「致し方ない」の意味とは?
「致し方ない」という言葉の意味をご存知でしょうか。「致し方ない」の読み方は「いたしかたない」という読み方をします。今回は、「致しな方ない」の意味や類語、使い方について詳しく解説していきます。それぞれの意味をしっかりと確認して下さい。
そして、「致し方ない」と同じような言葉として「仕方ない」がありますが、この「仕方ない」と「致し方ない」との違いにはどんな意味の違いがあるのかについても解説していきます。
「致し方ない」が目上の方に使える意味の言葉なのかについても解説していくので、しっかりと把握しておきましょう。それでは、「致し方ない」の意味からご紹介していきます。
意味「仕事がない」「止むを得ない」
「致し方ない」の意味には「仕方がない」「止むを得ない」という意味があります。「致す」という謙譲語表現を使って、より丁寧にした言い回しでもあります。使い方としては「それなら、致し方ないですね」「その状況であれば致し方ないことです」という使い方をします。
「致し方ない」の意味として「事情や状況からみても、もう受け入れるしかない状況」の場合に使う言葉でもあります。本当は、避けたいか逃げたいことであっても、状況がそうできない状況の時に使う意味となるのです。
また、「致し方ない」は他に方法がない場合にも使う意味の言葉でもあります。止むを得ない状況や、心ではいいと思っていないことでも状況的にそうせざるを得ない状況に使う意味となるのです。
最後に「致し方ない」は改善を見込めない状況でも使うことができる言葉です。他に手段や打つ手がないどうしようもない状況に「致し方ない」を使う意味となります。
「致し方ない」の意味を理解できたところで「致し方ない」の由来についても迫っていきましょう。由来を知るとより「致し方ない」への理解を深めることができます。
「致し方ない」の由来
「致し方ない」は、江戸時代に使われていた侍言葉でもあります。「致し方ない」は、「仕方ない」「やむを得ない」の改まった使い方としての言葉になります。「致し方ない」の「致す」は「する」の言葉の謙譲語の意味である「致す」の連用形です。
ここから「仕方」の丁寧な言葉として「致し方」になったとされています。「致し方ない」の「方」には「方法」「手段」という意味があって「致す方法がみつからない」が由来となって「致し方ない」に発展していったとされているのです。
「致し方ない」状況の特徴
それでは、「致し方ない」状況とはどんな状況のことをいうのは具体的に解説していきます。「致し方ない」状況を知ることで、「致し方ない」を正しい使い方で使いこなすことができるでしょう。
「致し方ない」状況にはどんな特徴があるのか想像しながら読み進めてみて下さい。「致し方ない」状況の特徴とは?
「致し方ない」状況の特徴「諦める状況」
諦める状況の時に「致し方ない」を使う場合があります。何か物事をする場合、精一杯やり尽くしてこれ以上何も出来ない状況で諦める状況を表す言葉としての使い方があります。
例えば、経営が悪化してしまって、どうしようもなくなり諦める状況に使う使い方があります。「ここまで経営が悪化してしまった状況では致し方ない」という使い方で諦める気持ちを表しているのです。
「致し方ない」状況の特徴「妥協する状況」
実際は、これをしたいという希望や期待があったのにも関わらず、どうしても不可能だという理由から妥協する状況というのは生まれます。その時に「致し方ない」を使うことで妥協する気持ちを表す意味としての使い方があります。
この状況での使い方として「本当は、違うやり方をしたかったけれど致し方ない」という使い方をする状況でもあるのです。
「致し方ない」状況の特徴「改善の見込みがない状況」
「致し方ない」状況の特徴としてどうやってしても改善の見込みがないという意味になるのです。他のやり方も手段もなく、打つ手がない場合、改善の見込みがない状況になります。「なす術がない」という言い方がありますが、この状況に似た言葉に「致し方ない」という使い方になります。
「致し方ない」状況の特徴「避けること、逃れることが不可能な状況」
「致し方ない」状況には、事情や状況的に、受け入れるしかないことを意味して使う使い方があります。本当は、避けたいか逃げたいと思っていてもそれが不可能な状況での使い方になるのです。
例を挙げるとよく分かります。娘を嫁がせる場合に、本当は反対であっても嫁がせなければいけない事情があるとそうせざる終えない状況の場合に、「致し方ない」という使い方となります。
「致し方ない」状況の特徴「八方ふさがりな状況」
「致し方ない状況」として八方ふさがりで打つ手がない状況に使う使い方でもあります。「八方ふさがり」の意味には「方途がなく、活路が見出せない状況」を表す意味があります。
語源は、陰陽師のいずれの方角も悪く、どの方向にも進むことができない状況を意味する言葉です。こうした状況に対して「致し方ない」という使い方をします。
「致し方ない」状況の特徴「いい手がない状況」
何かいい手がなにか必至に探す状況があります。悪い状況を抜け出す方法を模索する状況や成功させるための方法を模索する場合があります。
その状況でいい手が見つからず時間がなくなってしまった状況の時に「致し方なく」手段や方法をうつことになります。この場合の手段や方法は、本来であればしたくなかった方法や手段でもある状況などに使われる言葉になるのです。
「致し方ない」状況の特徴「選択肢がない状況」
「致し方ない」状況の特徴として、選ぶ手段や方法が、自分や関係する人の納得する方法や手段があればいいでしょう。その方法や手段がたくさんあれば、選択肢はたくさんです。しかし、実際は選択肢がない状況はありません。
自分では気持ちが進まない手段や方法であったり、周りの人の文句が多いものの場合もあります。自分や周りを納得させるために手段が1つしかなかったことを伝える状況で「致し方ない」を使う状況になります。
「致し方ない」の類語
「致し方ない」の類語をご紹介していきます。そもそも「致し方ない」の類語とは「致し方ない」と同じ意味合いの言葉ということになります。
「致し方ない」の類語の意味と使い方について詳しく解説していきましょう。「致し方ない」の類語の意味や使い方を知ることで言い換え表現として使えるので、しっかりと理解して下さい。
類語「仕方ない」の意味と使い方
「致し方ない」の類語として「仕方ない」があります。「致し方ない」は「仕方ない」の丁寧な表現でもあり意味は同じになるのです。「仕方ない」の意味には「止むを得ない」「改善が見込めない」という意味になります。
使い方としては「その状況では仕方ないですね」「仕方ないので、今回は諦めましょう」という使い方になります。
類語「止むを得ない」の意味と使い方
「致し方ない」の類語として「止むを得ない」があります。「致し方ない」の類語「止むを得ない」の意味には「他に選択肢がない」という意味になります。「致し方ない」の類語「止むを得ない」の使い方例文として「雨が降ってきたので、中止は止むを得ないですね」という使い方になります。
類語「よんどころない」の意味と使い方
「致し方ない」の類語として「よんどころない」があります。「致し方ない」の類語「よんどころない」の意味には「よりすがるところがない」という意味になります。漢字で表記すると「拠所ない」という使い方になります。
「よんどころない」の使い方として「よんどころない事情があって欠席します」という使い方になります。他にどうすることもできないので欠席するという意味の使い方になるのです。
類語「余儀ない」の意味と使い方
「致し方ない」の類語として「余儀ない」があります。「致し方ない」の類語「余儀ない」の意味には、「そうせざるを得ない」「ほかになすべき方法がない」「意義がない」という意味の言葉になり、「辞任を余儀なくされる」「余儀ない事情で参加を見合わせます」という使い方をします。
類語「是非ない」の意味と使い方
「致し方ない」の類語として「是非ない」があります。「致し方ない」の類語「是非ない」の意味には「仕方ない」「止むを得ない」という意味になります。「致し方ない」の類語「是非ない」は現代ではあまり聞きなれない言葉でもあります。
「致し方ない」類語「是非ない」の語源について解説していきましょう。「是非ない」の語源は本能寺の変で織田信長が明智光秀に追い詰められた状況で使った言葉として「是非も無し」という言葉がでてくることが語源であると考えられています。
織田信長のおかれた状況からよし悪しを議論している場合でないという意味での解釈がされたのです。「致し方ない」の類語「是非ない」の使い方として「懇望されて是非なく役員を引く受けました」「是非なく御坪のうちへやぶ入り」という使い方があります。
類語「不可避」の意味と使い方
「致し方ない」の類語として「不可避」があります。「致し方ない」の類語「不可避」の意味には「避けられないもの」「回避できないこと」という意味があります。「致し方ない」の類語「不可避」の使い方として文字であったり、文章であったりに使う使い方になります。
会話ではあまり使いません。「致し方ない」の類語「不可避」の由来は「不可」と「避」の2つの漢字から構成されている言葉でもあります。「致し方ない」の類語「不可避」の「不可」には「○○できない」という意味があり、「避」には「回避」「避ける」という意味があるのです。
この2つの漢字が合わさって「不可避」という言葉になりました。使い方としては「今の状態で仕事への影響は不可避」「みんなから反感を買うのは不可避」「友人関係の悪化は不可避でしょう」という使い方になるのです。メールなどの文章での使い方になる言葉でもあります。
「致し方ない」の類語「不可避」はあまりいい意味で使う言葉ではありません。ネガティブな意味合いになるので、使うのであれば十分注意して使いたい言葉でもあります。使うのであればメールなどの文章に使う使い方をして下さい。
類語「不可抗」の意味と使い方
「致し方ない」の類語として「不可抗」があります。「致し方ない」の類語「不可抗」の意味には「人間の力ではどうにもさからうことができないこと」という意味があります。
読み方は「ふかこう」という読み方で、使い方は「不可抗な力につられて、自分の心が一歩踏み出すのを感じました」「不可抗な力が働く」という使い方があります。
類語「避けられない」の意味と使い方
「致し方ない」の類語「避けられない」の意味には「逃げられない」という意味があります。同士の「避ける」の未然形である「避け」に受け身・尊敬・自発、可能の助動詞「られる」の未然形と打ち消しの助動詞「ない」がついた意味の言葉です。
使い方としては「避けられない事態になりました」「ほぼ避けられない状況です」「避けられない仕事上のストレス」という使い方になります。
類語「逃げられない」の意味と使い方
「致し方ない」の類語として「逃げられない」のあります。「致し方ない」の類語「逃げられない」は、動詞「逃げる」に未然形である「逃げ」に受け身・尊敬・自発・果脳の助動詞「られる」の未然形と打ち消しの助動詞「ない」がついて言葉です。
「逃げれらない」の使い方としては「運命から逃げられません」「もう逃げられない」「逃げられない状況」という使い方ができます。
類語「必至」の意味と使い方
「致し方ない」の類語として「必至」があります。「致し方ない」の類語「必至」の読み方は「ひっし」という読み方で意味は「必ずそうなるそうなることが避けられない」という意味になります。
使い方としては「スタッフの業務遂行率が悪い状況が続くのであれば、スタッフ交代は必至です」という使い方になります。他には「必至の状況」「そうなることは必至だ」「混戦は必至」「売れきれ必至」という使い方になります。
「必至」と似たような言葉として「必死」がありますが、「必死」はその渦中で必ず死ぬことを覚悟するという意味となるのです。将棋用語の観点として「必死」を使います。
「仕方ない」との違い
「致し方ない」と同じような意味合いとして「仕方ない」があります。この「仕方ない」と「致し方ない」との違いにはどんな違いがあるのか微妙なニュアンスの違いについて解説していきます。
ちなみに「致し方ない」の意味には「止むを得ない」といった意味の言葉でもあります。「致し方ない」と「仕方ない」の違いについて解説していきましょう。
「仕方ない」の改まった言い方
「致し方ない」と「仕方ない」の違いについてご説明していきます。結論から先にいうと「致し方ない」は、「仕方ない」の改まった言い方の言葉になるので、意味は同じになります。
「仕方ない」の意味には「する手段・方法がない」「どうにもならない」「やむをえない」「たえがたい」という意味の言葉です。
例えば、不祥事などで経営陣がマスコミの前で陳謝する時に使う言葉として「致し方ない」を使い「仕方ない」は使いません。ここが「致し方ない」と「仕方ない」の違いになるのです。
「致し方ない」の使い方
それでは、「致し方ない」の使い方例文をいくつかご紹介していきましょう。「致し方ない」を使う状況はどんな状況で使う言葉であるのかチェックして下さい。それでは「致し方ない」の使い方例文①からご紹介していきます。ビジネスでも使う言葉でもあるのでしっかりチェックして下さい。
例文①
「致し方ない」の使い方例文①として「自分の努力ではどうしようもない状況」での使い方を例文でご紹介していきましょう。例えば、パソコンが壊れてしまった場合、自分で修理できることなら修理したいけれど自分では難しいという状況で使う使い方になります。
「パソコンが壊れてしまった、致し方ないので修理してもらいます」という使い方になります。他には「本の続きが読みたい状況」にも「致し方ない」を使う使い方例文があります。この例文として「本の続きが今でも読みたいのですが、新刊がでていないので致し方ない」という使い方があります。
本当であれば新刊を読んでその後のストーリーを知りたいという気持ちがある状況で、自分ではその後のストーリーを知る術がない状況の時に使う言葉になるのです。
例文②
「致し方ない」の使い方例文②として「自分に言い聞かせる状況」での「致し方ない」の使い方があります。例えば、テストの点数がよくなかった場合、がっかりとしてしまいそうな状況で、仕方ないなという意味合いでの使い方をして自分に言い聞かせる使い方があります。
「テストの点数が悪かったけれど、致し方ない」という使い方になります。自分の努力の末に残念な結果がでた状況を認める場合に「致し方ない」を使う使い方があるのです。
例文③
「致し方ない」の使い方例文③として「他人の努力を認めて励ます状況」での使い方があります。先ほどは自分の努力という使い方でもありましたが、「致し方ない」は他人の努力に対しても使える言葉でもあります。
使い方としては「○○君は、担当の案件を失敗してしまったが、頑張ったし致し方ない」という使い方ができるのです。
例文④
「致し方ない」の使い方例文④として「人の力ではどうしようなならない状況」での使い方があります。例えば地震や落雷といった自然現象は人間にはどうしようもできない力でもあります。
そうした状況に「致し方ない」を使う使い方で「落雷でサッカーの試合は致し方ないが中止になりました」という使い方になります。この状況での使い方として「諦めざるを得ない」「仕方ない」という意味合いでの使い方です。
他には「落雷で停電が起きました。致し方ない」という使い方もあります。この状況での使い方として「何もしようがない」「結果どうしようもできない」という状況での使い方になります。
「致し方ない」の注意点
「致し方ない」は、「致す」は「する」の謙譲語なので「致し方ない」は警護表現ではあります。敬語表現とは目上の方や話し相手にたいして敬意を示す意味の表現でもあります。しかし、「致し方ない」は目上の人に単体で使う使い方には注意が必要です。「致し方ない」の注意点をまとめていきます。
「致し方ない」単体では丁寧さが足りない
「致し方ない」を目上の方に対して「致し方ない」単体で使う使い方は丁寧さに欠けている印象があります。目上の方への「致し方ない」の使い方としては「致し方ありません」「致し方ございません」という使い方をする方が目上の方への使い方としていいでしょう。
「致す」は「する」の謙譲語です、自分が目上の方に対して、何かする状況で目上の方への敬意を示し、自分の行動を謙る場合に使う使い方になります。ですので「致す」は目上の方の動作への使い方としてはつかえません。
目上の方に対して「いかがいたしますか?」という使い方は、目上の方に使っても問題ありません。目上の方の動作に対しては「する」の尊敬度「なさる」と使うといいでしょう。
目上の方の動作に対して使う使い方として「どうなさいましたか?」という使い方を目上の方に使うのが正しい使い方になるのです。
自分に否がある場合は「無責任な印象」
「致し方ない」を使う状況をして自分に否がある状況で「致し方ない」を使うのは無責任な印象があるので注意が必要です。
ビジネスの場面で目上の方でなくても「○○なのですが、これは致し方ないことなんですよね」という使い方は目上の方でなくても失礼です。相手より先に「仕方ないですよね」というのは、無礼な表現になります。
「致し方ない」は「止むを得ない」という意味
「致し方ない」の意味や使い方についてご紹介してきました。「致し方ない」の意味には「止むを得ない」という意味があります。使い方としては「致し方ない状況」「中止は致し方ない」という使い方をします。
「致し方ない」の使い方として目上の方に「致し方ない」を使うのは丁寧さが足りない印象になってしまうので注意してましょう。目上の方への「致し方ない」を使う場合は「致し方ございません」「致し方ありません」という使い方をすると丁寧さがあるので、こちらの使い方を使っていきましょう。
また、「致し方ない」を使う状況として自分に否がある場合に「致し方ない」を使うのはあまりにも無責任になってしまうので、ご注意下さい。ビジネスマンとして「致し方ない」の正しい意味を理解して使いこなしていきましょう。