みなし公務員とは?
みなし公務員、という言葉の意味をご存知でしょうか。あまり聞きなれない言葉なので、今まで知らなかったという人もいるでしょう。
しかし言葉の聞き慣れなさとは裏腹に、みなし公務員の職員の方々は私たちの生活にもあらゆる場面でかかわってきます。なぜ普通の公務員ではなくみなし公務員と呼ばれるのでしょうか。
今回はみなし公務員とは何か?公務員とはどう違うのか?待遇や給料はどう違うのか?など、みなし公務員について紹介していきます。みなし公務員を知りたい人は勿論、将来みなし公務員を目指す人にとっても役立つ内容なのでぜひ目を通してください。
企業に勤める職員のこと
公務員とみなし公務員の最大の違いは雇い主です。国に雇われている公務員と違い、みなし公務員は企業に勤めている職員たちの事を言います。民間の企業にいながら公務員と呼ばれているのです。
企業と言っても、一般的な企業と違って公共性の高い仕事をする職員の事をみなし公務員と言います。つまりは国営に関わる仕事であり、一般的な公務員と同様国のための仕事をしているとも言えます。
勤め先は企業であっても、仕事内容や責任は通常の公務員と同様です。そのためみなし公務員と呼ばれているという訳です。
みなし公務員の種類
みなし公務員は私達の生活の中に溢れています。例えば、皆さんがいつもお世話になっている郵便局や銀行の業務を行う人は最も分かりやすいみなし公務員でしょう。
銀行や郵便局は企業が運営しているものの、その事業内容は国営に大きく影響を与えます。そのためそこで働く職員はみなし公務員、ないし準公務員と呼ばれるのです。
他にもガス、電気、通信会社の職員や、バスや電車などの公共交通機関を運営している人たちも全員みなし公務員と言えます。どれも日常生活に欠かせないものです。また、NHKや自動車教習所の検査員、年金に関わる仕事をしている人も実はみなし公務員という扱いです。
これらは、誰しもが普段から利用しているものばかりです。みなし公務員の行っている業務は私たちの生活に強く密接していると言っていいでしょう。
みなし公務員と準公務員の違い
みなし公務員と似た使い方をされる言葉に、準公務員があります。準公務員とは、民間企業で働いているが仕事の内容が公務員に準ずる人たちの事を言います。
つまりはみなし公務員と準公務員に意味の違いはありません。どちらも企業に勤めながら公務員と同様の仕事を行っている方々の事です。みなし公務員も準公務員も同じ意味の言葉という訳です。
以前は準公務員という呼ばれ方が多かったですが、最近では準公務員よりもみなし公務員と呼ばれることの方が増えてきました。しかし準公務員が間違っているという話でもないので、好きな呼び方で大丈夫でしょう。
みなし公務員の社会的な立ち位置
ではこのみなし公務員、社会的な扱いはどうなっているのでしょうか。みなしというからには、公務員とは明確に区別されていると考える人も多いでしょう。しかし実際の所、公務員とみなし公務員の扱いには大きな差はありません。
雇われ先が違うだけで、みなし公務員の職員も社会的には公務員と同じ扱いをされます。そのためみなし公務員になった際には、公務員の就業規則をよく確認しましょう。普通の会社で当たり前にしている事をみなし公務員の職員が行うと違反になる事もあるからです。
続いては、みなし公務員の業務内容や禁止事項について見ていきましょう。みなし公務員の公務員と同様の業務についているため、知れば知るほど通常の公務員と同じであることがわかるはずです。
みなし公務員は国営に影響を及ぼす
みなし公務員が行っている仕事は、いずれも公共性の高いものであり国営に大きな影響を与えます。前述の通り日常生活の中で多くのみなし公務員の職員と関わる機会がある事からもそれがうかがえるでしょう。
例えば前述の郵便局や銀行、公共交通機関は日本の経済や国民の生活になくてはならないものです。これらの企業でストライキなど起こった日には、あらゆる場面で大きな損失をもたらすでしょう。そのためみなし公務員は通常の公務員と同様に、ストライキが禁止されています。
公務員のように国営に関わる仕事をしているからこそ、みなしとはいえ公務員として扱われているという訳です。仕事内容が公務員と同様なので、それを行う職員にも公務員と同様の責任が伴うのです。
接待や賄収賂はNG
賄賂は元々どの会社でもダメなので論外として、一般企業では当たり前のようにある接待でも、みなし公務員には禁止とされています。みなし公務員には、公務員同様守るべき義務も多いです。そのうちの一つが接待及び贈答の禁止であり、接待や賄賂は固く禁じられています。
これはなにも法に触れるような重大なものだけではありません。例えば取引先への贈り物や食事を奢るなどの軽いものも例外ではありません。軽い気持ちで買った取引先へのお土産が重大な違反になってしまう事もあるのです。
一般企業ではお世話になった取引先にお土産を持っていくなど日常茶飯事ですが、みなし公務員の職員にとっては厳禁とされている事です。一般企業からみなし公務員に転職した人は特に注意しましょう。
賄賂をおこなうと刑事事件として扱われる場合も
前述のような小さな贈り物でもみなし公務員では賄賂とみなされ、罪に問われる恐れがあります。公務員やみなし公務員のような公共性の高い業務では、接待や賄賂に贈賄罪が適用されることがあります。ほんの善意からの些細な贈り物が最悪の場合刑事事件にまで発展してしまう事もあるのです。
勿論渡すだけでなく、取引先から何かしらを受け取るのも禁止されています。うっかり取引先にご飯を奢ってもらったために法律違反を犯してしまったのでは目も当てられません。これからみなし公務員を目指す方はくれぐれも気を付けてください。
みなし公務員の給料や待遇
続いては、おそらく皆さんが最も興味があるであろう公務員との待遇や給料の違いについて紹介していきます。公務員と言えばやはり安定した待遇と高い給料が目を引きます。公務員特有の高い給料を目的にみなし公務員を目指す人も多いのではないでしょうか。
とはいえ、みなし公務員の給料は公務員と比べるとどれくらい違うのかは気になるところです。みなし、というと通常の公務員よりは立場が下なイメージを持つ人もいるかもしれません。みなし公務員は公務員試験を受けなくていいという要素もあります。
しかし前述の通り、少なくとも仕事内容に関しては同等のものと言えます。では実際の所、公務員とみなし公務員では待遇や給料がどの程度変わってくるのでしょうか。
待遇は公務員と変わらない
結論から言えば、公務員とみなし公務員の間に待遇の差はほぼありません。公務員のように年功序列でどんどん待遇も良くなっていきますし、一般企業のように急なリストラもまずありません。国営に携わる仕事をしているため、会社自体が潰れる事もまずないと言えます。
勤め先が国か企業かというだけで、みなし公務員も立派な公務員という訳です。公務員試験を受けなくても公務員と同様の待遇が得られるとあれば、狙わない手はありません。公務員志望の人は、どちらを目指しても構わないと言えるでしょう。
みなし公務員の給料
業種によって多少の前後はありますが、基本的に公務員とみなし公務員の給料に大きな差はありません。むしろ業種によってはみなし公務員の方が初任給が高い場合もあります。
例えば一般的な公務員の初任給は約18万円程なのに対して、大手郵便局や銀行の初任給は約20~23万円程です。国営に関わるため一般企業と違ってまず倒産しない事を考えれば、みなし公務員も公務員同様非常に安定した給料が貰えると言っていいでしょう。
また、みなし公務員も公務員にならって年功序列制になっている所がほとんどなため、長く勤めれば務める程高い給料をもらえます。一般企業のように入社数年で大きな収入こそ得られませんが、長年にわたって安定した給料が約束されているのは大きな魅力です。
みなし公務員の副業は可能なのか?
近年では副業をやっている会社員も珍しくなくなってきました。より多くのお金を得るために副業をしようと考えている人もいるかもしれませんが、公務員は原則として副業が禁止されています。そのため本業と合わせて副業で稼ぐといった戦法が取れません。
ではみなし公務員、準公務員と呼ばれる職種の場合はどうなのでしょうか。仕事内容や待遇、給料まで同じとなると、副業についても同様に禁止されていると考える人も多いでしょう。そんな疑問にお答えするため、続いてはみなし公務員の副業について紹介していきます。
公務員と同じく副業は禁止
結論から言えばみなし公務員、準公務員と呼ばれる職種でも公務員同様原則的に副業は禁止されています。みなし公務員が会社に黙って副業を行って万が一ばれれば重い処分を受ける事となります。公務員と同じ待遇である分、責任や禁止事項も同一であるという訳です。
みなし公務員も個人情報などの非常に重要な情報を扱っているため、副業禁止はやむを得ません。副業を通して公務員が扱っているデータが流出する恐れがあるからです。公務員をしながら副業でもがっつり稼ぐのはほぼ不可能だと思った方がいいでしょう。
副業については例外もある
とはいえ全ての副業が禁止されているわけではなく、例外もあります。例えば実家が農業や水産業を行っている場合、それも手伝いは可能です。ただし報酬は受け取らないという条件付きなのであくまでも手伝いだけです。
また5棟未満、かつ1棟あたり10部屋未満の小規模な不動産投資に限り副業が可能です。ただし本業の収入を超えてしまうと規制対象となります。副業で稼げるのはほぼこれだけなので、みなし公務員、準公務員でも副業がしたいなら不動産投資を狙いましょう。
他には、作家活動等も副業として認められる場合があります。勿論本業をおろそかにしない事が前提となる上、誰にでも気軽に出来る副業ではありません。現状では非常に限られた人の副業と言えるでしょう。
副業可能な場合も職種は選ぶべき
このように可能な副業もありますが、基本的にはみなし公務員は副業を行うにあたって上司に届け出をしなければいけません。そしてそのうえでやはりだめだと言われるケースも多々あります。公務員のイメージを損なうような副業は基本的に通らないと思った方がいいでしょう。
副業ができるかは職種によっても異なり、特に銀行や郵便局のみなし公務員は副業の申請をしてもほぼ通りません。逆に、役員クラス以外の副業は話を通せば大丈夫という所もあります。どうしても副業をしたいのであれば他の業種を選びましょう。
結局のところは上司の判断に一任されるため、どんなに筋が通っていてもダメと言われる事もあります。みなし公務員、準公務員の職員が副業を許される確率はあまり高くないと思った方が賢明です。
みなし公務員になるために
ここまでの紹介した通り、みなし公務員は公務員と同様の好待遇な仕事です。上記の紹介内容を吟味し、より一層みなし公務員の職員を目指したいと思った人も多いのではないでしょうか。
とくれば次に確認したいことはみなし公務員、準公務員になる方法でしょう。一般的な公務員と違い公務員試験を経て採用されるわけではないので、どこに応募すればいいのか分からないという人も多いのではないでしょうか。
では続いて、みなし公務員になるためにはどうしたらいいのかを紹介します。採用されるために必要なのは自分磨きだけではありませんので、みなし公務員を目指す人は、努力する際の参考にしてみてください。
みなし公務員は安定性が高く人気
前述の通り、みなし公務員は公務員と同等の安定した高待遇を得られます。それでいて一般的な公務員のように公務員採用試験を受ける必要がないため、非常に人気の高い職業と言えます。
みなし公務員になるためには、一般的な企業と同様に求人が出てそれに応募するだけです。あとは採用さえされれば晴れてみなし公務員になれるため、採用プロセス自体は非常に簡単と言えるでしょう。
とはいえ当然人気に比例して競争率も非常に高いため、みなし公務員の求人募集はすぐに埋まってしまいます。そのため会社に採用されるための自分磨きは勿論、求人を逃さない事が非常に重要になってきます。
こまめな求人チェックがおすすめ
みなし公務員の求人は、一般の求人から探すことになります。すぐに埋まってしまう求人を見逃さないためには、こまめなチェックは欠かせません。
自分が把握できる限り、なるべく多くの求人サイトに登録し常に最新の情報を得ましょう。そして求人が出たらいち早く応募することで、せっかくの求人を見過ごす確率はぐっと減ります。
とにかく大切なのは広い視野から最新の求人情報を得る事です。面接さえ受けさせてもらえるなら、いつかみなし公務員になれる日も来るでしょう。
みなし公務員は国を支える人気の職業
みなし公務員は企業勤めだからみなしとついているだけであり、本質的には公務員と何ら違いはありません。むしろ公務員試験を必要としない分、一般の人にとっては公務員よりも応募しやすくなると言ってもいいでしょう。
そのためみなし公務員は求人の中でも特に人気の職業でもあり、中途半端な姿勢では求人に応募する事すら困難です。常に新しい求人をチェックし、みなし公務員の求人がでたらすぐに応募できるような状態を整えておくことが大切です。
みなし公務員は国営に深くかかわるとても人気な職業です。今回紹介した内容でみなし公務員、準公務員と呼ばれる職業に興味を持った人は、ぜひチャレンジしてみましょう。決してハードルは低くありませんが、採用されれば公務員同然の高待遇が待っています。