失業保険・課税対象にはならない
失業保険(正式名称は雇用保険)で給付されたお金は、毎年2月から3月に税務署で行われる確定申告が必要になるのか気になるところであります。しかし、失業保険は、私たち労働者が働いている時に支払っている、社会保険の一つ、雇用保険料から出るので、再就職が決まるまでの最低限の生活保障費ということであるので、課税対象にはなりません。
確定申告は不要
先ほどあげたように、失業保険は、私たち労働者が働いている時に支払っている雇用保険料から給付されますので、いわゆる、国からの給付金であるので課税対象にはならず、原則確定申告は必要ありません。
そして、失業保険の給付金は、所得とは見なされないので、所得税だけでなく、国民健康保険や住民税の所得割の対象にならないので、自治体の担当部署への申告も原則必要ありません。
失業保険だけでなく、社会保険の健康保険から出る傷病手当金も、健康保険から出るお金であるので課税対象にはならず、確定申告も原則必要ありません。
失業保険・確定申告が必要な場合
最初の解説で、失業保険は国からの給付金であるので課税対象にはならないことは分かりましたが、失業保険を給付中に確定申告をしないといけない場合が出てくることがあります。どのような場合に確定申告をしないといけないのか、大事なポイントの3つをあげていきましょう。
①年内に再就職出来ない
年内に再就職ができた場合、税務署への確定申告は不要で、代わりに勤務先で年末調整という形で勤務先がしてくれますが、もし、年内に再就職ができなかった場合、確定申告が必要になってきます。
前の職場から頂いた源泉徴収票は年内に再就職した場合も、再就職できなかった場合も、年末調整あるいは確定申告をするためには必要であるので無くさないように大事に保管しましょう。
②失業後に自分で社会保険料を支払った
失業保険を給付中に、社会保険の一部の国民健康保険や任意継続保険や国民年金を含めた社会保険料を支払った時は、確定申告が必要になってきます。失業中も社会保険料は支払わないといけませんし、支払った分、確定申告をすれば、場合によっては還付金がもらえます。
社会保険料は、国民健康保険や国民年金保険料も含まれるので、全額控除の対象になりますので、忘れずに領収書あるいは納付証明書を添付して確定申告をしましょう。また、民間の生命保険料などを支払った場合も、保険控除証明書を忘れずに添付しましょう。
また、セルフメディケーション対象の市販薬を年間1万円以上購入した場合や病院に行った時、年間で10万円以上あるいは年収200万円以下の方はその5%以上の医療費がかかった場合も確定申告をすると、還付金がもらえる場合がありますので、病院の領収書や薬局のレシートは大事に保管しておきましょう。
③アルバイト等で20万円以上の収入を得た
失業保険を給付中にアルバイトや手伝いなどをして給料を得た場合、ハローワークに申告するとともに、年間で20万円以上の収入があった場合、確定申告が必要となります。失業保険を給付中でなくても、本業の他にアルバイト等で20万以上の収入があった場合も確定申告をしなくてはいけません。
ハローワークに申告しないと、失業保険の受給の打ち切りとともに、失業保険の受給額を最大二倍分の金額をハローワークへ返還しないといけなくなり、内容によっては詐欺罪で訴えられることもあります。
税務署の確定申告に限らず正しく失業保険を受給するためにも、アルバイトや手伝いなどをした場合は正しく申告を行いましょう。アルバイトや手伝いなどをした場合は、申告書の書き方も職員が教えてくれますので、正しく書いて申告をしましょう。
失業保険・確定申告の手順
失業保険をもらっている時に確定申告が必要になった場合はどのような手続きをすればいいのしょうか。失業保険の給付金額が必要なのか、提出書類や書類の書き方などの他にも、確定申告の結果、納税が必要になった場合や、還付金が出た場合などの手続きはどのようなことをしたらいいのかなどを解説していきましょう。
①提出書類の準備
まずは、確定申告に必要な提出書類の準備をしましょう。確定申告書はAタイプとBタイプと2種類ありますが、サラリーマンなど雇われでの仕事の方はAタイプとなります。前年度までに収入があった場合は、源泉徴収票や給料明細など、収入を証明できるものを準備します。
さらに、必要に応じて、生命保険料の払い込み証明書や、社会保険料の領収書や、病院の領収書やセルフメディケーション対象薬を購入した際のレシートなどを添付します。
②確定申告書を作成
確定申告書の作成は、自宅で書いて郵送で税務署に送ることができますが、不安な方は、提出書類を持って税務署に出向いて作成した方がいいでしょう。申告書の書き方が分からない人は、職員に聞けば親切に丁寧に教えてもらうことができます。
書き方に関しては、現在は電子化されているので、パソコンでの入力に戸惑うことが多いかと思いますが、これも税務署の職員が丁寧に教えてくれますので、指示されたとおりに入力すればOKです。
また、手書きでの書き方も、今は電子化されている関係で、数字の書き方が決められていることが多く、最初は戸惑うことがありますが、正しく丁寧に書いていれば大丈夫です。
③納税・還付
確定申告書の書き方を参考にしながら無事に確定申告を終われば、その場でどのくらい税金が還付されるか追加負担があるか分かりますが、還付される場合、だいたい3週間から1か月後に指定の口座に振り込まれます。
追加負担があった場合、納税という形で税務署に支払うことになりますが、窓口で支払う以外にも、e-taxを使った方法や、口座引き落としやクレジットカードやコンビニで支払うことができるので、必要に応じて期日までに納税しましょう。
失業保険・確定申告の書き方
失業保険を給付された場合、再就職が年内にできなかった場合は確定申告をしなければいけませんが、確定申告の仕方はどのようなことをするのか、確定申告書の書き方はどうしたらいいのか気になることでしょう。失業保険を給付された場合の確定申告書の書き方や、手続きの仕方など、重要な所を解説していきましょう。
確定申告書Aを使用
失業保険を給付されている場合、確定申告書Aを用意します。必要に応じて、社会保険料の領収書などを添付します。
この場合は、税務署に直接出向いて確定申告をすれば、分かりにくいことも質問できますし、たいていの場合は失業保険の給付額を書くのは不要ですが心配なら職員に聞いた方が安心できます。
また、アルバイト等をした場合もきちんと金額を記入しましょう。納付額が出る場合がありますが、これを怠ると、後日、追徴課税でとんでもない金額の納付をしなければならない場合がありますので、正しく申告しましょう。
失業保険・確定申告のメリット
失業保険を給付している状態で確定申告をした場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。国民の三大義務の一つ、納税の義務がありますが、失業保険をもらっていないにもかかわらず正しく納税しないといけません。このような場合のメリットはどのようなものか解説していきましょう。
還付金を受けられる可能性が高い
失業保険を給付している時に確定申告をするメリットと言えば、やはり、還付金が受けられる可能性があることでしょう。失業保険の給付金は、いわば収入にはならないので、その分還付金が受けることが可能になります。
そして、生命保険料や社会保険料や医療費も控除の対象になるので、もしそれらのお金を支払っていた場合、還付金の金額が増える可能性もあります。そうでなくとも、追徴課税のことを考えて、正しく申告しましょう。
マイナンバー制度導入後の失業保険・確定申告
2016年1月から、マイナンバー制度が導入されました。マイナンバーの正式名称は個人番号であります。マイナンバーは個人の他に企業にもマイナンバーが義務付けられ、そのことから、税金はごまかすことができなくなりました。
その代わり、写真付きのICカードを発行してもらうと、身分証明書の代わりになるだけでなく、自宅等で確定申告書を作成の際、専用のカードリーダーを使うと、税務署に直接出向かずにネット回線を通じて確定申告ができるようになりました。
失業保険の給付金は課税対象にはなりませんが、初めての場合はやはり税務署に直接出向いた方が安心できます。その際は、マイナンバーカードを持参するとよりスピーディーに手続きが進みます。
失業保険の確定申告は条件によって必要になる
失業保険を給付している状況での確定申告は、ケースバイケースということになります。現在はマイナンバーが導入され、金額をごまかすことができなくなりました。
年内に再就職ができなかったり、社会保険料や生命保険料などを支払ったり、アルバイト等での収入があった場合も確定申告が必要となります。失業保険を含め、税金は生活するためには必要なものであることを頭に入れて正しく申告しましょう。