「猪突猛進」の意味とは?正しい使い方・類語・対義語もまとめて紹介!

「猪突猛進」の意味とは?正しい使い方・類語・対義語もまとめて紹介!

猪年の年賀状などによく書かれる「猪突猛進」という四字熟語。良い意味も悪い意味も持つ言葉ですが、皆さんは、どのようなイメージをお持ちでしょうか。今回の記事では、「猪突猛進」の意味を、正しい使い方・類語・対義語を含めて解説していきます。

記事の目次

  1. 1.猪突猛進の意味とは?
  2. 2.猪突猛進の対義語・類語
  3. 3.猪突猛進の使い方・例文
  4. 4.猪突猛進と一心不乱の違い
  5. 5.猪突猛進を使う際の注意点
  6. 6.猪突猛進の由来・歴史
  7. 7.猪突猛進の英語表記
  8. 8.猪突猛進の漢字
  9. 9.猪突猛進とは「一つのことに向かって、向こう見ずに突き進むこと」という意味

猪突猛進の意味とは?

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猪年の年賀状をもらうと、大きく書かれた「猪突猛進」という四字熟語や、猪が勢いよく走り抜けるイラストで、今年も元気に邁進していくという意味の抱負が表されています。

四字熟語の中でも「猪突猛進」は聞き覚えのある言葉なので、なんとなくイメージが湧くという人も多いのではないでしょうか。「猪突猛進」の正しい意味とは、「一つのことに向かって、向こう見ずに突き進むこと」ということです。

使うシーンによって意味合いも変わる

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しかし、「猪突猛進」は、広く世の中に知られているがゆえに、正しい意味・使い方がされていない可能性が高い四字熟語でもあります。今回の記事では、「猪突猛進」の正しい意味を理解したうえで、正しい使い方ができるよう対義語・類語・例文をあげながら解説していきます。

また、「猪突猛進」には、「目標に対して、がむしゃらに猛烈な勢いで突き進むこと」という意味の他にも、「向こう見ずながらも、猛烈な頑張りを表す」という意味があります。「猪突猛進」には、良い意味で使うシーン・悪い意味で使うシーンがあります。

「猪突猛進」は、どのような場面で良い意味につかうのか、類語との意味の違いも考えならが、社会人として間違った使い方をしないよう、正しい意味を学んでいきましょう。

猪突猛進の良い意味合い

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「猪突猛進」には、「ひたむきに真っすぐ、目標に向かって努力する」という良い意味で使う場合もあります。これは、前述した年賀状などに書く場合のように「目標に向けて、ひたすら前進する」という意味で使われています。

このように「猪突猛進」という四字熟語は、最近では良い意味合いで使用することも多くなっています。しかし、「猪突」は「がむしゃらに物事を行うこと」「一つの事に向かって猛烈な勢いで進むこと」「向こう見ずに物事をすること」という意味を持ちます。

つまり、本来の「猪突猛進」とは、無鉄砲な意味合いが強い、あまり良い意味で使う四字熟語ではないのです。この辺りを調査するためにも、対義語・類語などについても後述します。

猪突猛進の悪い意味合い

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「猪突猛進」の意味を辞書で調べてみると、「周囲の人のことや状況を考えずに、一つの目標に向かって猛烈な勢いで突き進むこと」とあり、四字熟語辞典には「猪が直線的に突進するように、目標に対してがむしゃらに進むこと。また、向こう見ずに猛烈に突き進むこと」とあります。

どの説明にも、「相手や周りをかえりみない」「向こう見ず」というような良くない意味が含まれています。また、「猪突猛進」という四字熟語は、人柄を表す時にも使われます。その場合は、「融通が効かない」「後先なしの考えの浅さ」という特徴を意味しているのです。

もし、「君は猪突猛進タイプだ」と言われたなら、褒められているわけではなく、「浅い考えで行動する」「相手や周囲に考えが及ばない」という意味なので、忠告されているのだと考えましょう。

猪突猛進の対義語・類語

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「猪突猛進」の正しい意味・使い方を理解するうえで知っておきたいのは、対義語・類語になります。「猪突猛進」には、様々な類語・対義語が存在しますが、まずは対義語を見てみましょう。

十分に考えを練ったうえで、思い切って行動を起こすという対義語は「熟慮断行」。遠い将来の事まで、深く考えられた計画をするという対義語で「深慮遠謀」。また、物事を行う場合に、熟慮したのちに初めて実行に移すという意味の「三思後行」などの対義語があります。

次に類語ですが、目標に向かい恐れる事なくまっしぐらに進んでいく類語「勇往邁進」、ためらうことなく真っすぐ進んでいくという類語の「直王邁進」、感情の赴くままに行動する類語「直情径行」、何が起こったとしても恐れずに真っすぐに進んでいくという類語「一往直前」等があります。

猪突猛進の使い方・例文

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ここまで「猪突猛進」という四字熟語の意味・対義語・類語について、ご説明してきましたが、こちらでは、「猪突猛進」の正しい使い方を知るために、具体的な例文をご紹介していきます。是非「猪突猛進」を使う時の参考になさってみてください。

また、上記でもご説明したように、「猪突猛進」を良い意味合いで使うシーンの例文も挙げていますので、どのような場面で使うのか、その使い方にも注意してみてください。

例文①

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まず一つ目にご紹介する例文は、「彼女は何かを決心すると、猪突猛進となっていまい、周囲の状況が見えなくなってしまうところがある」というものです。

こちらの例文に出てくる「猪突猛進」の使い方は、何かを決めたとたん目的に向かい、ただ突き進むことだけに夢中となり、周りの人や環境については何も考えられない状態を表す使い方です。

例文②

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二つ目は、「彼の仕事への取組みはまさに猪突猛進といったもので、勢いは良いが向こう見ずなので失敗が多い」という例文です。

この例文中の「猪突猛進」意味は、勢いよく仕事に対する姿勢が、将来のことは考えず突進してしまうということなので、結果として失敗することが多いという使い方となります。

例文③

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次の「猪突猛進」という四字熟語を使った例文は、「彼は恋愛となると、猪突猛進タイプとなってしまい、結局いつも失恋に終わる」というもの。

この場合の「猪突猛進」の使い方は、相手の気持ちも状況も考えずに、ただがむしゃらに自分の意思だけで突き進んでしまうので、いつも願いは叶わずに終わってしまうという意味です。

例文④

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「猪突猛進」の例文として次にご紹介するのは、「あなたはこうと決めると、向こう見ずに突っ走るところがある。猪突猛進な行動は控えなさい」という例文です。

こちらの「猪突猛進」の使い方は、「周りを気にせず突っ走る人」「周りが見えなくなる人」という特徴を、たしなめる場面で使う使い方となります。

例文⑤良い意味合い

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「彼は猪突猛進タイプだが、若いうちはそれぐらいがむしゃらなところがある方が良いのかもしれない」「彼女は猪突猛進型で無謀な面もあるが、行動力はあるため何でも習得するのが早い」「成功している人には、猪突猛進の行動力を持った人が多いものだ」

これらの例文は、「猪突猛進」という四字熟語を「強い行動力がある」という意味で使っています。このような場面で使われる場合は、「猪突猛進」を良い意味で使っていると考えて良いでしょう。

猪突猛進と一心不乱の違い

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前述した「猪突猛進」の類語の他にも、中国の有名な儒学者である孟子の言葉で「匹夫の勇(ひっぷのゆう)」という言葉も「猪突猛進」と同じような意味を持つと考えられます。これは、たいした考えもなく、ただ血気盛んに行動するという意味です。

先にご紹介した「勇往邁進」「直王邁進」「直情径行」「一往直前」と共に、あまり知られていない言葉となりますが、皆さん聞き覚えのある類語として「一心不乱」という四字熟語もあります。

「猪突猛進」は闇雲に進むという、あまりポジティブではない意味ですが、「一心不乱」は一般的には、目標に向かって努力するという好意的な意味を持つ点が少し違う類語となります。

一心不乱は「ある事を一途にしようとする様」という意味

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「一心不乱」の意味を、もう少し詳しくご説明しましょう。元は仏教から来ている言葉で、「ただ一つの事に集中し、他の事に心を乱されず集中して打ち込むこと。また、そのさま」という意味です。

「一心不乱」の類語としては、「一生懸命」「粉骨砕身」「全身全霊」などがあります。また、対義語としては、疑いためらって愚図愚図するという意味の「狐疑逡巡」や、周囲の思惑を気にして決断できず迷うという「右顧左眄」という対義語などが挙げられます。

「来週受ける資格試験に向けて、一心不乱に勉強する」「一心不乱に何かが出来るというのも、才能の一つであると言える」などの使い方を見ても、「一心不乱」は、ポジティブな意味で使う四字熟語だということが分かります。

猪突猛進を使う際の注意点

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ここまで「猪突猛進」の正しい意味を知り正しい使い方をするために、類語・対義語・例文などをご紹介してきました。次に、こちらでは「猪突猛進」を使う際の注意点を、ご説明していきます。この注意点に気を付けて、間違った「猪突猛進」の使い方をしないようにしましょう。

長所をアピールする場面では使えない

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例文をご紹介した際にもご説明しましたが、「猪突猛進」という四字熟語を利用して、人柄の良い点を表現する場合は多々あります。しかし、単に「あなたは猪突猛進タイプだ」と言われたなら、それは長所を褒められているわけではないので、注意が必要です。

そのため、面接などで自分の長所をアピールしたい時に、「猪突猛進な面を生かし、御社で仕事をする際も素早い行動力で取り組みます」という発言はNGとなります。

もし、面接で「猪突猛進」を使いたいなら、「私の短所は猪突猛進なところで、こうと決めたらとことん夢中になってしまう面があります」など、致命的ではない短所として使うのがおすすめです。

猪突猛進の由来・歴史

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「猪突猛進」という四字熟語は、どのような由来から出来た言葉なのでしょうか。また、紀元前1600年頃にできていた十二支の最後にあたる猪は、歴史的にも意味深い動物です。そんな猪が含まれる「猪突猛進」の由来・歴史について、解説していきます。

由来

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実際の猪は走っている最中に、曲がる事も出来ますし、バック・Uターンも可能で自由自在に方向転換できます。しかし、猪が走っている姿は、強靭な筋肉を全て使った猛烈な勢いなので、見ている人から真っすぐにしにか走れないと誤解されたようです。

また、猪は獲物を見つけた時や、敵と認識する対象に向かい、凄まじい勢いで突進していく動物です。そのため、猪は一度走り出したら、ひたすらまっすぐにしか走れない、どうやっても止められないと考えられたことが、「猪突猛進」という四字熟語の由来となりました。

「猪突」は、猪がまっすぐに走る姿を表わす言葉で、「猛進」という言葉は、激しい勢いで突き進む意味を表わしています。

歴史

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「猪突猛進」とは、「猪突」と「猛進」という言葉の合成漢語です。「猪突」とは、前漢時代に漢王朝を一時的に乗っ取ったとされる王莽(おうもう)が、囚人らを集めて組織した軍隊の名前だということが、中国の歴史書である「漢書」に記されています。

また、王莽は「き勇」という名前の軍隊も作っており、「猪突」と合わせた「猪突き勇」としていました。この軍隊は、死をも恐れず突き進む勇猛な軍隊だったという記載もあります。

そして、「猛進」については、大乗仏教の経典の一つである「無量寿経」に「勇猛精進して志願倦むことなし」という記述に由来しているという歴史があります。「勇猛精進」とは、願いを叶えるために、強い闘いの気持ちと精神の強さを表した言葉です。

猪突猛進の英語表記

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「猪突猛進」の意味・使い方が理解できたところで、もし「猪突猛進」を英語で使いたい場合は、どのように表現すればよいのでしょうか。

まず、勢いよく走る・突進するという意味の「rush」と、無鉄砲に・無謀にもという意味の「recklessly」を合わせた「rush recklessly」が挙げられます。

また、「make a headlong rush」も、「headlong」が頭を先に・向こう見ずにという意味なので、「猪突猛進」の英語表現として、よく使われる言葉になります。

猪突猛進の漢字

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こちらの章では「猪突猛進」の漢字について、ご説明していきます。まず「猪」という漢字ですが、ケモノヘンに「者」と書きます。ケモノヘンは、「犬」が変形した部首で、犬に似た動物や野性的な行動を表す漢字に使われます。また、「者」は充実した様子を表わすという意味も持ちます。

ケモノヘンに「者」の「猪」とは、肉がたっぷりと付いた犬に似た動物という意味になります。「突」という感じは、当用漢字で穴冠に「大」と書きますが、元々の意味は穴から犬が飛び出すという意味で、穴冠に「犬」と書いていました。現在の「突」は、本来の意味を成していない事になります。

「猛」という漢字には、「強くて荒々しい」という意味があります。そのため、「猛進」とは「荒々しく強く進んでいく」という意味になるのです。

猪突猛進とは「一つのことに向かって、向こう見ずに突き進むこと」という意味

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「猪突猛進」とは、「一つのことに向かって、向こう見ずに突き進むこと」という意味で、目標のためなら周りの人や状況を考えずに、猛烈な勢いで進んで行ってしまうというネガティブな意味合いを持つ四字熟語です。

しかし、目標のために強い覚悟と意思を持って行動するという事は、人生において重要な事となります。もちろん周りの人に迷惑をかけてしまうのは良くありませんが、「猪突猛進」するほどの勢いを持つということは大事なことなのではないでしょうか。

今回の記事では、「猪突猛進」の正しい意味や使い方を、例文・類語・対義語を含めてご説明していますので、ぜひ正しい意味を知ったうえで「猪突猛進」を使いこなしてみて下さい。

猫山まめた
ライター

猫山まめた

企業に20年以上勤めた経験を生かし、ライティングのお仕事も正確さ・丁寧さを大切に取り組んでいます。趣味は、映画・旅行に時々ピラティス。そして、今は暮らしのことに興味を持ち、すっきりした生活を目指しています。趣味も暮らしも「シンプル」がモットーです。

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