「慕われる」の意味
日本語は豊富な種類の言葉があるだけでなく、それぞれによって色んな意味を持つことから趣があることが特徴です。使い方によっては表現も大きく異なるような言葉もあり、間違えると誤解を生んでしまうこともあります。そのため、言葉を正しく理解するということは、正しく使っていくうえで重要なことと言えます。
そのなかでも「慕われる」は感情だけでなく、人に対しても用いる言葉のひとつです。そのため、使い方を間違えると思わぬ誤解を生んでしまうこともあるので、言葉の意味に対する理解を深めていきましょう。
慕うは相手を尊敬することなどを意味する
「慕われる」の意味は大きく分けて4つの意味を持ちます。1つ目は誰かに対して惹かれたり、恋しいと思うことを意味します。2つ目は、別離など離れ離れになることを惜しむ時にも用いる言葉です。また3つ目も似たような意味合いとなりますが、離れようとしたり逃げようとする相手を追いかけることに対しても表現に用いられる言葉です。
一見すると恋慕に近い表現を意味するものが多いことが特徴ですが、4つ目として学問などの分野で活躍する人を尊敬し、倣う気持ちに対しても「慕われる」は使用することが出来る言葉です。
総括してみると、感情に関わる表現の言葉であることがわかるだけでなく、その使い方は多岐にわたっていることが理解できます。
「慕われる」の例文
「慕われる」は好意や尊敬といった気持ちを相手に向ける意味の言葉です。似たような意味を持った類義語もあることから、正しく使うためには正確に使い方を理解することも大切です。まずは幾つか紹介する例文から、「慕われる」の正しい使い方の特徴を発見してきましょう。
先輩は後輩たちから慕われている存在だ
先輩が後輩という立場の人から好かれていることを説明する例文です。類義語のなかに「敬愛」という言葉がありますが、こちらは好意に限定されない意味を持っています。そのため、「慕われる」という言葉を用いる場合は、「好意を持っている」「尊敬している」といった限定的ではありますがふたつの意味を表現することができます。
叔父は彼女から親のように慕われる存在だった
「慕われる」という意味に含まれる好意や敬愛といった感情は、なにも恋愛に限定されるものではありません。そのため、例文のように親子に対する感情においても用いることができる表現です。「慕われる」という言葉を用いることで、叔父という存在が彼女にとって大切な存在であることを説明していることがわかります。
「慕われる」の類義語
「慕われる」は恋慕や尊敬といった感情や性格を表現する時に用いられる言葉であることが特徴ですが、そういった人の感情や性格に用いられる類義語がそのほかにも存在します。慕われるの意味をざっくり説明すると、「好かれる」ことを表現する言葉です。
そのため、類義語もそういった言葉が多く挙げられますが、大きくわけて「対等な相手か目下に対する好意をあらわす言葉」か「恋愛と同義の言葉」に分けることができます。それぞれ微妙に意味が異なりますので、代表的な類義語である言葉を幾つか例に挙げて比較してみましょう。
対等・目下の相手に好かれるを意味する言葉
対等な相手や目下の相手に好かれる類義語として挙げられる言葉は、「好かれる」「想われる」「好意を寄せられる」「モテる」「敬愛される」といった言葉があります。「好かれる」「想われる」というのは対象に対して好感を持つことを意味しますが、人以外にも用いられる言葉であることが特徴です。
「好意を寄せられる」「モテる」「敬愛される」というのは、慕われると同じ好意を持たれていることを表現する言葉となっていますが、気持ちを寄せている人が多数に及ぶ時に用いられることもあり、厳密には感情に限定される言葉ではありません。
また、この好意や敬愛というのも決して恋愛や思慕といった特有の感情以外にも用いられる類義語であることがポイントです。
恋愛対象として好かれるを意味する言葉
相手を恋愛対象として好かれる類義語として挙げる言葉は、「思われる」「慕情を抱かれる」「思慕される」といった言葉があります。「思われる」は動詞の思うが受け身になった表現であることから、実は恋愛以外にも用いることができる類義語であることが特徴です。
次に「慕情を抱かれる」ですが、「慕情」というのは異性など相手に対して向ける恋愛感情のことを言います。そのため、慕われるよりも恋愛にフォーカスをあてている言葉と言えます。最後に「思慕される」はもっと対象となる人や感情の枠組みが広く、「思慕」とは思い慕う気持ちや、恋しい気持ちをあらわす言葉です。
これは恋愛感情以外にも亡くなった人に対する気持ちもあらわす意味を持っています。そのため慕われるの類義語ではありますが、その意味は少し異なります。
「慕われる」を意味する英語
「慕われる」という言葉は、動詞である「慕う」に受動態の「れる」が合体した言葉となっています。つまり受け身的な表現に分類されます。実は英語は能動態を主に使用することから、「慕われる」などをはじめとした受動態は文化的な価値観の違いからはっきりとした英語はなく、表現方法は色々な種類があります。
類義語だけでなく、英語などに関する理解を深めることで、「慕われる」という言葉の奥深さを知っていきましょう。
慕われるに似た熟語・表現
「慕われる」という言葉は受け身となりますので、英語に訳そうとすると明確な単語は存在しません。そのため、近しい英語を用いることがベストとなります。代表的な熟語や表現としてまず挙げられるのが、「endear to」です。この英語は日本語にすると「愛される、熱中する」といった意味を持ちます。
その次に近い熟語・表現となる英語が「adored」です。こちらは「崇拝する」という意味になり、慕われるのが持つ意味である「尊敬」と近い意味を持つ英語となっています。
そのほかにも近しい英語はありますが、やはり「慕われる」を英語に訳すにあたって大切なのはその感情が「恋愛」なのか「尊敬」なのかといったことに注目すると良いでしょう。
慕われるを英語で表現するポイント
「慕われる」という言葉は日本独特の表現であることから、明確な英語に訳そうとするとある程度の知識が必要になってきます。文章にするときに大切なのは、「その人がどういった状態で、どんな感情を向けているか」です。特に感情について表現することを意識すれば、上手く英文を作成することができるでしょう。
慕われる人の性格と特徴
「慕われる」というのは、主に人の感情や性格をあらわす時に用いる言葉となります。類義語、英語だけでなく、実際に「慕われる」ような人というのは性格に特徴があります。類義語や英語といった言葉だけでなく、今度は人の内面的な特徴を通してその意味合いを理解していきましょう。
優しい人は慕われる
慕われるというのは、簡単に言うと周囲の人に好かれるような言動をしているということです。そういった人の特徴としてまず挙げられるのが「優しい」です。具体例として、他人の失敗を感情で責め立てることなくしっかりフォローすることができたり、どんな人に対しても分け隔てなく接することができる人のことを言います。
「優しい」というのは抽象的な表現であることから、イメージするのが難しい要素でもあります。分かりやすく一言でまとめると優しいとは「他人を大切にできる人」と解釈することができます。性格的に慕われるうえで欠かすことのできない要素と言えるでしょう。
頼りになる人は慕われる
「慕われる」には「尊敬」の感情をあらわす言葉でもあります。つまり優しいだけでなく、尊敬できるような性格であることも、慕われる人の重要な要素と言えます。例えばここぞという時にしっかり周囲を引っ張ることのできる、頼りになる存在というのも、周囲を惹きつける魅力があります。
組織やグループのリーダーとして頼りになれるような決断力やカリスマ性を持っている人もまた、慕われる人の特徴です。
知識が豊富な人は慕われる
「慕われる人」というのは常に周囲に多くの人が集まります。そのカリスマ性はなにも外見から溢れる魅力だけではありません。「慕われる」という意味には、「学問や人徳といった要素で相手を尊敬する気持ち」のことを意味することから、豊富な知識を有している人もまた、慕われる人の特徴となります。
面白い人は慕われる
慕われる人というのは、相手を思いやりことができる性格です。この思いやるというのは、優しかったり、頼りになるだけではありません。時には周囲をワッと賑やかにしてくれるようなユーモアな性格でもあります。一緒に喋ってくれるだけで明るくしてくれるような面白い人も慕われる存在です。
約束を守る人は慕われる
「慕われる人」というのは、他者に対して真摯な態度で接することができます。その具体的として、一度交わした約束はしっかり守ります。これは慕われる以前に人と接するうえでのマナーでもありますが、慕われる人というのは、そういったモラルを求められる振る舞いに対して誠実な態度を心掛けています。
自分勝手な振る舞いをせず、相手を尊重し、誠実な態度で接することができる性格だからこそ結果として多くの人に慕われることになるのです。
悪口を言わない人は慕われる
慕われる人というのは、他者の悪口を言うことがありません。人というのは心理的メカニズムによって悪口を言うことで自身の心を安定させようとします。しかし慕われる人というのは、雰囲気に流されることがなく、逆にそういった悪い流れを変えようと努力することができる性格です。
正義感が強い人は慕われる
正義感が強い性格の持ち主も、慕われる人の特徴です。この正義感というのは、不正を許さないだけでなく、誰かの役に立ちたいという気持ちを持っていることがポイントです。この信念に基づいて行動することができるので、結果として「頼りになる人だな」と周囲から高い評価を得ています。
またこの正義感は自分に対しても厳しくあるので、もし自分が間違いを犯した時はその信念のもとにしっかり謝罪することができる性格の持ち主でもあります。
明るい人は慕われる
人から慕われるうえで、最も重要なのが「明るい性格」であることです。どんな時でもニコニコと笑うことができる人は、自然と周囲を明るくすることができます。そういった明るさに周囲が感化されるので、結果として物事がよい方向に向くのです。
まとめるとプラスな性格の持ち主の雰囲気に自然と人が集まるため、慕われる存在へとなっていくのです。
慕われる人の立場別の特徴
慕われる人の性格や特徴について大まかな共通点がありますが、もし慕われる人になりたいと考えるのであればその時の立場によって臨機応変に対処していく必要があります。上司や先輩といった立場だけでなく、先生や店長など、慕われる人になれる場面は多岐に渡るので、その特徴もフォーカスしていきましょう。
慕われる上司の特徴
上司というのは、その役職によっては部下だけでなく更に上の立場の人と接する機会の多い立場であることが特徴です。中間に挟まれているわけですから、その人の立場の合わせて接し方を変えていく必要があります。
慕われる上司というのは、それぞれの立場にたって適切な接し方が自然とできる人であることが特徴です。そのため、部下から上役まで多くの人々から高い評価を得ていることが多くあります。
また、上司というのは次世代の即戦力となる部下を育てる役割を担うこともあります。そのほかにも幅広い仕事を任される立場であることからかなりの責任感が伴いますが、慕われる人というのは周囲に気を配ることができるだけでなく、しっかりと結果を残すことができる人です。
つまり性格的に良い人なだけでなく、実力を伴っていることから、あらゆる面において上司は慕われる要素を求められる立場になります。
慕われる先輩の特徴
先輩というと学校やサークルだけでなく、OBなど職業に限定されることなく存在する立場となります。こういった人の特徴は、周囲に対してしっかり気配りができる点があります。特に後輩に対するフォローを得意としており、落ち込んでいる時は気遣うことができますし、打ち解けられるように明るく接することができます。
もちろん後輩だけでなく、自身の同期などに対しても分け隔てなく接することができる人です。その壁を感じさせない性格が、慕われる人という評価に繋がっていくのです。
また、先輩というのは後輩に比べて豊富な経験と知識を所持している立場です。一歩先を行く存在となるわけですから、尻込みしてしまうような場面でも後輩を引っ張り上げることができるような人でなければいけません。
時に優しく、時に厳しくその場面によって臨機応変に後輩を接することができる人こそが、慕われる先輩のもうひとつの特徴と言えるでしょう。
慕われる店長の特徴
店長は「上司」とも言いかえることが出来るかもしれませんが、形態によっては取締役と同じ立場であることも往々にしてある職種と言えます。そのため、上司と違って多くの部下と接する機会が多い職業と言えるでしょう。
店長というのは、新しく入ってきたスタッフの教育を行うことの多い立場でもあります。その時にただ即戦力となるように教育を施すだけでなく、慕われる店長というのはスタッフがのびのび活躍できるように考えて接することができることを得意としています。
また、慕われる店長というのは下の立場となる人に対して感謝の気持ちを忘れません。アルバイトなどは責任感がないからとおざなりな態度で接する店長もいますが、やはりそういった冷たい態度で接する人というのは、周囲から尊敬されることはないでしょう。
確かに上下関係はあれど、対等な立場のように接してくれる店長こそが慕われる存在となっていきます。また、そういった店長がいる職場というのは慕われているだけでなく、自然と良い雰囲気をつくりだすことが上手いので、スタッフも生き生きと活躍していることがわかります。
慕われる先生の特徴
「慕われる」という言葉は学問や人徳おいて尊敬できることを指す意味でもあります。そういった点において、先生というのは「慕われる人」という言葉にぴったりな職業と言えるでしょう。
もちろん先生にも学校の教師以外の言葉として使用される機会の多い言葉ですが、基本的に専門分野のスペシャリストと言っても過言ではありません。そのため、誰かを指導する機会が多くあり、慕われる先生というのは個々人に対して適切な指導をすることができます。
もちろん学問などを教える以外にも、普段から良好な関係を築くことができるように気さくな雰囲気を持っている人が多いのも慕われる先生の特徴のひとつと言えるでしょう。
慕われるリーダーの特徴
リーダーは、ざっくばらんに言うとグループを率いる立場のことを指します。そのため、「この人ならば安心できる」といった信頼感や決断力、カリスマ性などあらゆる素質が求められる立場です。慕われるリーダーというのは、もとからそういったものを持っているわけではありません。
その性格から周囲に気を配ることを得意とし、どうすればよい方向へ導けるか考えて努力できる人です。そうした縁の下の力持ちとして活躍できる人が、慕われるリーダーの素質を持っています。
慕われる人になるために気をつけること
慕われる人は、誰しもが生まれた素質だけでみんなに好かれているわけではありません。もしそうなりたいと望むのであれば、努力が必要です。まずは性格や価値観を変えていきましょう。そのためには、積極的に出来ることから日頃の言動に取り入れていくことで、慕われる人を目指していきましょう。
自分の意見を言う
慕われる人になるためには、まず自身のことを相手に理解してもらわなければいけません。そのためには、積極的に周囲へ向けて働きかけていくことが大切です。その有効的な方法として、自分の意見を言うことから始めてみましょう。
この意見を言う、というのはなにも主張ばかりするのではありません。必要な時にみんなの助けとなるような意見を呈することで全体をまとめることができるようになれば、自然と周囲が「頼りになる」と判断して、慕われる存在になっていきます。
自分勝手にならない
慕われる人というのは、時にはうまくいかないことがあっても、喜怒哀楽を表に出してしまうことがありません。また、自身の利益だけ追及して他人を振り回すような不誠実な行動もせず、正義感が強い人でもあります。
なにがなんでも自分の主張を押し付けようとしたり、他人のミスを叱責したりなど、自分勝手な行動はしないようにしましょう。できるだけ冷静な気持ちであることを心がけ、周囲と接することが大切です。
周りとの調和を大切にする
慕われる人というのは、周囲の人との調和を大切にします。これはただ単に仲良くするだけでなく、時には相手が失敗した時にしっかりフォローすることができる人です。周囲にとってどうすることが適切かを常に考えることを得意としていますから、実際にそういった場面に直面したときにすぐに行動することができるのです。
モラルや良識を尊重する
正義感が強い性格の人は慕われる傾向にあります。そのため、モラルや良識を尊重した振る舞いができる人もまた、慕われるために必要な価値観です。悪口を言わない、約束は守るといった人として当たり前のルールを破れない人は多くいます。
そういったついついルーズになってしまいがちの部分に対して気を引き締めることで、周囲は「誠実な人なんだな」と良い評価に変わっていきます。そういった振る舞いを続けることで、慕われる人になれるでしょう。
慕われるためには相手を気遣うことが大切
今回は、「慕われる」という言葉は、類義語や英語も含めて見てみると「好意を向けること」を意味する言葉であることがわかります。この好意を向けられるには、学問に秀でているだけでなく、相手を気遣うなど内面的にも誠実な人であることが大切です。
もし「慕われる人」になりたいのであれば、まずは近くにいる「慕われる人」の特徴を見つけて、自分の言動に取り入れていくと良いでしょう。