「怒涛」の意味とは?
「怒涛」という言葉の意味をご存知ですか?「読み方がわからない」「広告のセールでよく見る」「意味も読み方もわからない」など、その意味までは詳しく知らないケースが多いです。
「怒涛」は、「どとう」と読みます。確かに上記のように折り込みチラシ広告などで頻繁に目にする言葉で、「激しさ」を感じさせるニュアンスを持っています。
「怒涛」とは、「荒れ狂う大波」「勢いがものすごい」という意味です。このような意味なので日常生活の折々でよく目にすることが肯けます。
意味が分かれば、「怒涛」の言葉を目にするたびにその広告や内容の強弱が把握でき、その真意をより深く読解することができます。
今回はそんな「怒涛」について徹底紹介。「怒涛」の対義語と類語、使い方、怒濤との違い、注意点、由来・歴史、英語表記、漢字表記について順に紹介していき、「怒涛」をマスターできるよう特集していきます。
「怒涛」の類義語
まずは「怒涛」の類語から。一体「怒涛」という言葉にはどんな対義語・類語が存在しているのでしょうか?「怒涛」の類語を知ることは、「怒涛」の意味づけをより明確にするきっかけとなります。早速以下から「怒涛」の類語を紹介していきます。
「激しくつきあたる」意味
早速「怒涛」の類語です。類語は「衝撃」が当てはまります。類語「衝撃」は「激しく突き当たる」ことを意味します。現在でも「衝撃特価」という言葉でも頻繁に使われている語です。
ただ、類語「衝撃」は上記の意味のように心の動きも激しい動きによって、揺さぶる意味もありますので、全くイコールとして使うことはできません。
「怒涛」の使い方・例文
では「怒涛」は実生活でどのように使うことができるのでしょうか?私たちの暮らす生活は、目に見えている広告物、ビジネスシーンなど、さまざまな出来事が目まぐるしく変化しています。 上記を踏まえて「怒涛」の例文を下記にケース別でご紹介しますので、その使い方をご参考いただければ幸いです。
例文①
「怒涛」の使い方の1つの例文として、会議などのビジネスシーンが上げられます。ミーティングなどで「怒涛」が使われています。
「怒涛の第一四半期が終わりました。第二四半期もこの勢いを維持させられるようにチーム一丸となって邁進しましょう」このような営業ミーティングで「怒涛」という用語の使い方が想定できます。
例文②
「怒涛」の使い方の1つの例文として、広告などセールのが上げられます。チラシやWEB広告などで「怒涛」が使われています。
「怒涛の3日間連続セール。この機会をお見逃しなく。」このようなチラシやWEBなどの広告で「怒涛」という用語の使い方が想定できます。
例文③
「怒涛」の使い方の1つの例文として、PCやモバイルを端末としたゲームが上げられます。ガチャなどのアイテムやカードを購入するシステムなどで「怒涛」が使われています。
「怒涛の100連ガチャ。激レアアイテム出現率大幅UP」このようなソーシャルゲームなどで「怒涛」という用語の使い方が想定できます。
例文④
「怒涛」の使い方の1つの例文として、プライベートシーンが上げられます。家族との雑談などで「怒涛」が使われています。
「この1ヶ月は本当に大変だったな。引越しに確定申告に、通常業務に家族との法事など怒涛の日々だったよ」このような何気ない自宅でのシーンで「怒涛」という用語の使い方が想定できます。
「怒涛」と「怒濤」の違い
次に「怒涛」と「怒濤」との違いについて紹介していきます。この「怒濤」は「怒涛」に非常に似た意味の有名な言葉です。
では両者にどんな違いがあるのかを、以下「怒涛」「怒濤」それぞれの意味をそれぞれ比較していきながら違いを説明していき検証していきます。
「怒濤」は「第二水準のJIS漢字」という意味
文字には第1水準と第2水準とがあり、第1水準が正しい字体としてJISに認定されています。第1水準は「法令、公用文書、新聞、雑誌および一般社会で広く使用される漢字」を指しています。
1978年の時点で、JIS漢字として「怒濤」は第1水準、「怒涛」は第2水準に振り分けられていました。しかしJISは1983年、「怒涛」を第1水準、「怒濤」を第2水準に入れ替えた経緯があります。
つまり、意味は同じで元来の「荒れ狂う大波」と「勢いがものすごい」という形容でありますが、漢字の使用の優先順位として「怒涛」が第1水準に位置することをご留意ください。
「怒涛」を使う際の注意点
いろいろなシーンの形容で「怒涛」を使われていることがわかりましたが、「怒涛」を使う上で気をつけなければならない点は一体どこにあるのでしょうか?
「怒涛」を使う際の注意点をご紹介していきます。実用につながる大切な部分なので、実際に「怒涛」を使う際、先述の「使い方」と合わせて参考にしていただければ幸いです。
「緩やかな形容」では使えない
「怒涛」を使う上で注意すべきポイントはなんでしょうか?それは「緩やかな形容」では使う事ができないことが大きな注意点になります。
「怒涛」は「荒れ狂う大波」「勢いが物凄い」意味から「波のように激しい」シーンを想定して使用する言葉です。「緩やかな回復基調にある」「緩やかな右肩上がり」など「激しくない」シーンを形容する場合は、「怒涛」は使う事ができないのでご留意ください。
「怒涛」の由来・歴史
「怒涛」の意味、類義語、「怒濤」との違い、使い方がわかったところで、「怒涛」の由来はどこにあるのでしょうか?「怒涛」の語源と「怒涛」が日本で使われていた使用時期を辿っていき、「怒涛」の由来と歴史を遡っていきます。
由来
まずは「怒涛」をそれぞれ「怒」「涛」に分けて、それぞれの語源を紐解いていき、「怒涛」の意味の由来を探っていきます。
まずは「怒」。訓読みで「(いか)る・(おこ)る)」と読む事ができます。会意形声文字で、「心臓」の象形である「心」と「手を重ねひざまづく女性の」象形である「奴」から成り立っています。上記を経緯として、「怒」は「感情に力を込める」ことから「いかる」「おこる」という意味が生まれました。
そして「涛」ですが、この漢字は簡体字、で元は「違い」で先述した「濤」。訓読みで「なみ」と読む事ができます。
「濤」は会意形声文字で「水」を意味すると偏と音符「壽(「耂(老人)」+音符「𠃬・𠷎」)」の旁から成り立ち、「𠃬」は長く続くあぜ道を意味しています。
上記を経緯として、「老人が長く生きること」を語源としており、転じて「あぜ道のようにうねうねと長く続く波」という意味が生まれました。
つまり「怒濤」は「怒」と「濤」が合わさり、「荒れ狂う大波」という意味と「勢いなどがものすごい」という形容の意味が生まれました。
歴史
「怒涛」の使用時期の由来を辿る文献としては小説家の国枝史郎が新聞「時事日報」に1934年(昭和9年)に発表した「あさひの鎧」という作品があります。下記の一説を紹介します。
「その混乱の人馬の渦に、自分も巻かれておりながら、そうして押しやられ突きやられ、怒涛の中の小舟のように、めちゃめちゃに揉まれておりながら、彼は何んにも出来なかった」となります。今から約80年前には「怒涛」が使われているのがわかります。
「怒涛」の英語表記
「怒涛」は日本語だけでなく、英語でも表現する事ができます。「chaotic」「crazy」「hectic」という表現です。直訳するとそれぞれ「混沌とした」「多忙の」「狂った」となりますが、英語構文として表現する場合は下記になります。
「先週は怒涛の1週間でした」は「It was a chaotic week last week.」もしくは「I had such a crazy week last week.」
「先週は怒涛の1週間で、寝る時間もなかった」は「Last week was so hectic I barely had time to sleep.」このように「怒涛」は日本語同様、英語でも形容詞として、受ける語を強める働きをしています。
「怒涛」に因んだあれこれ
「怒涛」は「荒れ狂う大波」「勢いがものすごい」というその意味合いで、「激しさ」をイメージする語です。そのため上記で紹介した以外でもさまざまなシーンで使われています。
例えば、歌謡曲。「花と怒涛」「怒涛の男」昭和の歌謡を彩った歌のタイトルや歌詞に「怒涛」という言葉が使われています。
また、2008年に「怒涛の剣」というスロット機種がリリースされました。また、「怒涛」という植物が発売されていたりと、「怒涛」は形容表現以外でもタイトルや商品名の中でも活躍している言葉です。
「怒涛」は「勢いがものすごい」という意味
「怒涛」の意味、類語、使い方、怒濤との違い、注意点、由来・歴史、英語表記を順を追って見てきました。「怒濤」は元来の「荒れ狂う大波」の意味から「勢いがものすごい」という形容を意味している語です。
日常の出来事の中で、自分自身の多忙さを形容する働きのみならず、広告などで「怒涛」を垣間見た場合は「怒涛」の本来の意味である「激しい勢い」という言葉ニュアンスを留意して注目いただければ幸いです。