会社を休むと電話で伝えるのは緊張する
社会人になると、さまざまなシチュエーション別にビジネスマナーを身につけ、例文とともにTPOに合わせて使い分けていく必要があります。
中でも、「会社を休むときの伝え方」はビジネスマナーとしては上級編で、ベテランになってもなかなかに緊張するようです。
さらに、最近では電話そのものに慣れていない若い世代も増えており、会社を休む連絡もLINEやメールで簡単にすませようとしたりと、マナーを理解していないケースもめずらしくなくなっています。
風邪、身内の不幸、通勤中の事故など、会社を休む場合の電話での正しい伝え方をビジネスマナーとともに解説しますので、電話の例文や注意点とともにおさえておきましょう。
会社を休むときの連絡
風邪などで会社を休む際、正しい伝え方で休むと連絡を入れることはビジネスマナーのうえでも大切です。会社を休む際の連絡はビジネスマナーの基本であり、正しい伝え方を知らないと相手に対して失礼になってしまいます。
社会人として働くうえで、「会社を休む」というのはよくあるシチュエーションであり、伝え方や例文にもさまざまなバリエーションがあります。
会社を休む際の連絡で社会人として意識しておくべきポイントと注意点について、ビジネスマナーの基本からシミュレーションしていきましょう。
必ず連絡しよう
報告、連絡、相談はビジネスマナーの基本です。もちろん、会社を休む場合も例外ではなく、休むことが決まった時点ですぐに会社に連絡を入れる必要があります。
時間がない、病気が辛すぎる、などの理由で会社に休む旨の連絡をしないでいると無断欠勤となり、業務上の査定が下がりますし、上司の心証も著しく悪くなってしまいますので注意点としておさえておきましょう。
会社を休むこと自体は決して悪いことではありませんし、むしろ自然なことです。例文を把握し、きちんとした伝え方で連絡を入れれば上司も理解してくれますし、有給扱いにしてくれるかもしれません。
どのような事情があるにせよ、会社を休む場合はまず上司に連絡し状況をきちんと説明することがマナーですので、例文と注意点をおさえておきましょう。
電話が原則
会社を休む場合、電話で連絡を入れるのがビジネスマナーの鉄則です。最近では、手軽だからという理由でメールやLINEで休むと連絡するケースが増えているようですが、ビジネスマナーでは不正解であり、上司に対して失礼にあたります。
どのような事情があるにせよ、会社を休む場合は必ず電話で連絡を入れ、休む理由と状況について詳しく説明するのが順当な流れです。復帰のタイミングがある程度わかっていれば、電話の段階で伝えておきましょう。
極端にひどい風邪などで声がどうしても出せず、電話が難しい場合にはメールにてそうした事情を説明するのもひとつの伝え方ではありますが、その場合はビジネスメールの例文と注意点も合わせておさえておきましょう。
必ず本人が連絡する
会社を休む場合は必ず、休む本人が電話を入れるのが原則です。実家暮らしだったり、結婚したりしている場合、家族に電話させる例もありますが、ビジネスマナーとしては絶対にNGです。
病気にかぎらず、突発的なアクシデントの場合も本人が直接電話で連絡を入れることで誠意が伝わりますし、上司のほうもその場の状況を理解しやすくなります。
もちろん、連日高熱でうなされていて動けない、緊急入院によって会社に電話をする余裕がなかった、などのケースではこのかぎりではありませんので、マナーはあくまでマナーであると理解しておきましょう。
在宅ワークでも連絡は必要?
最近では新型コロナウイルスの影響もあり、在宅ワークの重要性が見直されつつあります。在宅ワークでは基本的に会社に行く必要がなく、納期までに所定の業務をこなして納品する、という契約になっています。
在宅ワークであれば自分のペースで働けるため、風邪などのアクシデントで休むことになったとしても会社への連絡が必要ない、と思っている方も多いようです。
しかしながら、在宅ワークであっても会社員である以上は状況の変化を伝える義務があり、会社側にも社員の稼働状況を把握する責任があります。
したがって、在宅ワークであっても数日間業務を休む必要がある場合は必ず会社に連絡を入れ、復帰のタイミングについても可能なかぎり伝えることがビジネスマナーとしては正解になりますので、例文をつくっておきましょう。
会社を休むとき電話で伝えるべきこと
急なアクシデントや風邪などで会社を休む場合、上司にはどのようなことを伝えれば良いのでしょうか。上司に失礼にならない電話での伝え方とともに、休む際に伝えるべきポイントと注意点についておさえておきましょう。
急に休むなら理由を
社会人として会社で働いていると、病気だけでなく、予期せぬアクシデントによって仕事を休まなくてはならないシチュエーションが必ず出てきます。
急な欠勤の場合でも、必ず会社に連絡を入れるのがマナーです。その際、ただ休むと伝えるのではなく、たとえば「子供が急に熱を出しまして」などと理由をひと言添えることでより親切な伝え方となります。
もちろん、休む理由は本当のことでなければならず、会社をただただ休みたいからと嘘の理由を伝えても上司に感づかれますし、後々まで気まずくなってしまいますので、注意点としておさえておきましょう。
今の状態も伝えよう
「急なアクシデントで会社を休む」と伝えられた場合、上司としてまず心配するのはあなた自身の現状です。病気にせよ事故にせよ、会社を休むということは何らかの異変が起きたわけですから、上司としてはさまざまな可能性を想像するはずです。
上司を安心させるためにも、会社を休むと電話で伝える際には現状についてもしっかりと伝え、復帰のタイミングがある程度わかっているのであればその見通しも具体的に伝えるのが基本的なマナーとなります。
仮に、深刻なトラブルに巻き込まれてしまい、復帰のタイミングについて見通しが立たない場合はその旨も上司に伝え、その後の判断をゆだねる必要があります。
引継ぎがある場合は忘れずに
業務を抱えている状態で急に会社を休む場合の注意点として挙げられるのが仕事の引継ぎです。その際には上司にも現在の業務について説明し、その後の割り振りについて判断してもらうことになります。
仕事の引き継ぎはできるかぎり本人が行うのがビジネスマナーとしては基本となりますが、深刻な事故や病気で会社を休む場合は上司や同僚に引き継ぎを託すことになりますので、その分の御礼も必要になります。
特に、取引先との重要な商談を欠席する場合は迅速な連絡が必要になり、上司への伝え方次第では取引先や会社全体に大きな迷惑がかかる可能性がありますので、基本的な注意点としておさえておきましょう。
会社を休むときの電話の相手
風邪などで会社を休む場合、会社の誰に連絡を入れる必要があるのでしょうか。急なアクシデントで会社を休む場合にそなえ、休む連絡を入れるべき相手について把握しておきましょう。伝え方についてもシミュレーションしておくとなおベストです。
自分の上司
一般的に考えて、会社を休む場合にまず連絡を入れるべき相手は上司です。この場合、直属の上司に連絡を入れる必要があり、休む理由と現在の状況について具体的に伝えるのがビジネスマナーとしては基本になります。
初めて会社を休む場合、伝え方としては「急な御連絡で申し訳ございません」などと前置きをするのがより丁寧なマナーとなり、上司の心証を良くすることにもつながります。
会社を繰り返し休んでいる場合は伝え方をより丁寧にする必要があり、上司のほうも慣れているだろうとおざなりな伝え方にしたのでは失礼になってしまいます。
上司が不在の場合は代わりに出た人に、「折り返し御電話させていただきます」などと伝えるのがマナーであり、上司のほうからかけなおしてもらうのは失礼になってしまいます。
会社によって決まりがある
事故や病気などで会社を休む場合、基本的には直属の上司に伝えるのがマナーですが、会社によっては上司以外への連絡を義務づけているところもあります。
その場合、直属の上司に休むと伝えても正確な連絡にはならない可能性がありますので、いざという時にそなえ、就業規則をあらかじめチェックしておきましょう。
会社を休むとクビになる?
最近では、「会社を休むべき時なのになかなか休めない」というケースが増えているようです。真面目に働いている人ほど、「会社を休むと解雇につながる」という不安があるようですが、それは錯覚にすぎません。
ここ数年は労働者の立場もますます向上しており、正当な理由さえあればたとえ短いスパンで会社を休んだとしても解雇につながることはなく、仮にそれで解雇されたとしても会社側と交渉をする権利が認められています。
ただ、休む連絡のタイミングや使い方によっては上司の心証が悪くなり、それが積み重なることで復帰後も働きにくくなることが予想されますので、伝え方とタイミングには充分に注意しましょう。
会社を休むときの電話の伝え方例文
会社を休む場合、電話で理由と状況をきちんと伝えるのは社会人として最低限のマナーです。ただ、電話に不慣れだったりすると、いざという時に伝え方がわからず、戸惑ってしまうかもしれません。
伝え方は会社を休む理由やシチュエーションによって変わってきますので、シチュエーション別に例文を把握しておきましょう。
体調不良が理由の場合
前日まで元気でも、当日の朝になって急に体調が悪くなってしまうケースもあります。体調不良によって会社を休む場合、症状の程度と原因について詳しく上司に伝えるのが基本マナーです。
また、復帰のタイミングについてもわかる範囲で伝える必要があり、伝え方の例文としては、「今朝から急に腹痛がひどくなったため、申し訳ありませんが休ませていただけますでしょうか」のようになります。
復帰のタイミングについて伝えるのであれば、「明日には出勤できるかと思います」などのような例文になり、症状がひどいようであれば「数日ほど様子を見させていただいてもよろしいでしょうか」などが丁寧な伝え方になります。
事故が理由の場合
帰宅途中や通勤途中に事故に遭うケースも考えられます。命にかかわる事故で病院に緊急搬送をされないかぎり、事故に遭った時点ですみやかに会社に伝えるのがマナーとなります。
この場合、事故の詳細と現状をできるかぎり細かく伝えるのが社会人としての基本マナーであり、自動車事故であれば「通勤途中に交差点で事故に巻き込まれたので、会社を休ませていただけますでしょうか」などの例文が参考になります。
会社によっては、復帰後のタイミングで事故証明書や主治医による診断書の提出を求められる可能性がありますので、一連の公的書類はしっかりと保管しておきましょう。
子供の急病などが理由の場合
幼い子供を育てながら会社で働いていると、子供の急病やケガによって当日の朝に休む連絡をしなくてはならないシチュエーションが出てきます。
その場合は、まず、子供の状態と症状について上司に詳しく伝えるのが基本マナーとなり、例文としては「子供が今朝急に高熱を出したため、申し訳ございませんが会社を休ませていただけますでしょうか」のようになります。
また、子供の症状が重く、復帰のタイミングがわからない場合はそのことを正直に伝え、仕事の引継ぎを含めて上司と相談する必要があります。
身内の不幸が理由の場合
社会人として長く働いていると、身内の不幸を理由に会社を休まなくてはならない場面が出てきます。その際ももちろん理由を正直に伝え、「母方の祖母が急に亡くなったので、申し訳ございませんが休ませていただけますでしょうか」などのように言うのが基本マナーとなります。
なお、忌引き制度を使って会社を休む場合、復帰後に所定の手続きをすませる必要がありますので、手続きの内容についてもあらかじめチェックしておきましょう。
つわりなどが理由の場合
妊娠中も働きつづける場合、つわりが原因で会社を休まなくてはならないシチュエーションが出てきます。その場合もやはり状況を正直に伝え、「つわりが急にひどくなったため会社を休ませていただけますでしょうか」などが正しい例文となります。
ただ、男性の上司の場合、つわりの辛さを理解してもらえない可能性がありますので、その際には体調不良と伝えるか、女性の上司に連絡するのが伝え方としてはベターです。
前日に申請する場合
会社を休むことが早い段階でわかっている場合は、前日までに事前申請を行うのがマナーです。ほとんどの会社では事前申請の書類を用意していますので、手続きの流れと合わせて確認しておきましょう。
事前申請の場合、例文のポイントとしては、「休む理由と現状、復帰のタイミングをわかりやすく伝える」という点があり、仕事の引継ぎについても相談しておくのがマナーです。
休むことがあらかじめわかっているのであれば、当日よりも事前申請のほうが上司の心証も良くなりますので、「会社を休むときは事前申請」と覚えておきましょう。
会社を休むときの電話の注意点
病気などで会社を休む場合、伝え方や例文を丸暗記するだけでは社会人として必要なマナーを身につけることはできません。電話をかけるタイミングや復帰後のフォローなど、より具体的なマナーについて見ていきましょう。
いそがしいタイミングは避ける
会社を休む場合、できるかぎり早いタイミングで上司に伝えるのがマナーですが、だからといって、忙しいタイミングで電話をかけたのではかえって失礼になってしまいます。
上司のほうも同時にたくさんの仕事を抱えているため、忙しいタイミングで電話をかけたのでは迷惑になりますし、正しい情報が伝わらない可能性もあります。
タイミングとしては、始業時間の10分前~15分前に電話をかけるのが基本マナーとなり、上司が不在である場合は伝言を託しておき、タイミングを見てあらためてかけ直しましょう。
相談という形をとると心象が良くなる
急病や予期せぬアクシデント以外にも、会社を休むタイミングは多々あります。事前にまとまった休みを申請する場合、「お休みさせていただけないでしょうか」のように、相談の形で切り出したほうが伝え方としてはやわらかくなります。
また、有給休暇を取得する場合、上司としては人員調整の都合がありますので、できるかぎり早いタイミングで伝えるようにするとその後の関係も良好になります。
休み明けはお礼を伝えるのがマナー
会社を休んだ後には必ず、上司や同僚、部下にきちんとお詫びとお礼を伝えましょう。特に、仕事を
代わってもらったスタッフには丁寧に感謝の気持ちを伝えるのがマナーです。
また、病気やケガなどで長期間にわたって会社を休んだ場合は回復した経緯と現状についてもきちんと伝え、安心して働けることをきちんと説明すると上司や同僚もホッとします。
感染力の強い病気ははっきり休むと伝える
最近は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、長期間にわたって会社を休むケースが増えてきています。コロナだけでなく、ノロウイルスやインフルエンザなど、感染力の強い病気は日本でも毎年のように流行しています。
感染力の強い病気にかかっていることがわかった場合、会社にもその旨をきちんと説明し、完全に回復するまで会社を休む必要があると伝える必要があります。
インフルエンザの場合、主治医による証明書が出なければ基本的には会社に復帰することができませんので、主治医から忘れずに証明書をもらう必要があります。
それでも会社を休めないときの対処方法
電話などで休みたいと伝えても、会社を休めないケースが意外と多いようです。上司の対応が原因で会社をなかなか休めない場合、どのようにすれば休めるのでしょうか。電話での伝え方を含めて、対処方法をシミュレーションしておきましょう。
伝え方を工夫する
同じ理由で会社を休むとしても、電話での伝え方によっては上司から「休まなくていい」と言われてしまう可能性があります。
上司に病気やケガなど、休みたい理由が伝わっていないのかもしれませんし、単純に伝え方が悪かったのかもしれません。
慢性的な持病などで繰り返し会社を休む場合は普段から病気の特性について上司や同僚に話しておき、いざという時に理解されやすくする、というのも注意点のひとつです。
有給休暇はタイミングを考える
有給休暇は労働者の権利であり、基本的には申請時に理由を伝える必要はありません。ただ、規模の小さい会社や繁忙期の場合、急に有給休暇を申請すると上司も困ってしまう可能性があります。
有給休暇であっても早めのタイミングで伝えておくのが注意点であり、権利だからといって当然のように申請したのでは後々まで波風が立ちますので、伝え方も充分に工夫しましょう。
メールでOKの会社もある
休みの連絡は電話で入れるのが社会人としての鉄則ですが、最近ではメールでの連絡でも許されている会社も増えているようです。
もちろん、そのような会社の場合はメールで休みの連絡を入れるのが基本マナーとなりますし、その都度電話を入れる必要もありません。
ただ、メールだから簡単でいい、というわけではなく、メールにはメールのビジネスマナーがありますので、そちらのほうも注意点としておさえておくと応用範囲がさらに広がります。
それでも休めないなら専門窓口に相談しよう
急病や身内の不幸など、正当な理由で会社を休むと伝えても休ませてもらえない、会社に出てくるように強制される、というトラブルがここ数年で増えているようです。
もちろん、休暇の取得は働く側として当然の権利であり、タイミングや伝え方にかかわらず、本来であれば無条件に認められるべきことのはずです。
正当な理由があるにもかかわらず会社や上司から休ませてもらえない場合は、弁護士や弁理士、労務士などの専門家に相談することもひとつの対処方法です。
会社を休むときは電話で伝えよう
急病などで会社を休む場合は電話で伝えるのが社会人としてのマナーであり、LINEやメールで伝えるのは上司に対して失礼ですので、注意点としておさえておきましょう。
タイミングや伝え方にもいくつかの注意点があり、当日申請、事前申請、有給休暇と休む理由によってふさわしい伝え方が異なっています。
復帰後のフォローも重要で、上司はもちろんのこと、仕事を引き継いでもらった同僚などに対してもしっかりと御礼を伝えることもマナーですので、きちんとおさえておきましょう。