連れて、星の数は徐々に増えていきました。最後に1960年にハワイ州がアメリカ合衆国に加わったときに、アメリカの国旗の星の数は50個になりました。
ちなみに、日本にペリーが来航した1853年、日本人が初めて見たアメリカ国旗には、星の数が31個あったそうです。アメリカの歴史と共に、国旗の星の数は増えていきました。
アメリカ国旗の象徴
アメリカ国旗の星の数や色、そしてストライプデザインの意味や由来をご紹介してきました。アメリカ国旗に使われている赤色は、戦争で流された多くの人々の血の色も意味しているというのは先述の通りです。
その一方で、アメリカ国旗の白は国の純潔、そして青は、アメリカという国を自由な国として守っていくための忍耐などを意味していました。この色に込められた由来からも分かる通り、アメリカ国旗は、アメリカ国民の様々な思いを象徴しています。
アメリカ国旗には、アメリカの独立戦争の歴史と、アメリカ国民が持つ国への愛国心や強いプライドを象徴しているとも言われています。
アメリカ国民の悲劇を象徴している
アメリカ独立戦争の歴史からも分かる通り、アメリカ国旗は、自由を勝ち取ろうともがき苦しむ人々の悲劇も象徴してきました。アメリカ国民が悪政に苦しんだ時は、星条旗を燃やしてデモを行うなど、政府への反感を意味するシンボルにもされました。
またアメリカにとって重要な人物の死や、9.11同時多発テロ事件のように、アメリカ国家全土を震撼させるような悲劇があった場合には、半旗を掲げることで、悲しみを意味するシンボルとしても使われています。
アメリカのプライドを象徴している
アメリカ国旗は、アメリカ人のプライドを象徴するものとしても使用されてきました。例えば、人類初の月面着陸に成功した際は、アメリカ人宇宙飛行士がアメリカ国旗を月面に残して行ったことなども有名です。
来年は東京オリンピックが開催されますが、オリンピックも国の威信をかけた大切な行事の一つ。アメリカ人選手が金メダルを獲得すれば、もちろんアメリカ国旗を背負ってウィニングランをすることでしょう。
また、アメリカ国旗がプライドを象徴する意味で使用される例としては、アメリカ兵が戦死した時に、棺に国旗をかけることなどもあります。棺にかけた国旗を外すときは、13回たたむという決まりがあり、たたんだ国旗が兵士の遺族に渡されるそうです。
アメリカ国旗にまつわる風習やエピソード
アメリカ人のプライドと独立戦争の悲劇を象徴しているアメリカ国旗。色やデザインにも様々な意味と由来があり、いかにアメリカ人が誇りを持ってこの国旗を作ったのかということがよく分かりました。
アメリカ国旗が、他の国の国旗と違って一番ユニークな点は、独立する州が増えるごとに、星の数が増えて行ったということです。実は、1816年に合衆国に加わった州が20州を数えるまでは、ストライプの本数も同じように増やして行っていたのだそうです。
アメリカ国旗のデザイン変更は26回もあった
結局、ストライプの帯がどんどん細くなっていったことから、20州に増えた時点で、ストライプの数は、最初の独立州の数に由来する13本に戻すことが決まりました。以後、星の数だけを増やして行ったのです。
星の数が13個だったころは、アメリカ国旗の星のデザインの部分は円形をしていました。以後、独立州が増えるごとに、星の数が増えたため、今のように横に並べるようになっていったようです。デザインの変更回数はなんと26回にも及んだのだとか!
特別ルールが適用されたアメリカ国旗の変更
アメリカ合集国旗は、星の数を増やすために、デザイン変更が認められていました。そのため、こんなに何度もデザインを変更しても憲法違反にはならなかったようです。日本の国旗とは成り立ちもまったく違っているのも、面白い点です。
江戸時代の終わりには31個、太平洋戦争中は48個、星の数が最終的に50個になったのは、1960年7月4日のことです。最初にアメリカが独立を宣言した独立記念日(7月4日)から、実に184年の歳月が過ぎていました。
アメリカ国旗と伝統の関係性
アメリカ国旗にまつわる様々なエビソードをご紹介してきました。過去にデザインを26回も変更した国は、きっと世界広しといえども、アメリカ合衆国ぐらいでしょう。
アメリカ国旗は、アメリカ国内で行われる様々な伝統行事にも登場します。星条旗は、アメリカの国歌である「星条旗」にも登場しますし、アメリカの教育機関で行われる「忠誠の誓い」などにも登場します。
アメリカの国歌と星条旗
アメリカ国旗は、「星条旗」というアメリカ国歌に歌われたことで、人々の胸に深く刻まれてきました。アメリカ国歌が誕生した由来は、1812年の米英戦争です。
米英戦争の際、ボルティモアにいた詩人で弁護士の「フランシス・スコット・キー」が砲弾を浴びた後も倒れることなく、マクヘンリー砦に残っていた星条旗の姿に感動して作詞したものが、現在のアメリカ国歌の歌詞となっています。
アメリカ国歌の中には、「星条旗よ、長きに渡り翻らん」「自由の地 勇者の故郷の上に!」という言葉が何度が出てきますが、この力強いメッセージこそ、アメリカの自由への確固たる信念が込められていると言えるでしょう。
アメリカへの忠誠の誓い
アメリカ合衆国では、忠誠心を表す「忠誠の誓い」(Pledge of Allegiance)を国の公式行事で行います。また、アメリカ合衆国議会の開催も、忠誠の誓いでスタートします。
アメリカ国旗の元に、国への忠誠を誓うこの文言は、現在は以下のような内容となっています。I pledge allegiance to the Flag of the United States of America, and to the Republic for which it stands, one Nation under God, indivisible, with liberty and justice for all.
「私はアメリカ合衆国国旗と、それが象徴する、万民のための自由と正義を備えた、神の下の分割すべからざる一国家である共和国に、忠誠を誓います」という意味です。国旗の方を向いて帽子を取り、この忠誠の誓いを行うことが国旗法に定められているそうです。
アメリカ国旗に関するその他の知識
アメリカ国旗についての歴史と、星の数の意味やデザインの由来などを詳しく見てきました。アメリカ国旗は、アメリカ国民の「勇敢さ、純潔、忍耐、そして勇気」などを象徴するシンボルです。
アメリカ国旗には、他にもいくつか特筆すべきエピソードがありますので、ここに少しご紹介しておきましょう。歴史の教科書には登場しない、ちょっとマイナーなストーリーも雑学として知っておくと面白いでしょう。
「忠誠の誓い」へ着目した1942年の出来事
先にご紹介した「忠誠の誓い」は、1942年、議会によって公式に認められました。国旗に対する敬意を表することも規則で決められています。
しかしながら、アメリカ国内では、学校などの教育機関で子供たちに「忠誠の誓い」を強要することは憲法違反だとされています。こういったところも自由の国アメリカらしいところです。
南北戦争と星の数の関係性
アメリカでは、独立後に南部州と北部州が戦う南北戦争も勃発しました。その際も、アメリカ南北戦争の時には、アメリカ南部州が合衆国から離脱を宣言したにも関わらず、合集国旗の星の数は変わらないままだったそうです。
アメリカの歴史を見ていくと、常に自由を求める人々の戦いと、それに勝利した後の国を守るという強い信念が見えてきます。アメリカ合衆国の国旗には、そんなアメリカ人の誇りが込められていると言えるでしょう。
アメリカの歴史を知りたいならワシントンDCへ
アメリカ国旗にまつわるエピソードやアメリカ国旗が象徴するものについて、詳しくご紹介してきました。アメリカ国旗が誕生した背景には、アメリカの歴史が深く関わっています。
建国の歴史やアメリカという国の由来について詳しく知りたい方は、ぜひ、ワシントンDCを訪れてみてください。ワシントンDCは、かなり広すぎて見どころも多すぎるので、なかなか一日では観光しきれませんが、大きく分けて2つの見どころがあります。
一つは、スミソニアンを中心とした博物館や美術館、そしてもう一つはアメリカの首都としての顔です。連邦政府の建物や、大統領のモニュメントなど、アメリカの歴史を感じられるスポットが満載です。
そして嬉しいことに、これらの公共施設のほとんどが、入場無料となっているため、どなたでも観光できるということです。ワシントン観光のスタートは、DCモールから始めましょう。東に国会議事堂、西にリンカーン記念館までの長方形のスクエアが広がります。
スミソニアンの博物館、美術館のほか、有名なオベリスクとリフレクティングプール、そしてホワイトハウスもこのエリアに集中しています。また、交通も非常に便利でDCサーキュレーターという循環バスを利用すれば、地下鉄よりも簡単に観光することができます。
バスは10分間隔で運行されており、バス停も見やすく、バスの車体は赤と非常に目立つ色をしていますので、観光客にもとてもわかりやすくておすすめです。
観光客に人気があるのは、ジョージタウンからユニオン駅を回るルートです。アメリカの歴史を見に、ぜひ、ワシントンDCを訪れてみてください。
アメリカの歴史に由来するナショナルエンブレム。ワシントンDCへ行ったら、せっかくだから記念にアメリカ国旗をかっこよく撮影してみませんか?
アメリカ国旗をうまく撮影するコツは2つあります。一つは、国旗の背景をできるだけクリーンにすること。もう一つは、国旗が風でたなびいている様子を撮影するということです。この2点さえ押さえておけば、必ずインスタ映えする素敵な国旗写真が撮れます。
まず、背景をクリーンにするためには、できるだけ地面に近いところに飾られている国旗よりは、空に掲げられている国旗を被写体として選びます。お天気が青空だったら、それを被写体のバックにするのがベストです。
たなびいている国旗を撮るには、風を待つしかありませんが、なかなか思ったように風が吹かないこともあります。その場合は、お土産などで売っている棒付きの旗を購入して、開いた状態で持って記念撮影すると良いでしょう。
ナショナルゲームの際にはぜひアメリカ国旗を持って
2020年、東京オリンピックも開催されますが、アメリカでは、やはりアメリカンフットボールのナショナルゲームの際など、愛国心を表すアメリカ国旗を持ってスタジアムに応援に駆けつけるのが習わしのようです。
アメリカ留学やホームステイなどで、アメリカに長期滞在するチャンスがあったら、NBAのバスケットボールの試合やNBLのアメリカンフットボールの試合などに、ぜひ、ナショナルフラッグを持っておでかけください。
アメリカの独立戦争をきっかけに、今から約250年ほど前に誕生したアメリカ国旗。国歌である「星条旗」にも歌われており、国民の深い敬愛を集めています。
NBLのオープニングでは、毎回アメリカの有名アーティストが国歌斉唱を行います。先述の通り、アメリカ国歌は「星条旗」がタイトルで、その感動的なシーンを歌い上げているため、ここで国旗を持っていると、かなり盛り上がります!
アメリカ国旗は国の強さと弱さを象徴するシンボル
アメリカ国旗の成り立ちと由来、そしてアメリカ国旗の色に込められた意味などを含めて詳しくご紹介してきました。
アメリカ国旗には、アメリカという国の強さと弱さの両方を表す象徴としての役割があり、アメリカ国民はこの国旗を見る度に、愛国心を感じると共に、苦しい時も耐え忍ぶという精神でアメリカという国を成長させてきました。
今では、政治力も軍事力も世界最大となっているアメリカ合衆国。この国の底力の影には、星条旗に込められたアメリカ人の強い意志があったのかもしれません。