「わかりかねます」の意味
「わかりかねます」は物事を断るときに、相手に失礼がないよう丁寧に意志を伝える敬語表現です。「わかりかねます」を前後に分解すると、「分かる」と「かねる」に分けられます。
「かねる」とは「~することが難しい」「〜できない」という意味で、合わせると「理解することが難しい」「分かることができない」になります。つまり「わかりかねます」は、失礼がないよう柔らかく断る意味の敬語表現です。
分かりません・知りませんの敬語表現
「分かりません」「知りません」「できません」のような答え方は、少し強い言い方なので目上の人や初対面の人には失礼に当たります。失礼にならないために、断りや否定の言い換え表現として丁寧な「わかりかねます」が使われます。
しかし敬語としての「わかりかねます」の意味を正しく理解していないと、「わかりかねません」を同じ意味だと混同して間違った使い方をしてしまいます。
「わかりかねません」は「わかりかねます」と一見同じ意味のように見えますが実際の意味は違います。「申し訳ありませんが、私には質問の答がわかりかねません」などと答えるのは意味を取り違えた敬語の誤用です。
「かねません」は「かねる=難しい、できない」と「ません=否定する」と否定を二重に繰り返すので、逆の意味「分かるかも知れない」になります。「質問の答がわかりかねません」は「質問の答が分かるかもしれません」になってしまいます。正しい意味を理解して正しい使い方をするように注意しましょう。
「わかりかねます」の使い方
「わかりかねます」は、「分からない」ことを丁寧に伝える意味の他に「できればお伝えしたいけれど、現況では分かりません」のようなニュアンスを合わせ持っています。
つまり「わかりかねます」には、謝罪の気持ちが含まれています。しかし「わかりかねます」と言い切ってしまうと、相手に少し冷たい印象を与えてしまいます。そこで「今は分からないけれど、努力して対処しましょう」のように提案をつけ加えることで謝罪の気持ちと努力の気持ちの両方を伝えることができます。
謝罪と提案を一緒に提示する
「わかりかねます」の使い方には、「分からなくて申し訳ない」という謝罪と「それではこうします」という提案を一緒に提示する場合が多く見られます。
提案を一緒にすることで、丁寧な謝罪だけでなく、何とかしてあげたいという努力の気持ちを相手に伝えることができます。「わかりかねます」はビジネスシーンや目上の人、初対面の人に対して使い方を上手くすれば、謝罪を含んだ気持ちを伝えるだけでなく相手に好印象を与えられる便利な敬語表現です。
「わかりかねます」の例文
「わかりかねます」は謝罪と提案を一緒に提示することで、相手に対してより丁寧で親切な表現になります。使い方の例文をいくつか紹介します。
例文の使われている場面や状況を学ぶことで、「わかりかねます」の意味や使い方をより広く理解することができます。例文を実際の現場やケースに応用して、自分に合せた形にアレンジして使って見て下さい。対応スキルの向上やボキャブラリーを豊富にすることに役立てましょう。
例文1:わかりかねますが
「わかりかねますが、調べてから折り返しご連絡いたします」は、電話やメールの対応でよく使われる例文です。
ほかにも「わかりかねますが」を使った例文には「現在では具体的な納期は分かりかねますが、来週には確定しますのでご連絡いたします」「今は出先なので分かりかねますが、会社に戻ってからお調べしてご連絡します」などがあります。
「わかりかねますが〜」は、相手が必要としている情報に対応するため、努力している姿勢や気持ちを伝えるために使われる表現です。また必要な情報を得るために、必要な時間の余裕を貰う許可の意味も含んでいます。
「わかりかねます」は丁寧な断り方ですが、そのあとに言葉がなければ一方的に断られたように感じて相手の方には不満が残ります。
「かねます」のあとに「が」を付けて「わかりかねますが、何々しましょうか」と提案を示すことで相手の不満を解消させ、努力する姿勢をアピールできます。また質問に答えるまでの時間的余裕を作ることができます。「わかりかねますが〜」を上手く使いこなしてビジネスシーンに利用して下さい。
例文2:わかりかねますので
「わかりかねますので」は、自分では答えることが出来ないけれど、他の者や他の部署に替われば、すぐに求めている情報に対応できる場合に使われる敬語です。「わかりかねますが」より素早い対応ができるケースで使います。
例文として「私には分かりかねますので、担当の者と替わります」「こちらの部署では分かりかねますので、生産管理課におつなぎいたします」などがあります。
また外で道順を聞かれた時などには「私では分かりかねますので、そこの交番までご案内します」と使います。つまり「わかりかねますので」は「私には分からないのでこうします」と自分をへりくだりながら代替え案をすぐに提供する姿勢を伝えるときに使う敬語です。
例文3:わかりかねます
「わかりかねます」は相手の質問に対して「分からない」「知りません」と主張できる丁寧な敬語です。
しかし「わかりかねます」と言い切ってしまうと、相手に冷たく失礼な印象を与えてしまいます。そこで一般的には「わかりかねます」の前に謝罪の言葉をつけます。
たとえば「申し訳ありませんが、私にはわかりかねます」「大変申し訳ありませんが、具体的な予定はわかりかねます」「残念ですが私には、その答がわかりかねます」「失礼ですが、質問の意味がわかりかねます」のように使います。
「わかりかねます」の前に「申し訳ありませんが」のようなクッションになる言葉をつけることで、柔らかい丁寧な使い方になります。
「わかりかねますが〜」「わかりかねますので〜」は「わかりかねます」の後に提案の言葉をつけることで、より丁寧に努力する気持ちまで伝えます。「わかりかねます」は前に謝罪の言葉をつけることで、より相手を尊重する気持ちを伝えます。
このように「わかりかねます」の例文は沢山あります。例文を参考にして使い方や表現方法を学び、電話の対応スキルや上司に対する話し方、人間関係などに役立てて下さい。
「わかりかねます」のより丁寧な言い換え
「知っている」を丁寧にした言葉に「存じ上げる」という謙譲語があります。謙譲語とは敬語の一種ですが、へりくだった表現をすることにより相手に対して敬意を表す言葉で、敬語より丁寧な類義語とも言えます。
自分を相手より下位の位置に置いて謙遜することで、相対的に相手に敬意を表します。自分がへりくだることで相手に敬意を表す意志が深くなります。敬語よりさらに丁寧な言い換え表現と言えます。
「存じ上げる」の否定形「存じ上げません」は「わかりかねます」と同じ意味を持つ謙譲語なので、「存じ上げません」は「わかりかねます」をより丁寧に言い換えた類義語です。
存じ上げません
「存じ上げません」は「わかりかねます」をより丁寧にした類義語ですが、分からない対象が人物や物など物理的にはっきりしている場合に多く使用されます。
たとえば「申し訳ありませんが、私は○○様は存じ上げません」「今回の新製品に関しては、申し訳ありませんが存じ上げません」などのように使われます。
「私は○○様はわかりかねます」と表現すると、答えた相手に対しては丁寧な表現でも、○○様に対しては敬意を払っている感じが薄くなります。
「私は○○様は存じ上げません」と表現することで、答える相手と対象となる人の両方に対して敬意を払った丁寧な表現になります。つまり「わかりかねます」をより丁寧に言い換えた表現が「存じ上げません」です。「存じ上げません」の使い方を色々覚えて、ビジネスシーンに利用して下さい。
存じ上げておりません
「存じ上げておりません」は「存じ上げません」をさらに丁寧にした言いまわしです。「ません」という表現より「おりません」と言った方が、聴き手には柔らかく響きます。
相手に与える印象、敬意や丁寧さを表すには言葉の響きも大切な要素です。使い方の例文としては「不勉強で申し訳ありませんが、御社の事業内容については存じ上げておりません」などのように使います。
また「部長が移動されたのを、存じ上げておりませんでしたので大変驚きました」のように「知らなかった」ことの丁寧な謝罪と、それにともなう自分の感情を合せて伝えることで、敬意だけでなく親近感まで表現できます。
言葉の使い方で言葉の響きを考えて使うことは、相手に与える印象を良くする大切な要素です。そのような意味で「存じ上げておりません」は上司や目上の人に対して安心して使え、好印象を与えることができる敬語です。
「わかりかねます」の類義語
類義語とは似たような意味や使い方をする言葉で、意味を言い換えた表現のことです。「わかりかねます」の類義語には、様々な言いまわしがありますが、それぞれに少しずつ違う意味があります。
これから「わかりかねます」の類義語を紹介します。類義語の意味を参考にして、言葉の使い方、言葉を言い換えるスキルなどを高めて、人間関係の向上やビジネスをスムーズに進めるために役立てて下さい。
お答えいたしかねます
「お答えいたしかねます」は、相手が質問してきた内容に関して答えられない場合に使う敬語表現です。「答えられない」を言い換えれば、質問された内容に直接答えることができない、または質問の内容に関する情報を示せないことです。
「答えたいのはやまやまだが、残念ながらできません」という気持ちを、謝罪とともに敬意を払いながら丁寧に伝える表現です。つまり「お答えいたしかねます」は、質問に対して「わかりかねます」を別の言葉に言い換えた類義語の一つです。
ご対応いたしかねます
「対応」という言葉の意味は主に2つあり、1つ目は物理的な意味で、物事と物事が互いに対立しているような位置関係や数字的な状況を表す言葉です。2つ目は物事に対して、何らかの行動を起こして応じるという意味です。
ビジネスシーンでよく使われる「ご対応いたしかねます」の対応は、後者2つ目の意味です。つまり「ご対応いたしかねます」は、相手の要望や依頼に対して「行動することができない」ことを柔らかく言い換えて表現した敬語です。これも「わかりかねます」と似た意味を持つ類義語です。
できかねます
「できかねます」は前述の「ご対応いたしかねます」とほぼ同じ意味を持っていますが、「ご対応いたしかねます」より直接的な表現です。
ビジネスシーンでは、目の前にいる人に対して「できません」と言えば失礼に当たるので「できかねます」と柔らかい表現に言い換えるのが一般的です。
「かねます」には「できません」という意味があるので、「できかねます」では「できない」気持ちが二重に重なり、意味がより具体的に鮮明になります。
「できかねます」は、できない対象が具体的な場合に多く使われる敬語です。「できかねます」も「わかりかねます」と同様に、断りの表現を柔らかく相手に伝える敬語なので類義語になります。
承りかねます
「承る」とは、聞く、受ける、引き受ける意味をを丁寧に言い換えた謙譲語です。「承る」の反対語の「承りかねます」は上司や顧客からの依頼を、やむを得ず引き受けることができない時に使う、断りの敬語です。
この場合断るだけにとどまらず、引き受けることが何故できないかの理由を説明することが重要です。理由を説明することで顧客との信頼関係を維持し、次の取引につなげる可能性を残すことができます。
「わかりかねます」の類義語の使い方と例文
前章では「わかりかねます」の類義語の意味を解説しましたので、ここでは類義語の使い方と例文を紹介します。例文には具体的な使い方や言い換えの応用例が沢山あります。
類義語ごとに使い方と例文を紹介するので、自分なりの応用例をイメージしながら読むことで、さらに理解が深まります。
類義語の例文をそのまま応用するのも、アレンジして言い換えて見るのも、自分で新たな類義語を探して見るのも、どんなやり方でもビジネススキルを向上させるために役立てましょう。
例文:お答えいたしかねます
「お答えいたしかねます」は相手の質問や依頼に対して、言葉で返答できない時に使う丁寧な敬語表現です。
使い方の例文としては「申し訳ございません、製造方法につきましてはお答えいたしかねます」や「社員の連絡先は個人情報となるため、お答えいたしかねます」のように用います。
また理由に関する質問などには「採用不採用の理由につきましては、社内秘となっておりますのでお答えいたしかねます」のように対応します。「お答えいたしかねます」は、言葉で答えられない場合の断りの敬語です。この他にも色々と言い換えの表現があるので想像して見てください。
例文:ご対応いたしかねます
「お答えいたしかねます」は言葉で答えられない場合の敬語表現ですが、「ご対応いたしかねます」は行為として対応できない場合に丁寧にお断りする敬語表現です。
使い方は「当センターは平日のみの営業のため、土日はご対応いたしかねます」や「明日サーバーの点検作業があるため、午前中はご対応いたしかねます」などのように、周囲の状況により対応できない場合に多く使われます。
また「お客様の過失による故障の場合、保証期間内であっても無料保証にはご対応いたしかねます」のようにも使われます。つまり「ご対応いたしかねます」は当方の都合や相手の都合どちらの場合にも、状況により対応できない時に使われる敬語です。
例文:できかねます
「できかねます」は「できません」を丁寧に言い換えた敬語表現です。「ご対応いたしかねます」と使い方は似ていますが、例文を見ると微妙に違いがあります。
「申し訳ありませんが、混雑時のレジでの両替はできかねます」や「商品発送後のキャンセルはできかねます」「商品の開封後の返品や交換はできかねます」などのように使われます。
できない理由の対象が「ご対応いたしかねます」の場合は状況や都合なのに対し、「できかねます」は商品、両替、返品、交換などのように、より具体的な物や行為に起因しているところに違いがあります。つまり断りの対象が「ご対応いたしかねます」は抽象的な状況、「できかねます」は物理的に具体的な物や行為なのです。
例文:承りかねます
「承りかねます」は「聞くことができない」や「引き受けることができない」を優しく言い換えた表現です。
「承りかねます」の類義語に「お受けいたしかねます」があり、意味は「受け取れない」「引き受けられない」の言い換え表現で、「承りかねます」とほぼ似ていますが使い方は微妙に違います。例文を見るとその違いがよく分かります。
「承りかねます」の場合は「生産ラインが不足しているため、追加の注文は承りかねます」「年末年始は配送作業が停止いたしますので、12/26以降のご注文は承りかねます」「原材料が不足しているため、新規のお取引様からの注文は承りかねます」のように使います。
「お受けいたしかねます」の場合は、例文の「承りかねます」を「お受けいたしかねます」に言い換えて同じように使うことがありますが、「承りかねます」とは違う使い方があります。
「お客様からお品物を受け取るのは、禁止されておりますのでお受けいたしかねます」や「私はまだ力不足のため責任者の役職はお受けいたしかねます」などのようにも使います。つまり「お受けいたしかねます」は「承りかねます」より使い方が広い類義語と言えます。
「わかりかねます」の英語表現
日本語の敬語「わかりかねます」は英語ではどのように表現するのでしょう。日常の英語では「I don’t know.(分かりません)」や「I am not sure.(確かではないです)」「I cannot understand.(理解できません)」などがよく使われます。
しかしビジネスなどのフォーマルなシーンでは「I am sorry(申し訳ない) 」や「I apologize(謝ります)」などのフレーズをつけ加えることで丁寧な表現にしています。つまり英語には日本語の敬語「わかりかねます」に相当する文節がないのです。そのためにフレーズをつけ加えることで、申し訳ない気持ちや謙遜する気持ちを表現しています。
I'm not sure
英語の「I'm not sure」は「I am not sure」の略語形で「確かではない」「はっきりしない」という意味で、不確かな時や分からない時に使う言葉です。
英語では「I'm not sure」単独で使うより、後にフレーズを付けることが一般的です。たとえば「I’m not sure when I can get there.(いつそこに到着できるかはっきりしません)」とすることで「到着時間はわかりかねます」と同じような意味合いを表現します。
また「I’m not sure if I liked the book.」は「その本が好きだったかどうかよく分かりません」という意味です。つまり英語の「I'm not sure」は日本語の「わかりかねます」より少し軽い表現になります。
I'm sorry
「I'm sorry」はよく耳にする英語で「ごめんなさい」「すみません」「申し訳ない」という意味です。
しかし日本語の「すみません」は、謝罪する時のほかに「すみませんが道をあけて貰えますか」「すみませんメニューを見せていただけますか?」のように、人に何かを頼む時によく使います。
英語の「I'm sorry」は謝罪の意を表す時に使用し、日本語で何かを頼む時の「すみませんが〜」には「Excuse me 〜」を使います。日本語の感覚で「I'm sorry」を使うと「どうして謝るの?」と不思議がられてしまいます。間違いに注意しましょう。
「わかりかねます」に近い英語の例文に「I’m sorry, but I don’t know what you just asked about.」があります。意味は「申し訳ありませんが、お尋ねになったことについては分かりません」となります。
また「I am sorry that I’m not sure when I can get there.(申し訳ありませんが、到着時間については分かりかねます)」は「sorry」と「not sure」の2つを重ねることで日本語の敬語「わかりかねます」に近い表現になります。
英語の「I’m sorry」は通常、申し訳ないなどの謝罪文として使われることが多いのですが、使う状況や次ぎにくるフレーズによって「残念ながら〜」「〜を遺憾に思う」という意味になります。
たとえば「I'm sorry (that) you cannot stay longer.」は「あなたがもっと長く滞在できないのが残念です」という意味になります。
長く滞在できないのは相手の都合で、話手が誤る必要はないのに謝罪文の「I'm sorry 」を使います。この場合の「I'm sorry 」は謝罪の意ではなく、残念な気持ちを表現しています。このように英語の表現は、使う状況やフレーズの組合せで意味やミュアンスを伝える言語なのです。
I'm afraid
英語の「afraid」は「怖い」「恐ろしい」という意味の形容詞で、「I'm afraid〜」は「〜が怖い」「〜が心配だ」の意味です。
しかし使われるケースやあとに続くフレーズによって「残念ながら」「申し訳ないけど」の意味になり、「わかりかねます」に似ている表現になります。
「I’m afraid I won’t be able to come.(残念ながら、来ることができないかも知れません)」という文章は「わかりかねます」に近い意味で使われた例です。
日本語に訳すと「I'm afraid〜」も「I'm sorry 〜」と同じ意味に見えますが、実は違う状況を伝えています。「I'm afraid〜」は、これから自分が起こす行動や状況に対して「残念な気持ち」を表現しています。
一方「I'm sorry 〜」は、すでに起きてしまった行動や状況に対して抱く気持ちです。つまり「I'm afraid〜」は未来に対して、「I'm sorry 〜」は過去に対して「残念な気持ち」を伝える英語です。
It is difficult for me to~
「difficult」は「難しい」「困難だ」という意味で「It is difficult for me to~」を直訳すると「私にとって〜することは難しいです」となります。
例文で見ると「This book is too difficult for me.」は「この本は私には難しすぎます」「It is difficult for me to study English.」は「私には英語を勉強するのは難しいです」
「It was difficult for me to find」は「私にはそれを見つけるのが難しかった」という意味です。「わかりかねます」と似かよった表現ですが、これらは英語の日常会話で敬語の「わかりかねます」とは少し丁寧さのニュアンスが違います。
「わかりかねます」が無い?英語と日本語の決定的な違い
厳密に言えば英語には「わかりかねます」に相当する表現がありません。それは日本語には言葉そのものが敬意の意味を持つ「敬語」がありますが、英語には「敬語」と言われる言葉がありません。
英語で敬意を伝えるためには、言い回しや単語とフレーズの組合せで、敬うニュアンスを表現しなければなりません。英語と日本語の表現方法の決定的な違いは文字の違いに由来しています。
英語は26文字のアルファベットの組合せで単語が成り立っていますが、ABCD1つずつには意味がありません。一方日本語の文字は、漢字、カタカナ、ひらがな、どの1文字にも意味やイメージがあります。
1文字で意味やイメージを表現できる漢字の一部、または漢字を崩して作られたカタカナや平仮名(ひらがな)は1文字1文字に基の漢字のイメージがあるのです。ですから「わかりかねます」と言っただけで、謝罪の気持ちや敬意を感じ取ることができます。
一方英語の単語にはそれぞれ意味がありますが、イメージや感情までは含みません。英語で「I'm sorry」と言った場合、それだけでは「ごめん」と謝っただけなのか、相手を気遣って言ったのか、敬意を持って言ったのか分かっていません。
つまり日本語は1つの言葉を選んで使うだけで意味やイメージ、感情まで表現できる言語です。英語は色々な単語やフレーズを組み合わせて初めて、意味やイメージ、感情を表現できる言語です。これが英語に「わかりかねます」が無い理由で、英語と日本語の決定的な違いです。
「わかりかねます」は丁寧な断り方の表現
「わかりかねます」は丁寧な断り方の表現です。「わかりかねます」の意味や使い方、類義語、英語での表現方法など色々と紹介してきました。また英語と日本語の決定的な違いについても説明しました。これらを参考にして、自分なりの「わかりかねます」の使い方を身につけてビジネスシーンでさらにステップアップしてみましょう。