「累計」「合計」「小計」の意味とは?
営業成績や今月の売り上げなど経理担当ではなくても数字はビジネスにはつきものです。数字を扱う言葉は多いですが紛らわしいものも多いです。
中でも数字のまとめを表す言葉「累計」「合計」「小計」はどういった基準で使い分けているのかよくわからないまま使っていることも。そんな「累計」「合計」「小計」について詳しくご紹介します。
「小計」「合計」「累計」の意味
「合計」とはいくつかあるものを数え合わせたものです。言葉にするとちょっとわかりにくいですが、「累計」「小計」よりも感覚的に受け止められる言葉ではないでしょうか。
「小計」とは全体の中で特定の一部分を集めたものです。比較的小さい範囲の数を合算します。「累計」とは簡単に言うと細かく分けた「小計」をまとめ合わせたものです。
簡単に言うと「小計」が小さな範囲の合計、「累計」が「小計」を合計したものということになります。「小計」「累計」とは違い合計には範囲や対象を言葉で括らないことが特徴の一つでもあります。
「累計」「合計」「小計」の由来
ビジネスに欠かせない「累計」「合計」「小計」という言葉ですがどのような由来があるのか、また漢字の成り立ちについてご紹介します。
由来や成り立ちを知っておくとより言葉が身近に感じられます。「累計」「合計」「小計」という言葉をより深く理解する助けになります。
「累計」「合計」「小計」由来や成り立ち
「累計」という言葉は中国由来の熟語と言われています。中国語で「累計」を表す「累加总计」という言葉にも「累」という文字が入っているので納得です。「累」という漢字には「しばる、かさねる」という意味があります。
「合計」の由来についてははっきりとしたことは分かりませんでした。合の文字には合わせるという意味があるのでそこから合わせた数という意味であることは察することができます。
「小計」の言葉の由来についてもよくわかりませんでしたが、やはり漢字の意味から小さな範囲の合計という意味で小計が使われているのだと推察できます。
「累計」「合計」「小計」の特徴
「累計」「合計」「小計」について簡単に意味をご説明しました。実際どのような使い方をしているのかをそれぞれの特徴を交えて詳しくご紹介します。
特に経理などの分野で使われることもの多く、混合しがちな「累計」「合計」「小計」ですが、具体的なイメージを持つことで言葉のイメージがより鮮明になります。
「計」の漢字の持つ意味
比較的小学校でも低学年のうちに習う「計」という漢字ですが、「累計」「合計」「小計」のどの字にも使われていて、類義語の統計や集計などにも使われています。
計の字には言べんが使われています。作りには針を象徴するである十と併せて数字を口にする→数えるという意味があります。「累計」「合計」「小計」「統計」「集計」どれも数を数え合わせたものという意味があります。
「累計」「合計」「小計」をイメージしよう
わかりやすくするために具体的な例を用いてご説明します。商店を例にとってみましょう。合計とはいくつかあるものを数え合わせたものなので「一日ごとの売れた商品」の合計のようにいくつかあるものを合わせた数になります。
その「一日ごとの売れた数」=「一日の売り上げ数」は小さい範囲の数の合計るので「小計」と表わすことができます。
この「小計」を合わせたものが「累計」となり、一か月分の「小計」を合計したものが「累計」となります。
「累計」は「小計」を合計したものと表現しましたが、特に「小計」と五言葉を使わず、同じものが繰り返し足されるということを表すこともあります。
「累計」「合計」「小計」の類義語
「累計」「合計」「小計」と似た言葉も多くあります。統計、集計など思い当たる方も多いのではないでしょうか。また、「累計」の累を使った累積などを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。
似た言葉の特徴として同じ感じが使われていることも多いです。類義語や類義語の意味について詳しく知っていきましょう。
統計
統計とは分かりやすく言うと「何かの集まりについて数を数えたもの」です。例えば、国税調査では「日本全国と地域別の人口・世帯とその内訳」について調べます。日本の人口についての統計です。
統計という言葉については様々な解釈がありますのでここでは一般的なものについて触れておきます。統計とは社会における集団の傾向・性質などを数量的に明らかにすることです。
集団がどのような特徴を持つのか数字を使って表すことなので統計の多くは国などの公的機関が発表するものが多いです。
集計
集計とは漢字の文字通り「集めたいくつかの数を合計すること」です。「雑誌アンケートの集計をとる」など集めたデーターの数を合計するときに使います。
「合計」と意味が似ていますが、「合計」が単に数字を足すことに対して「集計」には何かしら必要な数字が先にありそれを算出するために数を足し合わせるというような使い方がされます。
累積
「累積」には物ごとが重なり積もることという意味です。累積赤字などはよく聞く言葉ではないでしょうか。
累積赤字などは積もった赤字のことです。「累積」には「累計」とは違い数字を表すというよりも積み重なったという意味があります。赤字や負債など負担になるものが溜まっていくということを表す使い方をします。
「累計」「合計」「小計」の使い方
似たイメージを持ちがちな「累計」「合計」「小計」ですが、場合によっては間違えて使うと大変なことにもなる言葉でもあります。
大切なビジネスシーンなどでうっかり間違えて使ってしまわないようにここでは使い方について例文を交えてご紹介していきます。
例文①
まずは「累計」を使った例文「今月の売り上げの累計を出す。」です。「累計」には「小計を重ねる」という意味があります。
ここでは特に「小計」については触れていませんが毎日の売り上げを小計と考え、「今月の売り上げの累計」は毎日の売り上げを合計した今月の総売り上げを意味しています。このように小計が省略された使い方もよくされます。
例文②
次に小計を使った例文をご紹介します。「今日の売り上げのそれぞれの商品の小計」。「小計」は小さい範囲の合計でした。
ですので、この場合は「今月のそれぞれの商品の売り上げ」が小計となります。例えばA、B、Cの3つの商品を取り扱っている場合は今日Aが売れた数の合計、Bが売れた数、Cが売れた数をそれぞれ出してくださいということになります。「小計」の言葉の前につく言葉が重要になります。
例文③
「合計」については数を合わせたものという意味です。ご存じの方も多いので特に必要がないかもしれませんが一つだけ例文で使い方をご紹介します。
「1月以降の利用者を合計として書類を作成すればいいですか?」「そこは合計ではなく累計と表現してください。」
合計には数と数を合わせるという意味があります。「累計」=「合計」としても間違いではありません。
しかしビジネスのシーンでは毎月や毎日のように同じ括りのものを足しかさねていく場合は「累計」の方が言葉から積み重ねられていることがわかりやすく、好まれる場合もあります。
例文④
最後に「累計」を使った例文をもう一文。「この雑誌は累計発行部数がもう少しで十万部に届きそうだ。」
「累計」ということなので積み重なった発行部数を表していることがわかります。1月の売り上げ+2月の売り上げ+3月の売り上げといったように足していくと現在まで売れた発行部数が「累計」となります。
「累計」「合計」「小計」の注意点
「累計」「合計」「小計」はとても似た言葉です。間違って使ってしまっても意味が通じることもありますが、数字を扱うデリケートな言葉でもあるので間違ってしまって大失敗ということにもなりかねません。
ここでは、どのようなことに特に気を付ければいいのかについてそれぞれについてわかりやすくご紹介していきます。
「合計」は言葉の特性上「累計」「小計」に比べて言葉の表す範囲は限定されていないので割愛します。
「小計」の注意点
「小計」は小さな範囲での合計です。「合計」と間違えてしまってもどちらも数を足したという意味になるので大きな問題にはなりません。しかし「累計」と「小計」を間違えてしまうと大変なことになってしまうので注意が必要です。
また、はっきりと「商品Aの売り上げの小計は?」といったように言葉にすればよいのですが実際のビジネスの場面ではそうもいかないのが現状です。
「小計は?いくつ?」など○○のを略した言葉を使われることも多いのでそういった場合は商品ごとの小計についてを意味しているのか、一日の売り上げの小計について聞かれているのかを文脈から判断する必要があります。
とはいえ、仕事に慣れてくると大体どの数字が必要とされているのかは分かることなので必要以上の心配はないでしょう。
「累計」の注意点
「累計」も「小計」と間違えて表現してしまうと品物がたくさん売れたことになってしまったりするので言い間違いには注意が必要です。
また、「累計」は「小計の積み重なったもの」ですが、やはり日常の業務などでは「何が小計になるのか」が曖昧なまま会話が進んでしまうことがあります。
「小計」と同様慣れてくればどの数字を求められているのかはわかるようになりますが、分かりにくいときは「売り上げの累計ですね。」や「A商品の累計販売数ですか?」など、確認をしておくと安心です。
「累計」「合計」「小計」は数を合わせるという意味
「累計」「合計」「小計」の意味についてご説明してきました。どの言葉も計の前につく漢字に意味のヒントがありました。
「累計」は重ねるという意味から小計を積み重ねたもの、「合計」は大きく数と数を合わせること、「小計」は小さな範囲で合計を出すことです。
漢字の意味を覚えておけば大切なシーンでも自信をもって「累計」「合計」「小計」を使いこなすことができます。