「できない」の敬語表現・言い換えまとめ!ビジネスでの上手な断り方・例文も紹介

「できない」の敬語表現・言い換えまとめ!ビジネスでの上手な断り方・例文も紹介

「できない」の敬語表現や言い換えをまとめました。ビジネスの場で困ることの1つに「できない」と伝える断り方があります。「できない」の敬語表現を数多く知ることで、相手へ気遣う気持ちを表わせます。ビジネスでの上手な断り方を例文とともに紹介しています。

記事の目次

  1. 1.「できない」の敬語表現
  2. 2.「できない」の肯定的な言い換え
  3. 3.「できない」の敬語表現として誤りがある表現
  4. 4.「できない」の敬語表現を使った例文
  5. 5.できない場合のビジネスでの上手な断り方
  6. 6.「できない」の敬語表現は使い分けることが大切

「できない」の敬語表現

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「できない」の敬語表現を考えたことがありますか。ビジネス上で断る場面は必ず出てきます。依頼された側は、「できない」ことを敬意とともに確実に伝えなければなりません。断り方として「できません」は形式上丁寧語になっていますが、ビジネス上の適切な敬語としては成り立ちません。

「できない」に「です」をつけても、やはり敬語表現になりません。「できないです」も「できません」と同様にビジネス上では使わないようにしましょう。「できない」の敬語表現にどのような言葉があるのかみていきます。

致しかねます

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できないことを伝える言葉として「致しかねます」という言い方が一般的で、上司や取引先に使うことができます。断り方が柔らかく遠回しな表現が使いやすく好まれます。

「致しかねます」には、できないことが自分の本意ではないという意味を含み、条件が整っていませんという意思が暗に加わっています。裏を返すと、状況が変わればできるかもしれないという可能性を残している表現で、中途半端な意味に捉えられてしまう場合があります。

「致しかねます」は、相手が丁寧すぎて無礼な印象と受け取ることがあるため、クッション言葉を組み合わせたり、別の言葉に言い換えたりと場面に応じた表現を付け加えることが必要です。

「できない」ことが相手方にある場合は、「致しかねます」を使えません。もとの言葉の「使用できません」は、「ご利用いただけません」や「ご利用になれません」という言い方が適切です。

できかねます

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「できない」の言い換えで「できかねます」がありますが、敬語表現になりません。「かねる」は「ない」の歪曲表現です。「できかねます」は断りの意思がハッキリ伝わりづらいので、使う場合にはクッション言葉を添えます。

丁寧さは伝わりますが敬語ではないので、ビジネス上で使うことはおすすめできません。できないことをうやむやにする曖昧な言葉は、相手の信頼を損ねる原因になりかねません。

できかねるは婉曲表現であることに注意

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歪曲表現とは遠回しな言い方のことです。できませんとハッキリいうのではなく「できかねる」と柔らかい表現で、言いにくさのある断りの意思を伝えられます。遠回しに断っていますが、相手にできるかもしれないと誤解されることがありますので使い方に気をつけます。

「できかねる」は、単独では使わずに断る意思が伝わるよう別にクッション言葉を添えて、「できない」旨を表すとよいです。断りの印象が柔らかくなるように工夫しながらも、誤解を生じさせない適切な表現にします。

「できかねる」はおすすめできない言葉ですが、言ってしまいがちです。言葉が出てしまった場合には、誤解のないようにきちんとフォローしましょう。言ってしまったことは取り返しができないので、そのあとの機転が大切です。

「できない」の肯定的な言い換え

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ビジネス上で断りたい旨を伝えたいとき、肯定的な言葉に言い換えた断り方を使うと角が立ちません。「できない」の肯定的な言い換えは「致しかねます」が適切です。

「いたす」は謙譲語で、「かねます」は動詞を丁寧語にして敬語とする組み合わせです。「かねる」には自分側が行為を行うことが難しい、達成するのが困難ですという意味があります。

「致しかねます」は、自らの至らない点を申し訳ないという場面で使います。万能の断りフレーズではないので、ビジネス上の使い方をきちんと把握しておきしょう。断り方はマイナスの印象を与えてしまいがちなので、肯定的な言い換えをしながら代案を出すなど工夫が必要です。

なにかがない時の言い換え

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なにかがない時の言い換えの例文を紹介します。商品がなくてお届けできない場合、「在庫を切らしています」と言い換えることができます。否定表現ではなく肯定表現を使うと相手の断られた印象を薄くすることができます。

予算が足りず断る場合、「予算の関係で難しく、今回は見送らせていただきたいと存じます。」や「ご希望に添えるよう努力しましたが、今回は遠慮させていただきます。」と言い換えられます。

「見送る」や「遠慮する」などの婉曲表現は覚えておくと役に立ちます。婉曲表現とクッション言葉を合わせて使い、断り方をスマートにしましょう。断られる相手を気遣う気持ちが大切です。

別の予定があることの言い換え

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別の予定があることを伝えたい場合は、「あいにく先約がありまして申し訳ありません。」と言い換えることができます。予定を合わせる場面では、断るだけでなく別の日時を提案すると、歩み寄りの姿勢を示すことができます。

「ご希望に添えず、申し訳ありません。」や「今回は残念です。また是非誘ってください。」「申し訳ありませんが、遠慮いたします。」など場面に応じて使い分けましょう。理由を述べる場合には、相手に責任がないこと(友人と先約がありますので、など)を付け加えるとよいです。

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「できない」の敬語表現として誤りがある表現

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「できません」は、「できない」の敬語としてふさわしくありません。日常的に使われている言葉で表現が幼稚であるため、ビジネス上で使用することは誤りです。「できない」の敬語として使えないと考えてよいでしょう。

「できないです」も同様にビジネスにふさわしくない言葉ですので、安易に使うことがないように注意しましょう。メールはあとまで文章が残りますので、敬語の使い方に会話以上に注意が必要です。「できません」や「できないです」が敬語として誤りになる理由を詳しく説明します。

できませんは敬語ではない

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「できません」は、形式上は丁寧語が入っているので敬語に該当しますが、ビジネス上の敬語表現として通用しません。相手に対して敬意を払っている印象を与えず、逆に冷たくあしらっている印象を与えてしまいます。

ビジネス上では、「できない」ことよりも相手は断り方の内容を見ています。「できません」はあまりにも直接的な物の言い方で敬語にならないだけでなく、相手に失礼な印象を与えてしまうため使用は控えましょう。

会話だけでなくメールでも同様です。メールを作成する場合は、会話以上に敬語を意識した文面を心がけます。

できないですはNG

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「できないです」も「できません」と同様にビジネス上の敬語表現としては不適切です。理由も同様で、「できない」ことを直接的に伝えてしまい、相手への敬意の表れがありません。普段の会話で出やすい言葉のため、無意識に使ってしまわないよう気をつけましょう。

会話だけでなくメールで使うこともふさわしくありません。「できないです」「できません」はともにビジネス上のやり取り全般に使わず、別の言葉が出るように語彙力をつけましょう。敬語の使い方も合わせて学ぶと一石二鳥です。

「できない」の敬語表現を使った例文

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「できない」の敬語表現を使った例文を紹介します。「できない」旨を伝える理由によって言い方を変えるとよいです。言葉のバリエーションが多いととっさのときにでも対応ができます。日頃から耳を澄ませて、「できない」の言い換えの言葉が使えるように多くの例文を身につけましょう。

できないと思う時の例文

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仕事の依頼はできるだけ断りたくないです。断り方によっては、相手にとって頼みにくい人と位置づけられてしまうからです。「できない」の敬語表現「いたしかねます」を使うことが一般的です。例文を紹介します。

「出席いたしかねます。」「期限内にいたしかねます。」「ご要望に添いかねます。」「お受けいたしかねます。」などです。接頭語の「お」や「ご」で敬語表現にすることができるので、回りくどくならずにメリハリがつきます。

物事を行うのが難しい場合の例文

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依頼を受けた物事を行うのが難しい場合、相手にこちら側の意図を汲んで欲しい気持ちが伝わるような表現を選びましょう。依頼を受けることができない断り方の例文を紹介します。

「難しいとお見受け致します。」「難しく存じます」「お断りをせざるを得ない状況です。」「遠慮いたします。」「せっかくですが辞退申し上げます。」などです。

口頭のみならずメールでも使うことができます。メールの場合には、相手にできない意思がはっきりと伝わるようにし、誤解を招かないために理由を添えるなど対面より配慮が必要です。

できるかどうかを尋ねる例文

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相手にできるかどうかを尋ねたり、依頼をする場合の敬語表現は、肯定的な「可能」や「お願い」を使って言い換えができます。「できませんか」は丁寧語が入っている正しい敬語ですが、日常的に使っている言葉で敬意があまり感じられません。

ビジネス上で相手に尋ねる場合の例文を紹介します。メールでも使うことができるので、例文としてストックしておくとよいでしょう。「可能ですか」「可能でしょうか」「お願いできますか」「お願いできますでしょうか」「いただけませんか」などが適切です。

メールの場合、依頼の「か」で文を終えるときには「?」をつけないようにします。文章に締まりがなくなり、接頭語を使って敬語にしていることが台無しになります。内容がお断りの文面ですから、格調高い文章を心がけましょう。

メールでも使える例文

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メールで「できない」旨を伝える場合は、直接話をするときよりやや改まった敬語が適切です。文字のみは冷たい印象を与えてしまいがちなので、相手を思いやる気持ちが伝わるように表現を工夫します。敬語がはっきりと伝わるかしこまった文にするとよいでしょう。例文を紹介します。

「謹んで辞退させていただきます。」「見送らせて(検討させて)いただきたいと存じます。」「大変光栄に存じますが、対応いたしかねます。」「せっかくのお誘いですが、気持ちだけ頂戴します。」「残念ですが、お引き受け致しかねます。事情をご理解いただけると幸いです。」などです。

メールの場合は手紙文のような口語的表現が好まれますので、敬語を適切に使うようにします。語尾の「存じます」は適度に使用すると文章の印象がよくなります。敬語を使う定型文を手元に準備しておくと安心です。

できない場合のビジネスでの上手な断り方

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ビジネス上では断り方が信用と比較されることがあるので、慎重に伝えなければなりません。できないことを安請け合いすると逆効果です。お詫びとお断りに加えて代案を提示して、できるだけよい関係が継続するように努めましょう。

断りの言葉に無神経になってはいけませんが、断る内容で相手の印象はガラリと違ってきます。「今回は」と限定をしたり、考える猶予をもらったりと対応している姿勢を見せることが大切です。対応し切れず断らなければならない場合の、上手な断り方を紹介します。

メールも会話と同様にクッション言葉を組み合わせたり、肯定表現に変えるなどして敬語に気をつけます。後々まで残るので、下書きを作成するくらい慎重にします。

敬語を正確に使う

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相手に敬意を表すことがビジネス上大切です。敬語を正確に使えるように普段から心がけましょう。「できない」の言い換えの言葉を増やすことは、自分の自信につながります。

ビジネスは人との関わりで成り立っていますので、相手を思いやる気持ちが伝えられるようにしましょう。「できない」と言う側だけでなく、「できない」といわせてしまった場合も適切な敬語を使って相手のことを思いやる必要があります。

補足の言葉・クッション言葉を使う

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「できない」ことを伝える場合に、クッション言葉を添えて伝えると印象が柔らかくなります。自分側の事情で「できない」旨を伝える場合は、「申し訳ありませんが」「お役に立てず」「誠に残念ですが」「不本意ではございますが」などが一般的です。

補足の言葉を組み合わせて、断りの意思を確実に認識してもらるように工夫します。どっちつかずの印象を与えるのが一番よくありません。クッション言葉はメールでも必要ですので、自分なりのリストを作成しておくとよいでしょう。

辞退申し上げる・遠慮いたしますなどを使う

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「できない」内容として依頼を引き受けることが難しい場合は、「辞退申し上げます。」や「遠慮いたします。」などを使うと、敬語がはっきりして相手に嫌な思いを与えません。

クッション言葉と組み合わせて「誠に残念ですが、辞退申し上げます。」「あいにく都合がつかずご遠慮いたします。」などと丁寧さと誠意を表し、今後の関係に支障がないようにしましょう。

「できない」の敬語表現は使い分けることが大切

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ビジネス上で「できない」の敬語表現は、場面に応じて使い分けることが大切です。「できない」旨を直接的な表現は避けながら、はっきりと伝えましょう。できるかもしれないという不用意な期待は抱かせないようにします。相手に誤解されないように伝わる言葉を選びます。

「できない」の敬語表現を使いこなせるようにしましょう。「できない」と断るだけでなく代案を提示して折り合いが付くように歩みよる姿勢を示すことが大切です。ビジネス上で「できない」ことは多く出てきますので、相手を思いやる敬語表現を多く知ることが自信につながります。

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ライター

buusencho_sunu

活字が大好きで、読書と言えば紙の本、和文化が好きで茶道を勉強中です。どちらも終わりがないので、一生続けることができるのが幸せです。物事を調べる楽しさを知って毎日奮闘しているこの頃です。人の役に立てるような文章を書くことを目指しています。

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