シンパシーの意味とは?
「シンパシー」という言葉の意味をご存知ですか?「食べ物?」「気功にかんするもの?」「アイドルユニット?」など本来の意味までは詳しく知らないケースが多いです。
「シンパシー」は、歌のタイトルに、宝石類、企業名に使われる言葉の他、映画や漫画のタイトルの一部に「シンパシー」が使われたりと私たちの日常生活の身近な言葉として存在します。
「シンパシー」とは、「同情」「同感」「同意」という意味です。そんな意味だから、歌のタイトルや歌詞、宝石類などに使われることが多いのが合点いきます。
意味が分かれば、「シンパシー」の名前がついた歌や漫画を見る前に、その作品がどんな展開になるのか、イメージしやすくなります。
今回はそんな「シンパシー」について徹底紹介。「シンパシー」の由来から、特徴、類語や例文を用いた使い方、注意点について順に紹介していき、「シンパシー」を深堀していきます。
シンパシーの由来
「シンパシー」の意味がわかったところで、「シンパシー」の由来はどこにあるのでしょうか?まずは「シンパシー」の語源を紐解いていきます。
「シンパシー」は外来語の英語で「sympathy」と書きます。「sympathy」は「sym」と「pathy」に分解することができます。英語「sym」は「一緒の」といういみの接頭語、英語「pathy」は「感情」を意味する接尾辞です。
この英語「sym」と英語「pathy」も、もともとの語源は古代ギリシア語に由来しています。具体的にはsun(一緒に)+pathos(苦痛、苦悩)+-ia(こと)と古代ギリシア語で表記することができます。「共に苦しむこと。感情が同一になること」を意味しています。
「シンパシー」が外来語の英語で語の由来が理解できたところで次に、「先般」は日本でどのくらいの前から使われていたのか?その使用時期の由来を辿ってみます。
シンパシーは広義の意味として、イデオロギーなどの政治的立場が一致した者に対して使われる言葉でもあります。「シンパ」と省略して使われることもあります。
上記の点を辿る資料として「シンパ」は過去の文献でも確認することができます。その1つ目は小説家の国枝史郎が「富士 特別増大号」に1937年(昭和12年)に発表した「鸚鵡蔵代首伝説(おうむぐらかえくびでんせつ)」という作品です。下記の一説を紹介します。
「この人の病気は、天刑病(てんけいびょう)ではなく、やや悪質の脱疽に過ぎなかったということであり、そうしてこの人は、やはり、別木荘左衛門一味の同伴者(シンパ)であり、お篠を娶ったのも、お篠が、別木党の、梶内蔵丞の娘であることを知っていたからだということである。」
「シンパ」の使用時期の由来を辿るその2つ目は小説家の宮本百合子が初めの15枚を「改造」に1932年(昭和7年)に初出、残りも含めて「プロレタリア文学」に1933年(昭和8年)再掲した「一九三二年の春」という作品です。下記の一説を紹介します。
「そういう部屋に落付くと、直ぐ〇〇君がやって来て『ここは私の同伴者(シンパ)でしてね、重宝ですよ』と笑った。」
このように「シンパシー」は「シンパ」として、少なくても昭和初期には使われていたことが上記2人の過去の作品によって確認することができます。
シンパシーの特徴
「シンパシー」の意味、由来を理解してきましたが、「シンパシー」という言葉には使用するにあたってどんな特徴を持った言葉なのでしょうか?
「シンパシー」の意味は「同情」「同感」でこの2つの意味の共通点は「同じように感じること」になります。また、「シンパシー」は感情的な意味をもつ外来語です。
以上から「他人のどんな感情」にシンパシーするか?また、日常でどんな分野に頻出しているか?以下に特徴をご紹介いたします。
他人の不運や不幸に対して使う場合が多い
外来語「シンパシー(同情の意味)」は、相手の喜びの感情に対して同感するという使い方よりも、不幸や不運や苦難に対して同情するというケースに使われる事が多い言葉です。
上記の具体的なケースは「使い方」に譲りますが、相手が落ち込んでおり、その内情を聞いたとき、「かわいそうだ」と思うことで、相手の心情を汲む状態を「シンパシー」と表現します。
歌詞や歌のタイトルに使われる事が多い
外来語「シンパシー(同情の意味)」はそのエモーショナルな言葉とそのカタカナ語の言葉の響きから、「歌詞や歌のタイトルに使われる事が多い」言葉です。具体的な例文は「使い方」に譲りますが、アイドルユニットなどの10代〜20代のトレンドセッターの歌の歌詞、タイトルで垣間見れます。
同意者にも使われる意味がある
「由来」でもふれましたが、外来語「シンパシー(同感の意味)」はイデオロギーや見解を同じにする対象にも使われる言葉です。具体的なケースは「使い方」に譲りますが、例えば政治家や作家などの著名人の講演会に参加している方々に使われる言葉でもあります。
講演会に参加した参加者は、その講演者のイデオロギーや見解に同感するとした場合は、「シンパシーしている」状態であり、そのかたは「シンパ」であると認められます。
シンパシーの類語
外来語「シンパシー」の意味、由来、特徴を見てきましたが、この「シンパシー(同情の意味)」の類語はどんな語があてはまるのでしょうか?類語をご紹介する事で、「シンパシー」がより明確に意味付けられることになります。
以下に「シンパシー」の類語をご紹介していきます。とても意味が「同じではないか?」と思うくらい似ている類語です。そのため意味のニュアンスを詳しく掘り下げましたのでご確認ください。
エンパシーは共感の意味
外来語「シンパシー(同情の意味)」の類語に「エンパシー」という言葉があります。この類語「エンパシー」も外来語の英語で、「empathy」と書きます。類語「エンパシー」の意味は「共感する」と訳されています。
ここで、類語「エンパシー」と外来語の「シンパシー」は「同じ意味ではないのか?」と感じてしまいます。確かに同じように「相手を思いやっている」状態を指しています。ではその違いを以下にご紹介いたします。
シンパシーとエンパシーの意味の違い
外来語「シンパシー(同情の意味)」と類語「エンパシー(共感の意味)」は一見見聞きしただけではよく違いがは分からず釈然としません。では相手の立場と自分の立場の「位置関係」からこの「シンパシー 」と「エンパシー」の違いを説明していきます。
外来語「シンパシー(同情の意味)」は、他人と自分を同一視せず、他者の立場から相手の感情を汲み取る事です。これに対して「エンパシー(共感の意味)」は相手と自分の感情を同一視し分かち合うことです。
このことから、類語「エンパシー」は外来語「シンパシー(同情の意味)」よりも相手に対する理解が深いことがわかります。
シンパシーの使い方
では現在、外来語「シンパシー(同情の意味)」は実生活でどのように使うことができるのでしょうか?私たちを取り巻く環境はネット社会になり、ツイッターやLineなどのSNSなどの普及により、より個人的な出来事が共有される機会がひと昔前に比べ圧倒的に増えました。
外来語「シンパシー(同情の意味)」はこのようなネット社会の情報社会にも柔軟に対応できる用語です。SNSの普及によって「シンパシー」は今後ますます目にする機会が多くなる可能性があります。
下記に「シンパシー(同情の意味)」の使い方をケース別に例文をご紹介しますので、その使い方をご参考いただければ幸いです。
例文①
外来語「シンパシー(同情の意味)」の使い方の1つの例文として、ツイッターなどの投稿などが上げられます。「自分を取り巻く身の回りの出来事を投稿する際」が使われます。
「財布を落としてしまって、かなりブルー。悪用されないように、すぐ財布の中身に入っている免許書やカード関係はそれぞれ紛失届だしたけど、半ば見つけるのは諦めております」このようにツイッターなどで、自分の不幸話を投稿する際、「シンパシー(同情の意味)」という用語を使うケースです。
「〇〇さんにかなりシンパシーです。」「シンパシー。めげないで頑張ってください」など、発信者の状況を汲み取ってリプライする際「シンパシー」を使う場面が想定されます。
例文②
外来語「シンパシー(同情の意味)」の使い方の2つ目の例文として、カラオケなどで、アイドルグループなどの歌を歌った場合に使われるケースです。
AKB48チームサプライズを歌う際「その方向は同じさ。君に重力シンパシー。何も話せなくても確かに今僕らはひとつに〜」このようにカラオケなどで、アイドルグループの歌を歌う際、「シンパシー(同情の意味)」という用語を使うケースです。
また、「シンパシー」は特定のアーティストの名前を指す際に、固有名詞で使われることもあります。「シンパシーの新曲聞いた?」「シンパシーのスクールガール・コンプレックスすごくいいね。」という使い方です。
10代から40代まで広くリスナーに支持されているアーティスト名「シンパシー」を指す場合も固有名詞として通じる場合があります。
例文③
外来語「シンパシー(同感の意味)」の使い方の3つ目の例文として、政治家や作家などの著名人の講演会などが上げられます。
外来語「シンパシー」は「同情」という意味で使われることが多い言葉ですが、先述の「特徴」で述べたようにイデオロギーや見解に対して賛同する意味でも使われる言葉です。
「低所得層に痛税感を伴い、逆進性がある消費税増税には私は反対です。みなさん日本で、全労働者数の内約4割の方が非正規雇用である事実をご存知ですか?」このように講演会などで、自分の見解を取り上げる際、賛同者が「シンパシー(同感の意味)」という用語を使うケースです。
「〇〇さんの見解には確かにシンパシーを感じます。」など、発言者の見解に同感して「シンパシー」を使う場面が想定されます。
講演会は実際に聞くことだけで実現するわけでもなく、現在はどうが配信サイトがあります。「You Tube」などで上記のような政策を聞いた際でも、コメントに「その政策にはシンパシーを感じます」と上げることも可能です。
例文④
外来語「シンパシー(同情の意味)」の使い方の1つの例文として、ビジネスシーンなどが上げられます「ミーティングなどで上司から叱責される場面」を想定します。
「こんな企画書ではみんながせっかく集まったミーティングが台無しだ。この状況になる前になぜ相談しなかったんだ」相談する信頼関係もなく、企画書を作る時間もままならない状況のぶっつけ本番で臨んだミーティング。
半ば理不尽さを感じる場面に会議に出席した同僚からは「〇〇さんにシンパシー。どう見たって無理筋でしょ。」など、受け手の状況を汲み取って「シンパシー」を使う場面が想定されます。
シンパシーを使用する際の注意点
今やSNSの投稿や動画で気軽に他人の出来事を垣間見ることができるようになり、使う頻度も増えた「シンパシー」。では、「シンパシー」を使う際に気を付けなければならないポイントはどこにあるのでしょうか?
注意点として気を付けるポイントとしては、これまでの記述で繰り返し、「外来語であるシンパシー(同情、同感の意味)」と表現してきたことと関連があります。その理由を下記でご紹介いたします。
英語では他の意味があるので注意
外来語としての「シンパシー」は意味が「同情」「同感」「同意」と限定的ですが本来の英語「sympathy」には他に意味が存在します。上記外来語同様の意味の他、「お悔やみ、弔意」という意味も存在します。
上記の経緯から、日本で「シンパシー」と使用する場合と英語圏内で「sympathy」を使用する場合は注意が必要です。ただ「お悔やみ、弔意」を表す場合は通例「sympathies」と複数形になるので、英文などで、出会った際は意識していただければ幸いです。
シンパシーは同情という意味
「シンパシー」の意味、由来、特徴、類語エンパシーとの違い、例文を用いた使い方、注意点を確認してきました。「シンパシー」は外来語の英語で「同情」という意味ですが、今現在のネット社会の背景から簡単に「シンパシー」できる環境になっています。
しかし「シンパシー」できる環境であることは感情を汲み取る温かみが広がることで「シンパシー」された者からは力になるところですが、一歩間違えるとその同情が「エンパシー」に発展し悪用されて思わぬトラブルに巻き込まれる危険性があります。
「シンパシー」は個人的な問題や見解を他者に知ってもらうことで、初めて成立する言葉です。上記の背景も踏まえて個人的な問題をどの程度まで共有すればいいのか?それは今後私たちが考えていく課題とも言えます。