履くの意味とは?
「履く」の正しい意味をご存知ですか?普段の生活の中で「履く」は、「ズボンを履く」という使い方をする場合がありますが、そもそもこの使い方は正しいのでしょうか?「履く」について詳しく解説します。また、「履く」と「穿く」の違いについても紹介します。
履くの由来
「履く」の由来や、「履く」の「履」が意味するものを詳しく紹介します。「履」の漢字を知ることで、「履く」の正しい意味を理解することができるでしょう。更に「履」の漢字の意味を知ることで、「履く」と「穿く」との違いも見えてくるでしょう。
「履」は「靴」と同じ意味
まず、「履く」の由来を紹介します。「履く」の「履」は、音読みで「り」、訓読みで「はく、くつ、ふむ」と読むことができます。「履」は「はきもの」や「くつ」、「はきものをはく」、「ふむ」という意味を持った漢字です。
昔ははきものを「履」と書いて「くつ」と読むことが一般的でしたが、明治時代に西洋の文化に影響され、革靴が増えたことで、「履」から「靴」に変わったと言われています。
「靴」は、革が化ける書くことから、革靴を指していますが、今は革で出来ていない「くつ」でも「靴」と表記されることが一般的になりました。
「履く」の特徴
「履く」の由来が分かったところで、続いては「履く」の特徴について紹介します。「履く」の特徴を知ることで、「履く」の正しい使い方を理解することができるでしょう。今まで使っていた「履く」は、間違った使い方では無かったのか、確認してみましょう。
「履く」は足に身に付けるときに使う
「履く」は、足袋や靴下、靴などの足に身に付けるときに使える漢字です。「履く」の由来で紹介したように「履」は本来、「靴」を意味するので、足に身に付けるときに使うのが、「履く」の正しい使い方になります。「履く」の使い方は後ほど、「履く」の例文を使って詳しく紹介します。
「ズボンを履く」は間違った使い方
何度も解説しているように、「履く」は足に身に付ける際に使える漢字です。そのため、「ズボンを履く」や「スカートを履く」は、良く使われる使い方ですが、間違った使い方になります。
正しくは「ズボンを穿く」、「スカートを穿く」という使い方になります。このように「履く」と「穿く」の違いは分かりにくく、間違えた使い方をする場合が多くあります。「履く」と「穿く」の正しい使い方は、後ほど詳しく紹介します。
「履く」と「穿く」の違い
「履く」と「穿く」はどちらも「はく」と読みます。一般的に「履く」の漢字を使う方が多いですが、「履く」と「穿く」には明確な使い方の違いがあります。そこで、続いては「履く」と「穿く」の違いについて、詳しく解説していきます。
「穿く」の由来
「履く」と「穿く」の違いについて紹介する前に、「穿く」の由来について詳しく紹介します。「穿く」の「穿」は、音読みが「せん」で、訓読みが「うがつ、ほじる、はく、つらぬく」になっています。「穿」は「うがつ、ほる、穴をあける」という意味を持っています。
また、「はく」や「下半身に衣類を付ける」という意味もあります。意味から読み取れるように、「穿」は穴をあけるという意味を持っており、生地に穴を開けて体を通すことから、「穿く」という言葉の意味ができています。
つまり「穿く」は、腰から下の部分に足を通して衣類を身に付けるときに使う漢字になっています。「穿く」の類義語は、「着る」や「身に付ける」などがあります。
「穿く」の使い方
「穿く」の由来と詳しい意味が理解できたところで、「穿く」の使い方を紹介します。「穿く」の意味は紹介したように、足を通して身に付けるものに対して使える漢字であるため、「ズボンを穿く」や「タイツを穿く」、「袴を穿く」というような使い方ができます。
また、「履く」と「穿く」、どちらを使うのか悩みそうな「靴下」ですが、足先を守るものとしても捉えられ、加えて足を通して身に付けるものという捉え方もできるため、「靴下を穿く」、「靴下を履く」、どちらも正しい使い方と言えるでしょう。
「履く」と「穿く」の使い分け
「履く」と「穿く」の意味と由来が理解できたところで、「履く」と「穿く」の使い方の違いを明確にまとめて解説します。まず「履く」は、足先を守るために身に付けるものに対して使うため、「足袋」や「靴」、「ブーツ」、「下駄」などに使うことができます。
一方、「穿く」は、腰から下の部分を覆う衣類などを足を通して身に付けるものに使うため、「スカート」や「ズボン」、「タイツ」や「靴下」などに使うことができます。
「履く」と「穿く」は、足先を覆うものなのか、足全体を覆うものなのかで使い方が異なります。「履く」と「穿く」の意味の違いを理解し、正しく使い分けましょう。
「履く」と「穿く」は英語では違いがあるの?
日本語の場合、「履く」と「穿く」は、「足先を守るために身に付けるもの」と「足を通して身に付けるもの」のように明確な違いがあります。しかし英語の場合、日本語のような使い分けは存在しません。
「履く」、「穿く」を英語で表現すると、「put on」または「wear」になります。「ズボンを穿く」を英語で表現すると、「wear pants」となります。また、「靴を履く」を英語で表現すると、「put on shoes」または「wear shoses」となります。
このように英語の場合は、「put on」と「wear」で「履く」と「穿く」のどちらも表現できます。日本語から英語に訳すときは、何も意識しなくても良いですが、英語から日本語に訳す際は、「穿く」と「履く」、どちらを使うのが正しいのかを意識する必要があるでしょう。
「履く」の使い方
「履く」と「穿く」の違いや、それぞれの詳しい意味を理解できたところで、「履く」を実際に使った例文を紹介します。「履く」は、日常会話でよく使われる言葉なので、例文を参考に今までの「履く」の使い方が正しかったのか確認してみましょう。
例文①
「履く」を使った例文の一つ目は、「暑くなってきたので、靴ではなくサンダルを履いて出かけよう」です。「靴」も「サンダル」も足先を守るために身に付けるものであり、「履」には「靴」の意味が含まれているため、正しい「履く」の使い方になります。
「靴を履く」という言葉は、日常会話でもよく使われる言葉になっているため、誤って「穿く」を使わないように注意しましょう。
例文②
続いて2つ目の「履く」を使った例文は、「家の中で可愛いスリッパを履くことで、気分が上がり、家事などに対してやる気が出る」です。この例文のように、「スリッパ」も「靴」と同じく足先を守る役割があるため、「履く」を使うことができます。
「スリッパを履く」という表現は、よく説明会や学校の参観など土足厳禁な場所に入る前に、「スリッパにお履き替え下さい」という張り紙がされている場合があります。その張り紙を作る立場になる可能性も多いにあるため、「穿く」と間違えないように注意しましょう。
例文③
続いて紹介する3つ目の「履く」の例文は、「大雨で靴が濡れてしまったので、一度帰宅して、長靴に履き替えよう」です。「長靴」も「靴」なので、「履く」を使うのが正しいと言えます。
この例文の一か所を変えると、「大雨でズボンが濡れてしまったので、一度帰宅して、新しいズボンに穿き替えよう」となります。「靴」が「ズボン」に変わると、「履く」から、足を通して身に付ける衣類を表す「穿く」を使うことが正しくなります。
少しの違いで、「穿く」と「履く」のどちらを使うのかが変わるため、「はく」対象は何なのかに注意して、どちらを使うのかを判断しましょう。
例文④
続いて紹介する4つ目の「履く」を使った例文は、「明日は大切なサッカーの試合なので、新しいスパイクを履いて試合に出場しよう」です。「スパイク」などのスポーツで使う特殊な履物も、「靴」であるため、「履く」を使うことが正しいと言えます。
同じくスポーツで良く使用される「レッグウォーマー」などの「サポーター」は、「靴」ではなく、ふくらはぎなどを覆うものなので、「靴下」と同じ扱いになり、「履く」と「穿く」のどちらでも、使うことができます。
スポーツで使うものの中には、特殊なものも多く、「履く」と「穿く」、どちらを使うのが正しいのか、悩むこともありますが、「履く」は「足先を守るため」、「穿く」は「足を通して身に付けるもの」という定義に沿って使い分けることで、基本的には解決するでしょう。
「履く」は「足先を守るために身に付けるもの」という意味
「履く」の「履」は「靴」を意味する漢字であり、「履く」は足先を守るために身に付けるものに使われます。そのため、「ズボンを履く」は誤った使い方です。普段、何気なく使っている「履く」ですが、意味をしっかりと理解し、正しく「履く」を使えるように意識しましょう。