北海道の方言「なまら」の意味
日本語には全国的に使われる標準語と一部の地域で使われる方言の二種類があり、「なまら」も方言の1つです。「なまら」は主に北海道で使われている方言で、北海道民以外にはあまりなじみのない言葉です。では、「なまら」という言葉にはどういった意味があるのでしょうか。
意味は「すごく」「とても」
北海道で使われている方言の「なまら」ですが、標準語の「すごく」や「とても」といった意味を持つ言葉です。方言といえば年配の方が使うイメージが強いですが、「なまら」の場合は若者がよく使っているのが特徴です。
北海道を代表する有名な方言
若者が使うことが多い「なまら」ですが、北海道で使われている方言の中でも有名な言葉でもあります。「なまらパチンコTV」や「なまらぶ」のように北海道内で放送されているローカル番組の番組名にも使われ、北海道内では馴染みのある言葉になっています。
北海道の方言「なまら」の由来
どんな言葉にも由来があり、由来をたどることによってその言葉がどういった経緯で生まれ定着していったのかがわかります。では、北海道の方言の代表的な言葉である「なまら」にはどういった由来があるのでしょか。続いては、「なまら」の由来について紹介していきます。
「なまら」は新潟の漁師の間で使われていた浜言葉
現在北海道の方言として使われている「なまら」ですが、この言葉の由来は新潟の漁師たちが使っていた浜言葉からきています。新潟の漁師たちが使っていた浜言葉が移住者によって北海道に伝わり、北海道でも使われるようになり定着したことが「なまら」が使われるようになった由来です。
「生半可」が語源
北海道で使われている「なまら」は新潟の漁師たちが使っていた浜言葉が由来だと説明しましたが、元々の語源は生半可からきています。生半可が徐々になまっていき、「なまら」となり生半可と同じ意味で新潟の漁師たちが使っていました。
「なまら」と似た北海道の方言「わや」とは
北海道の代表的な方言の「なまら」ですが、なまらと似た方言に「わや」があります。「わや」も「なまら」と似たような使い方をする言葉ですが、詳しい意味は大きく異なるのが特徴です。
では、「わや」にはどういった意味があり、「なまら」とはどういった違いがあるのでしょうか。続いては、「なまら」と「わや」の違いについて紹介していきます。
「わや」の意味
「なまら」と似た北海道の方言である「わや」ですが、むちゃくちゃな様や手を付けられない状態を意味する言葉です。意味合い的には「なまら」も「わや」も同じですが、使い方に関しては違いがあるため注意が必要です。
「なまら」と「わや」の違い
似た意味合いを持つ「なまら」と「わや」ですが、違いは使い方にあります。「なまら」は基本的に次に来る単語を修飾するために使うため、単体で使うことはありません。しかし、「わや」の場合は単語の修飾で使うこともありますが、単体で意味を成すため「わや」単体で使うことが多いです。
北海道の方言「なまら」の使い方・例文
ここまでの紹介で「なまら」がどういった意味を持つ言葉か分かったと思いますが、方言で一番大切なことは正しい使い方を理解しておくことです。続いては、例文を交えながら「なまら」の正しい使い方について紹介していきます。
例文①
一つ目の例文は、「このカレーなまらうまいべさ」です。この例文で「なまら」は「うまい」を修飾しています。つまり、標準語での意味としてはカレーがとてもおいしいということになり、相手に食べているカレーのおいしさを伝える文になります。
例文②
二つ目の例文は、「遊園地行ったけどなまら混んでたよ」です。この例文で「なまら」は「混んでた」を修飾しています。
標準語としての意味としては遊園地に行ったら人がたくさんいてとても混んでたということになり、話し相手に行った遊園地がとても混んでいる状態だったことを伝える文になります。
例文③
続いての例文は、「大寒波がやってきて今日はなまら寒い」です、この例文において「なまら」は「寒い」を修飾しています。
標準語としての意味は大寒波がやってきてとても寒いということになり、話し相手に今日はとても寒いと伝える内容になります。しかし、氷点下20℃を下回った場合、「しばれる」を使うこともあります。
例文④
最後の例文は、「仕事が多くて今日はなまら疲れた」です。この例文で「なまら」は「疲れた」を修飾しています。標準語に直すと仕事の量が多くてとても疲れたということになり、話し相手に仕事が多くてとても疲れたことを伝える内容になります。
「なまら」以外の北海道の方言
これまで北海道の代表的な方言の一つ、「なまら」の意味や由来、そして例文を交えながら使い方を紹介してきました。しかし、北海道で使われている方言は「なまら」だけではありません。続いては、「なまら」以外に北海道で使われている方言について紹介していきます。
「したっけ」の意味
まず紹介する方言は、「したっけ」です。北海道の方言としてのイメージが強いですが、茨城県や山形県などでも使わっれている方言でもあります。しかし、意味合いは地域によって微妙に異なります。
北海道では「そうすると」や「そうしたら」といった意味合いで使われる言葉で、順接の形で文章に使われることが多いです。また、一言で「さようなら」や「バイバイ」といったお別れ際の挨拶としても使われます。
例文
順接の接続詞として使われることの多い「したっけ」ですが、「したっけ、お昼休憩にしようか」という形で使われています。
この例文の場合、「したっけ」は「そうしたら」という意味で使われています。順接の接続詞としての役割をしており、前の文を受けてお昼休憩することを提案する意味の文となります。このように、文の頭で「したっけ」を使う場合は順接の接続詞として意味合いで使うことが多いです。
「けっぱる」の意味
「けっぱる」は標準語で頑張るという意味で使われる方言です。標準語の頑張れと同じように相手を応援したり元気づけたいときなどに使われますが、意味合い的には精一杯頑張れ、一生懸命頑張れといった特に頑張ってほしい場面で使われることが多いです。
例文
一生懸命頑張るや精一杯頑張るという意味を持つ「けっぱる」ですが、「太一君、けっぱれ!」といった形で使われることが多いです。
運動会やマラソン大会などのスポーツイベントなどに参加している人に頑張って欲しいときよく使われます。そのため、「けっぱる」の命令形である「けっぱれ」で使われることが多いです。
「ちょす」の意味
続いて紹介する北海道の方言は「ちょす」です。標準語だと「触る」、「いじる」、「構う」といった意味に当たる言葉です。また、「ちょす」は北海道だけではなく、青森県や宮城県など東北地方でも同様の意味の言葉として使われているのが特徴です。
例文
触るや構うといった意味で使われている「ちょす」ですが、「可愛い女の子をちょする」といったように使われることが多いです。
この例文の場合、「ちょす」はからかうという意味で使われています。ちょすがどういった意味で使われているかは前後の文章で判断するしかありません。前後の話から判断して触るという意味で使われたのか構うという意味で使われたのかなどを判断するようにしましょう。
「はんかくさい」の意味
4つ目に紹介する北海道の方言は「はんかくさい」です。標準語だと「おっちょこちょい」や「まぬけ」と行った言葉が意味の近い言葉になります。最近ではあまり使われなくなってる言葉ではありますが、おっちょこちょいな人を表現する言葉として使われています。
例文
おっちょこちょいやどんくさい、まぬけといった意味を持つ「はんかくさい」ですが、「弟ははんかくさいからよく転ぶ」のように使われることが多いです。
この例文を標準語にすると弟はおっちょこちょいだからよく転ぶという文になります。「はんかくさい」がおっちょこちょいやまぬけ、どんくさいなどどういった意味で使われているかは前後の文脈で読み取るようにしましょう。
「ひゃっこい」の意味
続いて紹介するのは「ひゃっこい」という方言です。標準語の「冷たい」という意味で使われている言葉です。「ひゃっこい」と発音する人もいれば「しゃっこい」と発音する人もいますが、どちらの発音も正解です。また、北海道以外の地域でも同じ意味で使われているところがあります。
例文
何かを触った時に冷たく感じた時に使う「ひゃっこい」ですが、「川の水がひゃっこい」というように使うことが多いです。
「ひゃっこい」は例文のように何かを触るなどをした時にとても冷たかった時に驚きと冷たかったことを伝えるときに使うことが多いです。そのため、文の中で使うよりは単語単体で使う機会が多めの方言です。
「しばれる」の意味
最後に紹介する北海道の方言は「しばれる」です。寒波がやってきて気温が大きく冷え込んでいることを意味する言葉で、気温が0度以下の氷点下を記録した時に使われていることが多い言葉です。それ以外の時は「なまら」を使って寒さを表すことが多いです。
例文
特に気温が氷点下を大幅に下回って寒いことを表すときに使う「しばれる」ですが、「今朝はしばれるね」というように使われます。
「しばれる」は、例文のようにとても気温が低いことを表す方言になっています。しかし、北海道は本州と比べると冬は非常に寒くなるためただ単に氷点下を下回った時ではなく、-20℃以下まで下がった時に使うことが多いです。
北海道で「なまら」を使ってみよう!
今回は、北海道で使われている方言「なまら」について紹介していました。「なまら」は標準語で「とても」や「すごい」といった意味を持つ言葉で、次に続く単語を修飾する言葉として使われています。
元々は新潟で生半可がなまって漁師たちが使っていたのが元々の由来で、それが北海道に伝わって現在に至っています。また、似た意味の言葉として「わや」がありますが、使い方が違うため注意が必要です。
もし、北海道で今回紹介した「なまら」を始めとした方言を使うときは意味や使い方をしっかりと理解し、間違った使い方をしないように気を付けて使うようにしましょう。