「問題ない」の敬語表現を覚えよう!
「問題ない」との意思を相手に知らせることはビジネスシーンでよくある光景となりますが、正しい敬語表現を使いこなせていますか?「問題ない」を関係の距離によって正しい敬語に言い換える表現や使い方を例文で示しながら解説します。
近い間柄の上司や同僚への「問題ない」の敬語表現や目上の人やメールで表現するのにふさわしい敬語での言い換えを紹介します。具体的に「問題ない」を言い換えた敬語表現と敬語表現を使った例文をそれぞれ解説しますので押さえておきましょう。
また敬語として「問題ない」を言い換えた時の注意点や言葉の使い方と「問題ない」の英語での敬語表現まで解説しますのでポイントを踏まえてビジネスシーンで活かせるようにしましょう!
「問題ない」の敬語表現
「問題ない」をビジネスシーンで使う場合は相手との関係性によって敬語表現を使い分けることが大切なことです。ここでは「問題ない」を相手によっての使い分けと敬語表現としての正しい「問題ない」の使い方を解説します。
単に目上というくくりで丁寧すぎる表現を使うとスムースなコミュニケーションを取ることができませんので、相手との関係の遠近を意識した言葉の使い方を選ぶことが重要です。
それぞれ近い間柄の上司・同僚・社外の人や関係の距離がある目上の人、メールなどの文章に使うのにふさわしい「問題ない」の敬語への言い換え表現を解説します。
近い間柄の上司には「問題ありません」
「問題ない」の敬語表現①は「問題ありません」です。「問題ありません」は「あります」を否定形の「ありません」と言い換えた敬語表現となっています。
表現する意味は「問題ない」と同じなのですが、否定する言葉をワンクッション挟んで敬語表現とすることで丁寧な印象が際立ちます。
その為、「問題ありません」と言う場合は近い間柄の上司に使うのが良いでしょう。砕けすぎず、かと言って格式張っていない敬語の使い方となっています。
逆に言うとあまり関係性の近くない上司に対して使うと失礼な印象に繋がりますので関係の遠近の見極めが重要だということです。
同僚には「問題ないです」
「問題ない」の敬語表現②は「問題ないです」があります。「問題ない」に丁寧語の「です」をつけて敬語としている表現方法です。「問題ないです」丁寧でありながら畏まりすぎていないので同僚に使う敬語としてふさわしい使い方となっています。
敬語表現①でも解説しましたが、「問題ないです」はクッションを置かずに否定の言葉を使っていますので丁寧な言葉遣いではあるのですが、目上の人に使うには少し敬意が足りない表現となっています。
また、同僚と言っても関係の距離がありますので相手との親さによって敬語表現を変えた方が良い場合もありますので覚えておきましょう。
目上の相手やメールでは「問題ございません」
「問題ない」の敬語表現③は「問題ございません」です。「問題ございません」は「問題ない」の一番丁寧な敬語表現となっており、目上の人や堅い表現を求められるビジネスシーンで使うのに適しています。
ビジネス文章は堅い言葉の使い方をする場合が多いのでメールでも使えるように覚えておきましょう。一番丁寧な表現だからと言って「誰にでも使うといい」というわけではありません。
相手との距離を見計って使う相手を選ぶことが重要です。目上の人でも関係の距離が近い人であれば「問題ありません」を使う方が良い場合もありますので注意しましょう。
取引先の人を相手に話す時も同じことが言えますので何度も顔を合わせているような間柄の人にいつまで経っても丁寧すぎる言葉を使うと「信頼されていないのかな?」という気持ちをさせてしまう場合がありますので注意しましょう。
ビジネスで「問題ない」を言い換えた敬語表現
ここまでは「問題ない」の「問題」に続く言葉を敬語表現にすることと、相手との関係によってその敬語表現を使い分ける使い方を解説してきました。ここでは「問題」という言葉自体を類語に言い換えて敬語としてビジネスシーンでも使うことのできる表現方法を紹介します。
「問題ありません」や「問題ございません」も間違えた敬語ではありませんが、敬語表現の言い換えを知っておくと細かいニュアンスに応じて言葉の選択をすることができるようになります。
言葉の幅を広げることは相手から好印象を得ることにも繋がりますので、ぜひここで紹介する「問題ない」を言い換えた敬語を覚えておきましょう。
「承知しました」
「問題ない」を言い換えた表現①は「承知しました」です。「承知しました」は「わかる」の謙譲語としての敬語表現となっており、ビジネスシーンでは自分を下げて相手を立てる表現の謙譲語が敬語としてよく使われますので覚えておきましょう。
また「承知」自体が謙譲語ですので「承知致しました」は二重敬語となり誤用となりますので注意してください。「承知しました」はメールなどの文章でも使うことができる言葉でもあります。
使い方例文
「問題ない」を言い換えた表現、「承知しました」を使った例文を挙げると(相手からの依頼に対して)「承知しました」とすると「わかりました」という意味を伝えることができます。他にも「〇〇の件でしたら承知しております」などの使い方ができます。
「問題ない」は相手から状況の確認や自分が仕事の上でトラブルや困りごとの有無がある時に適した返事の仕方となっていますので、相手からの依頼や「わかりました」と返事するべき時には「承知しました」と使うようにしましょう。
「差し支えありません」
「問題ない」を言い換えた表現②は「差し支えありません」です。「差し支えありません」は目上の人にも失礼なく使える敬語となっています。
「問題ない」との違いは語感が柔らかくなり、相手に伝わるニュアンスが変化します。「問題ありません」・「問題ございません」と「差し支えありません」を並べると丁寧で柔らかいニュアンスになることがおわかりいただけるでしょう。
また「差し支えありません」の「差し支え」は「何かをするのに都合の悪い事情」という意味がありますので「問題ない」と言い換えると同じ意味を表現することができます。「指す支えありません」は口頭以外にもメールなどの文章でも使うことができる言葉でもあります。
使い方例文
「問題ない」を言い換えた表現「差し支えありません」を使った例文を挙げると「差し支えなければ、ご事情を伺ってもよろしいでしょうか?」や「差し支えがないようでしたらご教示いただけますか?」などの使い方ができます。
「差し支えありません」は相手からの問いかけに返答する敬語というよりはこちらから相手に対して「問題なければ〇〇してもいいですか?」というニュアンスで使われることが多い敬語表現となっています。
丁寧な表現となりますので取引先の担当者や目上の人、お客様と幅広い人に使うことのできる敬語表現ですのでぜひ、覚えておきましょう。
「ご心配には及びません」
「問題ない」を言い換えた表現③は「ご心配には及びません」です。「ご心配には及びません」は「心配」に「ご」とつけて「ご心配」として尊敬語にします。
「及びません」は「及ぶ」の未然形に「ない」の丁寧語「ません」を組み合わせた敬語の使い方となっており特にビジネスシーンや目上の人に使うことができる敬語表現となります。
「ご心配には及びません」は主に相手からこちら側の状態を気にかける問合せがあった時に返答としての使い方が多い敬語表現です。
使い方例文
「問題ない」を言い換えた表現「ご心配には及びません」を使った例文を挙げると(報道から会社の業績が悪いと聞いての問い合わせに)「ご不安にさせてしまいまして、申し訳ございません。報道の件でしたらご心配には及びませんので、ご安心ください」
(こちら側の上司が入院をして安否を気遣う連絡に対して)「お気遣いありがとうございます。部長の〇〇の状態は軽度の症状でご心配には及びません」などの使い方が挙げられます。
「問題ない」というよりも丁寧な表現ができますので社外の人やお客様から安否を気遣う連絡があった時の返答の言葉としての使い方がふさわしい言い換え表現となります。
「支障はないです」
「問題ない」を言い換えた表現④は「支障はないです」があります。「支障はないです」の「支障」は「ものごとを進めるに当たって問題となること」の意味があり、「問題」を「支障」と言い換えた表現です。ニュアンスとしては問題ないよりも少し堅い印象があります。
「問題ない」と「支障はないです」は同じような意味で使うことができる類語となっています。また、先に紹介した「問題ない」に続く言葉で敬語表現をした場合と同じように続く言葉を言い換えて敬語表現とすることもできます。
使い方例文
「問題ない」を言い換えた表現「支障はないです」を使った例文を挙げると「ここのところ少し風邪気味ですが、仕事の進行に支障はありません」や「出先で突発的なトラブルがありましたが、支障はありませんでした」などの使い方ができます。
「問題ない」と言い換えてもどちらも同じ意味を伝えることができますが、ビジネスでの報告の場合などには堅い言葉を使う方が良い場合がありますので言い換え表現の一つとして覚えておきましょう。
メールで報告する際は「支障はございません」と「ありません」をより丁寧な敬語に言い換えて使うと良いでしょう。
ビジネスで注意したい「問題ない」の敬語表現
敬語には丁寧に意思を伝える意味がありますが、丁寧さを意識しすぎると間違えた表現をしてしまい、逆に無礼な印象を相手に与えてしまう場合があります。ビジネスシーンでしてしまいがちな失敗をしない為にも敬語表現のポイントを押さえておくことは重要です。
二重敬語や「問題ない」の敬語表現の使い方の注意点をまとめて解説しますのでポイントを覚えておきましょう。
「問題ございませんでしょうか?」は二重敬語
「問題ない」を丁寧に言おうとしたり、メールで丁寧な敬語にしようとしてしてしまいがちな失敗が二重敬語です。「問題ございませんでしょうか」は誤用となります。言葉を分解すると「問題」「「ございます」「でしょう」「か」と分けることができます。
「ございます」が「ある」の丁寧語、「でしょう」が「だろう」の丁寧語、「か」が疑問を意味する終助詞となります。同じ種類の敬語を一つの文の中で繰り返して使うと間違えた敬語表現となりますので注意しましょう。
この場合の正しい敬語表現は「問題ございますか」「問題ございませんか」と言うと正しい敬語表現をすることができます。
「問題ないです」は上司や先輩には使わない
「問題ないです」は上司や先輩に使わない方がいいでしょう。「問題ないです」は丁寧語となり、敬語なのですが目上な人に使うには敬意が足りない表現となってしまいます。
上下関係を明確にして、敬語を使うのであれば「問題ないです」ではなく「問題ありません」と使うようにしましょう。
「大丈夫です」「構いません」も使わない方が良い
「問題ない」の類語として日常でよく使われる「大丈夫です」や「構いません」もビジネスシーンでは使わない方が良いでしょう。「大丈夫です」や「構いません」はどちらも丁寧語なのですが、カジュアルな表現となりますので気をつけましょう。
「問題ない」の英語での敬語表現は?
「問題ない」の英語表現を紹介しますのでこちらもチェックしておきましょう。日常でよく使う言い方や、ビジネスシーンでも使うことのできるかしこまった英語表現も解説します。咄嗟の時にも対応できるように「問題ない」の英語表現を覚えておきましょう。
「That's fine」
「問題ない」の英語表現①は「That's fine」です。「That's fine」はビジネスでも日常でもよく使われる「問題ない」の英語表現となります。英語に敬語はないと言われますが、丁寧な表現はあります。
「That's fine」をより丁寧に表現しようとすると[certainly]と言い換えると良いでしょう。「certainly」は「確かに」や「承知しました」という意味を表す英語表現です。
「Not an issue」
「問題ない」の英語表現②は「Not an issue」です。「Not an issue」は「問題ない」の英語表現としては畏ったものとなりますので、目上の人に対して使っても良い印象を与えることができる英語表現となっていますので表現の一つとして覚えておきましょう。
「問題ない」の敬語表現は相手によって使い分けよう
「問題ない」は相手との関係の距離によって敬語の表現を変えていくことがふさわしい使い方となっています。同僚には「問題ないです」近い上司には「問題ありません」目上の人やメールなどで丁寧な表現が必要な時には「問題ございません」と使い分けましょう。
また類語に言い換えた表現も紹介しましたので、状況によって使い分けられるように覚えておきましょう。ビジネスシーンでのメールや文章のやりとりは堅い表現を使うことが多い為、語彙を増やしておくことは大切なことです。
英語での「問題ない」の表現方法とビジネスでの敬語敬語表現の注意点も解説しましたので、口頭でもメールなどの文章でも「問題ない」の表現を正しく使い分けて相手に好印象を与える使い方をしましょう。