「目処が立つ」の意味とは?
普段の会話の中でも、比較的よく使われる言葉の1つに「目処が立つ」という言葉があります。また、この他にも似ている言葉の1つに「目途が立つ」という言葉があります。
この2つの言葉は、似ているような意味を持ってはいますが、違った意味もあります。そして、人によっては意味を混同してしまい、間違った場面で使ってしまう人も多いようです。
そこで今回は、この「目処が立つ」と「目途が立つ」のそれぞれの意味の違いや使い方の違いを解説していきます。まず始めに「目処が立つ」の意味を解説していきます。
「目処が立つ」の意味
まずは「目処が立つ」という言葉の意味ですが、意味は「将来の見通しが立つ」という意味になります。これは、自分が今までしていたことの結果が見えてきたという意味になります。
例えば、ビジネスの場面において進行中のプログラムがあるとします。そのプログラムの結果がある程度見えてきた時に、メールで「プログラムの目処が立った」というように使う事ができます。
このように、文章にするとなんとなく「目処が立つ」の意味のイメージがつきやすいはずです。しっかりとここで意味を覚えておきましょう。
「目処が立つ」の類語
先ほどの解説で「目処が立つ」の意味が理解できたはずなので、ここからは「目処が立つ」の類語を解説していきます。類語というのは、同じような意味を持つ言葉のことを指しています。
言葉の意味や使い方を覚える際に一緒に類語を覚える事は、非常に重要です。それは、似たような意味を持つ言葉を一緒に覚える事で、さらに「目処が立つ」の意味を深く理解する事ができるようになるからです。
また、類語を覚えておく事で、会話によって「目処が立つ」以外の表現も使える事ができるようになるため、会話のバラエティが増えることもできます。ここで、しっかりと類語も一緒に覚えましょう。
「見通しがつく」
「目処が立つ」の類語の中に「見通しがつく」という言葉があります。これは、先ほどの「目処が立つ」の意味でも解説した「見通し」を使った類語になります。
そのため、この「見通しがつく」という類語は、会話で使う際にもほぼ「目処が立つ」と同じような意味で使う事ができる類語になります。
会話の中で使う場合は、どちらを使っても違和感が出る事はないはずです。前後の文章を考えながら使うと会話のバラエティも広がるはずなので、積極的に使い分けてみましょう。
「先が見える」
次に解説する「目処が立つ」の類語は「先が見える」です。これは、物事の終わりが見える状態やある程度の予想が見えてきた時に使います。
そのため、この「先が見える」という類語も「目処が立つ」と同じような意味を持っていますが、使い方としては違いがあります。
例えば、会話の中で使う場合には、どちらも同じように使う事ができますが、メールなどで使う場合には、基本的には「目処が立つ」の方が使われています。
「目処が立つ」の使い方・例文
ここからは、実際に「目処が立つ」の使い方を例文を使いながら、解説していきます。例文を使う事で、実際の会話を意識しながら覚える事ができるはずです。
「目処が立つ」という言葉は、会話もそうですがメールなどの表現でも使う事ができます。ここでは、会話だけでなくメールでの例文も一緒に解説していきます。
よくある使い方の例文を4つにまとめて解説していくので、普段あまり「目処が立つ」を使わない方やあまり意識せず使っていた方は、ぜひ参考にしてみましょう。
例文①
まず始めに解説していく「目処が立つ」の使い方はビジネスの場面です。例文は「今期の売り上げ目標の目処が立ちました」という作り方ができます。
これは「売り上げ目標」という課題に対して見通しが見えてきたという意味になります。このようにビジネスの場面では、必ず課題や目標があり、それに向かって会社は進んでいきます。
そのような場面で、将来への見通しが見えてきた時にこの「目処が立つ」という使い方ができるようになります。また、メールでも同じような使い方をしても問題はないので、ぜひ使ってみましょう。
例文②
先ほども触れましたが、ビジネスの場面では様々なプロジェクトに納期があります。そして、この納期にはそれぞれ期限が決まっているため、明確に時期を判断する必要があります。
このように何かの納期に対して答える場合に「目処が立つ」という使い方ができます。例えば「このプロジェクトの納期は今週末までに目処が立ちます」というような例文が作れます。
また、こちらの例文もメールでも役立ちます。たとえば、上司や相手側の会社から納期をメールで聞かれた場合、先ほどのように「目処を立つ」を使う事ができます。
例文③
3つ目には、普段の会話の中でも使える「目処が立つ」の使い方を解説していきます。例文は「中断していたイベントの再開の目処が立ってきた」という使い方になります。
よくアーティストのイベントや学校での行事が、天候などによって延期してしまう事があります。このような時に主催者側からメールで再開のお知らせをする際に「目処が立つ」が使われる事があります。
また、友達同士でも予定していたイベントが中断していたとします。そして、再開できるようになった時に「この前のイベントの再開の目処が立ったよ」とメールや電話で「目処が立つ」を使って知らせる事ができます。
例文④
最後によく使われている「目処が立つ」の使い方を解説していきます。例文は「目処が立ち次第、ご連絡させていただきます」という作り方になります。
これは、依頼があった相手から進行状況を聞かれた際にまだ先の見通しがわからないような場合に使う事ができる例文になります。
予定というのは、時と場合によっては分からない事も多いため、この使い方を覚えておくと大変便利です。また、メールや会話の中でも使う事ができるので、どちらで使っていただいても大丈夫な使い方になります。
「目処が立つ」と「目途が立つ」の違い
ここまでの解説で「目処が立つ」の意味や使い方がだいぶ理解できたはずです。そして、ここからはもう1つの似ている意味でもある「目途が立つ」の方を解説していきます。
「目処が立つ」と「目途が立つ」はどちらも似たような意味であり、読み方も似ているため、よく混同されやすい言葉です。そのため、間違って使ってしまう人も多いです。
ここでしっかりと「目途が立つ」の意味や使い方を理解していただき、実際に会話やメールなどで使う際に間違えないようしていきましょう。
「目途が立つ」は「目標が立つ」という意味
「目途が立つ」の意味は「目標が立つ」という意味になります。「目処が立つ」の「目処」には「見通し」という意味に置き換えられますが、この「目途が立つ」の「目途」には「目標」という意味に置き換えられます。
そのため、目処というのはある程度の見通しが立てれる場合に使われていますが、目途というのは明確な目標や目的の場合に使う事ができます。
しかし、実は「目途」の中には「見通し」という意味も含まれています。ただ、基本的には「見通し」の意味で使う場合には「目処」が使われる事が多いため、あまり目途で使われる事がないので、違いを分けるようにしましょう。
「目途が立つ」の読み方
皆さんはこの「目途が立つ」という言葉を音読する際に「めどがたつ」と読む人が多いはずです。しかし、正式な読み方としては「もくとがたつ」という読み方が正しい読み方になります。
これは、本来の「目途」という感じが「もくと」という読み方だったのですが、後から「めど」と読まれるようになったのがきっかけだと言われています。
そのため、「目途が立つ(めどがたつ)」と読んでも大丈夫ではありますが、同じ読み方である「目処が立つ」という言葉を分けるためにも「目途が立つ(もくとがたつ)」と読むようにしましょう。
「目途が立つ」を使う際の注意点
どんな言葉もそうですが、使う際には注意しなくてはいけない点があります。そして、その言葉の注意点がわかっていない場合は、相手に対して間違った印象を与えてしまう事があります。
そのようなケースにならないためにも、言葉を使う際には注意点も一緒に覚えておく必要があります。ここでは、先ほど解説した「目途が立つ」の注意点を解説していきます。
また、「目途が立つ」の注意点がわかれば、同様に「目処が立つ」を使う際の注意点もわかるようになるため、しっかりと覚えておきましょう。
「目途が立つ」は、公的な文章以外では使えない
「目途が立つ」という言葉が使われるには、基本的には公的な文章などのかしこまった場面で使われる事がほとんどです。これには「目途が立つ」の「目途」が使われた背景に理由があります。
そもそも目途というのは、役所などの文の作成などに使われていた背景があります。そのため、一般的に使われる事はほとんどなかったようです。
その結果、基本的には「目途が立つ」というのは、一般的な言葉ではないです。その代わりに「目処が立つ」はビジネスから一般の会話やメールでも使う事ができるため、分けて使うようにしましょう。
「目処が立つ」と「目途が立つ」の語源・歴史
最後に「目処が立つ」と「目途が立つ」のそれぞれの語源や歴史を解説していきます。この歴史を解説していくためには、それぞれの言葉が持つ語源を考える必要があります。
語源というのは、その言葉の成り立ちを指します。どのように「目処が立つ」と「目途が立つ」という言葉ができたのかを考える必要があるという事です。
また、その言葉の由来や歴史を覚えておく事で、その言葉の持つ意味がさらにわかるようになります。そして、さらに上手く会話に活用する事ができるようになるので、ぜひ覚えておきましょう。
語源(目処が立つ)
まずは「目処が立つ」の語源を解説していくのですが、その中でも「目処」についての語源を解説していく必要があります。
目処というのは、漢字の中では「和語」という分類になります。和語というのは、昔から日本で使われていた漢字の事です。そして、目処の語源には、「蓍(めど)」と「目孔(めど)」の2つがあります。
この2つの語源が元となり、今も使われている目処という言葉に変化したといわれています。次に、この2つの語源が使われるようになったきっかけである「目処が立つ」の歴史を解説していきます。
歴史(目処が立つ)
「目処が立つ」の歴史を解説していくには、先ほど解説した2つの語源が使われるきっかけを解説する必要があります。まず、1つ目に「蓍」についてです。これは、植物の「蓍萩(めどはぎ)」からきています。
昔、日本では占いをする際にこの「蓍萩」の茎を使い、将来の結果を占っていたようです。そして、この茎が立つ事で将来の見通しが立つと考えられ、これを「蓍が立つ(目処が立つ)」と言っていたそうです。
次に「目孔」ですが、これは裁縫で使われる針の穴のことを言います。糸を通す際にこの穴を目的に狙って通すことから「目孔が立つ」という言葉があります。これが2つ目の歴史になります。
語源(目途が立つ)
次に「目途が立つ」の語源も解説していきますが、これも「目途」の語源を解説する必要があります。この目途は、漢字の分類では「漢語」になります。これは、中国が発祥の漢字です。
そのために「目途が立つ」の解説でも説明しましたが、目途の本来の読み方は「もくと」です。そして、この漢字の読み方は「音読み」になります。
音読みというのは、中国の発音からきているため、目途というのは、本来は中国で使われていた漢字となります。それを日本でも使うようになったといわれています。
歴史(目途が立つ)
「目途が立つ」という言葉の歴史には、その使われ方があります。この言葉を使う場合、日本では公的な文章などのかしこまった場面で使われる事がほとんどです。
これはなぜかというと、役所などで書類を作成する際に「目処」の「処」というのは使う事ができないため、代わりに同じような意味を持つ「目途」が使われていた歴史があるためです。
その結果、今でもそれは続いているため、公的な文章やかしこまった場面で同じような意味を使うには「目途が立つ」を使うようになっています。
「目処が立つ」は「見通しが立つ」という意味
今回の解説で「目処が立つ」と「目途が立つ」のそれぞれの違いや使い方が分かったはずです。日本には、このように似ているような言葉でも意味が違っていたり、使う場面によって言葉を使い分ける必要があります。
普段何気ない会話や意識せずに使っている文章でも間違ってしまう事があります。しかし、今回のように2つの言葉の違いがわかれば正しく言葉が使えるようになります。
ぜひ、今回の解説をさせていただいた「目処が立つ」と「目途が立つ」を会話や文章に使って、皆さんの会話や文章の幅を広げてみましょう。