所得税の控除とは?
所得税は、会社員などの給与の収入にかかる税金のことです。働いている方であれば、給料明細に「所得税」という項目があるはずです。この所得税は、収入額から所得控除を引いた金額に、一定の税率をかけて計算されます。
この所得税の控除は、様々な条件でなされます。この記事では、所得税の控除の種類や仕組み、計算方法などを解説していきます。
そもそも控除とは?
控除とは、あらゆる理由で税金の負担を減らすことを言います。所得税の控除とは、所得税という税金からある条件を満たしている分を差し引くことを意味します。
この控除には、所得税を計算する前の所得金額から差し引かれるもの(所得控除)と、所得税を計算した後の金額から差し引かれるもの(税額控除)があります。
控除は、税金の負担を軽くするためのものです。所得税の控除には色々な種類があります。所得税の控除の種類を理解して、どんな控除があるのか確かめましょう。
控除は2種類に分類される
控除とは、税金から差し引かれるものと先ほど述べました。そしてその控除には、税金を計算する前に差し引かれる控除の方法と、税金を計算した後に差し引かれる控除の方法があります。
税金を計算する前の控除を所得控除、税金を計算した後の控除を税額控除と呼びます。この2種類の控除について、それぞれ解説します。
所得控除
所得控除とは、所得に税率をかけて計算をする前に差し引かれる控除のことです。所得税は、給与などの課税対象の所得にかかる税金ですが、その課税対象の所得から、色々な条件で差し引かれるものが所得控除となります。
非課税の所得とは、代表的なのは通勤手当となります。通勤手当は非課税なので所得税は取られません。ですので、所得税の計算では給与から通勤手当を引き、さらに所得控除を引いて計算されています。
税額控除
税額控除とは、所得に税率をかけて計算した後に差し引かれる控除となります。すでに計算された金額から引かれるため、この控除が適用されるとかなりの節税につながります。
ただし所得控除は、会社員であれば年末調整で必要な書類を提出すれば申請は完了しますが、税額控除はご自身で確定申告を行わなければならない場合もあります。
税額控除との違いは?
控除の方法は所得控除と税額控除という2種類があると説明しました。基本的に所得税の控除と聞くと、ほとんどの人が配偶者控除や医療費控除などの、所得控除を思い浮かべるでしょう。
では、税額控除とはどのような違いがあるのでしょうか?所得控除との違いについて解説します。
所得税から差し引けるのが税額控除
前述したとおり、税額控除は所得控除と違い、所得に税率をかけて計算された所得税から引かれます。ですので金額によっては所得税がなくなってしまうということも起こり得ます。
そのため税額控除は所得控除に比べ、かなりの節税につながると言えます。ただし、税額控除も色々な種類があり、条件を満たしていないと控除の対象になりません。
所得税の控除の種類は?
所得税の控除の種類で、所得控除についてはどのような種類があるでしょうか。一般的には、配偶者控除や扶養控除、医療費控除などが知られている控除の種類となります。
しかし、所得控除はそれ以外にも存在します。また所得控除は、年末調整の申請で済むものもありますが、確定申告をする必要があるものもあります。どのような所得控除があるのか理解して、節税につなげましょう。
所得税の控除の種類は14種類ある
所得控除は、一般的に知られている配偶者控除や医療費控除など、合わせて14種類あります。配偶者控除や扶養控除などは、年末調整で申請をすれば良いですが、医療費控除などはご自身で確定申告を行う必要があります。
14種類の所得控除それぞれに、適用ができる条件があります。所得控除の種類を理解して、ご自身が適用される条件を満たしているのかを確認しましょう。
確定申告を自分でする必要のある控除
所得控除の中には、ご自身で確定申告を行う必要があるものがあります。それは「雑費控除」「医療費控除」「寄付金控除」の3種類です。これらの所得控除は、年末調整ではなく確定申告で申請します。
この3種類の控除が適用される条件を満たしている場合は、忘れずに確定申告を行うようにしましょう。確定申告を行わなければ、控除されることはありません。損をしないためにも、適用されるのかを確認しましょう。
勤務先が年末調整をしてくれる控除
会社で年末調整を行う所得控除は「基礎控除」「配偶者控除」「配偶者特別控除」「扶養控除」「生命保険料控除」「地震保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」「社会保険料控除」「障害者控除」「寡婦(寡夫)控除」「勤労学生控除」の11種類となります。
基本的に会社が年末調整を行ってくれますので、年末調整をするための添付書類などの準備が必要となります。自分がどの所得控除の項目が適用されるのかわからない場合は、会社の人事などに相談して漏れがないようにしましょう。
年末調整される給与所得控除とは
会社が年末調整をしてくれる11種類の所得控除の他に、「給与所得控除」という控除の項目があります。この給与所得控除は、収入から差し引かれる控除のことで、所得控除と間違えやすいですが、実は別のものとなります。
所得控除は、条件を満たしている場合に適用される控除となっていますが、給与所得控除は無条件で給与から差し引かれます。
所得税の控除を種類別で解説!
所得控除は、医療費控除などの確定申告が必要なものと、配偶者控除などの会社が年末調整を行うものがあります。では、それぞれの控除についてどのような適用条件があるのでしょうか?
ここからは、それぞれの所得控除について適用条件や控除額、上限などを解説していきます。また、所得控除とは別のものですが、給与控除についても解説します。
雑費控除
雑費控除または雑損控除と呼ばれる控除は、震災・風水害などの災害や盗難などの被害を受けた場合に適用される控除です。ただし、空き巣などの盗難被害には適用されますが、詐欺被害などは適用されませんので注意してください。
この雑損控除の適用となる資産には条件があります。まず、資産の所有者が納税者であること。または、納税者と生計が一緒である配偶者やその他の親族であって、その年の総所得の金額が38万円以下の者であること。
次に、その資産が「棚卸し資産もしくは事業用固定資産」「生活に通常必要でない資産」のどれにも当てはまらないこと。となります。生活に通常必要でない資産とは、別荘などの不動産や貴金属や骨董品などで価格が30万円を超えるものなどが当たります。
雑費控除の計算方法
雑損控除は①「差引損失額」-「総所得金額等」×10%②(差引損失額のうち災害関連の支出金額)-5万円の2つのうちで、金額が多いほうが控除されます。
損失額が多すぎて所得金額から引けない場合は、翌年以降(上限3年)に繰り越して控除することができます。ですので控除額の上限はありません。
差引損失額とは、損害金額に災害等でやむを得ず出費した金額を足し、そこから保険金などで補填された金額を引いたものとなります。
雑損控除(雑費控除)は、確定申告をご自身でする必要があります。その際は領収書や給与の源泉徴収票などを添付する必要があります。
寄付金控除
寄付金控除は、国や地方公共団体などに「特定寄付金」と呼ばれる支出があった場合に適用される控除です。この特定寄付金とは国や地方公共団体、公益社団法人や公益財団法人などと様々な団体が含まれます。
寄付金控除は①その年に支出した特定寄付金の合計金額②その年の総所得金額の40%相当の2つのいずれかの低い金額から2千円を引いた金額となります。
医療費控除
医療費控除は、年間に支払った医療費が一定の金額を超えた場合に控除が適用されます。医療費を支払ったのが本人のため、もしくは生計が一緒である家族のためであることが条件です。
医療費控除の金額は、年間医療費の合計金額から保険金などを差し引き、そこから10万円を差し引いた金額となります。ただし上限は200万円までとなります。1年間で支払った医療費を合わせて10万円以上であれば、医療費控除を申請したほうが良いでしょう。
医療費が10万円以下の場合はセルフメディケーション税制
平成29年1月1日以降に、特定一般用医薬品等(医者から処方された医薬品やドラックストアで購入したOTC医薬品)を購入した場合は、セルフメディケーション税制を適用できます。
ただし、この税制を適用できるのは、その年に健康診断や予防接種などの、健康促進や疾病予防のための取り組みをしていることが条件となります。
控除される金額は、実際に購入した医薬品の合計金額から1万2千円を引いた金額となります。ただし、8万8千円が上限額となります。
基礎控除
基礎控除は、他の所得控除とは違い、適用される条件がなく全員が控除されるものです。憲法で定められている「健康で文化的な最低限度の生活」のために必要な最低限の所得には課税しない、という考えから定められています。
基礎控除の金額は、一律で38万円と定められています。年末調整や確定申告を行う必要はあるものの、納税者には適用される所得控除となります。
扶養控除
扶養控除は、納税者に所得税法上の控除対象となる扶養家族がいる場合に適用される控除です。扶養家族に該当するのは、配偶者以外の親族であること、納税者と同じ生計であること、年間の所得が38万円以下であること(給与のみであれば103万円以下)、納税者の会社の従業員として給与の支払いを受けていないこと。となります。
そして、控除対象扶養家族となるのは、その年の12月31日までに年齢が16歳以上の人のことです。控除の金額は、扶養家族の年齢や同居しているかによって異なります。
年末時点の年齢が16歳以上の人の場合は、控除額は38万円となります。また、年末時点の年齢が19歳以上23歳未満の人の場合は、63万円となります。そして、年末時点の年齢が70歳以上の人の場合で同居でない場合は48万円、同居の場合は58万円となります。
配偶者控除・配偶者特別控除
配偶者控除・配偶者特別控除は、納税者に控除対象となる配偶者がいる場合に適用される控除となります。
配偶者控除の対象となるのは、民法の規定上の配偶者であること、生計が同じこと、年間の所得が38万円以下である(給与のみの場合は103万円以下)こと、納税者の会社の従業員として給与を受け取っていないこと。となります。
配偶者特別控除は、年間の所得が38万円を超えているため配偶者控除が適用されない場合に、配偶者の所得の金額に応じて控除が受けられるものです。
その条件で配偶者控除と違う点は、納税者本人の所得が1千万円以下であることと、配偶者の所得が38万円を超え123万円以下であることとなります。
配偶者控除・配偶者特別控除の金額
配偶者控除の金額は、納税者本人の所得金額と配偶者の年齢によって異なります。本人の所得が900万円以下で、配偶者の年齢が70歳未満の場合は38万円、70歳以上の場合は48万円となります。同様にして、900万円を超え950万円以下は、26万円か32万円、950万円を超え1000万円以下の場合は13万円か16万円となります。
配偶者特別控除の金額は、納税者本人の所得金額と配偶者の所得金額によって異なります。本人の所得金額が900万円以下で配偶者の所得金額が38万円を超え85万円以下の場合は38万円が上限、本人の所得が900万円を超え950万円以下の場合は26万円、本人の所得が950万円を超え1千万円以下の場合は13万円となります。
生命保険料控除
生命保険料控除は、納税者が生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合に適用される控除です。ただし、5年未満の保険期間である生命保険などは、控除対象とならない場合があります。
生命保険料控除には、平成24年1月1日以降に契約した保険の保険料(新契約)と平成23年12月31日以前に契約した保険の保険料(旧契約)に分けられ、控除の取り扱いが異なっています。
生命保険料控除の金額
新契約での控除金額は、支払った保険料が2万円以下の場合は全額控除されますが、2万円超4万円以下の場合は保険料の半分に1万円を足した金額となります。4万円超8万円以下の場合は保険料の4分の1に2万円を足した金額となります。8万円を超える場合は一律4万円の控除となります。よって控除金額の上限は4万円です。
旧契約の控除金額は、支払った保険料が2万5,000円以下の場合は全額控除されます。2万5,000円超5万円以下の場合は保険料の半分に1万2,500円を足した金額となります。5万円超10万円以下の場合は保険料の4分の1に2万5,000円を足した金額となります。10万円を超える場合は一律5万円の控除となります。よって上限は5万円です。
新契約、旧契約の両方に加入している場合は、旧契約の保険料が6万円を超える場合には旧契約の条件で控除されます。(上限5万円)
旧契約の保険料が6万円以下の場合は、新契約の条件で計算した金額と、旧契約の条件で計算した金額の光景金額が控除されます。(上限4万円)
様々な保険に加入しており、上記3種類の契約が混在している場合、全ての控除金額を合計した金額が控除されます。ただし上限は12万円となります。
寡婦(寡夫)控除
寡婦(寡夫)控除は、納税者自信が寡婦(寡夫)である場合に適用される控除です。控除条件の寡婦とは、年末時点で配偶者と死別、離婚した後結婚していない、または配偶者の生死が明らかではない人で、扶養家族もしくは生計が同じ子供(所得が38万円以下で他の人の配偶者や扶養になっていないこと)がいる人のことです。
上記条件に当てはまらない場合は、配偶者と死別した後結婚していない、または配偶者の生死が明らかではない人で、所得金額が500万円以下の場合も適用条件に当てはまります。
ただし寡婦の場合は、「特別の寡婦」という控除条件もあります。特別の寡婦とは、上記2つの条件のどちらも当てはまる人のことです。この条件は寡夫の条件ともなっています。
寡婦(寡夫)控除の金額は、27万円となります。特別の寡婦の場合は、控除金額は35万円となります。
社会保険料控除
社会保険控除は、納税者が自分や家族が負担するべき社会保険料を払った場合に適用される控除です。その社会保険料とは、健康保険や国民年金、厚生年金などの保険料など14項目が該当します。
控除の金額は、年間に支払った保険料の金額、または給与から引かれた金額の全額が控除対象となります。上限はありません。
給与所得控除
給与所得控除は、基礎控除と同じく無条件で適用される控除です。なぜこのような控除があるのかと言うと、給与所得控除は会社員の「経費」のためのものだからです。
個人事業主は自分で確定申告を行う際、「売上」とは別に「経費」を申告することで税金の金額が定められます。一方会社員は、年末調整で経費を計上することはできません。その経費を考慮するため、給与所得控除を行うことになっています。
給与所得控除の金額は、収入金額によって異なります。収入が180万円以下の場合は収入×40%(ただし65万円に満たない場合は65万円)、180万円超360万円以下は収入×30%+18万円、360万円超660万円以下は収入×20%+54万円、660万円超1千万円以下は収入×10%+120万円、1千万円以上は220万円となり、220万円が上限です。
税額控除の種類は?
ここまで、所得控除について種類別に詳しく解説してきました。今まで所得控除についてあまり気にしたことがなかった、という方も少なからずいらっしゃるでしょう。しかし、控除の条件などを理解しておくと、今後損をすることもなくなるでしょう。
それではここからは、税額控除について詳しく解説していきます。税額控除が適用される条件などを説明しますので、ぜひ参考にしてください。
税額控除は19種類ある
税額控除の種類は、実に19種類あります。一つ一つ解説しても余計に分かりづらくなるため、会社員で適用ができそうな税額控除をピックアップします。
「配当控除」は株式などの配当金がある場合に適用される控除です。「認定NPO法人等寄付金特別控除」は認定NPO法人に寄付をした場合に適用される控除です。「公益社団法人等寄付金特別控除」は公益社団法人などに寄付をした場合に適用される控除です。
「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除」は住宅を新築・取得、または増改築などを行った場合にそのローンに関わる金額を一定期間控除できるものです。「住宅耐震改修特別控除」は自宅などの家屋に耐震改修した場合に適用される控除です。
税額控除の意味
税額控除は、所得税を計算した後に引かれる控除と先ほど述べました。税額控除の金額はそれぞれの控除の種類によりますが、直接税金から引かれるため、大きな節税になります。税額控除は、国が認めた政策に関する内容がほとんどで、特に力を入れるべき政策について控除を進めているという意味があります。
扶養控除と配偶者控除の違い
所得税の控除で、扶養控除と配偶者控除という種類があります。とても間違えやすいですが、この2つは似ているようで違うものです。
扶養控除と配偶者控除は、どういった違いがあるのでしょうか?所得税の控除の種類で控除の内容について述べましたが、ここでは扶養控除と配偶者控除の違いについて解説します。
扶養控除の仕組み
前述していますが、扶養控除とは納税者に「配偶者以外の」所得税法上の控除対象となる、16歳以上の扶養家族がいる場合に適用される控除です。
配偶者には、配偶者控除が適用される場合があるため、扶養控除には含まれないことになります。たとえ配偶者が扶養家族に入っていても、この扶養控除の適用はできません。
配偶者控除の仕組み
そして配偶者控除は、納税者に控除対象となる配偶者がいる場合に適用できる控除となります。配偶者控除も扶養控除も、配偶者、扶養家族の所得が38万円以下(給与の場合は103万円以下)の場合という条件は同じになります。
ただし、配偶者の場合は所得がj上限の38万円を超えていても、配偶者特別控除の適用ができる場合があります。扶養家族よりも、配偶者の方が控除対象となる条件が広くなっています。
配偶者控除の上限
配偶者控除が適用される上限は、所得が38万円(給与は103万円)と説明しました。この条件が適用されるために、夫が会社員で妻がパートというご夫婦は、妻の年収を103万円までにおさえようという風潮がありました。
しかし、平成30年に上限が改正され、配偶者特別控除の条件である38万円超85万円以下(給与だと150万円以下)の所得の場合も、上限の38万円が控除されることになりました。ですので、103万円までにおさえていた収入は、150万円を上限として稼ぐ事ができるようになったのです。
所得税の計算方法
所得税の控除について、控除とはいったいどういうものなのか?や控除の種類について解説しました。所得税の控除は所得税の計算前に引かれるものと、計算後に引かれるものがあることを説明しました。
また、それぞれ控除にはたくさんの種類があることもわかりました。一般的に知られている控除もありますが、中には聞いたことがなかったという控除もあったことでしょう。
ここからは、実際の所得税の計算方法について解説していきます。様々な控除が適用できれば、所得税を節税することができるかもしれません。
所得税の計算式【所得課税×税率】
所得税の計算式は「課税所得×税率」となります。しかし、実際には所得税の控除がこの計算式に加わることになります。所得控除は所得税の計算前、すなわち税率がかけられる前に課税所得から差し引かれます。そして税額控除は計算後、すなわち税率がかけられた後の金額から差し引かれることになります。
課税所得の算出
計算式に出てくる「課税所得」とは、その名のとおり、税金が課せられる所得のことです。基本的に、会社員の基本給やその他手当ては課税対象です。ただし交通費は非課税となりますので注意してください。
その課税対象の収入から、会社員なら給与所得控除、個人事業主なら経費を引いたものが課税所得となります。そしてそこから所得控除を引いて、所得税の計算をします。
所得税額の算出
「課税対象の収入-給与所得控除-所得控除」で課税所得を算出したら、そこに所得税の税率をかけて所得税を計算します。この税率は、課税所得の金額により異なります。
例えば、課税所得が195万円以下の場合、税率は5%となります。しかし、195万円超330万円以下の場合は、税率が10%に上がりますがそこから9万7,500円引かれた金額が所得税となります。
同様に、330万円超695万円以下は税率が20%で42万7,500円が引かれます。695万円超900万円以下は税率が23%で63万6,000円が引かれます。
900万円超1,800万円以下は税率が33%で153万6,000円引かれ、1,800万円超4,000万円以下は税率が40%で279万6,000円引かれます。
そして課税所得が4,000万円を超えると、税率は45%で479万6,000円が引かれます。ここまでの税率が上限となっています。
このように、課税所得が高くなるにつれ税率も上がっていきますが、課税所得が195万円を超える場合はそこから一定の金額が引かれることになっています。
実際に納付する所得税額を算出する
導き出した課税所得に税率をかけて、さらに課税所得が195万円を超えていれば一定の金額を引いて所得税を計算します。そこからさらに税額控除が適用されれば、計算した所得税から税額控除を引くことになります。
ただし、令和19年(西暦2037年)までは「復興特別支援税」という所得税が課税されることになっています。ですので、実際には上記の計算で算出した所得税の金額に、この復興特別支援税と足した金額が所得税となります。
ふるさと納税は所得税の控除が適用できる?
今では当たり前となった「ふるさと納税」という納税の制度ですが、ふるさと納税は地方自治体に対して寄付をするという仕組みですので、所得控除の「寄付金控除」が適用できます。
ふるさと納税での控除の金額は、「(ふるさと納税の寄付金の額-2千円)×所得税の税率」となります。もし、ふるさと納税を行っているのであれば、所得税の控除が適用されますので忘れずに申請しましょう。
所得税の控除は種類別に理解する必要がある
いかがでしたでしょうか。所得税の控除について、様々な種類があることがおわかりいただけたでしょう。また、それぞれの控除の種類によって、適用される条件についても詳しく解説しました。
所得税の控除の種類を理解しておけば、年末調整や確定申告で漏れなく申請することができます。所得税の計算方法、控除金額や上限についても説明しましたので、ご自身でざっくり試算してみてください。
所得税には適用される控除の種類がたくさんあります。年末調整で済むものもあれば、ご自身で確定申告をする必要があるものもあります。控除の条件を満たしているものがあれば、ぜひ節税のために申請してください。