東京湾で釣れるドチザメについて徹底解説!
サメと聞くと映画「ジョーズ」を思い浮かべてしまい、怖い印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。しかし、サメにもたくさんの種類のサメがいて、中には個人で簡単に釣り上げることができるサメもいます。
サメというと特殊な場所に行かないと釣ることが出来ない印象もありますが、実は東京湾でも釣ることの出来るサメもいるのです。東京湾でも釣ることの出来るサメの中には「ドチザメ」という種類のサメがいます。
この「ドチザメ」は、東京湾などの近海を生息地としていて、釣って楽しむだけでなく、美味しい食べ方も存在しているサメなのです。今回は、ドチザメについて、その生態や釣り方、食べ方に至るまで徹底的に解説していきます。
ドチザメとは
それではまず、今回の主役である「ドチザメ」について大まかな説明をしていきましょう。ドチザメの生態や生息地、食べ方については、この後で別に詳しく紹介します。まずは、ドチザメがどんなサメなのかを理解しておきましょう。
ドチザメの体は黒みがかった灰色です。個体によっては濃いグリーンや褐色のような色に見えるものもいます。体の特徴として、背中に黒っぽい縞模様、もしくはまだら模様があるのが特徴です。
ドチザメは漢字で書くことも出来て、漢字では「奴智鮫」と書きます。ドチザメの分類は「メジロザメ目ドチザメ科」に属しています。
最大で150㎝にもなるサメ
ドチザメのサイズ感ですが、大きな個体では最大150cmほどまで成長するものもあります。サメの中ではものすごく大きなサイズではありませんが、それなりの大きさに成長するサメです。
生まれたのち、大体5~7年で大人のドチザメに成長します。繁殖については、一度に10匹から20匹ほどの子供を産んで繫殖します。飼育が容易なことから、多くの水族館で飼われているサメがドチザメです。
水族館でサメの展示が行われている場合、比較的高確率で見かけるのがこのドチザメなのです。比較的近海で捕獲することができ、水族館でも飼育が簡単。そして水族館でサメの人気も高いことから、見かける機会も多いかもしれません。
意外とかわいい顔
サメというと、小さめの目に大きな口、そして鋭い牙を持っているという印象が強いかもしれません。鋭い眼光で獲物を睨みつけている印象で、とにかく怖いという印象が強く残っているという方も多いのではないでしょうか。
しかし、サメの顔をよく見ると愛嬌のある顔をしているサメもたくさんいます。ドチザメもどちらかというとかわいい顔をしたサメに分類されるサメかもしれません。
それは、ドチザメの目がいわゆる「つぶらな瞳」という特徴があるからです。目がかわいらしいので見た目の印象も「かわいい顔」という印象になり、このかわいらしさから多くの人に愛されています。
サメらしい雰囲気は持ちつつも人間を襲うことはありません。かわいい顔でもサメなので、噛む力は強いため触るときに注意は必要です。
ドチザメの生態
それでは次に、ドチザメの生態について解説していきましょう。小型の魚は群れを作って生活することが多いのですが、ドチザメは単独で生活する魚です。実はドチザメの生態は詳しく解明されていない部分も多く残っているのが実情です。
ドチザメは基本的に群れを作らずに生活しますが、生活環境が良い場所では多くのドチザメが集まってくることがあり、その様な場所では群れで生活しているように見えることもあるようです。
また、ドチザメは近海でその生態が確認されることが多く、しばしば海水浴場に現れることがあります。その様な場合は、ニュースでも取り上げられることも多いので、ニュースでドチザメのことを耳にする機会もあるかもしれません。
水深の浅い場所を好む
ドチザメの生態の特徴は、水深の浅い近海を生息地とすることが多いという特徴があります。いわゆる浅瀬で暮らしており、日中は岩礁や藻などの暗い場所に潜んで休むという生態が確認されています。夜になると活動を始め、泳ぐ時は海底を這うようにゆっくり泳ぎます。
食生活
ドチザメの生態として、その食べ物についても紹介しておきましょう。ドチザメの食事は、主に小魚やエビ、カニなどの甲殻類など、浅瀬に生息している生き物を食べる生態が確認されています。
ドチザメは大人しい性質のサメで人間を襲うことはまずありません。そのため、もし海で泳いでいるときにドチザメを見かけたとしても、急に襲われる危険は少ないので慌てずに行動することが大切です。
ドチザメの生息地
ドチザメの生態を解説するうえで、生息地についてもしっかり紹介しておきましょう。ドチザメは東京湾をも生息地としていることに少し触れましたが、ドチザメの生態が多く確認されているのは主に日本近海です。日本近海を生息地とするサメなのです。
日本近海で、太平洋北西部沿岸(北海道の南側)から東シナ海で多くの生態が確認されていて、朝鮮半島や台湾沿岸部でもその生態が確認されています。このように生息地としては主に日本近海でその生態が確認されているのがドチザメなのです。
主に日本近海に生息している
先ほども触れたように、ドチザメの生息地は主に太平洋北西部、日本近海、台湾や朝鮮半島などにまで分布しています。基本的に日本を中心に日本海側にその生息地が広がっているようで、我々が海で遊んでいるときに遭遇してもおかしくない場所が生息地になっています。
日本では東京湾でもその生態が多数確認されていますし、太平洋側に南下した伊豆でも、たくさんのドチザメに会えるダイビングイベントが開催されていることもあります。このようにドチザメの生息地は主に日本近海に集中しています。
ちなみにドチザメの生態の特徴として特徴的なのは、基本的にドチザメは海を生息地としています。しかし、河口などの塩分が少ない環境でも生きられるという生態的な特徴をもっています。
そのため、河口付近で釣りを楽しんでいるときにドチザメが釣れてしまったという報告が毎年何件が聞かれます。川釣りをしていてドチザメが釣れたらビックリするかもしれませんが、ドチザメの生態としておかしなことではないので、覚えておきましょう。
大西洋では確認されていない
このように主に日本近海を生息地としているドチザメですが、ドチザメは大西洋ではその生態が確認されていません。そのため、本当に日本近海のみを生息地としている可能性が高く、世界全体で見ると日本近海のごく一部にだけ生息する生き物と考えられています。
ドチザメの食べ方
ここまではドチザメの生態や、主に日本近海を生息地としていることについて紹介してきました。ドチザメのことを色々と理解していただきましたので、続いてはドチザメを釣ったときの食べ方について紹介しましょう。
サメを食べる機会というのはあまり多くないかもしれません。サメを使った料理というとふかひれスープが真っ先に思い浮かびますが、そう頻繁に食べる機会はありませんし、ふかひれの姿煮という食べ方に至っては、テレビで見ることがある程度です。
ドチザメを食べたことがあるという方もそんなに多くないかもしれませんが、実はドチザメの食べ方はそんなに難しくもないので、釣り上げた後に機会があれば食べてみるのも良いかもしれません。
食べられるけどあまり食用に漁獲されない
ドチザメの食べ方を紹介するパートではあるものの、実際にはドチザメを食用に漁獲していることはほとんどありません。その為、日常生活を送っている中でドチザメを店頭で見かけることもほとんど無いのが実情です。
漁師さんが漁獲したとしても、それが売れる可能性も低いため、そのまま海にリリースされることが多いようです。しかしドチザメ自体を食べることは可能で、ドチザメ釣りをを楽しんでいる方は、自宅に持ち帰って様々な食べ方を楽しんでいるようです。
淡白な白身で美味しい
ではそのドチザメの味はどうなのかという話なのですが、捌いてみると美しい淡白な白身が姿を現します。見た目の肉質ははタイに近く、赤と白が混じったような色をしています。
お腹周りの肉はゼラチン質でプルプルしていて、赤と白が混じった美しい白身は背中周りの肉になります。これらの部位で食べ方を変えるのがおすすめで、お腹周りは揚げ物、背中周りはお刺身などの食べ方をするのが一般的なようです。
内臓が臭いのですぐに処理
この後でドチザメの釣り方も紹介しますが、釣り方を学び、食べ方を学び、いざドチザメを釣り上げた時の注意点を先に紹介しておきます。
この注意点を知らないと、いざドチザメを調理しようとしたときに驚いてしまうことになります。ドチザメの食べ方で注意したいのが「匂い」です。
ドチザメの難点でもあるのですが、ドチザメの内蔵は腐った生ごみのような強烈な臭いを発しています。その為、ドチザメを釣ったらその場でシメ、内蔵などの下処理をしてしまわなければなりません。美味しい食べ方をするための必要条件と言えます。
おろすのは簡単
一方、他の魚よりも簡単なのが「おろす」作業です。先に難点を紹介しましたが、優れた点としては「捌きやすい」ことが挙げられます。
ドチザメをはじめ、サメの骨は軟骨であるため、包丁で簡単に切ることが出来るのです。魚を捌くことに慣れていない方であっても、簡単にぶつ切りにすることが出来るのは長所として挙げられます。
皮をきれいにはぐのに最初は時間がかかってしまうかもしれませんが、何度も経験を積んで慣れてくると上手に皮をはぐことが出来るようになります。
ドチザメの美味しい料理
ドチザメの食べ方を紹介してきましたが、続いてはドチザメの食べ方として美味しい料理の方法を紹介しましょう。ドチザメを釣った後に美味しく食べることで、またドチザメ釣りを楽しみたいと思えますし、先ほども紹介したように着るのが簡単なのでおすすめです。
料理方法と言っても、全て料理自体も簡単な料理を紹介しますので安心してください。釣りを楽しんでいる方は調理自体も好きな方が多いようですので心配ありませんし、苦手な方も、これを機会に料理に挑戦してみるのも悪くないかもしれません。
おすすめは唐揚げやフライ
ドチザメの食べ方の定番は唐揚げやフライです。以前、無人島生活をテレビでやっていたとき、海で釣った魚をそのまま油に放り込む芸能人がいましたが、さすがに素揚げではなく衣をつけてあげるのがおすすめです。
先ほども紹介しましたが、ドチザメの身はたんぱくな白身魚の味に近く、唐揚げにしても結構普通の白身魚の唐揚げと変わらない味になります。
ただ、他の白身魚と違うのはそのサイズ感です。大きい物だと150cm程度に達するドチザメですので、唐揚げにしたときにもかなり肉厚で立派な唐揚げを作ることが出来ます。食べ盛りの子供がいる家庭には非常に嬉しいところです。唐揚げなら臭いも気になりません。
背中側の白身部分は唐揚げにするのがおすすめなのですが、腹側は先ほども紹介したようにゼラチン質が多く柔らかな肉質です。このゼラチン質が多い腹側についても、フライや唐揚げにするのが最も簡単で美味しい、おすすめの調理法になります。
背中側とはまた違った食感を楽しむことが出来、ふっくらとした食感と脂身のジューシーさをより感じることができます。
また、フライや唐揚げ以外にも煮付けにするのもおすすめです。ドチザメを煮付けにすると、煮汁の旨味をしっかりと吸い込んで柔らかく仕上がります。ソテーにしても美味しく食べることができますが、身を返す時に崩れやすい点は要注意です。
刺身
先ほどは美味しい調理法として加熱する調理法を紹介しましたが、ドチザメは火を通さずに食べてもおいしく食べることが出来ます。刺身として食べたり、他の魚と共にご飯の上に乗せて海鮮丼にした食べ方も定番料理としておすすめです。
刺身の場合は、先ほど紹介した内蔵の匂いが心配になる方もいらっしゃるかもしれませんが、臭いを発するのはあくまでも内蔵だけなので、しっかり処理してしまえば問題ありません。醬油で食べても良いですし、ポン酢で食べるとさっぱり食べられるのでおすすめです。
ちなみにドチザメを刺身で食べると上品でたんぱくな味をしています。背中側は身が締まっていて、ふぐや鯛のような食感と味わいを楽しめます。先ほど醤油かポン酢をおすすめしましたが、ポン酢で食べると少しふぐを食べているような感覚があります。
釣り上げたばかりの新鮮なドチザメなら、背中側の身は一度は刺身で味わってみましょう。もし、どうしても臭いが気になるような場合は、わさびやしょうがなどを加えて臭みを抑えて食べてみましょう。
ドチザメの身は全身を食べつくすことが可能です。先ほどまでは背中側の身とお腹側の身の食べ方を紹介しましたが、しっぽの身も食べることが可能です。
しっぽの身の食べ方のおすすめは湯引きです。サメの骨は軟骨なので、しっぽも簡単に切り落とすことが可能です。しっぽの湯引きは、塩をいつもより少し多めに入れるのが調理のポイントです。湯引き後は酢味噌など、少し味の強いのタレで食べるのがおすすめです。
ドチザメの釣り方
さてドチザメの美味しい食べ方を紹介しましたが、先ほども少し触れたように、ドチザメは食用として漁獲されていることはほとんどありません。
という事は、ドチザメを食べてみたいと思った場合は、事前に漁師さんに頼んでおくか(そこまでが一苦労かもしれませんが)、もしくは自分で釣りに行って釣り上げることでしか食べる術が無いということになります。
そこで美味しい食べ方を紹介したからには、ドチザメを食べてもらうためにドチザメの釣り方についても紹介しておかなければなりませんので、ここからはドチザメの釣り方についてのポイントや注意点について紹介しておきましょう。
頑丈な針を用意しよう
ドチザメの釣り方のポイント1つめは、頑丈な釣り針を用意することです。ドチザメのサイズは150cm程度とサメの中ではそこまで大きいサイズではありません。しかし、一般的な魚と比較すると大きめサイズの魚になります。
そこでそのサイズに負けない頑丈な釣り針を用意しておくことがドチザメの釣り方のポイントになります。サメを釣るときには、サークルフックというサメへのダメージが抑えられる釣り針を使うのがおすすめで、針を飲み込むことなく口元にかかるのがメリットです。
エサはアジ・サバ
ドチザメは普段、小魚や甲殻類を食べて生活しています。そこで餌に使いたいのがアジやサバなどの魚です。アジやサバをそのまま餌にするのではなく、ザクザクとぶつ切りにした後に釣り針をひっかけて釣るのが定番です。
餌が大きくなるので、流れの強い場所でドチザメを釣ろうとすると仕掛けた餌が流されてしまいがちなので、何度か試行錯誤を繰り返し、餌が外れてしまわない方法を探索しましょう。ドチザメの釣り方のポイント2つめはこの餌の選び方と流されない仕掛けの作り方です。
ドラグを緩めて待つ
ドチザメの釣り方のポイントはまだまだあるのですが、3つめの釣り方のポイントは「時間とドラグ」です。ドチザメ釣りを始めてみると実感するのですが、ドチザメが仕掛けにかかるまではそれなりに時間がかかります。
釣りポイントが合っていても1時間ほどは覚悟しましょう。そのため、置き竿をするのが一般的なドチザメ釣りの釣り方になりますが、この時にドラグを緩めておくのがポイントです。緩めておかないと竿が持ってかれるか折れてしまうことがあります。
ちなみにドラグとは、強い引きをする魚に対してリールの糸が巻いてある部分を逆に回転させることで、糸を送り出す機能のことです。
これを締めておくことで糸切れを防ぐ機能なのですが、ある程度緩めにしておかないとのびきった糸を引っ張る力に負けて折れるか持って行かれるかしてしまいますので、必ず適当な強度に設定しておくようにするのがドチザメの釣り方のポイントになります。
大きな網か素手
続いての釣り方のポイントは、キャッチの仕方です。まず、ドチザメがかかったら逃げられないように慎重にリールを巻くようにしましょう。
ドチザメと言えどれっきとしたサメの仲間ですので、逃げる力はかなり強く更に力強く暴れますので、初めての場合はキャッチするのが大変かもしれません。
この様な暴れる魚を捕まえる場合、一般的に水面まできたら網を使って捕まえるのが一般的です。しかし船釣りなどでは尻尾の部分を素手でつかんで持ち上げることも頻繁に行われています。慣れたら素手でも良いですが、それまでは網を使うのがおすすめです。
噛まれないように注意
ドチザメの釣り方のポイント、最後のポイントは釣りあげた後の注意点です。ドチザメが人を襲わないということを紹介しましたが、とは言えサメはサメです。
引っ張る力も強ければ噛む力も強いので、気をつけましょう。指や体を噛まれたという報告はSNSでも多数報告されています。さすがに喰いちぎられるということまではなさそうですが、かなり痛い思いをすることになります。
ドチザメを釣って記念撮影をしようとしているとき、尻尾を持たれたドチザメが暴れて噛むこともありますので、最後まで気を抜かないようにしましょう。
ちなみに、ドチザメを釣ろうとしているとアカエイなどが釣れることがあります。このアカエイも食べるととても美味しいので、ドチザメが釣れなくてアカエイが釣れればまぁ良しとすることもアリです。
アカエイもドチザメと同じようにお刺身や唐揚げなどの食べ方がおすすめです。ドチザメと違い噛むことが無い点は安心ですが、尻尾に毒を持っていますので、調理には十分気をつけるようにしましょう。
ドチザメは日本近海に生息する魅力ある魚!
いかがでしたか。ドチザメとはどのようなサメなのか、その生態や生息地についてご理解いただけたのではないでしょうか。ドチザメは日本近海にのみ生息するサメで、東京湾でも釣ることが出来るつぶらな瞳が特徴的なかわいい顔をしたサメです。
そして自分でも釣ることができ、そして唐揚げやフライなのどの食べ方をすると美味しく食べることが出来るということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
釣るまでには何回かのチャレンジが必要かもしれませんが、是非、東京湾でドチザメ釣りを楽しんでみてはいかがでしょうか。