芍薬の育て方を覚えよう!
立てば芍薬座れば牡丹歩く姿はゆりの花などと美しい女性のたとえにされる言葉ですが、それぞれの花の美しさは見ごたえがあります。特に芍薬は、大輪の花を咲かせます。
一度は自宅で育ててみたいと思う方も多いでしょう。初心者には難しいと諦めがちです。しかし芍薬の特徴を知れば自宅でも育てることができます。適した土は何か、水やりの方法、害虫予防など育て方の方法を紹介します。
芍薬とはどんな植物?
芍薬の原産地は、中国北部からシベリア東部の広い地域です。国内では江戸時代には、茶花として用いられていました。また熊本藩では武士が園芸に関する技術習得の材料になっていました。
芍薬の名前には薬という漢字が使われていますが、中国では昔から生薬として使われていたことが由来となっています。観賞用として、また漢方薬として幅広く使われている芍薬の特徴や開花の時期などを調査しました。
芍薬の特徴
芍薬は中国などアジア原産ですが、その種類も豊富です。春になると地面から新芽が出始め、茎がすらりと伸びていきます。そして伸びた茎から大きな花を咲かせます。
花をみると牡丹にもにているのですが、芍薬と牡丹は違います。芍薬は草花の仲間ですが、牡丹は、落葉する低木の仲間になります。芍薬の花は、花弁が10枚も重なって花の大きさは10cmにもなります。
芍薬の基本情報
芍薬は、ボタン科に属する多年草で、初夏に大きな花を咲かせます。別名は、パエオニア・ペオニアで、これは、医の神と言われるギリシャのペオンという人物の名前に由来しています。
芍薬は、昔から万能薬として使われていました。根の部分を乾燥させて漢方薬として用いられてきました。芍薬の開花は、5月頃から初夏にかけて沢山の花を開かせます。中国から入ってきた芍薬は、現在では長野県や新潟県を中心に栽培されて薬用としても広まっています。
鉢植えの芍薬の育て方①環境
全国各地に芍薬の名所スポットがあり、芍薬人気は高まっています。自宅の庭で沢山の芍薬を育てている方も多いでしょう。鉢植えすれば芍薬は、マンションのベランダでも育てることができます。
ただ栽培する時に注意することがあります。それは、芍薬を育てる時、日当たりの良い場所と水はけの良い環境にすることです。そこで芍薬の鉢植えに適した環境について調査しました。
置き場所
ベランダで芍薬を育てる時、必要なことは鉢の置き場所です。芍薬は、日光を好むので日当たりが良い場所が必要です。さらに夏場の西日があたらない、明るい半日陰などの場所が適しています。
日当たりが悪いと、花の付きが悪くなったり、鉢の中の温度があがり根が弱ってしまうので注意が必要です。ただ雨風が強まる時は、直接あたらない所に移動しましょう。
用土
芍薬を鉢植えにして育てる時、使用する鉢は水はけが良い10号ほどの大きな物を選びましょう。成長が良い芍薬は、小さめの鉢では根づまりを起こしやすいので注意が必要です。
芍薬が育ちやすい土は、有機質が多く肥えた土を使います。赤玉土、鹿沼土と腐葉土を4:4:2の割合で混ぜ合わせます。そこに燻炭を1の割合で混ぜます。これらの土はホームセンターなどで手に入れることができます。
鉢植えの芍薬の育て方②手入れ
芍薬を上手に育てて、きれいな花を咲かせるためには、育て方に気を付けることです。鉢や土にも、そして肥料なども芍薬に合う物を選びます。
また植えた後の水やりなどが芍薬の成長に大きく影響します。しっかり育てることで大きくきれいな花を咲かせます。具体的に芍薬の管理の仕方を調査しました。
水やりの仕方
芍薬の鉢植えは、土が多湿になったり乾燥しすぎたりすると根が傷みやすくなります。芍薬の水やりは注意が必要です。従って、季節ごとに水やりの時間を調整しましょう。夏は、夕方1回、夏以外は朝1回程度が良いでしょう。
また土の乾き具合によって、水の量も調整が必要です。水やりの目安は、土の表面が乾いてきた時にたっぷり与えます。10月頃になると芍薬の根の発育が良くなるので、水切れを起こさないように注意しましょう。
肥料の選び方・与え方
芍薬の植え付けや植え替えの際、肥料の良し悪しが開花に影響するので適した肥料選びが必要です。便利なのは、市販されているプランタ用の培養土です。この土は、元肥に適した緩効性肥料のマグァンプKが配合されています。
わざわざ別の肥料を用意する必要がありません。この土に堆肥や追肥に適した緩効性化成肥料を加えます。芍薬の花を大きくなるように育てたい時は、リン酸を多く含んだ肥料もおすすめです。
剪定の仕方
芍薬は、しっかり育てたつもりでも花が咲かないことがあります。花を咲かせるためには、剪定する必要があります。芍薬の剪定のタイミングは、花が咲き始めた頃で、葉の付け根に小さな芽が出始めます。
この小さい脇芽を剪定して、つぼみを間引きすることです。つぼみが沢山ついたままでは、栄養が分散されて大きな花は咲きにくくなってしまいます。しっかり剪定することで翌年も花を咲かせることができます。
注意したい病害虫
芍薬の木を剪定することで幹の衛生環境が保たれます。さらに剪定は、害虫の発生を防ぐことにつながります。しかしアブラムシやナメクジは発生しやすいので注意が必要です。さらにうどん粉病やウイルス病が発生しないようにすることが大切です。
病気や害虫を防ぐためには、日当たりの良い場所に鉢を置き、風通しも良くしましょう。花が咲くまでに2回と開花した後2回殺菌剤を散布することをおすすめします。
鉢植えの芍薬の育て方③植え付け・植え替え
ホームセンターなどで売られている芍薬の苗は、ビニール製の黒いポットに入っています。ついポットのままにしがちですが、芍薬を大きく育てたいときはポットから苗を出して大きな鉢に植え替えする必要があります。
また鉢植えにする場合、定期的に植え替えをしなくてはなりません。植え替えに適した時期や正しい植え替えの行い方について調査しました。
植え付けの時期
芍薬の苗は、3月から5月頃園芸店やホームセンターで出回ります。種類や花の色も豊富なので好みの苗を選びましょう。芍薬の成長を考えて鉢は、8号以上のサイズを選びます。
芍薬の植え付けに適した時期は4月から5月と9月から10月になります。鉢植えの芍薬は、根づまりを防ぐため2年に1度は行う必要があります。ただし冬場は、休眠期に入るので植え替えは避けましょう。
植え替えの行い方
芍薬の根は長く伸びます。そのため鉢植えにすると根づまりを起こしがちです。秋ぐちに植え替えをしましょう。芍薬の実がついているときは、実の成長が終わってから植え替えするのが良いでしょう。
現在使用している鉢より一回り大きな鉢を用意します。苗を鉢から丁寧に取り出します。根についた古土はしっかり取り除きます。新しい鉢の底には水はけを良くするために、大き目の石を敷きます。芍薬に適した土を用意して植え替えをします。
植え付け・植え替えの際の注意点
購入した時、ビニール製ポットの底から根がはみ出していたら、すぐに植え替えをします。芍薬の根は、成長が著しいため植え替えは根に負担をかけやすく、翌年花が咲かないことがあるので注意が必要です。
また芍薬の根は動きだすので植え付けたときも乾燥しないようにしましょう。花を咲かせるためには、冬場は苗を触らないようにします。また開花後は、しぼんだ花を放置すると不衛生になるのでしっかり取り除きましょう。
芍薬の増やし方は?
樹木や観葉植物の増やし方は様々です。挿し木、株分けまた接ぎ木など樹木の特徴によってかわります。苗を買って生長したら、翌年に向けて芍薬を増やしたいと考える方も多いでしょう。
芍薬の場合は、挿し木ではなく株分けして増やします。株分けはただ増やす目的だけでなく、翌年の花のつきが良くなるというメリットもあります。具体的な増やし方について調査しました。
株分け
芍薬は、9月から10月に株分けします。成長した株を若返らせる効果があるのできちんと行いましょう。株分けに必要な物は剪定ばさみ、またはカッターナイフです。そして切り口が腐らないように消毒剤や微生物資材を用意します。
まず鉢から苗を取り出します。根についた土を取り除き、それぞれの株に2個以上の芽がついているように根を切り離します。そして切り口に殺菌剤をぬって、腐らないように処置をします。
挿し木
挿し木とは、樹木の若い茎などを切り、土や水に入れて根を出させる方法です。他にも葉を土にさして増やす方法もあります。挿し木の方法は、モンステラなど観葉植物に用いられます。
ちなみに牡丹は、接ぎ木という方法で株を増やすことができます。接ぎ木とは、芽のついた牡丹の枝を穂木にして、成長した芍薬の幹につけます。こうして1本の苗木とさせ育てていきます。
種まき
芍薬は、8月過ぎると花が終わり、実がつきます。そして実がはじけたら種を取るタイミングです。この時黒い種だけを収穫し、プランターや鉢の培養土に蒔きます。そして種にやさしく土をかぶせます。
種の発芽まで2年ほどかかるので、それまで日陰で管理します。芍薬の種は園芸店などには、なかなか出回らないので採取した種は貴重です。自分で育てた苗から種をとり、種から発育させるとオリジナルの花が楽しめるので根気よく育ててみましょう。
芍薬の育て方を覚えて綺麗な花を咲かそう!
いかがでしたでしょうか。芍薬は、名所で鑑賞する花で、自宅では育て方が難しいと諦めることはありません。苗の植え付けのコツや毎日の管理の仕方を知れば誰でも自宅で育てることができます。
芍薬を植える際、土の選び方は重要です。また水やりや害虫予防などがわかれば、安心して育てることができます。そして株分けして苗を増やしたり見事な花を咲かせることができます。芍薬の育て方にチャレンジしてみましょう。