「groovy」とは
「groovyなノリだ」「groovyに演奏している」など、よく耳にする英語「groovy」。日本ではよく音楽関係で、飲食店の屋号で、または商品名などで、この言葉をちらほら見かけます。「groovy」とは一体何でしょうか?その意味を皆さんご存知ですか?今回はその英語の語源から使い方まで、詳しくご紹介していきます。
「groovy」は「groove(グルーブ)」が原型
英語「groove」(グルーブと読みます)とは、「溝」や「わだち」などの意味を持つ単語で、レコードの溝が語源になります。
英語「groove」は、やがてスラング(仲間言葉)として、「得意なもの」「愉快なこと」から「(音楽)のビートに乗った演奏」などの意味へと派生していきます。そして音楽界で広がり始めて現在至る音楽用語です。
「groovy」は「groove」から派生した形容詞で、文章の中で「groovyな」とか「groovyに」という形で使われるようになりました。読み方は「グルービー」。
「groovy」の意味
ではgroovyとは一体どういう意味を指しているのでしょうか?日常でつかったりできる言葉なのでしょうか?大きく2つの意味があり、日本での「groovy」の意味、海外での「groove」から派生した「groovy」の意味に分けられます。次はその2つの意味を探っていきます。
意味①日本ではカッコイイを意味する
英語「groovy(グルービー)」はスラング(仲間言葉)であるため、意味・表現は曖昧さを含んでいます。場面ごとのニュアンスで変化をするために、無理に定義づけはできませんが、一種の高揚感を指し示す言葉になります。
スラングではなく、一般的な意味としては「溝の(ような)」の他に、「かっこいい」「すごくすてきな」という意味・表現があり、主に演奏を賞賛する言葉として使われてきました。現在も主に日本の音楽業界で英語「groovy」を形容詞として使われております。
日本では音楽だけに限定しない表現として英語「groovy」を使用するようになりました。「かっこいい」「すごくすてき」な対象が音楽以外でも英語「groovy」と表現されるようになったのです。
意味②メロディー部分のうねりとリズムの絡み
本来のスラング、「groovy」は音楽の演奏の素晴らしさを賞賛する表現・意味です。その賞賛に値する根拠はどこにあるのでしょうか?
「groovy」は、多様なリズム体を表現するジャズが発祥でジャズ用語として使われ始めました。この言葉が生まれた時期や理由はハッキリしておりませんが、ファンク・ソウル・レゲエ・リズムアンドブルース、などのブラックミュージック全般へ使用が派生し、日本へ伝播していきます。
感受性が含まれたニュアンスの音楽用語ですので、その意味ははっきりと定義できません。しかしリズムが生み出す波、またはリズム同士が絡み合っていく、そのような表現のうねりがメロディーになる、一連の化学反応が「groovy」な演奏であると賞賛される要素となっております。
「groovy」の使い方や表現
「groovy」の発祥や意味をこれまでご紹介してきました。もともと英語「groovy」は音楽ジャンル、ジャズを発祥として、ブラックミュージック全体へと表現されるようになった用語です。では使い方としてブラックミュージック限定されるのかを検証していくのと、楽器演奏での使い方、それ以外のシチュエーションでの使い方をご紹介いたします。
グルービーな音楽
メロディーの根幹を成すリズムのうねりや絡みは、聞き手にとって「groovy」という心象を抱かせるきっかけとなります。その言葉の発祥はジャズでのちにブラックミュージック全般に広がりましたが、音楽ジャンルを限定させるものでしょうか?
現在「groovy」な曲はジャズ・レゲエ・ソウル・ファンク・ソウル・リズムアンドブルース、などのブラックミュージックに止まらず、ロックンロール・ダンスミュージック・テクノ・ポップミュージック全般へと多岐に渡ります。日本のフォークミュージックであっても「groovy」な曲はあります。
ある意味、聞き手の心象が「groovy」と感じれば「グルービーな音楽」と言えるくらい、使用範囲は現在、ジャンルの垣根を超えて広がっております。
グルービーな演奏
グルービーである音楽ということはグルービーな演奏と言えます。演奏するリズム体は元来ベース、ドラムス、パーカッションなどを対象としていましたが、ジャンルの垣根を超えて表現できる現在、どういった楽器演奏があげられるでしょうか?
現在は上記以外に、屋台骨であるリズム体以外でも、トランペット、サックス、オルガン、ピアノまたブラックミュージックの垣根を超えて、エレキギターなども挙げられます。
1例として、グルービーなドラミング。伸びがあり、抑揚の利いたグルービーなサックス(ギター)のソロパートなどで表現できます。
グルービーに決めようぜ
「グルービーに決めようぜ」この言葉で、音楽では演奏者が聞き手に向けて発するセリフのように聞こえます。では音楽以外ではどんなシチュエーションをイメージするでしょうか?その意味はなんでしょうか?
英語「groovy」は、日本での使い方は音楽用語の表現だけに限定しない意味を先述しましたが、実際にどういった場面に使われるのかご紹介いたします。
使い方の一例として、かっこよく見せたい催しなどで、演者が「グルービーに決めようぜ」などと言ったりすることは正しい使い方であります。また、パーティーなどで参加者同士が「グルービーに決めようぜ」と互いに自らを引き立ようと促すセリフなどもあるでしょう。
「グルービー」という言葉、その使い方は、日本では音楽以外でも使っても違和感のない言葉です。音楽というジャンルで演奏者と聞き手の関係性の中での使い方以外に、他に普段の仲間同士でも使っていける言葉です。
「groovy」な音楽とは
メカニックな一寸のズレもないリズム。整然とした無機質さは確かに聞くものによっては心地いいものですが、ブラックミュージックをルーツとする用語「groovy」ではありません。では「groovy」な音楽とはどういったものでしょうか?
その根源は1人の演奏者のリズム体のうねりだったり、アンサンブルのリズム体の絡み合いによるメロディーにあります。それが抑揚を生み出し、「groovy」なメロディーとなっていきます。
groovyとなる発生源はインプロビゼーション(即興音楽)のように偶発的にうまれたり、意図的に計算されて作られたりと様々です。すべてはリズムをgroovyな意味合いを持たせるのは、ミュージシャンの才覚によるものです。
ソロでは、その演奏自体のリズムの抑揚が、「groovy」であると評価できますし、アンサンブルでは、一曲に対してのグループの担当パートごとの、技術、その独創性などの音楽的感性が、有機的に結びつき、「groovy」な傑作が生み出される要因となります。
中には、全てのパートのみならず、プロデュースに至るまで、「全て1人」で演奏・製作し、「groovy」な音楽を創造するミュージシャンも実在します。
ノリのいい曲全般を意味する
日本では、ノリに種類があるのはご存知でしょうか?それは大きく2つに分けられ、「縦ノリ」と「横ノリ」があります。コンサートなどで結構耳にしたりします。
「縦ノリ」とは、現代ポピュラー音楽がメインで使われる用語で「上下垂直に体を動かしたくなる」ノリの事を意味します。例えば、グルービーな曲を聴いている最中、頭を縦に振る「ヘッド・バンギング」や垂直にジャンプするなどのアクションなどが当たります。
「ハードロック」や「メタル」や「パンク」、の他「ダンス・ミュージック」の4つ打ちの「トランス」等も、縦ノリに該当します。
これに対して、「横ノリ」とは、主に先述のブラックミュージックの「ジャズ」や「ソウル」、「リズムアンドブルース」等、の流れを汲みます。ブルージーでメロウな曲、ソウルフルな曲などを耳にした時に、頭や体が左右に振る(というか揺れる)感じ方を意味します。
リズムによるうねりがある曲でも、アップテンポである意味の「縦ノリ」、比較的スローテンポである意味の「横ノリ」どちらも「グルービーでノリがいい曲」であります。
個人個人の感性ですので、全ての音楽ジャンルは「縦ノリ」「横ノリ」で一概に分けられるはことはできないし、「縦ノリ」「横ノリ」どちらも体験しない感性だって間違いではありませんが、一般的な意味として押さえておいてください。
グルーブ感に出会うために
映画や絵画や書物のように、出会いを大切にしたい音楽。どのように「グルービー」な音楽に出会えますでしょうか?
人との出会いと同じで時には紆余曲折しながらではありますが、洋楽に例えると巷の「売り上げ」「評価」が高く、名盤と言われているアルバムを聞くとかなりの確率で、「グルービー」な曲に出会えます。
中には一度聞いただけではピンと来なかったり、意味がわからず難しかったりする曲もあったりしますが、そのような名盤・名曲は真髄の奥が深く、「聞けば聞くほど良さがわかってくる」曲も多いです。40〜50年前の作品が今でも語り継がれる所以です。
その過程で、「グルーブ感」を聞く耳も養なわれ、多くの出会いを呼び込むきっかけになります。是非身近なCDショップなどでレンタルして「groovy」な邂逅をしてください。気に入れば購入し、ゆくゆくはその音と末長く付き合っていくこともありえます。
「ブルービー」と「グルーピー」の意味の違い
「ブルービー」と「グルーピー」という言葉があります。「グルービー」に似たような言葉ですので、混同してしまいがちですが、どのような意味があるのでしょうか。
結論から言いますと「ブルービー」と「グルーピー」は「グルービー」とは全く関係ありません。以下にどんな意味かを豆知識としてご紹介いたします。
「ブルービー」とは英語表記で「blue bee」となり、ハナバチの一種の通称の意味だけです。青と黒の縞模様の体色をしてます。たまたま似ている用語だったということです。
「グルーピー」は「グループ」から派生した言葉で、音楽グループ(特にロックグループ)のメンバーと親密な関係を望んんでいる女性のことを意味します。その関係性は肉体的関係でときには精神的関係も含まれます。恋人ではないが、「熱烈なファン」であるが故に、いちファンとミュージシャンの関係以上を望んでいる人間を意味します。
60年代はロックの黄金期と言われ、ロックスターとグルーピーの関係が大きくもてはやされておりました。モデルのグルーピーも写真映えし、雑誌社は売り上げアップに貢献する存在として頻繁に取り上げ、ロックスターもグルーピーの関係が話題作りになることを良しとしていた時代感覚がありました。
なかには打算的なグルーピーも居り、グルーピー・ロックスター・雑誌出版社、3者共に、利害関係が一致しているという、現在の価値観の尺度では測れない時代でした。
「グルーピー」は侮辱的な意味で使うことが多い
やはり身体を売り物にするような行動は、軽蔑の対象でもありました。熱烈なファンであっても、侮辱の意味を込め「ファン以下の存在」として「グルーピー」と使うケースもありました。
そんなグルーピー。ローリングストーンズやレッドゼッペリンなどの有名ロックバンドも60~70年代、彼女らにまつわる歌を何曲か作っています。
英語で「groovy」は死語?
日本ではよく耳にする「groovy」。本場アメリカでは「かっこいい」という意味でいまだに使っているのでしょうか?答えは「ノー」です。音楽的な意味でのリズムに乗っているグルービーであるというニュアンス、それ以外ではほとんど使っていないと言えます。
「かっこいい」という意味は、「groovy」自体、1930年代発祥のスラングですので、時代によって淘汰されてしまいました。日本で例えると「冗談はよしこさん」が今使われていないとの同じです。
アメリカでは若者が使う言葉ではない
一部の海外のアメリカの若者の間では、古いものを貶す意味・ニュアンスで「groovy」が使われることがあります。日本での「温故知新」の文化とは異なり、古いものより新しいものに価値を見出すアメリカならではの発想です。
「groovy」を音楽以外の使い方としての「かっこいい」「すばらしい」などと、プラスの意味では、現在のアメリカ若者は使わないということです。
現在の若者は、「かっこいい」を意味する表現は「cool」などを使います。日常英語を使う際は押さえておいてください。
グルービーとは音楽の誉め言葉のこと
いかがでしたでしょうか?「groovy」の語源から意味、使い方まで、イメージしていただけましたか?現在日本では「かっこいい」「すごくすてきな」という意味と、音楽のグルーブ感を示す「groovy」なという意味・ニュアンスをご説明させていただきました。世界ではリズム体を表現する言葉として通用しています。
繰り返しになりますが、リズム体の心地良いうねりや、それによって生じる高揚感は、個人の感性の世界です。どれがグルービーでどれがグルービーじゃないかというように、具体的に意味を定義したり、セグメントしたりできませんが、その曖昧さがグルービーの奥の深さでもあります。新たなグルービーな音の世界を発見しませんか。