「責任転嫁」と「責任転換」の意味とは?
「責任転嫁」の意味とは、「本来持つべきではない他人に対して自分が持つべき責任をなすりつける事」です。よく責任転換と言い間違いが多く発生していますが、これは後ほど語源も含め詳しく解説していきます。
転嫁が主に押し付けるという意味合いを含んでいるので、使い方がわかれば責任転嫁を使用する機会は多いと考えられます。
続いて責任転換の意味ですが、責任転換は責任の定義そのものを変えるという意味です。何を持って責任とするのかを換えるという意味を持っています。
「責任転嫁」と「責任転換」の特徴
責任転嫁は「責任を他人に押し付ける事」という意味で用いられます。またその意味から「自分にも責任があるのに他人に押し付けて自分はその責任から逃れようとする心理」を表す言葉として使用される点も特徴です。
故にとても卑劣な行為であり責任転嫁をして得られるものは禍根のみですので、気づかないうちに責任転嫁していないかどうか注意しましょう。
言葉の特徴を通して「責任転嫁」と「責任転換」の違いについて理解を深め、自身の行動があてはまっていないかも確認していきましょう。
「責任転嫁」は「失敗を他人のせいにする」ことに使用する
「責任転嫁」の最も代表的な例は、失敗が発覚した際に責任を人に押し付ける事です。そもそも責任転嫁する気がなくとも、失敗の発覚よって叱責される恐怖からとっさに責任転嫁してしまう人が少なくありません。
このように自分の明確な意思とは反してとっさに責任転嫁してしまうケースはとても多く様々な会社の人間関係で問題となっています。
仕事を他人に押し付ける
仕事を他人に押し付ける行為は上記の失敗した時の心理とは違い、明確な意思を持って他人に押し付けるものです。これは自分の仕事が多すぎて手が回らないケースもあります。
しかし最も悪質なのが、十分に仕事ができる環境にあるのにも関わらず責任が重い仕事をしたく無いという怠慢から責任転嫁をしているケースです。こちらのケースも多く社会問題になっています。
「責任転換」は「責任を他のものに変えてしまう」ことに使用する
「責任転換」は責任そのものを他のものに変えてしまうことを言います。「責任転嫁」からの言い間違いでできた言葉ではありますが、あえて責任転換を使うのであればこの使い方が適切です。
責任そのものの定義が全く変わってしまいますので「責任転嫁」とは大きく違った意味になります。そのためこの2つの言葉の言い間違いには十分気をつけましょう。
「転換」は「物事の方針を変える」こと
「責任転換」の転換は物事の方針など進む方向を変えるとき使われる言葉です。そのため「責任転嫁」の転嫁とは大きく意味が違ってきてしまいます。発音が似ているせいで間違われてきましたが、かなり意味が違うので気をつけましょう。
「責任転嫁」と「責任転換」の語源
責任転嫁の語源について紹介します。転嫁は女性が再婚することを表した言葉が語源です。再婚というのは他の家に移るということのなので、責任転嫁という言葉の語源は、責任を他に移すという使い方がされるようになりました。
嫁という言葉が入っているのはそのためです。良く責任転換と間違える方も嫁という字を、強くイメージしていれば言い間違える事も少なくなるでしょう。
責任転換の語源は責任転換という四字熟語の存在は無く、造語に近いものがあります。責任転嫁のいい間違えから出てきたというのが語源になります。
「責任転嫁」と「責任転換」の英語表現
責任転嫁を英語で表現するとどのようなニュアンスになるのでしょうか。責任転嫁の英語表現は「buck-passing」というとてもシンプルなものです。
基本としては「buck」が責任で「pass」が投げるという意味になり、これらを繋げる事で責任を投げる、責任転嫁という表現が生まれます。この他にどんな英語表現があるか見ていきましょう。
「責任転嫁」の英語表現
例文として「彼は自分の失敗を誰か他人に転嫁しようとした」を英語表現は「He tried to shift the blame for his failure onto someone else」彼は自分の失敗を他人に転嫁しようとした、になります。
ここでの表現としては「shift the blame」が責任を転嫁したという主な意味になってきます。単語としてはかなり変わりますが、ここでの表現は「shift the blame」が一番ニュアンスとしては適切な単語になってきます。
「責任転換」の英語表現
責任転換は英語に「Change of responsibility」という表現になります。これは英語に直訳しただけの表現になり、責任を変えるという表現です。繰り返しになりますが、責任転換は責任転嫁のいい間違えからできた造語になりますので適切な表現が少ないです。
「責任転嫁」と「責任転換」の使い方
ここで主な責任転嫁と責任転換の使い方を紹介していきます。自信が責任転嫁するようなことはあってはなりませんが、あくまで例として受け止めておきましょう。
それでは、どんな時に責任転嫁していると言えるのでしょうか?また責任転換を使うとするならどんな文になるのか?詳しい例文を会話形式で下記にて紹介していきますので参考にしてみてください。
例文①
例文として、子供の責任は誰にあるのか?という視点で責任転嫁の例文を紹介します。「子供の責任は親にあると言われているが、最近の親は学校の教育に責任があると言い出す。どちらにせよ学校のせい、親のせいと責任転嫁の繰り返しである」という文。
責任転嫁を互いに繰り返すパターンです。こうなってくると終わりがなく現代社会の大きな問題の1つともなっている責任転嫁です。
例文②
次の例文として、本来は自分の責任であるが、相手の落ち度につけ入り、責任転嫁する例文を紹介します。「彼の態度が悪かったので、その仕返しとして自分には非はないと主張することで、責任転嫁することにした」という文。
使い方としては自分が実行しているにも関わらず、責任転嫁する事で謝罪から免れようとする例文です。相手の落ち度に付け入って自分の行動を正当化しようとしています。
例文③
造語である責任転換を使うとするならどんな文になるか解説していきます。「今までの責任の取り方では示しがつかないので、内容を大きく責任転換するべきだ」などの文章になります。
責任そのものの種類を転換することで、内容に見合った責任に転換する時に使う事が適切です。責任内容が変わることはよくあることですので、責任転換も使う機会が少なからずあります。
例文④
続いての責任転換の使い方の例文ですが「ここで責任転換してしまうと今まで取ってきた責任になんの価値があったのでしょうか?」という使い方ができます。
責任を転換してしまうことで、今までとってきた責任の価値がとても少なくなってしまうように感じる例になります。今まで責任を背負ってきた人が報われない形になってしまう例です。
「責任転嫁」と「責任転換」の注意点
責任転嫁はその発音からも似ている形容詞がたくさんあります。責任転換など発音も似ているため、気にしないで間違った形容詞を使い続けている人もたくさんいますが、全く意味が違う事もありますので正しい意味を学びましょう。
それでは具体的にどんな似ている形容詞があるのか?その中でも特に間違われやすい、責任転嫁と責任転換の違いについても詳しく解説していきます。
「責任転嫁」と「責任転換」はよく間違われる
よく発音が似ているため、間違われてしまいます。責任転換は「方針を変えること、方針の転換」というような使われ方をします。仮に責任転換と表現した場合は責任そのものが別なものに変わるという意味になってしまいます。
責任転嫁を責任転換と言い間違えてしまうと全く別な意味になってしまうのです。責任転換は全く別な意味だという事がわかれば、言い間違いもかなり少なくなるはずですが、それでも言い間違えてしまう人は今後も少なくないでしょう。
ここでの注意点としては「責任転嫁」と「責任転換」を間違えてしまうと相手を混乱させてしまうので注意しましょう。
「責任転嫁」と「責任転換」に似ている言葉
責任転換は発音が似ているという点で間違われやすい単語でしたが、意味合いが似ているものの違う言葉を紹介します。「責任放棄」責任を投げ出してしまう事です。この後に責任転嫁という流れになり得ます。
「責任回避」責任が自分に回ってこないようにする事です。「自己保身」責任がきたとしても自分を守る事です。できない理由などを先に述べてしまうなどの例があります。これも責任転換、責任の意味を転換する事で保身を図る例もあります。
「責任転嫁」は責任を他人に擦り付ける「責任転換」は責任を別物に変えるという意味
最後にまとめとして明確に述べておきたいのが、責任転嫁は他人に自分が負った責任をなすりつける事です。意味が似ている類似語や発音が似ている責任転換なども十分に理解して使っていきましょう。
特に間違いが多い責任転換は意味が全く違うという事もわかりましたので、責任転換を使用した間違いは少なくしていきましょう。責任転換は責任そのものを転換「方針を変える」という事ですので転嫁「責任を移す」ことには当てはまりません。
責任転嫁と責任転換の違いもはっきりさせた所ですが、それでも責任転換の間違いは発生してしまうでしょう。そんな時はこの記事を思い出して、責任転嫁と責任転換の意味の違いを思い出してから使っていきましょう。