ポテンシャルの意味とは?
ポテンシャルとは、一言で言えば「潜在する能力」という意味です。「潜在する能力」とは、現在は表面に現れていないけれども、将来において成長が期待される能力、または心や内に秘めた可能性という意味です。
ポテンシャルが高いとは、精神的には心の内にある「潜在する能力」が高いという意味で、人間的な能力や資質の高さ、可能性の高さを表現しています。
また物理的にポテンシャルとは、物の性質やエネルギーの潜在力や潜在性を指し示す言葉でもあります。
つまりポテンシャルという言葉は、精神的には潜在的な能力の将来性と可能性を表現し、物理的には物の潜在力や潜在性を意味する言葉で、どちらにも共通しているのは潜在性という意味です。
これからこの記事で紹介するのはポテンシャルの精神的な部分の解釈です。ポテンシャルの潜在的な能力、将来性、可能性の意味を紐解いていきます。
ポテンシャルの語源
ポテンシャルは英語の「potential」をカタカナ表記した言葉で語源は英語です。英語の「potential」には形容詞と名詞があり、形容詞には「可能性がある」「潜在的な」という意味があり、名詞では「可能性、潜在能力」になります。
英語の「potential」の形容詞と名詞の意味を合わせた形で、日本語のポテンシャルは「潜在する能力」という意味になっています。日本語には形容詞、副詞という明確な分け方の概念がないので、「潜在する能力」という意味が成立しています。
ポテンシャルの高い人の特徴
ポテンシャルの高い人とは、本来の意味からすれば潜在能力の高い人ですが、能力の高い人全般をポテンシャルの高い人と呼ぶのが一般的です。それではポテンシャルの高い人にはどのような特徴があるのでしょう。また潜在能力とはどのような能力のことでしょう。
ポテンシャルの高い人の特徴や潜在能力の意味を調べることで、ポテンシャル本来の意味を解釈することにつながります。それではポテンシャルの高い人の主な特徴を紹介します。
自分をよく理解している
ポテンシャルの高い人の特徴は、自分をよく理解しているから力を発揮できるとよく言われます。実はその逆で、自分のことを客観的に見て冷静に判断しているから自分の潜在能力を掘り起こすことができ、結果としてポテンシャルが高くなるのです。
言い換えれば、ポテンシャルの高い人の特徴は、自分のことをよく理解しようとする人のことです。ですからポテンシャルを高くしたいと思うならば自分のことを客観的に観察する目を養うことです。
ポテンシャルは生まれつきの先天的な能力ではありません。自分をよく観察することを積み重ねて次第に身につく後天的な能力です。
例えば失敗した時や苦手なことに直面した時に、自分がどのような精神状態でどう行動したかを冷静に観察して、その経験をもとに次につなげていきます。これを繰り返すことで次第にポテンシャルが高くなっていきます。
有名な天才物理学者のアインシュタインが「天才とは努力する凡人のこと」「大切なのは疑問を持ち続けること。好奇心を失ってはならない」と言っています。つまりポテンシャルの高い人とは、好奇心を持って自分をよく観察しようと努力する人です。
前向きでポジティブ
ポテンシャルの高い人の特徴に「前向きでポジティブ」があります。これも逆転の発想で、前向きでポジティブだからポテンシャルが高くなるのです。
人は必ず失敗やミスをします。失敗にはミスをした原因が必ずあります。ポジティブ思考の人は「人間は失敗する動物」と前向きに考えて落ち込まずに原因をしっかり突き止めようとします。
その失敗の原因を知ることがバネになり、次につながる原動力を生み出します。「失敗は成功のもと」とは、失敗を前向きでポジティブに考えるから成功につながるという意味です。つまり「前向きでポジティブ」という特徴は、ポテンシャルの高い人になる近道と言えます。
目標と計画性
ポテンシャルの高い人は、現状のままで満足しない特徴を持っています。現状を守ろうとしないで常に新しい目標を見つけて前に進もうとします。その目標を達成するためにはどうすれば良いかと計画を考える人です。
ポテンシャルの高い人は、自分を客観的に観察しポジティブに前に進もうと努力する特徴があるから、目標を定め計画性が生まれます。目標を達成しても現状に満足せずに、常に新たな目標と計画を作ることができる人です。
行動力と積極性
行動力と積極性があることもポテンシャルの高い人の特徴です。また行動力と積極性、目標と計画性は常にセットです。どれ一つ欠けても目標の達成には至りません。
目標と計画があっても、それを積極的に実行する行動力がなければ目標は達成できません。また逆に目標や積極性がなければ行動力は生まれません。計画がなければ無駄な努力に終わる可能性もあります。
つまりこの4点は常にセットでなければ成功には結びつかないのです。ポテンシャルの高い人とは、目標と計画性、積極性と行動力の4点を備えている人のことです。
ポテンシャルの類語
類語とは似たような意味や使い方をする言葉のことです。ポテンシャルはもともとは英語ですが、日本語でポテンシャルの類語を探してみるとびっくりするほどたくさんあります。
「潜在能力」「可能性」「素質」「伸びしろ」「期待値」「発展性」「隠れた能力」「秘められた力」などなど数えあげれば類語には切りがありません。そんな中から主な類語を3つほど選んで意味を紹介します。
「潜在能力」の意味
ポテンシャルの類語の「潜在能力(せんざいのうりょく)」とは、本人は気づいていない「秘められている能力」「眠っている能力」という意味です。ポテンシャルの本来の意味「潜在する能力」と似ているので類語になっています。
日本語はたまに不思議なことが起こります。ポテンシャルのある人は「能力のある人」「能力が表に出ている人」、ポテンシャルのない人は「能力のない人」という意味で使われることが一般的です。いつの間にか「潜在」という意味がどこかに消えてしまっています。
潜在の反対語に「顕在(けんざい)」があり「はっきりと表に現れている」という意味があります。つまりポテンシャルの使い方は、本来の意味が逆転して「潜在能力」というより反対語である「顕在能力」の意味合いで使われています。
「可能性」の意味
「可能性」という類語には「物事が実現できる見込み」「潜在的な発展性」という意味があります。ポテンシャルは潜在という意味を度外視して「能力」という意味で使われますが、ポテンシャルには可能性と同じように「発展性」という意味も含んでいます。
例えば「ポテンシャルの高い人は、将来性が期待できる人物である」のように「将来に可能性を秘めた人材」という意味合いで表現することができます。例文を見る限りでは「ポテンシャル」と「可能性」は非常に意味が近い類語と言えます。
「素質」の意味
「素質」とは「将来すぐれた能力を発揮するもととなる性質や能力」という意味があり、ポテンシャルの潜在的に持っている能力と非常に似通っているので類語に数えられます。
「彼女はヴァイオリニストとしての素質を持っている」の例文の「素質」の部分を「ポテンシャル」に入れ替えても、違和感がなく意味が通じます。つまり「素質」という言葉は「ポテンシャル」と意味も使い方も同じような言葉と言えます。違うのは英語と日本語というだけです。
ポテンシャルの使い方
ポテンシャルは、様々な使い方や言い回しができる言葉です。「ポテンシャルが高い・低い」「〜がある」「〜を持つ」「〜を引き出す」「〜を上げる」「〜を発揮する」「〜を秘める」のように色々な使い方があります。
ポテンシャルの言い回しの中から、よく使われるものをチョイスして、例文をあげて使い方と意味を検証してみましょう。
例文①高い・低い
「ポテンシャルが高い」とは「内に秘めた能力や可能性が高い」という意味で、「ポテンシャルが低い」はその逆で「能力や可能性が低い」という意味です。それぞれの例文を紹介します。
「彼は運動センスとポテンシャルが高いので試合に勝つことができた」「大手企業に就職するには、ポテンシャルが高いことが要求される」「彼女は何事にも積極的に行動して非常にポテンシャルの高い人です」などは「高い」を使った例文です。
ポテンシャルが低いを使った例文では「姉は妹よりもポテンシャルが低いので、いつも妹に劣等感を持っている」「彼は仕事のポテンシャルがあまりにも低いので、会社をクビになってしまった」のような使い方をします。
例文②引き出す
「ポテンシャルを引き出す」とは、内に秘めている潜在的な能力を何らかのきっかけで引き出すという意味です。ちょうど引き出しを開けて中に眠っているものを取り出すようなものです。
例文では「売り上げを伸ばすためには、社員個人個人のポテンシャルを引き出すことが重要です」「ポテンシャルを引き出すためには、研修会やセミナーを開催する必要があります」
「私は先生の指導のおかげで、それまで気づかなかったポテンシャルを引き出すことができ〇〇大学に進学できました」「ポテンシャルを引き出すためには、自分を見つめ積極的にチャレンジすることが大事です」のような使い方をします。
例文③発揮する
「ポテンシャルを発揮する」とは、内に持っている能力や可能性を表に出して十分に働かせるという意味です。
例文では「コーチの厳しい練習や指導があったから、今回の競技会でポテンシャルを発揮できメダルを取ることができました」「ポテンシャルを発揮することができるのは、家族や友人の支えがあるからです」これらは精神的な意味のポテンシャルを表現しています。
ポテンシャルには冒頭の意味のところで紹介したように物理的な意味もあります。「今度発表したの新車に搭載されているエンジンは、排気量は小さいながら予想以上のポテンシャルを発揮します」この場合はエンジンの性能や潜在能力を表現しています。
ポテンシャルとモチベーションの違い
ポテンシャルとモチベーションは、どちらも英語を語源とする外来語で同じようなニュアンスを持っている言葉です。使い方も「モチベーションが高い」「モチベーションを引き出す」「モチベーションを発揮する」のようにポテンシャルと同じように使います。
しかし、この2つの言葉は似通ってはいるけれど、どことなくイメージが違います。それではポテンシャルとモチベーションの違いを探すためにモチベーションの意味を調べてみましょう。
モチベーションは「やる気」という意味
モチベーションは、目標に向かって行動を起こす動機づけとなる「意欲」「やる気」という意味です。ポテンシャルと同じように内に秘めている精神的なものを表現しています。
しかしポテンシャルが内に持っているのは「能力や可能性」であるのに対し、モチベーションは意欲ややる気という「気持ち」を表しているところに違いがあります。つまり内に秘めてるものが違います。
例文では「営業部の社員のモチベーションを上げるために、月間売上トップ3に賞品を出すことにした」では社員の能力を上げるためではなく「やる気」を上げるための賞品です。このようにモチベーションとは「意欲」「やる気」という意味です。
ポテンシャルの英語表記
ポテンシャルは、もともと英語由来の言葉でスペルは「potential」発音も意味も日本語と同じです。それでは「potential」を使った英語例文を紹介します。
「He is a person of high potential.(彼はポテンシャルの高い人です)」「At our company, we have identified five high potential employees.(会社の中でポテンシャルの高い5人のスタッフを見つけることができた)」
このほかにも「potential ability(潜在能力)」「potential for expansion(発展の可能性)」「One's own potential(自分の可能性)」「It got potential(可能性がでてきた)」などがあります。
また「potential」の英語の言い換え表現としての「promising(約束された)」がよく使われます。「She is a very promising young athlete. (彼女は、将来有望な若いアスリートです)」のような使い方をします。
ポテンシャルは「潜在する能力」という意味
ポテンシャルは本来「潜在する能力」という意味で、本来は表に出ていない内に秘められている能力や可能性のことですが、一般的には表に現れている顕著な能力も合わせてポテンシャルと呼んでいます。
ここまでポテンシャルの意味や類語、ポテンシャルの高い人の特徴、ポテンシャルの正しい使い方と例文、英語表現などを紹介してきました。ポテンシャルは決して生まれつき備わっている才能ではありません。努力次第で身につく能力です。
是非これらの記事を参考にして、ビジネスや実生活でポテンシャルの高い人を目指してポジティブに前向きに進んでいただければ幸いです。