「見受けられる」の意味とは?
「見受けられる」は、類語の多い表現でもあります。類語は、言い換え表現としても使えるので知っておいて損はないでしょう。さらに、「見受けられる」は、ビジネスシーンや目上の方と話す際に使う敬語表現としても使うことができるので、正しく意味を理解して使っていく必要があります。
ここでは、「見受けられる」の意味について解説していきます。「見受けられる」の意味には、2つの意味がありそれぞれについて詳しくご説明していきましょう。「見受けられる」の意味の使い方については、後ほど例文とともにご紹介していきます。
意味「見て認められる」
それでは、「見受けられる」の1つ目の意味を解説していきます。「見て認められる」というのは、「見ることで事情や状況を理解する」という意味があります。同じ意味で「見て取れる」や「見て感じ取る」ということもできます。
「見て取る」には、「見ただけで、だいたいのことを感じ取る」「表面的に見えていることから本質を見抜く」といった意味があります。「見受けられる」という言葉には、「感じ取る」という意味も含まれています。
意味「見かける」
次に、「見受けられる」のもう1つの意味として「目にとまる」「見かける」というものもあります。「目にとまる」や「見かける」には、物、人を少し見ただけで記憶に残ることを表す意味があります。
「見かける」のが、ほんの一瞬であっても、遠くからであっても記憶に残っている場合に使われる意味として活用することができます。
「見受けられる」の類語
それでは、「見受けられる」の類語をいくつかご紹介していきます。「見受けられる」の類語の意味と使い方を例文で分かりやすく解説していきましょう。「見受けられる」の類語を知っていると、言い換え表現として使うことができるので、非常に便利です。
類語「拝察する」の意味と使い方
「見受けられる」の類語として「拝察する」があります。読み方は「はいさつする」で、「察する」という意味と「~に思う」という2つの意味があります。2つ意味のどちらも謙譲語表現として使うことができます。
謙譲語とは、自分をひりくだらせて相手の立場を上げる表現となるので、「拝察する」は目上の方やビジネスシーンでも使うことができます。フォーマルな場面では、「拝察いたします」「拝察申し上げます」という使い方をする方がふさわしい使い方です。
「見受けられる」の類語「拝察する」の使い方を例文でご紹介していきましょう。「連日のお仕事で、さぞお疲れと拝察いたします」「この災害で、ご心労のほど拝察いたします」となります。
類語「判断する」の意味と使い方
「見受けられる」の類語「判断する」の読み方は、「はんだんする」です。意味は、「物事を見極め、考えを定めること」となります。「見受けられる」の類語「判断する」は「見受けられる」の「推測する」に近い意味合いがあります。
けれども、予想しているという意味合いの強い「見受けられる」に対して「判断する」の場合は、「考えがすでに決まっている」ということを表しています。
それでは、「見受けられる」の類語「判断する」の使い方を例文でご紹介していきましょう。「これは、兄の仕業だと判断します」「今回は、台風のためイベントは危険と判断されました」となります。ぜひ使ってみてください。
類語「考えられる」の意味と使い方
「見受けられる」の類語として「考えられる」をご紹介していきましょう。読み方は「かんがえられる」です。意味は、「~であると考えることができる」「特定の性質や状態が見られる」です。
「見受けられる」の類語「考えられる」の使い方を例文を使って、ご紹介していきます。「今日は、花火大会があるので、さらに、利用者が増えると考えられます」「これだけすごい記録をだせるのであれば、世界記録を達成できることも考えられます」となります。
類語「認識する」の意味と使い方
「見受けられる」の類語として「認識する」があります。読み方は「にんしきする」です。意味は「物事を見分け、本質を理解して判断する」ということです。「見受けられる」の類語「認識する」の使い方を例文でご紹介していきましょう。
「世間一般では、よくメディアにでている彼が代表取締りと認識されていますが、実は違います」「よく行く店員さんに、近くに住んでいると認識されているようですが、全く違います。実は、隣の県に住んでいて、仕事場がこの近くなのです」となります。
類語「思われる」の意味と使い方
「見受けられる」の類語として「思われる」をご紹介します。読み方は「思われる」で、意味は「見受けられる」と同じです。「思う」の未然形の「思わ」に受け身・尊敬・可能・自発の助動詞「れる」がくっついた形になっています。
自分の主観で判断した内容を話す場合に「思う」を使うのですが、「見受けられる」を使った方が同じ意味ではありますが、大人の使い方になります。「見受けられる」の類語「思われる」の使い方を例文で紹介していきます。「彼女は、猛暑でかなり弱っているように思われた」となります。
類語「意識する」の意味と使い方
「見受けられる」の類語「意識する」の読み方は「いしきする」です。「物事や状態に気付くこと」という意味と「はっきりと知ること」という2つの意味があります。「見受ける」に対して「気付く」「はっきり知る」という意味になるので、類語ということになります。
「見受けられる」は、遠まわしの使い方でもあるので、明確な使い方でもある「意識する」は、表現の強さが違っています。この類語の使い方を例文でご紹介していきます。「彼に対する特別な感情を意識します」「彼女の行動を意識するようになりました」となります。
類語「察せられる」の意味と使い方
「見受けられる」の類語として「察せられる」をご紹介していきましょう。読み方は「さっせられる」です。「察する」の未然形である「察せ」に尊敬、受け身、自発、可能の助動詞「られる」がくっついた使い方になります。
「察する」の意味には、たくさんの意味があって「推し量る」「推測する」「思いやる」「同情する」があります。「見受ける」と同じ意味になるのは「推し量る」「推測する」でしょう。
「見受けられる」の類語「察せられる」の使い方を例文でご紹介していきます。「彼女は、結構走るのが速いと察せられます」「もっと悪いことが怒ると察せられます」となります。
類語「見込まれる」の意味と使い方
「見受けられる」の類語として「見込まれる」があります。読み方は「みこまれる」です。「見込まれる」は、「見込む」の未然形「見込ま」に、尊敬、自発、受け身、可能の助動詞「れる」がくっついた形です。
「見込む」の意味には「有望だと思う」「予想して勘定にいれる」があり、「見受けられる」と類似性はあまりありません。けれども、「れる」形式ということでどちらも「確証はないけれど、推測させる」というところが同じの意味になります。
「見受けられる」の類語「見込まれる」の使い方を例文でご紹介していきます。「収益の悪化が見込まれます」「このままいくとよくなることが見込まれます」となります。
類語「示唆される」の意味と使い方
「示唆される」の読み方は、「しさされる」で「じさされる」という読み方もできますが、「しさされる」で読むのが一般的です。「示唆」の漢字「唆」を「俊」や「駿」と間違いやすいのでご注意ください。意味は、「それとなく教え示す」となります。
「示唆」の「示」には、「教えること」という意味があります。「示唆」の「唆」には、「その気になるように働きかけること」という意味があります。
この2つの意味がくっついてある物ごとを直接的にはっきりとした表現ではなく、遠まわしに気付かせるという「見受けられる」と同じ意味合いの言葉となります。
「示唆される」の使い方を例文でご紹介していきます。「会議で部長が新プロジェクトの実行を示唆されました」「あるテレビ番組で、メンバーの脱退を示唆するような発言をしていました」となります。
「見受けられる」の使い方・例文
それでは、「見受けられる」の使い方を例文を使って分かりやすくご紹介していきます。「見受けられる」は、ビジネスでもよく使う表現でもあるので、使い方をしっかりとマスターしておきましょう。
ビジネスマンとして、使い方を間違ってしまうと、恥ずかしいので、例文を参考に正しい使い方を理解してください。
例文①
「見受けられる」の例文①として「遠まわしに指摘したい」場合の使い方をご紹介しましょう。「見受けられる」をビジネスシーンで使う場合、実際に確定している内容を伝えることがあったとします。しかし、断定して話してしまうと角が立つ場合があるでしょう。
そういったビジネスシーンで使い方を例文でご紹介しましょう。例えば、「失敗したのではないのですか?」という風に言ってしまうと、あまりにもストレート過ぎてビジネスではふさわしくありません。
その場合の「見受けられる」の使い方として「うまくいっていないように見受けられますが」という風にいうと、少し状態をぼかしたような指摘にすることができます。
ビジネスシーンでは、ストレートな表現では、相手の気分を害してしまうことがあるので、相手にネガティブな内容を指摘する場合は、こういった使い方をしてみてください。
例文②
「見受けられる」の例文②として「確証はないけれど注意を喚起したい」場合の使い方をご紹介していきましょう。断定できる証拠はないけれど、状況証拠はありますよという場合の使い方になります。
例えば、本当の内情は分かっていないけれど、外観的に見て推測すると、ある結論にたどり着いて、その結論しか考えられない場合の使い方です。実際に「見受けられる」を使う場合は、ここまで順序立てる必要はありません。感覚的に状況は判断していきましょう。
この使い方の例文として「うちの部署は、最近遅刻がよく見受けられます」「京都では、白塗りをして着物を着た女性は、舞妓さんと見受ける」となります。
例文③
例文③として「硬い言葉として使いたい」場合の使い方もあります。自分で目にした状況から、考えて物事を言う場合に、「思った」「思っている」という使い方もできます。しかし、これではビジネスでは少し幼稚な印象があります。
そういう場面で「見受けられる」を使うことで、ビジネスマンとしてふさわしい大人な使い方になります。例文をご紹介します。「そのように見受けられました」「私も、同じことを見受けました」という使い方をすることでビジネスマンとして恥ずかしくない表現になります。
例文④
それでは、ビジネスでも使えるように「見受けられる」を使った敬語表現を例文でいくつかご紹介していきましょう。「見受けられる」を丁寧語で使う場合は、「見受けられます」という表現をします。ビジネスなどで、そこまで親しくない相手と話す場合は、丁寧語を使うのが無難です。
「佐藤さんは、悲しみを抱いているように見受けられます」「あなたの真意は、そのことではないと見受けられます」「自分のことしか考えていない人は、至る所で見受けられます」となります。
また、「見受けられた」と過去形としての使い方もあります。「彼が、机に向かう様子が見受けられました」「災害の前兆が見受けられました」となります。
「見受けられる」の謙譲語表現として「お見受けいたします」という使い方があります。「かなりの達人とお見受けいたします」「田中様とお見受けいたします」となります。
「お見受けいたしました」は謙譲語表現でも過去の使い方です。「かなりの達人とお見受けいたしましたが、いかがですか」「田中様とお見受けいたしました」となります。
「見受けられる」の丁寧語として「お見受けします」があります。この使い方として「大分お疲れのようにお見受けしますが、大丈夫ですか?」「この場にふさわしいとお見受けします」となります。
ビジネスでは、「見受けられる」の敬語表現はよく使われるので、正しい使い方を知り、ビジネスシーンで使いこなしていきましょう。
「見受けられる」と「見て取れる」「見られる」の違い
「見受けられる」と似た表現として、「見て取れる」「見られる」があります。それぞれの意味や使い方を例文でご説明していきます。そして、「見受けられる」との違いについても解説していくので、チェックしていきましょう。
「見て取れる」は「見てそれと知る」「認める」「見抜く」という意味
まずは、「見て取れる」と「見受けられる」の違いから解説していきます。「見て取れる」は、「見て取る」に助動詞である「れる」がくっついた言葉です。「見て取る」は、「見てそれと知る」「認める」「見ただけで事情を感じ取る」「見抜く」という意味があります。
「見受ける」とは同じ意味となります。フォーマルな場面では、「見受けられる」を使うのがふさわしいとされています。使う場面を考えて使い分けるようにしていきましょう。
「見られる」は「観察し判断する」「眺める」という意味
次に「見受けられる」と似た表現である「見られる」について違いを解説していきます。「見られる」は、「見る」の助動詞である「られる」をくっつけた言葉です。「見る」は、「見受ける」と同じように「観察し判断する」「視覚に入れる」「眺める」という意味があります。
この他の意味として、「見る」には「世話をする」「こころみる」「経験する」というように幅広い意味がある表現です。また、「見受けられる」が「見たところ~だと感じる」という曖昧な意味合いに対して使うのに対して、「見られる」は、物事を断定する場合に使う意味合いがあります。
このように、「見受けられる」と「見て取れる」と「見られる」には、表現の硬さや文脈の意味合いによって使い分けることが必要です。
「見受けられる」の敬語表現
「見受けられる」は、ビジネスシーンで使える意味があります。ビジネスでは、動作の主体や受け取る相手の立場によって、敬語表現を使い分けていく必要があります。ここでは、「見受けられる」の敬語表現として、丁寧語、謙譲語、尊敬語のそれぞれの使い方をご説明していきます。
「見受けられる」の丁寧語
敬語表現のなかの丁寧語で「見受けられる」を表すと、「見受けられます」となります。「見受けられます」は「見受けられる」の「られる」と取り除いて、丁寧の助動詞「ます」をくっつけた表現です。
敬語の丁寧語とは、どんな立場の人が受けても失礼にならない表現になるので、広くたくさんの人にあてた文章での使い方ができる表現です。
「見受けられる」の謙譲語
敬語の謙譲語で「見受けられる」を使う場合は、「お見受けする」「お見受けいたす」となります。「お見受けする」「お見受けいたす」というのは、「見受けられる」の「られる」を取り除いて、謙譲語の一般形である「お~する」、「お~いたす」をあてはめた使い方です。
敬語の謙譲語は、へりくだった使い方になるので、使う場合は、自分が動作の主体になります。ですので、「見受けた」ことを目上の人やビジネスでの取り引き先の方に使うことができます。
「見受けられる」の尊敬語
敬語の尊敬語として「見受けられる」の使い方は、「お見受けになる」「お見受けなさる」です。助動詞「られる」の尊敬の意味があります。そして、尊敬語以外にも「受け身」「可能」「自発」と全てで4つの意味がある表現になります。
従って、より明確に尊敬語だと分かるように「見受けられる」の「られる」を取り除いて、敬語の尊敬語の一般形である「お~になる」、「お~なさる」に当てはめた使い方になっています。
よって、敬語の尊敬語に「見受けられる」を変化させると「お見受けになる」「お見受けなさる」となるのです。敬語の尊敬語は、目上の人を立てたいときの使う表現で、動作の主体が目上の人の場合に使うことができます。ですので、ビジネスでも使うことが多い表現です。
「見受けられる」の英語表記
「見受けられる」の英語表現は、「see」や「be seen」を使うことができます。例えば、「see」であれば「I see the problem」を日本語で訳すと「私は、問題が見える」となります。このままでは、違和感のある日本語になるので自然な日本語にすると「問題が見受けられる」となります。
次に「be seen」の使い方を例文でご紹介しましょう。「It’s seen that a lot of people are late」となり、日本語にすると「多くの人が遅刻するように見受けられます」となります。
それでは、英語での「見受けられる」の例文をいくつかご紹介しておきましょう。「I can see that he is recovering.」は、「彼の回復が、見受けられます」となります。
「It‘s seen that we have a lot of problems about the event.」は、「イベントは、多くの問題点が見受けられます」となります。「We see that we need improvement of this product.」は、「こちらの商品は、改善が不可欠だと見受けられます」となります。
「見受けられる」は「見て認められる」「見かける」という意味
「見受けられる」の意味や使い方を例文でご紹介してきました。「見受けられる」の「見受ける」の意味は「見て判断する」「見かける」の2つあります。受け身の「られる」がくっつくことで、「状況から必然的にそう判断できる」という客観的な意味をもつことになります。
また、「お見受けしたところ」という使い方にすると、口には出せなくても相手の意図や状況を汲んで使うことができます。ビジネスでは、こういう場面が結構あるので、使い分けていきましょう。
「見受けられる」は相手への気遣いにも使える表現でもあるので、ビジネスでも積極的に使うことができます。ビジネスマンとして、恥ずかしくない「見受けられる」の使い方をしていきましょう。