収束の意味とは?
「収束」という言葉の意味をご存知ですか?「グラフなどを見る際よく聞く言葉」「終わるという意味」「意味は曖昧」など、この言葉に対しての認識は様々です。
「収束」は、「収束」と読みます。確かに上記のようにグラフなどでも頻繁に目にする言葉でありますし、昨今の「ウイルス」対策でもこの言葉がテレビでよく使われています。
「収束」とは、「混乱や分裂していたものがまとまり、おさまりがつく」という意味です。このような意味と関連して、「収束」は数学分野と物理分野でも学術的な意味を有します。
数学分野として「収束」は、「ある関数値」または、「数列の項」または、「級数の途中までの和」が、「変数の変化に合わせて」「ある値に限りなく近づく」ことを意味する言葉です。物理分野として「収束」は、「多くの光線が1点に集まる」ことを意味します。
上記などの理由から「収束」は時事問題から、グラフなどのデータを図示する場面まで広く使われる事が理解できます。
意味が分かれば、「収束」の言葉を目にするたびに先々の展開が予想でき、話し言葉でも書き言葉でも、「収束」が使われているその文の内容を深く読解することができます。
今回はそんな「収束」について徹底紹介。「収束」の類語、使い方、終息との違い、注意点、由来・歴史、英語表記について順に紹介していき、「収束」を把握できるよう特集していきます。
収束の類義語
「収束」の特集は類語から始めていきます。では一体「収束」という言葉にはどんな類語が存在しているのでしょうか?
「収束」はその意味「混乱や分裂していたものがまとまり、おさまりがつく」から、時事問題としての一過性の言葉の流行ではなく、常に私たちの生活に密接に関わりを持っている言葉です。
私たちは常に「事態が悪化する事なく収まったままで、平和に生活すること」を望んでおり、それはビジネスシーンでも、自宅でも、公共施設でも、買い物先でも当てはまる事です。
そんな意味がある「収束」の類語を知ることは、「収束」の意味づけをより明確にするきっかけとなります。以下から「収束」の対義語・類語を紹介していきます。
一箇所に集まるという意味
早速「収束」の類語から紹介していきます。「輻輳」という語が上げられます。読み方は「ふくそう」です。類語「輻輳」は「方々から色々なものが一箇所にあつまること」を意味する言葉です。
類語「輻輳」は漢字の書き方が難しく、現代の日常生活ではあまり使用されることのない言葉です。また「収束」と意味が似ている類語ではありますが、物理的に一箇所に集まる事だけを意味し、「おさまる」という意味合いがない言葉です。ご参考までにご紹介いたします。
まとまる意味
「収束」の類語の2つ目は「収斂」が当てはまります。「収斂」は「収束」同様、「まとまること」という意味の他に、数学用語や物理学用語として「収束」と同義の意味を持つ言葉です。
類語「収斂」は「まとまる」という意味において、「収束」と同じ意味ではありますが、「収束」のような「おさまりがつく」というニュアンスはその言葉の中には含まれていないので注意が必要です。
また「収斂」は国会や政府答弁のシーン、地方自治体などの議会のシーンなどの、フォーマルな場面で使われることが多い言葉であるため、日常会話などでは使用するには「固い」イメージがあります。
秩序ある状態にする意味
「収束」の類語の3つ目は「収拾」が当てはまります。類語「収拾」は「混乱していた状態を秩序ある状態にすること」を意味します。
上記の意味では「収束」も「収拾」もほぼ同義として捉えることができます。ただ類語「収拾」にはその漢字表記の意味の通り「ひろいおさめる」という意味を持つ合わせている言葉なので、その使い方は一義的ではないのでご留意ください。
収束の使い方・例文
では私たちの暮らす、さまざまな出来事が目まぐるしく変化していく生活の中で、「収束」はどのように使うことができるのでしょうか?
「収束」は国民の代表者たる政治家ないし、国の中枢たる内閣における施策という大きな観点から、個人個人の日常生活にスポットを当てた観点まで、幅広く使う事ができる言葉です。
「収束」という言葉は日常生活において、上記のような汎用性がある語なので、今後もますます頻出してくる可能性があります。「収束」の例文を下記にケース別でご紹介しますので、その使い方をご参考いただければ幸いです。
例文①
「収束」の使い方の1つの例文として、会議などのビジネスシーンが上げられます。ミーティングなどで「収束」が使われています。
「これからは冬の時代になる。そんな時こそ、部のメンバー1人1人の意思を1つに収束させ、局面を打開していく必要がある」このような営業ミーティングで、社員のモチベーションを上げるシーンで「収束」という用語の使い方が想定できます。
例文②
「収束」の使い方の1つの例文として、政府答弁が上げられます。首相や官房長官などが会見するTV中継などで「収束」が使われています。
「事態を収束させるため、官民一体となって、その対策に全力を尽くす方針であります」このような見解を発表するシーンで「収束」という用語の使い方が想定できます。
例文③
「収束」の使い方の1つの例文として、自宅などのプライベートが上げられます。家族との雑談などで「収束」が使われています。
「ここ数週間が正念場らしいのだけれど、本当に収束していくのかね?」このようなTV中継や新聞やネット情報を視聴した上で「収束」を使うシーンが想定できます。
例文④
「収束」の使い方の1つの例文として、学術研究のシーンが上げられます。ミーティングなどで「これを機に」が使われています。
「このグラフから、1つ値に収束していくことが理解できると思います」数学や物理学の研究などで「収束」という用語の使い方が想定できます。
収束と終息の違い
次に「収束」と「終息」との違いについて紹介していきます。この「終息」は「収束」と非常に似た意味の有名な言葉です。この両者はその意味の類似と同音であるためか、混同されて使用されがちな言葉でもあります。
ではどんな違いがあるのかを、以下「収束」「終息」それぞれの意味をそれぞれ比較していきながら違いを説明していき、「終息」の使い方を見ていきます。
終息は終わる事の意味
「終息」は「終わる」事を意味する語です。対して「収束」は「混乱や分裂していたものがまとまり、おさまりがつく」を意味しています。
上記を比べてみると確かにどちらも結論として「終わる」ことには変わりありません。ただ「収束」はただ「終わる」だけではなく、「まとまって、おさまる」という結論をして「終わる」訳です。
このニュアンスを鑑みると「終息」は「過程がどうであれ、終わる」ことを指しており、比べて「収束」は「まとまって、おさまった過程を経て終わる」ことを指している言葉で、その「終わる」過程にも条件があります。
つまり、「収束」と「終息」は「終わることは同じではあるが、その終わるに至る過程」に違いがあることが理解できます。
収束を使う際の注意点
「収束」を使う上で気をつけなければならない点はどこにあるのでしょうか?先述で「収束」との違いを説明してきましたが、注意点はこの両者の意味の違いと関係していきます。
上記の点を踏まえて以下に「収束」を使う際の注意点をご紹介していきます。実用につながる大切な部分です。実際に「収束」を使う際、先述の「使い方」と合わせてご参考いただければ幸いです。
まとまって収まらなければ使えない
「収束」を使う上で注意すべきポイントは表題の通り「まとまっけ収まらなければ」使う事ができないことが大きなポイントです。先述した「違い」で「終息」は過程はどうであれ終わるという意味は先述しました。
「収束」は「終息」のように「周辺各地にまで、またたく間に拡散してやがて」という過程でも使える言葉ではありません。あくまで「まとまって、おさまる」というプロセスがその意味に含まれていることをご留意ください。
収束の由来・歴史
「収束」の意味、類義語、終息との違い、使い方がわかったところで、「収束」の由来は一体どこにあるのでしょうか?
「収束」は例文などでご紹介したように、ビジネスシーンを始め、日常生活の多くのシーンで使うことができる言葉です。そんな汎用性がある便利な語なので、我が国日本では古くから使用されてきた可能性があります。
上記を踏まえて「収束」の語源と「収束」が日本で使われていた使用時期を辿っていき、「収束」の由来と歴史を堀り下げていきます。
由来
まずは「収束」をそれぞれ「収」「束」に分けて、それぞれの語源を紐解いていき、「収束」の意味の由来を探っていきます。
まずは「収」。訓読みで「(おさ)める・(おさ)まる)」と読む事ができます。旧字は形声文字で。意符である旁「攴(ぼく=攵。強制するの意味)」と音符である偏「丩(読み方:キウからシウへ)」から成り立ちます。
上記の語源から「収」は「罪人をとらえる」という意味になり、そして現在では、「おさめる」「おさまる」「ちぢまる」という意味が派生して生まれました。
つぎは「束」。訓読みで「たば」と読む事ができます。象形文字で、物を袋の中に入れて、両はしをしばった形を象っています。その語源から「たば」「たばねる」「つなぎとめる」意味が生まれました。
つまり「収」「束」は「おさまって、つなぎとめる」という語源から、「分裂・混乱していたものをおさまってつなぎとまる」、転じて「おさまりがつく」という現在の意味として知られるようになりました。
歴史
上記の点を辿る資料として「斟酌」は過去の文献でも確認することができます。その1つ目は小説家の坂口安吾が1946年(昭和21年)、鎌倉書房「社会 創刊号」で発表した「餓鬼」に見られます。下記の一説を紹介します。
「朝鮮出兵の悔恨が、虚勢の裏側で暗い陰をひろげてゐる。その結末の収束と責任と暗い予感が虫のやうに食ひこんでゐた」今から70年以上の終戦直後に「収束」が使われていた事が確認できます。
「収束」の使用時期の由来を辿るその2つ目は小説家の松本清張が「新潮45」に1988年(昭和63年)から断続的に発表した「過ぎゆく日暦」という作品です。下記の一説を紹介します。
「しかし、悲しいかな、軍隊を除籍された磯部は部下の兵隊を持たないんです。もし彼に一中隊でもいたら、事件はあのような収束の仕方ではなく、違った方向へ走ったと思います」今から約30年前にも「収束」が使われているのがわかります。
収束の英語表記
「収束」は日本語だけでなく、英語でも表現する事ができます。「converge」という表現です。「to converge」で「一つに収束する」ことを意味しています。
「converge」という言葉自体は「数学用語」で使われるが多く、「a convergent series」であれば「収束級数」と訳することができます。
他に「収束」を表す語としては、シーンによって様々です。「settle=解決する」「tie=まとまる」などの言葉も「収束」に該当する言葉です。
例文と上げてみると「This issues was setteld.」であれば「この問題は収束した」または「That tie's up.」であれば「それは収束する」と訳すことができます。
収束に因んだあれこれ
「収束」という言葉は先述「使い方」で紹介したシーン以外でもゲームのタイトルやアルバムタイトル、ライントレードのシーンなどの日常生活で使われていることでも知られています。
ゲームアプリでは「とある魔術の禁書目録 幻想収束」で知られ、タイトルの一部で「収束」が使われていますし、洋楽アルバムでもそのタイトルに「収束」が使われています。
また、ライン(線)つかったトレード、ライントレードでも「収束三角形」という専門用語が使われています。「収束三角形」は「トライアングル」とも呼ばれ、株やFXなどの為替相場などのチャートでのパターンを意味しています。
このように「収束」はゲームから為替相場にいたるまで、様々シーンで使用されている言葉あることを理解する事ができます。
収束は「おさまりがつく」という意味
「収束」の意味、類語、使い方、終息との違い、注意点、由来・歴史、英語表記を順を追って見てきました。「収束」はその由来でも紹介したように「おさまって、つなぎとめる」ことを語源とし、「混乱、分裂していたものがまとまって、おさまりがつく」という意味があります。
「おさまりがつく」とことは、日常生活に一つの問題が解決する局面でもあり、多くの人に安堵感や達成感をもたらす大切な出来事です。「収束」という言葉を使う機会がより多く生まれ、本記事がより多く活用されれば幸いです。