ソテツ(蘇鉄)の育て方を覚えよう!
写真のような大きなものから室内にも置けるくらいのコンパクトサイズまで、さまざまな種類が存在するソテツ。太い幹や大きな葉から南国をイメージさせるソテツですが、実は日本にも自生していて、ホームセンターなどでも入手できる観葉植物です。
育て方も比較的シンプルで寿命も長い植物なので、複雑なお手入れは面倒だけど、お水をあげる程度で力強く育ってくれる種類を求めている方にはおすすめです。それでは、ゆっくりと大きくなっていくソテツの育て方をご紹介します。
ソテツ(蘇鉄)とはどんな植物?
そもそもソテツとはいったいどのような植物なのでしょうか。知れば知るほど愛着をもって育てられる観葉植物、ここではその中のひとつ、ソテツについて特徴や名前の由来までお伝えします。ソテツは歴史が長く、英名では「Japanese sago palm」と書かれるくらい日本にも関係があります。
ソテツの特徴
ソテツは、ソテツ科ソテツ属に分類される常緑低木です。世界ではインドネシア等の熱帯地域に生息し日本では沖縄の南西諸島に自生しています。
大きいものだと5mほど育つものもあり、太くまっすぐ育った幹の上から、反り返るように開いた分厚く艶のある葉をつけます。
実はソテツは1億年以上前から存在する植物で、化石としても多く残っています。今までさまざまな環境の変化に対応し、その都度進化してきた現在のソテツは暑さには強く寒さに弱いことが特徴です。
観葉植物としても人気
先ほど大きなソテツは5mくらいまで成長すると書きましたが、実は1m大きくなるには40年以上かかると言われるほど成長スピードは穏やかです。
大きくなりすぎて室内で手に負えなくなることもないので観葉植物としても実は人気。さらに乾燥に強く、丈夫で手間がかからないので、初めての方でも挑戦しやすい観葉植物です。
ソテツの名前の由来
ソテツの学名は「Cycas revoluta」と表記され、「Cycas(シカス)」はヤシに似た植物という意味です。和名では「蘇鉄」と書き、昔中国で弱った木の根元に釘を打ち込んだところ元気になったことから「蘇鉄(鉄で蘇生する)」と名付けられました。
ソテツの開花時期
ソテツの開花時期は6~8月。運が良ければ黄褐色の花が咲き、秋頃には赤い実をつけます。滅多に見られない花が咲いた時には誰かに自慢したくなるでしょう。
そして自生している沖縄では海岸沿いの岩場で大きな葉が揺れている様子から、勇ましさや力強さを表す「雄々しい(おおしい)」という花言葉がソテツにもついています。
ソテツの種まき・苗植え
ソテツをイチから育ててみたい方もいるかもしれません。時間はかかりますが、葉が大きくなってきた時の達成感もきっと大きいでしょう。反対に早く緑を飾りたい方は、苗から買ってきて植えてあげてください。
種まきの時期・やり方
ソテツの種は他の植物に比べとても大きいので48時間くらいは水につけておくと良いでしょう。花が咲き終わった10月頃、種を採取したらすぐに赤玉土(小粒)を敷き詰めた小さめの鉢に浅く植えて、土が乾燥しないように霧吹きや水やりで湿らせ最初は日陰において様子をみます。
2~6か月後に発芽してきたら、今度は日当たりの良い場所へ移動します。土を乾燥させないよう水やりは引き続き丁寧に行いましょう。1年以上かけて育て、植え替えが必要になるくらいまでの苗になったら一回り大きな鉢に変えるもしくは地植えをしてあげます。
苗植えの時期・やり方
ソテツの苗植えは、5~9月の温暖な気候の時期がベストです。後ほど説明しますが、株分けをした後の苗も今からお伝えする苗植えと同じように行ってください。
ここまでをみてみると、作業はシンプルですがソテツを種から発芽させるにはじっくりと時間をかけてあげることが重要です。
なのですぐにインテリアとして楽しみたい方は苗を買ったほうが早いですが、ゆっくりと成長過程を楽しみたい方は種まきから挑戦するのもいいかもしれません。
地植え
まず苗の根がすっぽり入るくらいの穴を掘り、株元が地面よりも30~60cmほど高くなるように調整しながら先ほど掘った穴に置きます。
そして苗に土を被せ、隙間ができないように周りの土を割りばし等で刺しながらしっかりと苗を固定させたら最後はたっぷりめに水を与えてあげて完成です。
鉢植え
苗よりも一回り大きな鉢を用意し、鉢の底に鉢底石をいれ3分の1ほど土を入れます。その上に根本を少し出した状態で苗を固定し、周りを土で埋めていきます。最後に水を与えてから風通しの良い場所に移動させて完成です。
ソテツの育て方
植え付けができたら次は育て方です。発芽してからの剪定や株分けまでお話します。また、苗から購入された方は後に説明する植え替えの項目からご覧ください。その際は温かい気候の5~9月頃に行ってください。
土作り
地植えの場合、2週間ほど前には土を耕しておき、腐葉土を3~5割混ぜておきます。鉢植えの場合、ホームセンターで販売されている観葉植物用の土で十分です。
ソテツは土質を特に選びません。しかし湿気に弱く乾燥に強い植物なので、水はけの良い土を使うことが大切です。
水やり
水やりは植物を育てる際、種類によっても様々でとても重要です。かといってソテツは痩せた土地でも育つくらい生命力のある植物なので、過保護になりすぎない程度にしてあげましょう。
地植えの場合、一度植え替えをした時にたっぷりと水を与えてあげたらその後は与え続ける必要はありません。鉢植えの場合も、土が完全に乾いて、鉢を持ち上げた時軽く感じたらあげる程度にしておきましょう。
ソテツは乾燥にとっても強いので、特に成長期ではない冬期は吸水力が弱まり根腐れの原因になります。乾燥したかなと感じたらその4日後くらいに与えるのがちょうどよいです。
ソテツが枯れる原因は、乾燥よりも水の与えすぎによる根腐れが多いので、注意しながらゆっくり見守ってあげましょう。
肥料
ソテツは基本的に肥料を必要としません。痩せた土地でも育つ力があり、環境に適応できる力強い植物なので、水の与えすぎにだけ注意をしましょう。根腐れを起こしてしまった場合は、剪定で切り落としてあげることが大切で肥料は必要ありません。
ソテツの剪定方法
続いてはソテツの剪定方法です。ソテツは枝分かれもせずゆっくりと育つので、古くなった葉が垂れ下がってきていたら根元から切ってあげます。万が一根腐れが起こってしまった場合は、株を一度掘り上げて腐っている幹を刃物で剪定してあげましょう。
ソテツは成長スピードが穏やかで見た目もあまり変化がないので、毎年剪定をする必要は特にありません。その点では、忙しくて剪定時期を逃す心配がありません。
ソテツの植え替え方法
ソテツを植え替えるのは、温かい時期の5~9月がタイミングです。数年に一度のペースで一回り大きな鉢にかえてあげましょう。観葉植物の中では成長が遅く手間がかからないのもソテツの魅力でもあります。
ソテツの株分け方法
ソテツの株分け時期は同じく5~9月頃。根元に小さな株が出来てきたら株分けのタイミングです。株分け方法は、子株がこぶしくらいの大きさになったら切り離し、鉢植えと同じ方法で鉢植えを行ってください。
ソテツの冬越し
ソテツは乾燥に強いので夏は特に準備がいりませんが、耐寒温度は約5度です。鉢植えなら室内に移動させ、幹の部分を藁で覆うなどして対策を取ってあげましょう。
そのため寒さの厳しい土地にお住まいの方は、地植えで育てるのは難しいので室内に移動できる方法で植えてあげましょう。
ソテツの種類
ソテツは世界中の温帯地域を中心に様々な種類が生息しており、品種によって見た目も様々です。さらに、ソテツの仲間は化石としても発見されるほど何億年も前から存在する植物で、現在の品種はどれも希少なものとして扱われています。
ずっと昔から親しまれてきたソテツですが、見た目も多種多様存在します。最後にその中から4種類のソテツの仲間をご紹介します。
オニソテツ
こちらはザミア科オニソテツ属に分けられ、アフリカが原産です。学名では「Encephalartos(エンセファラルトス)」と言われており、葉は固くダイナミックに広がった姿からその野性味溢れる見た目に魅了される人もたくさんいます。
ヒロバザミア
こちらはメキシコが原産であることから「メキシコソテツ」とも言われています。葉の丸みがかわいらしくて、表面には短い毛のようなものが生えているのも特徴のひとつです。他のソテツに比べ、見た目がやわらかいことから室内用としても人気です。
セラトザミアヒルダエ
名前にザミアとあるようにこちらもザミア科のひとつで、すでに絶滅危惧種とされています。セラトザミアヒルダエはメキシコにしか生息しておらず、現在は数本しか確認できていない貴重なソテツの仲間です。
マイクロサイカスカロコマ
マイクロサイカスカロコマは、キューバ西部にしか自生しておらずこちらも希少な品種です。日本にある希少品種としては、先ほど紹介したオニソテツの仲間であるウッドオニソテツは世界に3本しかなく、内1本が日本に存在します。
ソテツの育て方を覚えて貴重な花を咲かせよう!
いかがでしたでしょうか。風通しと日当たりの良い場所でたまに水をあげるだけで、丈夫に育ってくれるソテツのご紹介でした。
ソテツは成長スピードがとてもゆっくりです。目に見える変化が出にくい種類ではありますが、その分剪定や株分けなど初心者にとって難しく感じる工程を頻繁に行う必要がない点はメリットとも言えます。この機会に是非ソテツをいつもの風景に仲間入りさせてみてください。