車のタイミングベルトはとっても重要!
今や車は人々にとってなくてはならないもので、毎日運転している人も多くいます。でも車の仕組みについて知っている人は車が趣味の人などごく一部の人に限られます。
たいていの人は車検などの定期点検の際にディーラーや整備工場に持って行っておまかせです。しかし、ある程度車に関する知識がないと、不具合が発生したときに気付かないまま運転していて重大な故障につながったり、最悪の場合には事故につながることにもなります。
そんな事態に陥らないためにも車についての最低限の知識は身につけておきたいものです。でも、車の内部には数多くの部品があるのでどこから手をつければよいか迷ってしまいます。
ここではまずタイミングベルトとはどのようなものなのか、交換の理由や時期、交換にかかる費用、さらには交換しないとどうなるのかなどについて解説します。
車のタイミングベルトとは?
車にはいくつかの種類のベルトが使われています。ファンベルトは耳にしたことのある人も多いかと思いますが、名前の通りファンを回すベルトのことで、エンジンで発生する熱をファンで冷却するためのものです。
この他にもオルタネーターベルト、エアコンベルト、パワーステアリングベルトなどたくさんのベルトが使われています。
この中でタイミングベルトはエンジンの内部にあって、普段見ることができないベルトです。タイミングベルトはクランクシャフトとカムシャフトという2つのシャフトを結んでいて、エンジンがスムーズに動くために必要なタイミングをコントロールしています。
エンジンの吸気・排気のタイミングをコントロール
もう少し具体的に説明すると、エンジンは外部から取り込んだきれいな空気(吸気)とガソリンを混合して燃焼させ(燃焼)、燃焼によって発生した汚れた空気をマフラーに送る(排気)というサイクルを繰り返すことで動力を発生しています。
タイミングベルトはこの吸気→燃焼→排気のタイミングをコントロールして、最適の状態でエンジンを効率よく稼働させています。
タイミングベルトの交換は必要?
エンジン内部にあるタイミングベルト、交換するとしたらエンジンそのものをばらしてしまわないといけないため、交換の必要はないのではとお思いの方もいるでしょう。
しかし、タイミングベルトは交換が必要な部品です。交換の理由には材質があります。タイミングベルトの材質とその特性、そしてもし交換しなかったらどうなるのかについて解説します。
タイミングベルトはゴムの樹脂で作られている
タイミングベルトはゴムの樹脂で作られています。ただし、強度を増して切れにくくすためにナイロンやグラスファイバーなどの繊維が埋め込んであり、またエンジンの内部にあるので簡単には切れたりしません。
時間が経つにつれて劣化していく
ゴムはご存知の通り時間の経過とともに劣化して硬くなったり伸びたり、さらに時間が経つと亀裂が入ったりします。そんな消耗品のゴムが素材のため、時間が経つと伸びたり切れたりする可能性が高くなるので、そうなる前の交換が必要になります。
交換しないとエンジンが止まる原因に
タイミングベルトはシャフトとよばれるものと歯車のようなものでつながっているのですが、劣化したままのタイミングベルトだと伸びたり摩耗していたりしてしまいます。
その結果、シャフトの歯車とかみ合わなくなり、空回りするなどしてエンジンは正常に動かなくなって停止し、故障の原因となります。
タイミングベルトが切れた場合
タイミングベルトが切れた場合、クランクシャフトとカムシャフトがつながらなくなるため、エンジンは停止します。エンジンが停止するともちろん車はそれ以上動きませんが、最悪なのは、走行中にタイミングベルトが切れた場合です。
エンジンはそれまで動いている訳ですから、バルブ開閉のタイミングがずれて、エンジン内部の部品が曲がったり壊れたりして、エンジンそのものの激しい損傷となります。
そうなるとタイミングベルトの交換だけでなく、エンジン内部の部品をいくつも交換することになるので、修理費用はかなり高額になってしまいます。
タイミングベルトの交換時期
タイミングベルトはその材質から時間が経つにつれて劣化が進み、交換が必要になることは説明しましたが、それではどのくらい走ったら交換が必要になるのでしょうか。また、車種や運転する環境などによって違いはあるのでしょうか。
走行距離10万km・期間は10年毎
タイミングベルトは一般的に距離なら10万km、時間的には10年を目安に交換することが望ましいとされています。これはタイミングベルトの劣化によるものですが、当然、運転や環境によっても交換時期は違ってきます。
坂が多い地方で運転する人や、高速道路を頻繁に使う人、若者に多い傾向として急発進を頻繁に行う運転などはエンジンに負担がかかると同時にタイミングベルトにも余計に負荷がかかります。
そのような環境で車を運転している人は、上で示した10万kmまたは10年という目安を待たずに交換を考えた方が良いでしょう。
軽自動車は早めの交換
タイミングベルトの交換時期の目安である10万kmあるいは10年というのは一般的な運転をした普通車の場合ですが、軽自動車の場合はこの目安が短くなります。
その理由は軽自動車は排気量が少なく、それで普通車並みの速度で走るためにどうしてもエンジンの回転数が高くなってしまいます。
エンジンの回転数が高いということは、それだけタイミングベルトへの負荷も大きくなるので、劣化のスピードも速くなり、その結果、交換時期も早くなってしまうのです。
タイミングベルトは自分で交換できる?
車好きの人はメンテナンスも自分でやることが楽しみのひとつになっています。なのでタイミングベルトの交換作業も自分でできないか、交換方法を調べるなどして交換しようとする人もいるようです。
しかし、タイミングベルトはエンジン内部にあるので、交換しようとするとエンジンそのものを分解することになります。そのため自分で交換作業を行うのには大きなリスクを伴います。
タイミングベルトの交換をディーラーに頼むと工賃が高くつき、しかもタイミングベルトそのものの値段は数千円から1万円前後と比較的安価のため、出来るものならば自分で交換したいという気持ちになるのも事実です。
しかし、タイミングベルトを交換する時期になると、エンジン内部の他の部品等も劣化しているかもしれません、ディーラーなど専門にチェックして必要な部品は同時に交換してもらう方が賢明かもしれません。
整備に慣れていない人はディーラーに!
タイミングベルトの交換に挑戦しようとする人は、普段から整備に慣れている人に限られます。インターネットなどで調べたくらいでは交換は非常に危険です。
もしもちゃんと交換できていなければシャフト間のタイミングが合わず、エンジンを損傷してしまう危険性があります。工賃が高くてもディーラーへ交換のお願いをした方が良いでしょう。
タイミングベルトの交換費用
タイミングベルトの交換費用は高いと言いましたが、なぜそんなに高いのでしょうか。タイミングベルトそのものは1万円程度とそれほど高額ではありません。交換するための工賃が高いのです。
工賃が高い理由はすでに説明しているように、タイミングベルトがエンジンの内部にあって、それを交換するためにはエンジンそのものを分解しなければならず、その手間がかなりかかるため高額になってしまうのです。
ディーラーにお願いすると7万円前後
ディーラーでのタイミングベルトの交換費用はタイミングベルトの価格も含めておおよそ7万円くらいです。つまりタイミングベルトの値段が1万円程度、工賃は6~7万円ほどになります。
ただしこれはタイミングベルトだけの交換の場合です。実際にタイミングベルトを交換するタイミングは10万kmあるいは10年経過目安なので、当然、エンジン内部にあるその他の部品も劣化している可能性があります。
主な部品としてはウォーターポンプなどいくつかありますが、これらを別々に交換しようとすると、その都度エンジンを分解することになり、高額になると同時に時間もかかってしまいます。
なので、タイミングベルトを交換する際に、他の部品についてもチェックしてもらい、必要ならば同時に交換してもらうことをおすすめします。多少、そのときの費用が高くなってもトータルで見ると、こちらの方が安くて済みます。
タイミングベルトは適切な時期に交換しよう!
以上説明したように、タイミングベルトは車を動かすための重要な部品のひとつです。これが時間の経過とともに劣化したり切れたりすることで、時には重大な事故にもつながりかねません。
ディーラーや整備工場で修理や点検をする際に、ある程度距離や年数を重ねた車の場合は、タイミングベルトの確認、時には交換をしてもらうように心掛けましょう。安全に、長く乗るためにはタイミングベルトもチェック項目のひとつに入れておくことが大切です。