ましてやの意味とは?
「ましてや」は、単独では使えない言葉です。何かと比較することによって成り立つ言葉が「ましてや」です。前者と後者を比較して、後者を強調する意味合いで使います。絶対出来ないこと、しなければならない、大変であること、強調する意味の時に「ましてや」を使います。
「ましてや」は前後の文章をつなぐ時に使うので、接続詞と思われがちですが、実際には副詞に当たります。なぜなら、次に続く言葉に「ましてや」がかかり、修飾しているからです。「ましてや」の意味は、さらに、なおさらという意味です。
「ましてや」の意味の敬語表現はないですが、敬語に近いニュアンスで使うことは出来ます。その敬語表現での「ましてや」も後の章で例文を含め、紹介していきます。
ましてやの類語
次は、「ましてや」の類語について紹介します。「なおさら」「当然」「もちろん」が類語に当たります。より一層、余計、おまけに、一段と、という言葉も、近いニュアンスの言葉で類語に当たります。
「ましてや」の類語の「なおさら」の意味は、前にもまして、ますますといった意味です。「なおさら」も、副詞としての使い方をします。例えば、「大人でさえ辛いと感じるのに、子供ならなおさら辛い。」という使い方で、前者を強調する時に使います。
2つ目の類語に挙げた「当然」の意味は、当たり前という意味です。断定する時に使います。3つ目の「もちろん」の意味も、言うまででもないという意味で、「当然」と同じ意味の類語に当たります。
ましてやの使い方・例文
「ましてや」の意味を紹介してきましたが、実際に「ましてや」正しく使えるでしょうか?最近では言葉の簡素化が進み、「ましてや」は雑誌やコラム等の、文章でしか目にする機会がなくなってきています。
表現の幅を広げる意味でも「ましてや」は、是非使いたい言葉です。副詞に当たる言葉ですが、「ましてや」が使えると表現力が出て、気持ちの温度が伝わります。
では、「ましてや」は実際に、どのような場面で、どのような使い方をするのでしょうか?文章の中でしか意味が伝わらない、単独では使うことのできない「ましてや」。ここでは実際に「ましてや」の使い方を、例文4つを使って紹介していきます。
例文①
「ましてや」例文1つ目です。「マイホームが欲しいけど、マイホームを買う余裕はない。ましてや、新築なんて到底無理だ。」この場合、「ましてや」の意味は、言うまでもないという意味です。
「金額の安い中古物件でも難しいのに、もっと金額が張る新築なんて、到底自分には言うまでもなく無理である。」という意味です。絶対出来ないという意味で「ましてや」が使われています。
例文②
次は「ましてや」例文2つ目です。「学校に行っているあなたが知らないのだから、ましてやお母さんが知るはずがない。」この場合は、「当然」という意味で「ましてや」を使っています。
「学校に通っていても分からないのだから、学校に行ってないお母さんは、当然分からない。」という意味です。前の文章に対して、後の文章が強調して使われています。
例文③
「ましてや」例文の3つ目です。次は、良い意味での「ましてや」の使い方です。「妹は明るくてすごく可愛い。ましてや、お姉ちゃんはもっと明るくて可愛い。」この場合、「妹も明るくて可愛いが、お姉ちゃんはさらに一段と明るくて可愛い。」という意味です。
「ましてや」は、「より一層」という意味での使い方をしています。「より一層、余計に、一段」とという意味です。
例文④
次は「ましてや」例文4つ目です。ここでは、敬語のニュアンスを含め、紹介していきます。「ましてや」の敬語表現はないですが、敬語に近いニュアンスで伝えることは出来ます。敬語のニュアンスを含めた例文を紹介します。
「ましてや部長におかれましては、かなり難しい状況におかれています。対策としましては、次のようにされてはいかがでしょうか?」もう少し、控えめに伝えたい場合は、「ましてや」ではなく、「まして」だと控えめに伝わります。
ましてやと当然の違い
「ましてや」と類語に当たる「当然」の違いは何でしょうか?大きく違うのは、「ましてや」は単独では使うことが出来ないのに対して、「当然」は単独でも成立する言葉です。
「ましてや」は副詞でしか使えないのに対して、「当然」は副詞だけでなく、名詞・形容動詞としての使い方も出来ます。文章の中でなくても、使えるのが「当然」で、言葉の幅が多く、「ましてや」より、使いやすく、馴染みのある言葉です。
当然は当たり前という意味
「当然」とは、当たり前という意味です。道理にかなっていることです。「ましてや」よりも強く強調する時に使います。例えて言うなら、「当然、〇〇するべきだ。」「ましてや」は、当たり前というまでのニュアンスまではいきません。
「当然」は、当たり前という意味なので、副詞として使うときには注意が必要です。使い方によっては、上から目線にとられてしまうので、使う場面をしっかり選んで使いましょう。
ましてやを使う際の注意点
「ましてや」を実際に使う際の注意点について説明していきます。「ましてや」は何度も伝えているように、単独での使い方は出来ません。前者に対して、後者を強調する言い方をする際に使います。比較材料がないと「ましてや」は使うことが出来ないのです。
実際に間違った使い方の「ましてや」を、次で例をあげて説明していきます。意外に間違って使っている人が多いので、この機会に正しい使い方を勉強して下さい。
単独では使えない
「ましてや」という副詞は、何か比較材料がないと、単独での使い方は出来ません。では、実際どのように間違った使い方をされているのでしょうか?例を挙げて説明していきます。
「まだ人参が食べれないのか。ましてや君は大人なんだろ。」この「ましてや」の使い方は、間違っていますがよく目にします。この文章に比較材料はありません。「ましてや」を使うと、「君は大人」を強調する文章にならないとおかしいです。
「ましてや」をこの文章に正しく使うとすると、「子供の頃に人参が食べれなかった。ましてや大人になったからといって、食べれるわけがない。」です。微妙な違いですが、しっかりチェックして下さい。
ましてやの由来・歴史
「ましてや」の意味や類語・使い方や敬語表現について紹介してきましたが、次は「ましてや」が出来た由来や歴史について紹介していきます。由来や歴史を知ることによって、もっと「ましてや」が使いやすくなるので、是非チェックして下さい。
由来
ではまず、「ましてや」の言葉の由来です。「ましてや」は漢字で書くと「況してや」「増してや」となります。「さらに、なおのこと」の意味の副詞で、「まして」を強めた表現になります。「況して」「増して」の漢字の意味は、「さらに」という意味です。
歴史
では、「ましてや」という言葉は、どうして「まして」から「ましてや」になったのでしょうか?「まして」は「さらに、なおのこと」の意味です。そこに間投助詞の「や」がついて「ましてや」の言葉が出来ました。
この間投助詞の意味は、意味を強めるときに使う助詞で、高まった感情を伝えるのに適しています。シニア世代の人は、「ましてや」という言葉を会話で使うこともありますが、最近では、日常会話で見かけることは少なく、文書での言葉になりつつあります。
ましてやの英語表記
次は「ましてや」の英語についてみていきます。「ましてや」を英語にすると、「much more」「much less」が英語に当たります。この2つの英語の使い分けは、否定的な文章に使うときは「much less」の英語です。
否定的な文章なら、「not」「never」という英語が否定語として使われそうに感じますが、実際は「much less」の英語を使います。「much less」を使うことによって、文章自体がネガティブな文章に仕上がります。
逆に肯定的な意味で「ましてや」を英語で使うなら、「much more」という英語に当たります。「more」という英語が「もっと」という意味なので、「ましてや」のニュアンスに近いと言えます。
ましてやの漢字
「ましてや」の漢字を紹介します。「ましてや」の由来の時に少し紹介しましたが、「ましてや」を漢字にすると「況してや」「増してや」になります。「ましてや」の意味は、「前よりも増して」という意味なので、「増してや」の漢字の方がしっくり私たちには馴染みます。
ましてやはさらに・なおのことという意味
「ましてや」の意味や使い方等紹介してきましたが、近年では使う頻度が少なくなっています。そんな「ましてや」という言葉だからこそ、私たちが正しく伝えていけたら効果的な言葉です。
日本語は、同じようなニュアンスの言葉がたくさんあり、難しいのが現実です。その1つが「ましてや」です。断定したい時や、切実な気持ちが伝わりやすい言葉なので、コミュニケーションの1つとして、意味や正しい使い方を知って利用して下さい。