フレーバーの意味とは?
食品やコーヒーなどに使われる「フレーバー」の意味や使い方をご存知でしょうか?「フレーバー」とは食品に使う「香料」や「香り」・「香味」の意味があります。
「フレーバー」そのものには味はありませんが、特定の香りを食品やコーヒーにつける役割があります。「フレーバー」の語源となった言葉や役割と意味を解説します。
「フレーバー」の歴史や語源となる職業である調香師の歴史を世界と日本に分けて解説します。また、食品に「フレーバー」がどのように使われているのかを目的や意味をそれぞれに分けて考察します。
日常生活で「フレーバー」がどのような商品に使われているのかを例文を挙げて「フレーバー」の使い方を紹介します。
フレーバーの語源
「フレーバー」の語源は英語にあります。英語で表記すると「flavor」となります。「フレーバー」は「香味」や「香り」・「風味」の意味があります。「フレーバー」は食品に香りをつける食品添加物としての使い方をします。
また、食品以外に香りをつける場合は「フレーバー」と言わずに「フレグランス」という言葉の使い方をします。
「フレグランス」を日本語で言う場合は「化粧香料」と言われます。「フレグランス」は化粧品以外にも香水や石鹸、消臭剤などに使う香料を指す意味となります。
フレーバー元々の意味と語源
「フレーバー」は英語で表記すると「flavor」となると紹介しました。「flavor」の語源はラテン語の「flator」という言葉が語源となり、ラテン語の「flator」には「匂い」や「風に吹かれるもの」という意味があります。
さらに語源を解説すると「flo」が「吹く」という意味を「tor」が「もの」という意味、「bhel」が「吹く」という意味の言葉を組み合わせて「flator」となっています。
ラテン語を語源とする言語は多数あり、英語やドイツ語は文法や語彙で大きな影響があり、イタリア語やスペイン語はラテン語から派生した言語となります。
調香師の歴史
薬剤師が薬を調合して薬効を引き出すように、香りの原料を組み合わせて求められる香料を作るのが調香師となります。
調香師は日本でも世界でも歴史が長く、世界で最初に調香師が登場したのはルネッサンス期といわれています。日本と世界の調香師の起源と歴史をそれぞれ解説します。
日本
日本で調香師の起源となったのはお香を作る人たちでした。お香は平安時代から貴族の間で使われ、現在の香水のように香りを身にまとう為にお香を焚いたり、魔除の意味でお香が使われていました。
お香のルーツはインドから中国を経て、仏教徒ともに日本へ伝来してきました。時代が進み能や華道・茶道などとともに香道として芸術文化として伝えられています。
香道はお線香のように直接火をつけて香りを焚くのではなく、香炉におこした炭を入れ、雲母という鉱物でできた板の上に香木をのせて香りを拡散させるのが香道での焚きかたの方法となります。
香道には多くの流派があり、今も現存しています。代表的な流派は御家流や志野流、米川流などがありますが、香道が発祥した室町時代から途切れることなく継承し続けているのは志野流のみとなっています。
江戸時代には貴族階級以外にも庶民の中にも広がり、誰もが良い香りのある生活や教養として香道は確立されました。明治期には危機を迎えましたが、現代のアロマなどの流行で香道が見直されています。
世界
世界ではじめて調香師という職業が出てきたのはルネッサンス期だといわれています。レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロなどの偉大な美術家が数多く産まれた時代に貴族などの庇護の元、調香師が活躍しました。
この頃、調香師が主に作ったのは香水となっており、後述する食品に使う香料を作るフレーバリストのような仕事ではなく、パフューマーとしての仕事が調香師の仕事の基礎となります。
香水が登場した当初は現在のように直接体に付けて楽しむ意味のものというより、皮革製品の匂いを消したり殺菌作用を狙った使い方が香水の主な利用方法となっていたそうです。
この調香に使われた化学式や器具類を用いて今でも有名な錬金術が発展してきました。錬金術で金などの貴金属を作ることはできませんでしたが、錬金術が化学の学問としての発展を助け、現在の化学薬品や「フレーバー」を調合する知識の礎となっています。
さらに現代では原子物理学の進歩により、理論上は貴金属を生成することが不可能ではないといわれています。このように考えると人間の香りに対する嗅覚や欲求が化学の世界を進展させたといっても過言ではないでしょう。
フレーバーの特徴
食品やコーヒーに添加する「フレーバー」には原料が2種類あるという特徴があります。ここでは「フレーバー」の原料の特徴を「合成香料」と「天然香料」に分けてそれぞれ解説します。
「フレーバー」の原料である「合成香料」と「天然香料」がどのような使い方をされているのかも併せて紹介します。
合成香料
「フレーバー」の原料のうち、香りの成分を人工的に化学物質から精製されたものを「合成香料」といいます。その名の通り人の手で化学的な手段で作られた為、「合成香料」名付けられています。
「合成香料」は精油などの天然物から、香りの成分を化学的な蒸留などの処理法で抽出された物となります。基礎的化学製品から精製したものが「全合成香料」となり、発酵など微生物を利用したものが「生合成香料」と分類されています。
「フレーバー」として使われている「合成香料」はほとんどが「全合成香料」となります。また食品に使われる「合成香料」は食品中に存在している物質と化学的に同じである物質を「ネイチャーアイデンティカルフレーバリング物質」といいます。
食品から見つかっていない物質を「アーティフィシャルフレーバリング物質」といいます。どちらの「合成香料」も医薬品と同じように厳しい品質管理の元、精製されています。
不思議な話ですが、自然界の食品から見つかっていない物質の香料だとしても現在の私たちが認識している食品の匂いに近づける為には「アーティフィシャルフレーバリング物質」が欠かせない存在となっています。
例えば業務用のわさびは多くの場合、安くで原料を仕入れることのできる西洋わさびが主原料となっていますが、香料や着色料を食品添加物として加えることで本わさびの色や香りを再現しています。
もちろんほかの食品類にも言えることとなりますが、本来の香りに近づける役割や嗜好性を向上させる為の役割を合成香料は担っています。
香料ができるまで
香料には様々な種類があり、食品メーカーや使う商品によって配合が変わります。そんな合成香料が食品に添加されるまでの流れを解説します。
また、香料を作る調香師の意味を食品の香料を作るフレーバリストと、化粧品などの食品以外に使われる香料を作るパフューマーとそれぞれに分けて解説します。
香料ができるまでの流れ
香料が必要な食品メーカーなどから香料のイメージを依頼されることから始まります。依頼内容を調香師が香料の処方を試験し、香料を実際に食品につけ、食べたり、使用したりして香料の評価をします。
その際には様々な種類の香料を試験し、イメージにあった香料ができれば納品となりますが、依頼元の評価次第では試験や調合の手順を繰り返すこともあります。
依頼元から採用の決定がされれば香料の量産ができるように香料を作っている工場へ当該の香料の処方を指示、作成がはじまり、品質の試験を通りはじめて食品などに添加されます。
フレーバリスト
フレーバリストは食品や食品加工物に添加する調香師のことです。食品をさらに美味しく食べることのできる香料を作成・製造するのが仕事となります。
香料製造会社だけでなく、食品メーカーやお菓子メーカーが会社自身で独自のフレーバーを作る為、直接フレーバリストの職を置いている場合があります。
香料は化学物質の組み合わせで作られる為、化学系や薬学系の学部で基礎となる知識を習得しておく必要がある職種といえます。
フレーバリストには国家資格はありませんが、調香技術士検定や臭気判定士などの民間資格があります。
パフューマー
フレーバリストが主に食品の香料を作成する仕事ですが、パフューマーは化粧品やシャンプーなど食品以外の商品に使われる香料を作る仕事を指します。
習得しておくべき知識はフレーバリストと変わりませんが、携わるものによってフレーバリスト・パフューマーと職種がわかれています。食品関連の香料がフレーバリスト、食品以外の香料がパフューマーと覚えておくと良いでしょう。
他にもパフューマーは香水の英語「perfume」の名前の通り香水製造業者を意味する言葉でもあります。他の職種に比べると求人枠があまりなく、希少な職種だということがいえます。
天然香料
「フレーバー」の原料のうち、香りの成分を動植物から抽出したり圧搾や酸素処理して得られる香料を「天然香料」となります。
古くは花や草や木、果物などの植物から抽出されているものが「天然香料」の原料となっていましたが、牛や豚・鶏肉などの動物を原料としたり、魚介類や甲殻類からも抽出し、食品の香りづけとしての使い方がされるようになってきています。
インスタント食品の製造過程で失われる食品の香りを補ったり、加えるために使われることが多くなっています。
食品に使われるフレーバーは安全?
「フレーバー」は食品添加物として食品をはじめ、コーヒーやフレーバーウォーターに香りを付ける意味として使われています。
「天然香料」はなんとなく自然由来で安心だという気がしますが、「合成香料」としての「フレーバー」の安全性を不安に思う人もいるかもしれません。ここでは食品に使われる「フレーバー」の安全性について解説します。
合成香料も安心
先ほども解説しましたが、「フレーバー」として使われている「合成香料」は「ネイチャーアイデンティカルフレーバリング物質」となり、食品中に存在している物質と同一です。
他にも「合成香料」には過度に添加すると食品の香りが台無しになってしまう為、多く入れることがほとんどありませんので色を保つ意味の添加物や発色を良くする意味の添加物と比較すると過剰添加されることはないといえます。
また、「フレーバー」として使われる香料は先にも紹介した通り医薬品と同じ品質管理の元作られていることと、安全性の厳しい試験をクリアし、安全性が担保された物だけが食品に使われていますので安全と言えます。
フレーバーの役割と意味
「フレーバー」は食品の香り付けの意味での使い方がされますが、「フレーバー」はただ食品に香りを付ける為だけに使うわけではありません。「フレーバー」の役割と意味を「マスキング」「捕香」「付香」の3つに分けて解説します。
役割と意味①マスキング
「フレーバー」の役割と意味①は「マスキング」です。「マスキング」はプロテインの大豆くささやホエイの香りを抑えるなど、食品の強すぎる匂いを抑えて食べやすくしたり、飲みやすくする為に使われる「フレーバー」の使い方となります。
他にも小麦粉の臭いや野菜の強すぎる香りを抑えて味と香りのバランスを整えて食品をおいしく食べる為の使い方をします。
また「マスキング」の語源は塗装用の養生テープなどと同じで「覆い隠すこと」や「包み込むこと」の意味を「フレーバー」の役割に当てはめたことが語源となっています。
役割と意味②補香
「フレーバー」の役割と意味②は「補香」です。「補香」は食品の製造過程で失われる食材の香りを補う使い方の役割を意味します。
レトルト食品や缶コーヒーなど加熱殺菌をするときに元々の食品、コーヒーの香りが減少したり、失ってしまうことがありますが、「フレーバー」を「補香」として使うことで本来持つ香りを補います。
役割と意味③付香
「フレーバー」の役割と意味③は「付香」です。「付香」は香りのない素材や食品に香りを付ける意味があります。
炭酸飲料や最近よく飲まれているフレーバーウォーターなどが「付香」の代表的なものとなっています。他にもかき氷のシロップや無果汁のジュース、ガムなどの嗜好品などが挙げられます。
フレーバーは嗜好品によく使われる
先に解説したように「フレーバー」は様々な役割をしています。通常の食品にももちろん香りをつけたり、増したりする為に使われていますが、もっとも使われているのはガムや炭酸飲料などの嗜好品にこそ「フレーバー」は使われています。
チューイングガムは「噛む」=「chew」と「ゴム」=「gum」が語源となっており元々は味がなく、樹液の塊を噛む習慣が様々な民族に広がった習慣が元となっています。徐々に甘味料が加えられ、嗜好性が高まっていき、香料を加えた味付きのガムが普及していきました。
このことからもわかるように本来は特定の民族の習慣であったものが大衆に受け入れられるように味と香りを付加した結果、定番の嗜好品としての商品となります。
現在ではガムに変わりタブレット菓子が人気となっていますが、タブレット菓子にもミントなどの「フレーバー」が漏れなく使われています。
他にも嗜好品として香料が使われている商品としては炭酸飲料やコーヒー・お菓子・タバコなどたくさんの商品に香料は使われています。
意識しているか・いないかを問わずに様々な商品に香料が使われ、現在の私たちは香料で香りが整えられた商品が当たり前の物と感じて消費生活を送っています。
試しにハーブとして生えているミントを齧ってみるといかに香料によって味や香りが調整されて自然なものとして私たちの生活の身近なものになっているのかということがよくわかるはずです。
フレーバーの使い方
ここでは「フレーバー」の使い方を例文を示しながら良く使われる使い方を紹介します。フレーバーコーヒーやフレーバーウォーターなどが挙げられます。多くの場合「フレーバー」には元々の食品や食べ物に違う香りを付けるという意味で使われます。
例文①
「フレーバー」の例文①は「フレーバーティー」です。「フレーバーティー」は紅茶や緑茶に花びらや香料で香味を付加したものを「フレーバーティー」といいます。
「フレーバーティー」の代表的なものとしてはアールグレイやジャスミンティー・アップルティーなどが有名となっています。
他にも最近ではカカオの皮を足した「チョコレートフレーバーティー」やスパイスの香りを足した「スパイスフレーバー」などの種類があります。
本来の味が変わることはありませんが、香りがつくことで味が変わらなくてもたくさんの楽しみ方をすることができるようになります。
例文②
「フレーバー」の例文②は「フレーバーウォーター」です。「フレーバーウォーター」は見た目には透明のミネラルウォーターと同じですが、「フレーバー」でフルーツなどの香りづけをしている飲料のことです。
ジュースと比較すると甘みが少なく、後味もすっきりとした特徴があります。「フレーバーウォーター」は熱中症対策などの給水を目的とした人に受け入れられ売り上げが右肩上がりで上昇しています。
商品としては桃の天然水やイロハス、南アルプスの天然水などがあり、色は水とほぼ変わらないのに「フレーバー」がついている不思議な飲料となっています。
自宅で「フレーバーウォーター」を自作することもでき、水にレモンやミント、グレープフルーツを入れることでフレーバーウォーターを作ることができます。
例文③
「フレーバー」の例文③は「フレーバーコーヒー」です。「フレーバーコーヒー」も「フレーバーティー」や「フレーバーウォーター」と同じようにチョコレートやバニラなどの香りをつけたコーヒーとなります。
ほとんどの「フレーバーコーヒー」はノンシュガーとなりカロリーはコーヒーと同じくカロリーがありません。豆から挽いて楽しむタイプから気軽に「フレーバーコーヒー」を飲むことができるインスタントタイプまでたくさんの種類が販売されています。
チョコレートメーカーで有名なゴディバからはチョコレートフレーバーのコーヒーが販売されており、甘い香りがするのに味はコーヒーだという不思議な魅力が「フレーバーコーヒー」にはあります。
例文④
「フレーバー」の例文④は「タバコフレーバー」です。「タバコフレーバー」はタバコの葉にバニラやメンソールなどの香りづけをしたものになります。
日本ではメンソールタバコが「タバコフレーバー」や「フレーバータバコ」の意味で使われますが、外国ではチョコレートやグレープ、コーヒーの香りをつけているタバコが多くあります。
タバコといえば紙で巻かれた紙タバコをイメージしますが、タバコの葉で巻いた葉巻タバコにも「フレーバー」がつけられたものもありますし、保管する時にウィスキーなどで自分で香りを付ける楽しみ方もできます。
しかし、タバコは体に害を及ぼしましますので吸い過ぎには注意し、子供の側では吸わないように気を配るようにしましょう。
フレーバーは食品につける香りという意味
「フレーバー」は「食品につける香り」の意味をします。化粧品などに香りをつける意味では「フレグランス」という言葉を使います。
「フレーバー」は英語の「flavor」が語源となっており、さらにその語源はラテン語の「flator」です。元々の意味は「匂い」などの意味がある言葉となります。
「フレーバー」には「合成香料」と「天然香料」の2つの原料で分けることができますが、どちらも食品添加物として厳しい基準と品質管理がなされ、高い安全性があります。
「フレーバー」の例文で挙げたように口にする物に香りづけとしての使い方が多く、食べ物は味とともに香りを楽しむ意味が「フレーバー」にはあります。