年収700万円・手取り額
2019年現在、日本の平均年収は420万円とされています。なので今回基準にしている700万円は平均よりも280万円ほど高いという計算になります。しかし最初あった年収700万円でも最後に残る手取りの額は税金などによって少なくなってしまいます。
日本は世界的に見ても特に税金が高い国なので自分の手取りはいくらくらいなのかをしっかり把握しておく必要があります。今回は年収が700万円の場合、どれほどの手取りなのか引かれたお金はどのように使われるのかについて説明していきます。
手取り額520万円~560万円
年収には所得税や住民税を含む所得税に加え、健康保険、厚生年金、雇用保険などといった社会保険料というものが含まれています。日本は特に税金の税率が高いため、年収から引かれていった手取りは520万円から560万円程となっています。年収が700万円だったとしても150万円ほどは持ってかれてしまうということです。
手取り額の差の理由とは
手取り額というのは人それぞれの境遇によって変わるので、年収は同じ700万円でも決して他人と同じ手取りということはあり得ません。
一般に、配偶者控除や扶養控除の対象であれば所得税が少なくなり、扶養家族がいる場合には手取り額が数10万円単位で上昇することがあります。
年収700万円はその他にも住んでいる自治体の住民税の税率や配偶者の所得、子どもの年齢、数でも手取り額は左右されます。
累進課税制度とは
日本には累進課税制度というものがあります。分かりやすく説明すると、所得が多い方ほど所得税の税率を高く設定し、税金を多く払わせるという制度です。
これは日本の所得の格差を和らげる目的で作られた制度ですが、税率が高すぎるが故に多くの個人や企業が海外に移り税金対策をしています。
有名なスポーツ選手も、年収が高いがために年収のほぼ半分をもってかれる方も多いです。この場合、他国で永住権をとるなどの対策をすることで、その国に納税をして日本に税を合法で納めないという方式をとることがあります。
しかし医師といった、国内で働く職業の方は中々外国の永住権をとることも難しい状況にあります。
給料が高いだけにそれよりも年収の低い方とあまり年収が変わらなくなってしまうということから税金を多く収める方のインセンティブを損ねてしまうというのが累進課税のデメリットなのです。
累進課税制度では、具体的に下は195万円以下で税率5%、上は4000万円以上で税率45%課されています。年収が700万円の方は695万円から900万円までの枠に入るため、税率は23%になります。
住民税が約10%のため、約33%の課税がされます。ここに社会保険料が加わるため、月収が700万円であるからと言ってそのまま700万円手に入ると思っているとかなり手取りが少なく感じてしまいます。そのため、海外で稼ぐ700万円と日本で稼ぐ700万も価値がかなり異なるのです。
年収700万円・生活レベル
ではここから年収700万円を想定した具体的な生活レベルを解説していきます。年収が700万円あるとどのような生活ができるのかを予想しておく必要があります。年収700万円の手取り額から計算して月にどれほどの金額を生活費に充てることができるのか、月給をもとにしてみていきます。
配偶者や子どもの数によっても手取りは変わるので3人家族の場合と独身の場合で見ていきましょう。
①手取り月収38.1万円・3人家族
3人家族で見た場合に年収700万円の手取り月収は約38.1万円になります。そのため、この月収を基に生活費の内訳を考えていきます。まず、3人家族なので一人暮らしよりも部屋を大きくする必要があります。ここでは家賃を月に11万とします。
食費を外食費も含めて8.5万円、日本は水道光熱費が高くいので2.5万円、通信費は1.7万円です。日用品、衣料品など生活に必要な物を買うお金に加え、医療費など、その他もろもろの費用に充てると最終的に貯金額が4.2万円になります。
娯楽費は1.2万円とそこまで多くないので、貯金をしたい場合には無理な出費はしない方が無難です。
②手取り月収37.2万円・独身男性
独身の場合、配属者や子どもがいない分、税金や社会保険料も変わり、年収700万円を想定した手取り月収は37.2万円と、月給としては3人家族の時の月給とあまり変わりません。教育費などが軽減されるため、かなり生活に余裕ができます。
家賃を10.2万円とすれば一人暮らしなら十分満足できる部屋に住めます。食費に6.7万円、衣服に4万円費やしても、安定した貯金額を月々に回すことができます。
年収700万円・平均貯金額
年収700万円では月収額とその生活費に使う費用の内訳まで見てきました。では貯金に関してはどれほど月収から引くことができるでしょうか。日本人は貯金をすることを好む慣習があり、多くの人が貯金できる額を気にします。もしもの時にも備えてためるお金ですから、年収700万円で安定して保管できる貯金額を確認しておきましょう。
月7万円~10万円貯金
年間700万円の方が月収から貯金に回せる額はおよそ7万から10万円です。ボーナスを貯金に回すかどうかによって変わりますが、予想外の大出費がない限りは年間で200万円程の貯金ができます。
独身の場合、30歳で700万円に到達すると貯金額は50歳時点で12787万円、50歳で700万円に到達すると5677万円となります。
しかし、配偶者と子どもが1人いた場合、30歳で700万円に到達した場合にも50歳時点で貯金額は5835万円、50歳で700万円に達した方に関しては0円、最悪の場合赤字になってしまいます。
配偶者や子供がいるといないではかなりの差が生まれてしまうのでその点は考慮が必要です。
年収700万円・ボーナスの手取り
年収700万円の方のボーナスはどのようになるのでしょうか。ボーナスは社員に対する給与とは別に、売上額の中から差し引いた額です。そのため、企業がもうかっているほどボーナスが出る可能性も高いです。
通常、会社の売り上げによって社内では年に2回や3回ボーナスがある会社が多いです。ですがそのボーナスにも税金がかかるため、年収700万円の方がもらったボーナスはそこから引かれて手取りが清算されます。
ここでは2回のボーナスがあった時の手取りについて、どれくらいもらうことができるのかを解説していきます。
2回のボーナスの合計約175万円
ボーナスの払われ方は企業によって異なりますが、ボーナスの額が月収の3か月か4か月分の賞与がもらえることが多いです。そのため、年収700万円を月収に分け、そこから3倍又は4倍するとボーナスの合計額が出ます。
その後、税金と社会保険料により引かれるため、年収700万円の方は残った手取りの額はおおよそ175万円とされています。ボーナスが出るのはいいのですがどうしても控除額が多いのが残念なところです。
年収700万円・家賃の目安
家賃については3人家族の場合と独身の場合の月収700万円の生活費の内訳の中で前述しましたが、個人によっても自分の住みたい部屋は異なるため、一概に値段を決めることはできません。ファッションに興味のない人は家賃に多くのお金を費やすこともできます。ここでは、月収から見積もった金額で家賃の目安について触れていきます。
家賃は13.9万円程を目安に
年収が700万円の場合、部屋の質を高めたいという方でも目安は13.9万円と考えておきましょう。家賃は基本的には年収を月収に変えた時の手取りの3分の1なので、年収700万円の方は13.9万円が妥当な家賃の金額と言えます。もちろんこの家賃の金額は時代によっても変化があります。
バブル時代であれば貯金のことを考えずともお金を生み出すことができたのでもっと家賃にお金を回せたのですが、今は景気が悪いので月収の手取りの3分の1が通常額です。
審査に落ちない家賃の目安とは
賃貸の場合、家主は初めに借りる相手が家賃を支払う能力があるかを審査します。そのため、家主には年収を示して説得させなければいけません。多くの場合、年収が家賃の36倍ほどの金額で会った場合、賃貸することが可能です。年収が700万円の場合は家賃は19.4万円までであったら借りることは可能です。
年収700万円・住宅ローン
賃貸であれば年収700万円の方は家賃13.9万円が目安ですが、家を買う場合はどうでしょうか。家を買うとなればかなりの金額が必要なので年収が700万円ほどもらっていても住宅ローンを借りなければいけません。
では住宅ローンを借りるとして、年収700万円あったらどのくらいの値段を、どれだけの期間払う必要があるのか、賃貸と違ったリスクと一緒に説明していきます。
住宅ローンの返済は大変
不動産の営業マンに年収に適した金額の家を紹介されますが、たいていの場合、その家は返済するのに大変な思いをします。営業マンが年収をもとにおすすめする家は最も安く、最も長い期間で組めるローンだからです。
もちろん銀行でローンをその金額を借りることは可能ですが、ローンを35年で組んだ場合にはかなり長い間お金を払い続ける必要があります。金利にも寄りますが、期間が長い分700万円を基本にしたローンには利子が高くつきます。
そういった意味で営業マンの言うことを鵜呑みにして簡単に家を買ってしまうと痛い目に遭います。
景気が悪い現在、急に給料カットやリストラが起きた時にローンを払えなくなってしまった時に大変です。年収700万円基準の家を選ぶなど、高ければ高い家を買うときほど下調べと本当に払える金額なのか自分で確かめる必要があります。
年収700万円・職業
年収700万は前述したように平均以上です。なので700万円の仕事はあまり多くないのが現状です。派遣であったり、供給の多い職は年収は700万円より低い可能性が高いです。逆に需要が少なく、特別なスキルが求められる職は年収が高く、700万円以上もあり得ます。
その他にも、人のカリスマ的能力や信頼性に基づいて得られる高年収の仕事も多くあります。ここでは、年収700万の仕事にはどのようなものがあるか、具体的な仕事名を例にしながらに紹介していきます。
①エンジニア
エンジニアは自分のスキルによって仕事量を示す技術者です。そのためキャリアがものを言います。若いころから多くのお金を稼ぐのは少し難易度が高く、それでも平均的に見て40代であれば年収700万円を超えることは可能です。
また、エンジニアにも大企業のエンジニアもあれば中小企業に勤めるエンジニアもあります。もちろん会社が大きければ大きいほど年収は上がります。
また、海外でエンジニアとして勤めると日系企業よりも年収は高いです。日本にわざわざ迎え入れてエンジニアを雇うよりも効率がいいからです。
最近ではネット普及や技術の進歩によりIT関連のエンジニアの需要が格段に増えています。ITのエンジニアになるとさらに年収を伸ばすことができます。やり方次第で700万円は確実に超えることができるでしょう。
本当に自分の腕に自信がある方は、エンジニアにおいてはフリーランスとして活動した方が得です。会社を経由する必要がないので手数料をとられることなく、結果年収700万円以上を稼ぐことができます。
しかしデメリットとして、自分で案件を探す必要があるので人脈が広くないといけません。また、月収が安定しないという事態に繋がりかねませんから、ある程度エンジニアとして経験値を得てからフリーランスになることをお勧めします。
②住職
住職は意外にも年収の高い職の内の1つとなっています。基本住職は葬式、法事、掃除や檀家とのやり取りをしています。人によっては駐車場やテナントの賃貸料を受け取っている方もいます。日本は仏教色が強いため、お寺には訪れる方は多いです。
そのため住職もまだまだ現代では必要とされています。年収は600万円から700万円が平均とされていますが地域によって異なります。
都会であると月収が50万ほどですが、田舎の地域に行くと月収20万というのも普通です。というのも、お金に関して言えばお寺は会社と同じつくりでできているからです。
社員の年収は会社の年間の売り上げで成り立っているように、住職の方もお寺の収入によってお金を得ています。総本山のようなお寺は全国的にも有名で、多くの方が訪れるので多くのお金が入ってきます。
逆に人が多く集まらないお寺はお寺にお金が集まらず、住職の方の年収も少なくなってしまいます。そのため、お金を重視して住職になろうとしている方には注意が必要です。年収は一概には700万円とは言えませんが、一般的には給料の多い職です。
③臨床工学技士
臨床工学技士という職業に馴染みのない方は少なくないです。しかしこちらも年収700万円の職業候補です。臨床工学技士とは以前医療機器メーカーの担当者が操作する機会が多かった医療器具を手術中に操作するといった仕事をしています。
病院で働く職業なので社会的責任も大きく、覚えなければいけないことも多いので大変な職業ではあります。しかしその分年収が多いのも事実です。
平均では臨床工学技士は600万円前後とされていますが、働き次第では年収700万円は不可能な数字ではありません。
④電力会社
年収700万円有力候補の電力会社です。電力会社は福利厚生も充実し、安定した就職先と以前までは言われていましたが、原発事故があったため、職が不安定となりました。
大手電力会社が原発事故発生後に年収を20%前後カットしたことから不安定な職とまで言われるようになりました。しかし、依然としてボーナスも支給されます。
電力会社という、非常事態になれば期間な職場なので手当も付いています。残業が多いですが時間外労働手当がしっかりとついてきます。また、電力会社に入っていると保険やローンの社内割引もきくので、年収の他にも金銭的に有利に事が運ぶことがあります。
職業としては他の職よりも安定しています。理由は、会社内で4年周期で人事異動があり、都道府県をまたぐことなく勤務先が変わるので、配属された都道府県で定年まで働くことができます。
事故が発生すると年収が不安定になるというリスクもありますが、それを除けば年収に関しては年収700万円程と高い仕事と言えます。
⑤小学校教論
昔から年収が安定しているという理由で人気な公務員です。特に教諭は教諭になるまでが難しく、平均が43歳ほどと言われていますがその分年収は約700万円程となっています。
というのも、教諭の年収は職務の責任や困難度に応じて分けられる級と、職務経験年数における職務の習熟度の号給を組み合わせることで成り立っています。
号泣は1年に1万円上昇するので、在籍すればするほど年収もそれに応じて上がっていくということになります。年功序列が安定している職なので安定度も高く、それ故に年収700万円が望めます。
年収が低くてもお金が貯まる方法
最後に、年収が低くてもお金が貯まる方法について解説していきます。確かに年収700万円は平均以上ですが、お金は使い方によって年収問わず不足になることがあり得るのです。逆に、自分の年収が700万円以下だからといった悲観的になる必要もありません。
将来65歳過ぎても働かざるを得なくなったり、年金がもらえなくなるかもしれないといわれている時代なのでしっかりと自分で対策する必要があります。主に3つの事を紹介しますが、これは将来を展望してお金を集めることができた賢い方たちにある共通点です。
いくら貯めるのかをはっきりさせる
物々交換の時代から、お札や硬貨に価値をつけて物と交換する時代になり、今ではそのお札や硬貨を集めるがためにやみくもに働く方々がいます。
しかし改めて考えてみると、お札や硬貨自体はとても安く作られているのであり、それ自体に価値はないのです。要するに、お金は欲しいものがあるから貯めるのです。そして将来の使わなければならない多くの支出を考慮してお金を貯めるのが貯金の概念です。
例えば子どもの教育費や家、車、老後の生活資金等です。それらも使う時期が異なるため、自分で計算していくら貯めなければいけないのかを自分で数字で表すことができます。
お金ばかりあっても仕方ないので、自分の将来の支出ほどのお金を貯めることができたらそれで充分なのです。
人生の支出を決める
支出の中でも住居費、教育費、老後資金は3大支出といわれるほど大きな支出です。そのため、これらの支出を中心に考慮していく必要があります。
一般的に、生涯賃金は2億円と言われていますから、これを大学卒業して65歳になるまでの42年間で、3大支出以外に払えるお金は平均で年間約286万円、月に約24万円とわかります。これらは配偶者の有無、子供の数にも関わってきます。
また、現在自分が老後も住めるような住宅で暮らしている場合には住宅費はそこまでかからないでしょう。ちゃんとした民間保険に入っている方は老後の資金にアドバンテージはありそうです。
一方で保険も会社の退職金も望めないというのであれば老後資金は多めにとっておく必要があるでしょう。全てを計算した時に残った値段が自分の今使える金額です。意外と無駄遣いをしていると感じる方も多いです。
貯金月1万円でも1000万円になる
自分は老後資金が少ないから退職する65歳までに1000万円貯めようとします。1000万円といったらかなりの額ですからすぐに手に入るわけではありません。ましては月に1万円というとかなり先が遠い話のように思えてしまいます。
しかし先見の明を通してみてみれば、これもお金を貯めるのにとても重要な考え方なのです。月に1万円貯めると1年に12万円です。10年で120万円、大学を卒業して65歳になるまでの42年間毎月続けると504万円、夫婦で合わせれば1008万円と、目標に到達します。
地道なようでこれが一番確実な方法です。投資においても同じことが言えます。投資といえば多くのお金を投資して短期間で大金を手に入れるといった賭けのような風に捉えられがちです。
確かに、短期間で稼ぐ投資の方法も中にはありますが、それにはかなりのリスクが伴い、難易度も高いです。一方で、投資には10年を通して投資額が2倍になったらいいというようなやり方もあるのです。
短い目で見るのではなく、長い目で未来を展望して投資のように地道に続けることがお金を作る秘訣なのです。
年収700万円は手取りから年間200万円貯金可能!
今回は年収700万円を想定したお金の使い方を見てきました。確かに年収から最終的に自分に入る手取りの額は人それぞれです。ボーナスもありますが、月給をどう使うかも十人十色です。
しかし700万円は平均的に見たら高収入です。無理な出費をしたり、自分の趣味にお金を使いすぎない限りは安定して貯金をすることができ、年収700万円であれば年間を通して貯金することができれば200万円を貯めることもできます。
税金や社会保険料などで手取りがすくなくなり大変ですが、それでも年収が700万円あれば安定的な貯金と無理のない生活が手に入ります。