参与の意味とは?
「参与」の役職や肩書の位置、仕事内容をご存知でしょうか?「部長」などの役職名や肩書はどこの会社でもよく聞き、「部長」の役職としての位置や仕事内容は身近なものでよく知っているのではないでしょうか。
当記事では「参与」の組織内での位置や仕事内容を「部長」や「参与」とよく似た「参事」などと比較して「参与」の意味や組織での位置を解説します。
「参与」の特徴や、「参与」と「部長」の違い、「参与」の位置を会社員での「参与」と公務員での「参与」とそれぞれ分けて紹介します。他にも「参与」と呼ばれる「会計参与」や「明治政府の参与」を紹介します。
一般的な役職の「部長」や「課長」と「参与」の肩書や立ち位置を理解することができれば組織の指示命令系統がどうなっているのかを知ることができ、誰に指示を求めれば良いのかなどを把握することができます。
参与の特徴
「参与」の特徴は組織によって異なりますが、どの組織の「参与」にも共通する事柄は組織内では部下を持たない。ということが挙げられます。
「参与」とは特定の業務には就きますが、「部長」などの肩書の役職とは異なり部下の指導・育成や管理・監督業務に就くことはありません。
「参与」は一般的な役職とは違い自分自身の経歴や職歴で培った知識を用いて業務にあたる人に与えられる肩書となります。
これはどういうことか例を挙げていうと組織の中では実績や経歴、評価によって役職が一般社員・主任・係長・課長・部長・本部長・役員と順番に肩書と役職が上がっていきます。
「参与」はここ役職の序列には含まれない立ち位置に存在している肩書という意味になります。日本のよくある会社での「参与」は役職定年や定年退職後に会社へ残る人への役職名・肩書になることが多くあります。
もちろん組織によって役職定年・定年退職の人への処遇はそれぞれ異なりますが、経営者側である役員にはなれなかったか、に管理職として一定の業績を上げたか、もしくは役員から退任後にこれまでの知識を活かしたアドバイザー的な仕事が「参与」の特徴となります。
参与と部長の違い
「参与」が役職定年や定年退職後の人に与えられる役職・肩書であることは説明した通りです。それでは「参与」は「部長」とどちらが肩書の上では上に当たるのでしょうか?それは「状況による」というのが答えになりますので解説します。
部長の役職と仕事・意味
「部長」とは呼んで字の如くある部門の長という意味です。例えば営業部長であれば営業部のトップといえますし、経理部長であれば経理部門のトップだということです。
一般的な「部長」の仕事は部門の管理監督業務や部下の指導教育が挙げられます。もちろん会社によって異なりますが年齢的には40代から50代のベテラン社員が部長につく場合が多くなります。
部長としての役職で業績を上げたのちに本部長・役員と昇格して行きます。「部長」は経営者ではありませんが、現場のトップとして多くの権限を持つと同時に経営者層と現場の橋渡しをする位置に存在する役職です。
他にも自部門の方向性を決定し、業績に責任を持つなどの職責を担っており、課長などの役職者を通じてたくさんの部下を管理、掌握する義務を有しています。また管理監督者として同じ会社員でも一般の労働者とは処遇がまったく異なる存在が部長としての仕事といえます。
参与の役職と仕事・意味
「参与」は部下がいない役職・肩書だと説明しました。「参与」の仕事は部長やその他役職者へのサポート・アドバイザー的な職務や業務内容に就く場合が多くなります。
それこそ人によって十人十色、業務内容や期待される役割は異なりますが、「部長」の先輩として「部長」のサポートやアドバイスを求められることもあるかもしれませんし、「部長」不在時の業務代行と権限を委ねられている場合もあります。
参与と部長どちらが偉い?
「参与」と「部長」の肩書を並べた場合、職務と権限の大きさで言えば「部長」の方が役職・肩書が序列として上になります。
しかし、実際のところは「参与」の肩書・役職ついている人の方が社歴や年齢が上であることが多く、同じ部署で働いていたことがある場合は「部長」の元上司であったりします。
そんな場合は「参与」の肩書を持つ人のひとつ前の役職・肩書が何だったかを目安にすると真の序列が見えて来る場合があります。
ただし、一般的な接待の場などでは現在の序列を優先して席次を考えたり、決めたりする方が無難と言えます。
取締役からの参与
席次などでややこしい序列の「参与」ですが、基本的には上記で説明したように、管理職として退職後に与えられる役職・肩書となっていますので本来なら序列には含まれませんが、資格があるとみなされて「参与」として権限を付与されています。
現場管理職から「参与」になった場合は序列として「部長」の方が優先しますが、取締役として解任を受けたのちに「参与」として会社に留まる場合は少々勝手が違います。
というのにも理由があり、会社によって異なる場合がありますが、「参与」としてどこの部署に付いて「参与」に任命されているかが変わるとどちらが序列として上なのかが変わります。
外からはわかりにくいことですが、部署間での優劣がある場合などは役職と部署の優劣を総合して考えなければならない為、少し複雑です。
以前からの取引先であれば上司や先輩に確認すると間違いを防ぐことができます。単純に役職名だけで判断しきれないことが多くなっていますので気をつけるようにしましょう。それほど会社の役職と資格には複雑な意味があるということが窺い知ることができます。
参与になるには?
ここまで「部長」と「参与」違いを解説してきました。まとめると「部長」は管理職であり、「参与」は非管理職ながら職場では上位に位置する存在であるといえます。
役職上の肩書・偉さは「部長」の方が上位にあたりますが、「参与」になる前の役職・肩書を目安にすると真の序列が見えることがあります。
仕事内容を比べると「部長」は管理監督業務・指導育成が主な仕事となっており、「参与」はアドバイザー的な仕事を任されているといえます。そんな「参与」になる方法を紹介します。
参与になるにはまず一般社員から出世を重ねて最低でも部長相当の役職まで定年まで務める必要があります。
多くの場合は経営に関わる取締役相当の役職まで出世し、会社から能力を認められ、参与として役職を発令されて参与となることができますが、会社などによっては部長級のポストが埋まっているがそのポスト相当の能力があるので「参与」として辞令を発令することもあります。
要は定年や定年近くになっても実績や能力を認められ、年齢を重ねても会社から力を貸して欲しいと思われる実力がなければ「参与」にはなれないということです。
参与になれなくても
「参与」になれなくても定年を65歳未満に定めている会社は雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保する為、65歳までの定年の引上げ・65歳までの継続雇用制度の導入・定年の廃止のいずれかの措置を実施する義務が法律で定められています。
上級管理職として定年を迎えることができずに「参与」としての肩書が与えられなくても65歳まで本人が希望すれば継続して働き続けることができますので「参与」としての職に拘る必要はありません。
明治時代の参与
ここまでは現代における「参与」を解説してきましたが、参与の歴史は古く、明治時代から「参与」という役職が存在しました。明治政府が新設された折に設置された役職となり、三職と言われる総裁・議定・参与となります。
総裁は政府の機関の代表者に与えられる役職の意味を持ち、現在でも日本銀行総裁など役職名が残っています。議定は皇族や諸侯などが与えられた官職でそれぞれの管轄の議事を決する役職として設置されていました。参与は明治政府の議院を構成する人に与えられた役職となります。
有名な人物としては公家出身者としては岩倉具視や西園寺公望、諸侯としては大隈重信や木戸孝允など日本の国家の礎を築いた名士がたくさん「参与」として明治政府の政治を担ってきました。
会計参与
他にも参与という言葉が使われる場合があります。それは「会計参与」です。「会計参与」は会社法で定められた役職です。役割としては取締役と協力して決算書などの書類を作成する法人機関のことを指します。
基本的には特例有限会社以外の株式会社で「会計参与」の設置が任意で認められていますが、例外として取締役会を置きながら監査役を設けない株式会社は「会計参与」の設置が義務となっています。
「会計参与」は公認会計士・税理士・税理士法人であることが用件となり、「会計参与」となった会社に関連する会社の使用人や執行役との兼任は認められていません。「会計参与」はあくまでも第三者として公正な目で会社の会計をするという意味があります。
参与の位置
ここまで参与と同等とされることの多い「部長」との仕事の内容や肩書、「参与」のなり方を紹介しました。それでは会社と言う組織の中で「参与」がどのように位置付けられているのかを役職と資格の意味を交えて解説します。
役職と資格の意味
会社での肩書や役職における序列を説明する前に役職ともうひとつ序列に関わる「資格」について説明します。
役職とは会社における責任範囲、担当する仕事とをリンクされた役割の名前のことです。わかりやすく言えば社長は会社の長、部長は部の長と管轄する範囲の長だということがいえます。
それでは「資格」とは何をあらわすのかというとその仕事をする能力があるかないかという基準です。普段意識する事があまりないため、わかりづらくなってしまいますが、要は部長という役職に就くにはその資格が先になければ部長になることはできないということです。
会社によっては一定以上の役職になろうと思えば役職試験などがあり、先に試験に通り、資格があるとみなされたのちに役職者としての辞令を受けてはじめて役職である部長と名乗ることができるようになります。
さらにこれを掘り下げていくと役職と資格ではどちらに優先があるかということが気になりますが、これは資格に優先があります。
上にも説明した通りですが役職に就く前に役職にふさわしいと会社から認められる必要がありますので資格が役職よりも優先します。このことがわかった上で参与の組織での位置を紹介します。
会社組織での一般的な序列
社長・副社長ー専務ー常務ー本部長ー部長ー課長ー主任・一般となりますがここに資格である理事や参与・参事・主事をあてはめると下のようになります。
社長・副社長ー(理事)ー専務ー常務ー(参与)ー本部長ー部長ー(参事)ー課長=(主事)ー主任・一般の並びになります。
資格を括弧で囲いましたが括弧の両隣の役職がそれぞれの資格があると会社に認められていると考えればわかりやすいかもしれません。
繰り返しになりますが序列の中には参与は含まれませんが同等程度の権限や資格があると会社に認めれれている人だということが言えます。
会社の役職それぞれの職責
「参与」が序列に含まれない肩書であり、役職に相当する資格があると紹介したところで一般的な会社にある役職のそれぞれの職責や役割を社長・専務・常務・本部長・部長・課長・主任・一般とそれぞれ分けて解説します。
社長・副社長
社長は会社における最高権力者です。大抵は代表権を有する代表取締役が社長となります。社長は会社における全責任を負う義務があり、経営方針の決定から人事まで全てを握る孤独な役職です。
副社長は社長を補佐、代行する権限を付与されている場合が多く、取締役会の決議で選任される経営陣のポストとして社長に次ぐ役職です。
専務
専務は経営陣としての役職の一つです。社長の業務を補佐する役割があり、会社の管理業務全般を管理する役職となっています。社長・副社長に次ぐNo.3のポストとなり、社長・副社長不在時には職務を代行することもあります。
常務
常務は専務よりも管理業務が減る傾向にありますが、その代わりに自身に毎日こなすべき日常業務が与えられている場合が多くなっています。経営陣の役員としてはもっとも労働者に近い存在といえますが、会社方針の決定に意思表示をすることのできる立派な経営者ということができます。
本部長
本部長は規模が大きい会社に置かれることが多い役職です。本部長と名が付けられますが、部長とは資格が異なる場合がほとんどで、事業本部の最高責任者として位置付けられている場合が多くなります。
役員に数えられる場合もありますので経営者としては末席、現場としてはトップを担う役職となることがあります。
課長
課長は管理職の登竜門とも言える役職です。部の中の一部である課の責任を持ち、課内の人事考課や方針に権限を持つことができます。
課長まではプレイングマネージャーとして自身の仕事を持ちながら部下の育成・管理をしますが、課長職からは自身の仕事よりもいかに効果的な配置や教育をして業績を上げるかという管理能力が求められます。
主任
主任はマネジメント能力よりもチームリーダーとして部下の目標やお手本になる資質が求められる役職となっています。
上位役職になる為には避けて通れない道筋となっており、主任としての職責を果たせるか否かで組織の中で上昇していくか、このままチームリーダーとしての役割を任されるかがはっきりと分かれてしまいます。
個人として会社に貢献していくのか、チームをまとめるマネージャー・管理職として貢献していくのかを会社としても自身としても推し量ることのできる役職となります。
一般
一般は役職とは言えません。大部分は新入社員や事情があって昇級を望まない人となっています。しかし、職責がないとは言えません。会社員として上司の指示・命令を確実にこなしていく能力が求められます。
どんな役職に就く人も必ず最初は新入社員であったので出世を志す人はまず一般としての職務を確実にこなして行くことが求められます。逆にいうとこの時点でつまずくようでは困るという事です。
会社員の参与の意味と位置
「参与」の意味がわかったところで会社員としての「参与」の位置、肩書、仕事をまとめておきます。参与とは多くの場合は役職定年や定年退職後の人に与えられる肩書であり、管理する部下がいないと言うことが特徴です。
仕事としては経験や知識を活かした専門性の高い職務や現行の役職者の相談に応じたり、サポートをしたりと補助的な職務につくことが多くなっています。
「参与」になろうと思えばそれなりの高い役職者として勤め上げる必要があり、会社から定年後も能力が必要と認められ、「参与」としての辞令を受けなければなることはできません。
人事権などは部下がいない為、持っていないことがほとんどですが、業務に関しては「部長」と同じ程度の権限が「参与」に持たされている場合がありますが、人や状況によってまちまちです。
そんな場合は「参与」になる前の役職や現職の業務内容からある程度、「部長」より上としての「参与」なのか「部長」と同じ程度の権限がある「参与」なのかがわかります。
公務員の参与の意味と位置
公務員にももちろん役職と序列があります。公務員も国家公務員から地方公務員、さらに県・市と種類がたくさんあります。
しかし会社員の「参与」と異なるのは会社員の「参与」が多くの場合定年後の資格を表す名称の肩書であることとは別に公務員では現役の時から「参与」としての役職がある場合がありますので解説します。
国家公務員
国家公務員は外務省や財務省などの省庁に勤めている公務員のことを指します。国家公務員の役職は事務次官ー審議官ー官房長・局長・政策統括官・本部長ー部長・総括審議官ー次長・審議官ここまでが「参与」としての肩書を与えられる可能性のある上級役職と考えられます。
官房三課長ー課長・参事官ー室長・企画官・調査官ー上席専門官・課長補佐・専門官、主幹ー係長、主査、専門職ー主任ー係員の順に序列があります。
基本的にはこの序列に「参与」という役職はありません。国家公務員の場合は非常勤公務員で専門性の高い職務に就く人の役職を「参与」とすることが多く、「技術参与」や「顧問参与」などの役職名で呼ばれます。
地方公務員
一方、同じ公務員でも地方公務員の場合は国家公務員と異なり「参与」の役職が序列の中に含まれている場合があります。
自治体によっては「参与」があったり、なかったりします。しかしその場合でも「参与」は非常勤の国家公務員としての立場を与えられ、国家公務員と同じ様に権限は有するが、人事権などは持っていない場合が多くなっています。
会社員の「参与」と同じように一般的な役職の序列と参与の位置を並べます。部長・本部長・担当部長・局長(参与)ー次長・局長(参与)ー統括課長・課長(参事)ー課長補佐・主幹(副参事)ー統括係長・係長(副主幹)(主査)ー主任ー(主事)技師のような序列が一般的です。
参与と参事・主事の違い
「参与」が取締役や部長相当職の人が退任後になる役職・肩書だということが分かった上で「参与」と似ている「参事」と「主事」がどのくらいの役職に相当する資格かを解説します。
先にも上級から下級までの順に序列を並べましたが、括弧で括った役職名が序列には含まれず、資格があるとされる役職名です。改めて資格と役職を比較すると「参事」は総括課長・課長相当職が退官後任命される役職・肩書となります。
「主事」は主任相当職の人が退官後任命される役職・肩書の意味があるということがわかります。他にも「主幹」などがありますが、そのどれもが退官後に再雇用される場合に与えられる立場・役職という意味になります。
参与は定年後の役職・肩書という意味
「参与」は会社員の場合も公務員の場合も役職の序列には含まれない特殊な肩書です。一般的には会社には役職と資格の二つのカテゴリーがあり、資格は役職よりも優先されます。
資格がないと役職に就くことができないと考えても間違いではありません。「参与」は多くの場合、取締役や部長など上級管理職を経験した人が定年後も引き続き業務に就く場合に与えられる肩書となります。
「参与」に似た「参事」や「主幹」などの肩書も前の役職に応じた資格を組織に認められて、与えられた肩書となっています。国家公務員としての参与は政策のブレーンとしての業務を任され、非常勤の「参与」として任期付きの立場を与えられている場合があります。
しかし、多くの場合は定年後に就く仕事の資格によって「参与」に任命される場合がほとんどとなりますので「参与」は定年後の役職・肩書の意味と考えて間違いありません。